成長ホルモン分泌不全性低身長症
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/30 14:07:25」(JST)
[Wiki ja表示]
Dwarfism |
分類及び外部参照情報 |
|
ICD-10 |
E23.0, E34.2, E45.0, Q77.4 |
ICD-9 |
253.3, 259.4 |
DiseasesDB |
80 |
MedlinePlus |
001176 |
MeSH |
D004392 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
小人症(こびとしょう、dwarfism)とは、著明な低身長を示す病態のこと。侏儒症(しゅじゅしょう)とも。
目次
- 1 定義
- 2 原因
- 3 特発性低身長
- 4 胎内発育不全性低身長
- 5 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- 6 染色体異常による低身長
- 7 ラロン型低身長症
- 8 小人症の著名人
- 9 関連項目
- 10 脚注
- 11 外部リンク
定義
症状として低身長をきたす様々な疾患がいわゆる小人症と呼称される。 身長が著しい低身長(通常、標準身長-2SD以下)であり、なおかつ本人(場合によっては家族)の希望があるか、もしくは重大な疾患を合併しているなど、治療対象となる場合に、初めて小人症という病名がつき、治療が必要な低身長として扱われる。
原因
特発性低身長
特発性低身長 (ISS:idiopathic short stature) と呼ばれる。特発性低身長と診断するには、内分泌性低身長のほか、奇形、骨系統疾患(軟骨無形成症なども含む)、慢性疾患、ステロイド治療など医原性の低身長や、情緒障害、心身症、また虐待・低栄養のような劣悪な発育環境による低身長など、また現在低身長をきたす染色体による疾患(ターナー症候群など)や遺伝子による疾患など各種要因を除外し、現在医学的に解明されていない原因によるものを示す。除外診断により診断される。
胎内発育不全性低身長
在胎週数別の出生時身長、出生時体重が標準値のどちらかが-2SD以下である場合において、2~3歳時の身長が-2SD以下である場合に診断される。成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、骨系統疾患など既知の成長障害をきたす疾患でないことを確認する必要がある。 また、胎内発育不全によって生まれた児は、3歳までに他の児に成長が追いつくことが多い。成長が十分追いつかなかった例では、思春期が低身長の状態でくるなどの理由により、成人身長が非常に低くなるとされる。現在SGA性低身長症と呼ばれ、成長ホルモン治療が認められているが、日本では、公費助成(小児慢性特定疾患)の対象外である。
成長ホルモン分泌不全性低身長症
下垂体前葉ホルモンである成長ホルモンは、小児期の成長(発達にも関与するという説あり)に関与しており、成長ホルモンの欠乏により低身長を引き起こすことがある。 成長ホルモン分泌刺激試験により成長ホルモン分泌低下を認めた場合に診断される。 原因としては、骨盤位分娩や交通外傷による下垂体茎の断裂によるもの、頭蓋咽頭腫、ジャーミノーマなどの腫瘍による障害による場合が多く、Pit-1遺伝子異常など遺伝性の成長ホルモン分泌欠損症はごくまれな疾患である。国内で上記疾患と診断され治療を受けている児の多くは、成長ホルモン分泌刺激試験により1種類以上で成長ホルモンが6ng/ml以上分泌を認める、特発性低身長症の児を多く含んでいる。この場合、成長ホルモンの薬理作用による成長促進作用により低身長の改善を目的に治療されることが多い。 成長ホルモン補充療法により、身長改善のほかにも精神症状・血管合併症の改善など各種のメリットがある。通常、-2.0SDに達するまで成長ホルモン療法が行われる。
染色体異常による低身長
近年の米国の研究において、男性の精子のDNAの損傷と染色体異常は男性の年齢と共に増加し、遺伝子の突然変異による小人症(軟骨形成不全症)の発症率は、男性が1年歳をとるごとに2%ずつ増加することが報告されている[1]。
ラロン型低身長症
(en:Laron syndromeを参照)
イスラエルのズヴィ・ラロン(en:Zvi Laron)医師が発見した遺伝子異常による成長ホルモン分泌欠乏症。成長ホルモンは正常に分泌されるが肝臓内の機能が結びつかないために、身長が伸びなくなる。体細胞内にある23対46の染色体の5番の染色体に変異が生じたために起こる症状。
エクアドルのピーニャス市には、ラロン型低身長症の人が多くいる。
小人症の著名人
太字は存命
- 朝霧裕(シンガーソングライター、作家)
- アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(画家)
- エディ・ゲーデル(野球選手)
- エマニエル・ルイス(俳優、歌手。日本では「エマニエル坊や」として知られる。)
- エルヴェ・ヴィルシェーズ(俳優)
- オーヴィッツ一家(小人症ばかりの家族)
- グル・モハメッド(人類史上2番目に背の低い人物。チャンドラ・バハドゥール・ダンギの生存が確認されるまでの人類史上最も背の低い人物であった。)
- ゲーリー・コールマン(俳優、「アーノルド坊やは人気者」主演)
- ケニー・ベイカー(俳優、「スター・ウォーズ」シリーズのR2-D2役で知られる。)
- ゴッデス・バニー(ドラァグ・クイーン)
- ジェイソン・アキュナ(俳優、テレビ司会者)
- ジョティー・アムゲ(2009年に世界一背の低いティーンエイジャーに認定されたインド人女性)
- チャールズ・ストラットン(「親指トム将軍」の愛称で知られる小人の芸人)
- チャンドラ・バハドゥル・ダンギ(2012年に生存が確認された、ギネスブック認定の人類史上最も背の低い人物)
- ディープ・ロイ(俳優)
- ドール・ファミリー(ドイツ出身の小人の家族)
- トニー・コックス(俳優)
- ピーター・ディンクレイジ(俳優)
- ビリー・バーティ(俳優)
- ブッシュウィック・ビル(ヒップホップ歌手)
- ブリジット・パワーズ(ポルノ女優)
- ポーリン・マスターズ(ギネスブック認定の人類史上最も背の低い女性)
- ホーンスワグル(プロレスラー)
- マーティン・クレバ(俳優)
- ミシェル・ペトルチアーニ(ジャズ・ピアニスト)
- メレディス・イートン(女優)
- リオネル・メッシ(サッカー選手)ダニエル・ナバ(MLB選手)
- メッシ、ナバはどちらもプロアスリートであるが、過去に低身長と診断された。ホルモン投与治療を行ったため最終的には標準的な身長となっている。
- ワーウィック・デイヴィス(俳優)
- ヴァーン・トロイヤー(俳優)
- TERU (俳優)
- 白木みのる(俳優)
- 徳川綱吉(徳川第五代将軍)
- 「大樹寺に収められている歴代将軍の位牌は、将軍の身長にあわせて作られている」という説があり、綱吉はその高さが124cmしかないため、小人症の疑いをもたれている。
- 徳南晴一郎(漫画家)
- 何平平(2008年時ギネス認定で世界一背の低かった人物。2010年死去。)
- プリティ太田(プロレスラー)
- マメ山田(マジシャン)
- ミニー・ウォーレン(興行師P・T・バーナムのもとで活躍した芸人)
- 山田孝野次郎(社会運動家)
- 米良美一(声楽家)
- アダム・ライナー
- オーストリア出身。十代後半から二十代前半頃までは非常に小柄だったが、それ以降に急成長を始め、小人症、巨人症のどちらにも該当した史上唯一の人間とされている。
- ルシア・サラーテ(ギネスブック認定の人類史上最も体重の軽い人物)
- 赤松満祐
- 戦国時代の武将だが、「三尺入道」などとあだ名されるほどの小柄で低身長症と推定されている。
- フェリックス・シラ(俳優、スタントマン)
- ゼルダ・ルビンスタイン(女優)
関連項目
- ピグミー
- 軟骨無形成症
- 巨人症
- 成長ホルモン
- 小人投げ
- ミゼットプロレス
- 小矮人王国
脚注
- ^ 2006年米国国立ローレンス・リヴァモア研究所の研究発表
外部リンク
|
ウィキメディア・コモンズには、小人症に関連するカテゴリがあります。 |
- 米国国立ローレンス・リヴァモア研究所の研究発表(英語)"Study shows that genetic quality of sperm deteriorates as men age"
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Binderoid CLP を伴った下垂体性小人症の1例
- 木島 毅,村嶋 真由子,鳥飼 勝行,前川 二郎,佐武 利彦,府川 俊彦,広富 浩一
- 日本口蓋裂学会雑誌 31(2), 231, 2006-04-30
- NAID 10019608113
- 下垂体性小人症に引き続き全身性脱毛およびACTH分泌不全をきたした1例 : 疾患単位としてのTriple H症候群について
- 市来 健二,中村 友厚,藤田 延也,本多 一文,石橋 俊,石川 三衛
- ホルモンと臨牀 51, 27-29, 2003-07-31
- NAID 10011603200
Related Links
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)とはどんな病気か. 脳のなかに ある下垂体という器官から分泌される成長ホルモンの量が少ないために、成長率が悪く なり低身長になる病気です。低身長は、身長SDスコアがマイナス2SD以下という統計 の ...
- 下垂体前葉ホルモンである成長ホルモンは、小児期の成長(発達にも関与するという説 あり)に関与しており、成長ホルモンの欠乏により低身長を引き起こすことがある。 成長 ホルモン分泌刺激試験により成長ホルモン ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 4歳の女児。低身長と腹部膨満とを主訴に来院した。新生児期には、夜間に頻回の哺乳を必要とし、最近は空腹を訴えることが多い。精神運動発達は正常である。低身長(-4SD)と肝腫大とを認める。血清生化学所見:空腹時血糖35mg/dl、尿酸11mg/dl、トリグリセライド1,015mg/dl、乳酸85mg/dl(基準5~20)。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A055]←[国試_100]→[100A057]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100G109]←[国試_100]→[100G111]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103G035]←[国試_103]→[103G037]
[★]
- 英
- short stature with growth hormone deficiency, growth hormone deficient short statue
- 同
- 成長ホルモン分泌不全性低身長、(国試)(差別語)下垂体性小人症 pituitary dwarfism
- 関
- 低身長、成長ホルモン
病型
疫学
- 発症は乳児期以降。 ← 成長がGH dependentになるのは幼児期以降だから? まあ、新生児~乳児期に低GHによる他の症状は出現することがあるだろうけど。
病因
- 特発性:原因は不明であるが、出産時に骨盤分娩、仮死例が多い
症候
- 糖代謝:(重症例では?)新生児、乳幼児では低血糖、筋緊張低下。 ← 低成長ホルモンによる
- 全身:低身長(-2SD/-1.5SD(6歳以下))、低い身長の伸び(-1.5SD)
- 器質性の場合、原疾患による症状:頭蓋咽頭腫、胚芽腫など
[★]
成長ホルモン分泌不全性低身長症、下垂体性小人症
[★]
- 英
- idiopathic pituitary dwarfism
[★]
- 英
- pituitary gland (Z), hypophysis (Z)
- ラ
- glandula pituitaria
- 同
- 脳下垂体
- 図譜では矢状断のものしか載っていないが、前頭断で見ると意外に横に長い、みたい。
発生学(L.413)
- 胎生第4週に下垂体前葉と下垂体後葉が接する。Rathke嚢の細胞は、活発に分裂して前葉を形成し、内腔は殆ど閉鎖する。成人ではコロイドを満たした小嚢胞として前葉と後葉の間に認められる。
画像
- MRI T1:(高信号)下垂体後葉 > 下垂体前葉 ← 脂肪濃度を反映しているのですかね?軸索が多いでしょ?
[★]
- 英
- dwarfism
- 同
- 侏儒 しゅじゅ、小体症、低身長
- 関
- 低身長、低身長症
[★]
- 英
- sis, pathy