- 英
- rumen、ruminant stomach、reticulo rumen、ruminal
- 関
- ルーメン、第一胃
WordNet
- the first compartment of the stomach of a ruminant; here food is collected and returned to the mouth as cud for chewing (同)first stomach
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/17 11:45:36」(JST)
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反芻(はんすう、rumination)は、ある種の哺乳類が行う食物の摂取方法。まず食物(通常は植物)を口で咀嚼し、反芻胃に送って部分的に消化した後、再び口に戻して咀嚼する、という過程を繰り返すことで食物を消化する。
目次
- 1 反芻動物
- 2 反芻による消化吸収
- 3 その他
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
反芻動物
反芻を行う動物を反芻動物(Ruminant)といい、ウシ・ヤギ・ヒツジ・キリン・バイソン・シカ・ヌー・アンテロープ(以上は反芻亜目)・ラクダ・ラマ(ラクダ亜目)が含まれる。これらはいずれも偶蹄目であるが、近年、霊長類のテングザルが反芻に極めて類似した行動を行うことが発見された。[1]従来、偶蹄類中でも反芻亜目とラクダ亜目はどちらも反芻をすることから特に近縁と考えられていた。しかし近年の研究ではラクダ亜目は偶蹄類の中でも最も早くに分岐し、偶蹄類の中では反芻亜目とは遠縁な関係にあることが判明してきた(ラクダ類より、反芻をしないイノシシ類やカバ・クジラ類の方が反芻類により近い関係にある)。そのため両者の反芻の獲得は平行進化の結果と考えられている。
反芻動物の胃は4つの部屋から出来ており、それぞれ第一胃(こぶ胃:ルーメン、ミノ)、第二胃(蜂の巣胃:レティキュラム、ハチノス)、第三胃(葉胃:オマスム、センマイ)、第四胃(しわ胃:アボマスム、ギアラ)という[2]。
反芻による消化吸収
第一胃と第二胃で食物は唾液と混ぜ合わせられ、固形分と液体成分に分けられる。唾液には尿素など、共生微生物の成育を促進するものが含まれている。固形分は「食い戻し」と呼ばれる丸い塊になって口に戻り、再びよく咀嚼して繊維質を細かく砕きつつ、唾液と混ぜ合わせられる。細かく砕かれた繊維(セルロースやヘミセルロースなどを含む多糖類)および植物細胞質成分は、胃の中に共生する微生物(細菌と原生動物、それに菌類)によって分解・吸収される(この過程はシロアリが木を消化するのと同じである)。反芻胃内は嫌気性であるため、この代謝過程(発酵)で低級脂肪酸(酢酸やプロピオン酸、酪酸など)を主体とした低分子有機物が生産される。反芻動物はそれらを吸収し、好気呼吸の基質とすると共に脂肪などの再合成を行う。ただし、植物の構成成分としてセルロースと共に大量に含まれるリグニンはほとんど分解・利用されない(シロアリでは多くの種で体外共生菌を通して利用される)。また、生成された低分子有機物のうちメタン等の水に溶解しないものはゲップや放屁などで外部に放出されるため、これらも利用されない。
発酵が終了した食物残渣は共生微生物菌体と共に第三胃に送られ、水分を除去された後に第四胃に移る。第四胃で共生微生物体と食物残渣は消化され、その後小腸に送られ栄養が吸収される。このように反芻動物が実際に消化吸収しているのは、植物そのものではなく共生微生物およびその代謝産物である(哺乳類が消化吸収できる成分は反芻胃で共生微生物が事実上すべて利用してしまっている)ため、反芻動物は厳密には草食動物ではなく微生物食動物である、との見方もある。
その他
ユダヤ教のカシュルート(en:Kashrut、コーシェル。食事に関する規定)では、食べても良い陸棲動物は「反芻するもの」に限られている。
また、「何度も同じ事柄について考えをめぐらせる」ことを「反芻する」と比喩的に表現することがある。
脚注
- ^ Matsuda I, Murai T, Clauss M, Yamada T, Tuuga A, Bernard H, Higashi S.Regurgitation and remastication in the foregut-fermenting proboscis monkey(Nasalis larvatus). Biol Lett. 2011 Mar 30. 外部リンクも参照のこと
- ^ 但し、ラクダは第三胃が無く、計3室から成る。
関連項目
外部リンク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ハーベスタ装着型風選別装置を用いて調製した大豆ホールクロップサイレージの子実割合、飼料成分および反芻胃内消化特性
- 河本 英憲,嶝野 英子,内野 宙 [他]
- 東北農業研究センター研究報告 = Bulletin of the National Agricultural Research Center for Tohoku Region (116), 77-82, 2014-03
- NAID 40020069569
- 育成メンヨウの増体および窒素出納に及ぼす給与飼料中蛋白含量の影響
- 藤原 勉,藤原 勉
- 三重大学大学院生物資源学研究科紀要 (37), 31-43, 2011-02
- … These findings suggest that the change in the DG of lamb in growing stage is obviously influenced by changes in retained N caused by changes in dietary protein level.反芻動物の成長に伴う反芻胃の発達や単胃動物型から反芻 (複胃) 動物型への栄養摂取形態の変化が蛋白質栄養に及ぼす影響については未だ十分に明らかではない。 …
- NAID 120005322002
- 自由採食下の泌乳初期初産牛における反芻胃容積, 消化管内容量および内容物滞留時間
- 宮地 慎,大下 友子,青木 康浩 [他],中村 正斗,青木 真理,上田 靖子,西浦 明子,田鎖 直澄,伊藤 文彰
- 日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science 80(4), 457-463, 2009-11-25
- … の泌乳初期初産牛の反芻胃容積,消化管部位の内容量,発酵様相,内容物滞留時間を調べた.ホルスタイン種初産牛6頭に分娩後37日から牧草サイレージ,トウモロコシサイレージ,大豆粕,配合飼料からなる混合飼料を自由採食させ,分娩後47日に屠殺し,消化管を10部位に分割し,各組織と内容物を採取した.注水法で測定した反芻胃容積は131.9 Lで,反芻胃容積に対する内容物 …
- NAID 10029740615
Related Links
- デジタル大辞泉 - 反芻胃の用語解説 - 反芻類のもつ胃。ふつう四つの室に分かれ、飲み込んだ食物を第1胃(こぶ胃)・第2胃(蜂の巣胃)に一時蓄えて共生微生物によるセルロース分解がなされ、再び口に戻してからかみ下すと第3胃 ...
- 牛、羊、山羊などは、草を食べて体を大きくし、乳を生産することができます。その秘密は、これらの動物の持つ大きな発酵タンクにあります。 牛、羊、山羊などは、一般に反芻動物(はんすうどうぶつ)と呼ばれています。
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★リンクテーブル★
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- 消化器系#上皮の移行
解剖
- 胃は以下の間膜によって連結されている。
- 横隔膜の下面との間は胃横隔間膜
- 脾臓との間は胃脾間膜
胃の位置
- 噴門口:第7肋軟骨の胸骨付着部より約2cm左(T11の高さ) (KL.342)
- 胃底:胃底の上端は左第5肋骨の高さ (KL.342)
- 幽門:L1の高さ (KL.342)
胃の動脈
生理
胃腺の分布
2007年後期生理学授業プリント
HIS
胃腺の移動
- 胃底腺と幽門腺の境界は移動する。
- 年齢に伴って上昇する?らしく、これにともない胃酸の分泌が低下する。
胃液のホルモンによる分泌調節
生理
神経支配
-
- T6,7の側柱→大内臓神経(節前線維)→腹腔神経叢(節後線維)→内在神経叢内でシナプス前抑制、一部直接作用
- 迷走神経(節前線維)→内在神経系(アセチルコリン作動性ニューロン(興奮性)、VIP,NO作動性ニューロン(抑制性))
役割
- 1. タンパク質の消化
- 2. 食物の貯蔵
- 3. 殺菌
機能
- 受け入れ弛緩(胃近位部弛緩)
- 蠕動運動、逆移送
受け入れ弛緩
- 迷走神経反射。胃近位部伸展受容器→迷走神経→脳幹→迷走神経
臨床関連
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