出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/10 17:09:05」(JST)
コンサルティング (consulting) とは、企業(まれに行政など公共機関)などのクライアントに解決策を示してその発展を助ける業務を行うことであるxnxx。または、職種としてその業務そのものを指す。
「コンサルティング」とは従来の日本における「顧問」と類似する。ただし日本において顧問とは政界や財界で長い経験を持つ人間が特定の団体や企業に個人レベルで相談に乗る、あるいは「顧問」「相談役」の役職に就くということが多かった。
一方、アメリカ合衆国などにおいては特定の業界で幾つもの企業においてキャリアを積んだ後で独立し、顧問業を営むということが専門職を中心とし発展した。また同時期に発展した経営学とともに、これらを基礎にした顧問業を専門とする経営コンサルティングを主業務とする企業が誕生、従来行われていた知識・ノウハウを教授するだけの業務内容から、戦略などの企画・参謀としての役割を果たす役目へと発展していった。
これが日本に導入された際、かねて存在していた「顧問」との区別付けのため英語をそのまま外来語とし「コンサルティング」という呼称が確立された。
現在コンサルティング企業の業務範囲はまちまちで、問題の発見・提起だけを行う場合もあれば、対策案を実行して成果を出すところからその後の長期的な保守・運用部分まで責務を負う場合もある。
「コンサルティング」とは語義的には「相談に乗ること」であるため、広義にはほとんどの企業が取引先に対してコンサルティングを行っている、と言うことも出来る。そのため、現在「コンサルティング」を社名に使用したり、業務領域に追加している企業が乱立状態にあり、特にベンチャー系企業において顕著である。[要出典] また大手企業の業務領域などにおいても、保険会社の営業職や、転職斡旋企業の代理人なども、顧客と「相談する」という観点からコンサルタントを名乗る場合があるが、これらは個人をクライアントとする業務であり、従来意味されてきたコンサルティング、コンサルタントとは根本的に異なる職種である。また、相談業務そのものは課金せず、相談の先で得られる保険料収入や転職者斡旋料などで課金していることからも、コンサルティングとは異なる。
そもそもコンサルティング企業とは、「業務における問題の発見・解決策の提案・業務の改善の補助、経営戦略への提言、などを中心に、企業の様々な業務を効率化するための提案自体を売り物にしている企業」 のことを言う。原則としてコンサルティングはサービス業であり、付随的に「相談に乗ること」をしながら、他の業務や商品を通じて生計を立てている場合は、本項で「コンサルティング」と呼ばないこととする。 つまり、商品を売ること自体を主目的とする企業(保険会社など)、何かのための付加サービスとしてコンサルティングを行う企業(転職斡旋会社など)、個人をクライアントとするような企業(リテール金融会社など)、はコンサルティング企業と呼ぶことはない。
コンサルティングファームにおいてもERPなどのITシステムを販売することに繋がる場合はあるが、それは効率化を目的としたコンサルティングの結果として「あるシステムの導入を手段として行う」ものであり、「システムを販売するためにコンサルティングをしている」わけではない。ただし、業務効率化「コンサルティング」をすることにより、システム導入をスムーズに行うことができることを利用し、「コンサルティング」を標榜したITシステムセールスも存在することが「コンサルティング」を捕えにくくしている一因となっている。
混乱を避けるため本項では、特に断りの無い限り、上記の定義に合致するコンサルティング業務、コンサルティングファーム、及びコンサルタントについて詳述する。
なお現在、上記の事例に加え雑誌・書籍などにおいて“経営コンサルティング企業特集”の中に転職斡旋会社が収録されていたり、そうした特集において「戦略系」・「旧会計事務所系」・「IT系」・「総合系」などと、出自・業務領域・改善手段がごちゃ混ぜで粗雑なくくり方をされている事例が多い。(会計事務所が出自で、ITを武器とする総合コンサルティング企業は多く存在し、上記の分類で選別することは本来不可能である) そのため、“経営”“人事”などと言った枠組みを付けずにただ「コンサルティング企業」や「コンサルタント」と表現された場合、それが何を意味するか、明確に定義することは難しい現状となっている。
日本におけるコンサルティングの黎明期には、財務を中心とするコンサルティングを公認会計士や税理士が行い、法務を中心とするコンサルティングを弁護士が行った。この背景には、経営者には商売上の知識や経験は保有していたものの、大企業の経理や財務、法務といった仕組みについての知識が不足していたことがある。
ところが、20世紀後半から、経済が成熟し、顧客ニーズの多様化が顕著になったことを背景に、IT化・従業員重視経営・株主重視経営・環境重視経営など新たな課題が生じた。このように企業経営に対する価値観の変化が激しくなると、業務の分化とともに、組織も複雑化した。結果として、既存の専門家や企業内の人員だけでは対処しきれなくなり、コンサルティングに対するニーズがますます高まることになった。
コンサルタントは専門知識を要していることはもちろんだが、様々な企業に接し経営改善を行っていることから広範囲の知識・経験を有している。そのため、企業はコンサルティングを依頼し自社において発見できない問題をコンサルタントに、他業種との関連、広範な視点から発見させ、その後自社の有する専門知識を加味してより効率の良い経営を行うことが可能になる。
その他、コンサルティングを依頼する側のメリットは以下のような点にある。
コンサルティングを行う人のことをコンサルタント(consultant) 、コンサルティングを業務とする企業をコンサルティングファーム(consuling firm)と言う。
コンサルタントには、当該業務または業種に関する高度な専門知識もさることながら、観察・整理・構成・分析・指導・プレゼンテーションに関する高い能力、論理能力、広範な知識、体力など様々な資質が必要とされる。
直接的にコンサルタントに必要な資格というものは無いが、業務上関係する国家資格としては、中小企業診断士・公認会計士・弁護士・税理士・弁理士・建築士・不動産鑑定士・行政書士・司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士などがある。 また大企業においてはシステム全体を刷新するような内容のコンサルティング依頼もあるため、ERPソフトなどのシステム導入に関するサポート・システムの新規開発・システム間結合など、情報システムを伴う場合が多く、情報処理技術者試験・シスアドなどに代表されるIT・システム系の資格、またERPベンダーが設定する独自資格などが必要な場合も多い。ただし、これらの資格は戦略系ファームでは新卒・中途を含め殆ど必要とされていない。医療・保健・福祉分野のコンサルティングにおいては、医師・保健師・社会福祉士・精神保健福祉士・臨床心理士・管理栄養士などの資格を持つ専門職が業務に当たっている。
コンサルタントは、平均として高収入であり、その反面、激務・実力主義を特徴とする。特に外資系コンサルティングファームではup or out(昇進するか、さもなくば去れ)という暗黙の了解を持つ企業も多く存在する。そうしたファームにおいては会社都合・自己都合などの理由を問わず退職は珍しいことではないため、退職することを肯定的に捉え「卒業」と呼び習わすファームもあり、また退職者同士のコミュニティ組織を持つファームも存在する。
入社試験は独特かつ難関とされており、「ジョブ」と言われる数日間の擬似業務での評価を以って採用内定の可否を判断するファームもある。
またそれ以外のファームにおいても、論理力・英語力・問題解決スピードなどを求められる筆記試験、コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力・「発想力」などを問うグループワーク試験、ロジカルシンキング・即応力及び総合的な能力を問う面接試験など、独特な試験を突破する必要があり、高度な能力が求められる。 こうした採用試験は独特であるため、近年の書籍において「コンサルティングファームの採用試験で問われる〜」などの売り文句が掲載される場合がある。
ただし、日系企業では親会社社員の出向先となっている会社も多く、必ずしも実力主義が徹底しているとはいい難い面もある。
コンサルティングを依頼されたコンサルティング会社は、複数の社員を集めプロジェクトを編成して業務を行う。プロジェクトにはコンサルティングを依頼する会社の側から主要メンバーが加わり、コンサルティング会社からは該当する内容の専門家が加わる。 このようにプロジェクト単位で業務を行うという性質上、一般企業のように固定の部署で固定の業務を続けることは少なく、あるプロジェクトが終了した後は、また自社に依頼されている別のプロジェクトへの参加を自主的に決める、といった就業形態を取る。
プロジェクトの計画の立て方から、どのような順序で何をしてどのような成果物を作るのか、その成果物をどのような基準で評価し、次のステップに進むのかなどの定義を、メソドロジーと呼ぶ。
トラディショナルなコンサルティングファームでは、一般企業で使うタイトル(課長、部長といったもの)は使用されず、以下のような独特な人事タイトルで階級を分けられることが多い。企業によって前後する場合もある。
例えばIT企業でアナリストといえば、上級のプロジェクトマネージャーを指す言葉だが、コンサルティング業界では入門クラスの名称として使われる。
M&A・他業種進出/撤退・資産流動化・分社化・社内カンパニー制・組織改革・新規事業開発・新商品開発など。経営コンサルタントを参照
財務・税務・法務・コスト削減・人事・営業・調達・研究・生産・物流・環境・マーケティング・IT・企業ブランディングなど。
建築・食品・外食・アパレル・機械・電気・流通・製造・不動産・物流・運輸・通信・金融・医療・環境など。
以前からコンサルティングを行う企業は様々な分類がなされてきたが、昨今は大手コンサルティングファームも多種、多分野に精通する必要に迫られ、特にITに関する強みは多くのファームに対して必要とされるものとなってきたため、「戦略系」「総合系」などとひとくくりにすることは難しい。
また下記のような分類は業務領域と出自、コンサルティング手段がごちゃ混ぜになっているため、「何々系」という分類はあまり意味を成さないものとなりつつあるが、敢えて昔ながらの分類をすると以下のように区分けされる。
企業の全社戦略や、M&Aにおける事業統合のサポートなど、企業経営のトップレベルに関わるコンサルティングを中心に行う。 経営戦略をコンサルティングするため、トップ企業において経営企画や事業企画等に携わっていたスタッフを中途採用を通じて獲得し育成していくキャリアパスに加え、近年ではマッキンゼーやBCGなどに代表されるトップクラスの戦略系コンサルティング企業においても若干名を新卒で採用し、ゼロから鍛え上げる事例が増えている。
戦略系コンサルティングファームにおいては資格等は特に求められず、採用の基準は主に論理の構成能力・表現能力及び過去の実績等を基準に採用活動が行われる。取得者の多いMBAについても必ずしも必須ではなく、上記の能力をベースに採用の判定が行われるため、MBAコースを卒業することが戦略系コンサルティングファームへの入社を約束するものではない。
事業領域としては、外資系大手企業においても近年では得意領域の棲み分けが進んでいる。一般の事業会社に対するコンサルティングが多くを占めるが、近年ではファンドを含めた金融機関等に対する支援業務も増加している。
代表企業例(国内:規模等による)
(外資系大手)
(外資大手出身者独立系)
「旧会計系」分類をされることもある。 明確に分類することは難しいが、経営戦略サービスを提供すると共に、人事戦略、M&A、法務分野、ITを中心にシステム導入、FAS(Financial Advisory Service)、特定業種別など多岐にわたるコンサルティングを行う場合が多い。純粋なコンサルティングファームの中では最も種類の多いものである。近年、モニター・グループやブーズ・アンド・カンパニーなど旧戦略系ファームを買収しつつ、総合系コンサルティング社は全能的なサービスプロバイダーとして戦略系ファームと競い、コンサルティング業界でプレゼンスが急速に高まりつつある。
なおこの分類のファームは、Big4(デロイト トウシュ トーマツ、アーンスト・アンド・ヤング、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース)と呼ばれる世界4大会計事務所から派生したものが多い。
代表企業例
(国際会計事務所の集団会社)
(国際会計事務所を出自とするもの)※カッコ内は旧属事務所
ITコンサルティングファームは、ITを切り口に顧客のビジネス・経営に関わるコンサルテーションを提供するコンサルティングファームである。IT戦略、ERP、CRM、SCMの導入コンサルティングなど、システムを絡めたコンサルティングを得意とする。総合総合系コンサルティングと同じ、戦略や経営改革など多岐にわたるコンサルティングを行う会社もあるが、売上の殆どはITシステムの導入からもたらされている。そのため、経営系部門についても殆どの案件においてはITシステムの導入に関与することを求められる。
代表企業例
人事関連の課題を専門とし、特化型のコンサルティングを行う。 上記の「総合系コンサルティングファーム」でも人事関連のサービス提供はしているが、人事系ファームでは報酬制度(月給制から年俸制に変更するなど)を新たに設計したり、法務分野にまで踏み込んで福利厚生・年金制度などの設計・運用までも深く手がけたりしている。また、企業の社員教育・研修や設備設計技術者教育・目標管理導入・同定着研修や評価者訓練・各種ライフプラン研修他グローバル組織人事戦略コンサルティング、さらに人材育成・人材開発コンサルティング、従業員福利厚生コンサルティング、グローバル組織人事戦略コンサルティング、人材育成・人材開発コンサルティング、従業員福利厚生コンサルティング業務、セミナー運営など人材開発に関わる。
代表企業例
シンクタンクを指す。完全にシンクタンク業務のみで収益を上げることは困難であり、コンサルティング、システム構築など様々な分野の業務を行う企業が多い。企業の数は減少しつつあるが、コンサルティング分野でも日本国内において圧倒的なプレゼンスを誇る企業も存在する。
代表企業例
代表企業例
代表企業例
代表企業例
国家間の開発援助政策、国際的な経済格差対策、発展途上国の貧困解消、海外への技術移転などを支援する。 海外における都市開発、鉄道、道路、空港等のインフラ施設に関する分野の他、環境、教育、保健医療、産業振興、 公共政策、エネルギー、貧困削減等の分野に関わる。こうした海外での開発コンサルティングを手がける企業は、開発コンサルタント、とも呼ばれる。[1][2]
代表企業・団体例
代表企業例
企業における直接材、間接材コストの削減を手掛けるコンサルティングサービス。 サプライヤーマネジメントでは、サプライヤーとの条件交渉、価格交渉を行い、ユーザーマネジメントでは業務改善(BPR)を中心にとした経営体質の改善を行う。
代表企業例
経営改善はムダ取りや効率化ばかりになりがちだが、イノベーションにより価値創造や新規事業創出を支援する。
自然環境や気候変動、エネルギー、環境関連政策等のコンサルティングに関わる。 イー・アール・エム日本株式会社他、環境コンサルタントがある。
ERP(企業資源計画or統合業務パッケージ)を製造、販売しているベンダー企業において、その導入をサポートするサービスを指す。この業務に従事する者をERPコンサルタントという。 ERPは、そのパッケージに対する専門的な知識と、顧客の業務内容によってソフトをカスタマイズするスキルが要求されるため、広義のコンサルタントに位置づけられることが多い。しかし、ソフトウェア導入を前提とした助言やアドバイスとなるため、サービスはERPパッケージの付随的である。
代表企業例
不動産のコンサルティングを行う。 関連協会に一般社団法人全国不動産コンサルティング協会、不動産コンサルティング中央協議会、 各都道府県不動産コンサルティング協会、NPO法人 湘南不動産コンサルティング協会などがある。
1982年に設立された国際コンサルティング会社「キッシンジャー・アソシエーツ が著名。ICI|特定非営利活動法人国際コンサルティング協会があり、国際ビジネス大学校の運営. ICIビジネスマッチング志魂塾・各種交流会の運営サポート なども。
知的財産権取引業で知財情報の活用促進や開放特許に関するデータベース、知的財産権取引業者データベースなどの運用等。 関連団体に、企業組合 リエゾンコンサルティング協会がある。
ISO認証取得支援会社のことで、この他環境コンサルタントが経営コンサルティングの一環で行っているコンサルティング会社もある他、電子納品CALS/ECコンサルティング・納品代行支援という形式もある。
関連団体に探偵・興信所などが加盟する盗聴防止コンサルティング協会がある。
関連協会にYCCA-山梨県キャリアコンサルティング協会、 日本ライフコンサルティング協会、 特定非営利活動法人ヒューマンライフコンサルティング協会、 群馬キャリアコンサルティング協会、 財団法人海外通信・放送コンサルティング協会がある。
関連協会にJASMAC 日本セルフ・コンサルティング協会がある。
インテリアコーディネーターが整理収納アドバイザー等としてインテリアコーディネートの一環で整理収納サービスや住まいの収納プランニング&コンサルティングが主であったが、近年では法人向けに「ビジネス収納コンサルティング」の提供を開始している。 NPO法人ハウスキーピング協会が整理収納コンサルタント講座や整理収納アドバイザーなどの認定資格を認定し企業や個人に対して整理収納に関する啓発・指導・コンサルティングなどを行っている。
日本産業心理コンサルティング協会などが組織心理コンサルティングとして経営学と臨床心理学見地から職場組織の変容と産業メンタルヘルス,自己実現人モデルにおけるストレス管理から、人の行動パターンを統計的に分析する 「サイグラム」(Psygram)を創案し、これを軸にした、組織における個人の行動パターン分析、組織編成分析、顧客産業カウンセラーなどを展開している。日本産業心理コンサルティング協会認定コンサルタントがある。
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