エリスロポエチン
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Erythropoietin |
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Available structures |
PDB |
Ortholog search: PDBe, RCSB |
PDBのIDコード一覧 |
1BUY, 1CN4, 1EER
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識別記号 |
記号(英語版) |
EPO; EP; MVCD2 |
その他ID |
OMIM(英語版): 133170 MGI(英語版): 95407 HomoloGene(英語版): 624 ChEMBL: 5837 GeneCards: EPO Gene |
遺伝子オントロジー |
分子機能 |
• erythropoietin receptor binding
• hormone activity
• protein binding
• protein kinase activator activity
• eukaryotic cell surface binding
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細胞の構成要素 |
• extracellular region
• extracellular space
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生物学的プロセス |
• apoptotic process
• signal transduction
• embryo implantation
• aging
• blood circulation
• positive regulation of cell proliferation
• response to salt stress
• negative regulation of sodium ion transport
• peptidyl-serine phosphorylation
• negative regulation of ion transmembrane transporter activity
• response to lipopolysaccharide
• negative regulation of myeloid cell apoptotic process
• response to vitamin A
• cellular response to stress
• response to testosterone stimulus
• positive regulation of tyrosine phosphorylation of Stat5 protein
• hemoglobin biosynthetic process
• negative regulation of apoptotic process
• erythrocyte maturation
• response to estrogen stimulus
• positive regulation of neuron differentiation
• positive regulation of DNA replication
• positive regulation of transcription, DNA-dependent
• positive regulation of Ras protein signal transduction
• response to axon injury
• response to electrical stimulus
• response to hyperoxia
• regulation of transcription from RNA polymerase II promoter in response to hypoxia
• response to interleukin-1
• cellular response to hypoxia
• cellular hyperosmotic response
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出典: Amigo / EGO |
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RNA発現パターン |
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その他参照発現データ |
オルソログ |
種 |
ヒト |
マウス |
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Entrez(英語版) |
2056 |
13856 |
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Ensembl(英語版) |
ENSG00000130427 |
ENSMUSG00000029711 |
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UniProt(英語版) |
P01588 |
P07321 |
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RefSeq (mRNA) |
NM_000799 |
NM_007942 |
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RefSeq (protein) |
NP_000790 |
NP_031968 |
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Location (UCSC) |
Chr 7:
100.32 - 100.32 Mb |
Chr 5:
137.48 - 137.53 Mb |
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PubMed search |
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エリスロポエチン(erythropoietin; 略称: EPO)とは、赤血球の産生を促進するホルモン。分子量は約34000、165個のアミノ酸から構成されている。血液中のエリスロポエチンは、貧血、赤血球増加症などの鑑別診断に用いられる。また、正当な医療目的以外にドーピングに使用されることが知られている。
目次
- 1 概要
- 2 ドーピング
- 3 調節機構
- 4 分子構造
- 5 脚注
- 6 外部リンク
概要
主に腎臓で生成され、補助的に肝臓でも作られる。9割が腎臓で産生されているともされることから、慢性腎不全になると、エリスロポエチンが必要なだけ得られなくなるため、貧血に陥る。腎臓のどの部位において産生されているのかは近年まで議論があり、傍糸球体装置や近位尿細管、血管内皮細胞など諸説存在していたが、遺伝子組み換えマウスの解析から尿細管間質細胞であることが明らかになった。
医薬品としては、エポエチンアルファ(商品名エスポー)、エポエチンベータ(商品名エポジン)といった遺伝子組換えによるエリスロポエチン製剤があり、腎性貧血に用いられる。日本では保険適応上、腎性貧血にのみ用いられているが、欧米では各種悪性疾患にともなう貧血などにも用いられている。
ドーピング
エリスロポエチンは赤血球の増加効果を持つことから、筋肉への酸素供給量を高め持久力を向上させる目的で、長距離系スポーツ(自転車競技、クロスカントリーなど)のドーピングに使用されている[1]。2009年には複数の自転車競技選手から新型EPO(エリスロポエチン)が検出され話題となった[2]。また2013年1月には、ツール・ド・フランスで7回優勝したランス・アームストロングがオプラ・ウィンフリーとのインタビューで、かつてエリスロポエチンを使ったドーピングを行なっていたことを認めた[3]。
元来体内に存在する自然物質でその使用の判別が難しいため、ヘマトクリット(血液中に占める血球の容積率)、ヘモグロビン、網状赤血球数などを用いてドーピングのスクリーニングを行っている場合が多い。スクリーニング検査による疑い例は、尿を検体として電気泳動法によって遺伝子組換えエリスロポエチンを検出している。
調節機構
エリスロポエチンは、腎臓の尿細管間質細胞で産生されている。エリスロポエチンの産生は、血液中の酸素分圧によって調節されている。エリスロポエチンの転写調節機構はいくつか報告されているが、低酸素応答転写因子であるHIF (hypoxia inducible factors) が代表的なものである。HIFは酸素濃度が高いときには分解され、低酸素のときには核内に移行してエリスロポエチンの転写を促進する。つまり、慢性的な低酸素状態となった時にエリスロポエチンの産生が促進されるのである。したがって、貧血などでもエリスロポエチンの産生は促進される。
エリスロポエチンは赤血球上のエリスロポエチン受容体 (EpoR) に結合し、JAK2カスケードを活性化する。このEpoRは多くの骨髄細胞、白血球、末梢・中枢神経に発現しており、Epoに結合することで細胞内のシグナル伝達に関わっている。
分子構造
分子式 |
C809H1301N229O229S5 |
分子量 |
18,235.96 |
配列構造 |
APPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCA EHCSLNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQA VEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEP LQLHVDKAVSGKRSKTTLLRALGAQKEAIS PPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSMFLR GKLKLYTGEACRTGDR
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実際には、24, 38, 83番目の太字の3つのN(アスパラギン)残基にはN結合型糖鎖が、126番目の斜体字のS(セリン)残基にはO結合型糖鎖が付加しており、分子量は遙かに大きい。また、糖鎖を除去するとエリスロポエチンの活性はなくなる。さらに7と161番目のC(システイン)残基間と29と33番目のシステイン残基間にはジスルフィド結合が形成されている。
脚注
- ^ “ドーピングとの闘いー事例紹介”. 財団法人 日本分析センター. 2013年7月25日閲覧。
- ^ Lee Rodgers (2009年12月15日). “アンチ・ドーピング専門家「選手たちは新型EPOが検出不可能だと間違って信じている」”. cyclingtime.com. 2013年7月25日閲覧。
- ^ “アームストロング氏、更なる訴訟に直面”. AFP (2013年3月2日). 2013年7月25日閲覧。
外部リンク
- トップアスリートの赤い闇 血液ドーピングなしには勝てない
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
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視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
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GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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脳下垂体後葉
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バソプレッシン - OXT
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脳下垂体中葉
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MSH(インテルメジン)
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
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副腎 |
副腎髄質
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副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
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副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
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甲状腺 |
甲状腺
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甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
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PTH
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生殖腺 |
精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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その他の内分泌器 |
膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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松果体
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メラトニン
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内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
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誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 頭部外傷を再生医療から考える(<特集>頭部外傷の最新の知見)
- 安原 隆雄,伊達 勲
- 脳神経外科ジャーナル 19(3), 210-215, 2010-03-20
- … まざまな神経保護薬が研究されてきた.しかし,最終的に臨床試験で有効性が示された物質は非常に少なく,期待が持たれる一方で大きな困難を伴う分野である.われわれは頭部外傷モデルラットに対するエリスロポイエチンの持続脳室内投与により,有効な治療効果を得ることができた.多能性を有する幹細胞治療や遺伝子治療も今後の発展が期待されるものであるが,安全性の確立を含めたさらなる前臨床研究が必要である. …
- NAID 110007580798
- 脳保護薬としてのエリスロポイエチンの可能性 (特集 新生児の薬物療法) -- (各疾患への薬物療法)
Related Links
- エリスロポエチン(EPO)は赤血球系幹細胞(前駆細胞)に対して分化誘導を刺激し,赤血球産生を促進する分子量34,000~46,000の糖蛋白ホルモンである。その産生は主として腎臓(一部肝臓)で行なわれ,動脈血中の酸素分圧に応じて調節されて ...
- デジタル大辞泉 - エリスロポイエチンの用語解説 - 《「エリスロポエチン」とも》腎臓で放出される赤血球増多作用のあるホルモン。低酸素状態になると放出される。人工的に合成したものは医薬品として利用する。EPO。
- エリスロポイエチン【erythropoietin】とは。意味や解説、類語。《「エリスロポエチン」とも》腎臓で放出される赤血球増多作用のあるホルモン。低酸素状態になると放出される。人工的に合成したものは医薬品として利用する。EPO。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- erythropoietin EPO EP Ep
- 同
- 赤血球生成促進因子 erythropoiesis-stimulating factor、エリスロポイエチン、ヒトエリスロポエチン human erythropoietin
- 商
- epoetin alfa, Epogen, Procrit
種類
分類
性状
産生組織
- the interstitium of the renal parenchyma, outside the tubular basement membrane , mostly in the inner cortex and outer medulla. (WINTEROBE'S CLINICAL HEMATOLOGY. 209)
標的組織
受容体
作用
分泌の調整
-
-
- 低酸素状態に対するエリスロポエチンによる代償機構の発現には数日かかる。2,3-DPGによる代償機構は2日。(SP.489,654)
分子機構
- 低酸素刺激で発現誘導される転写因子HIF(ヘテロダイマー:HIF-1α、HIF-1β)がエリスロポエチンの発現に関与
生合成
基準範囲
判断
高値
低値
臨床関連
- 腎不全で分泌↓
[★]
- 英
- squirrel
- 関
- シマリス、リス科、ジリス属、プレーリードッグ