- 英
- cerebral contusion, brain contusion
- ラ
- contusio cerebri
- 関
- 対側打撃
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/10 10:32:29」(JST)
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前頭部に衝撃を受けた上図の例では前頭部に限局性の直撃損傷を生じ、後頭部に広範囲な反衝損傷を生じる
脳挫傷(のうざしょう、英:cerebral contusion、独:Hirnkontusion)とは、頭部を強打するなどの要因によって外傷を受けた際に、頭蓋骨内部で脳が衝撃を受けて脳本体に損傷を生じる病態。
目次
- 1 概要
- 2 原因
- 3 症状
- 4 治療と予後
- 5 脳挫傷で亡くなった著名な人物
- 6 脚注
- 7 関連項目
概要
外傷を受けた側の脳が局所的に障害を受ける一方で、外傷とは反対側の脳表面は広範囲にわたって障害を受ける。これは外力によって慣性を付けた柔らかい脳が硬い頭蓋骨に内側からぶつかって広範囲に挫滅するためと考えられる。
頭部に加えられた衝撃は打撃部位直下に陽圧を、打撃と反対側の部位に陰圧を生じる。打撃側に生じる損傷を直撃損傷 coup injury、反対側に生じる損傷を反衝損傷 contrecoup injury と呼ぶ。頭蓋内、脳内は不均一な構造になっているため、剪断損傷 shearing injury を起こすこともあり、また脳幹部と脳底動脈穿通枝とのずれ neurovascular friction によって小出血が生じることもありうる。このような脳実質の挫滅、小出血、続発する浮腫を脳挫傷という。
原因
頭を強く打つなどの外傷。
症状
頭蓋骨骨折や頭蓋底骨折を同時に受けていることが多く、脳内出血などを併発する場合が多い。嘔吐・意識障害・運動知覚麻痺・痙攣発作・視野の欠損などの症状が起き、重症では昏睡状態になることもある。
治療と予後
損傷範囲が広い場合が多いうえに、神経細胞の分裂能は極めて低いので原則的に手術などは適さず、保存的治療が試みられる。しかし出血が多い場合などに手術などを要することもある。
治癒した後、運動機能障害・失語・視力障害、精神的症状などの後遺症が残ることも多い。
小範囲、限局性の脳挫傷の予後は良好だが、挫傷が広範囲だったり、挫傷脳中に巨大な脳内血腫を形成したりした場合は予後不良である。脳内血腫の合併を含む昏睡状態の重症脳挫傷では、致命率は44%、社会復帰は31%程度である[1]。
脳挫傷で亡くなった著名な人物
- 坂井泉水
- 沢田勇
- 常木建男
- 菅野久光
- 長沢節
- 細川加賀
- 菅貫太郎
- 谷啓
- 塩沢兼人
- 山口冨士夫
- 金杉太朗
- 渡辺温
- スティーヴ・ビコ
- 小泉喜美子
脚注
関連項目
スポーツ障害 |
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頭・脳の障害 |
脳挫傷 - 脳震盪 - パンチドランカー
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首の障害 |
外傷性頸部症候群 - バーナー症候群
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肩の障害 |
ベネット損傷 - SLAP損傷 - 野球肩(三角筋炎 - 腱板炎 - リトルリーガーズショルダー) - 水泳肩 - テニス肩 - ゴルフ肩 - バレーボール肩 - バドミントン肩 - 投擲肩
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|
上腕の障害 |
上腕二頭筋長頭腱炎
|
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肘の障害 |
離断性骨軟骨炎 - 野球肘 - テニス肘 - ゴルフ肘 - 水泳肘 - 岩登り肘 - バドミントン肘 - 卓球肘 - 投擲肘
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前腕の障害 |
コーレス骨折 - ボウリング腕
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|
手の障害 |
腱鞘炎(ド・ケルバン病) - キーンベック病 - TFCC損傷
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腰の障害 |
腰椎分離症 - 腰椎すべり症 - 椎間板ヘルニア - 梨状筋症候群 - 筋筋膜性腰痛 - 卓球腰 - サーフィン腰 - スノーボード腰 - サイクリング腰 - スキー腰
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|
大腿の障害 |
大腿骨頭すべり症 - 筋断裂 - 肉離れ
|
|
膝の障害 |
離断性骨軟骨炎 - ランナー膝(オスグッド・シュラッター病 - 腸脛靭帯炎 - 棚障害 - 鵞足炎) - ジャンパー膝 - サッカー膝 - 平泳ぎ膝 - バレーボール膝 - バスケットボール膝 - テニス膝 - ジョギング膝 - ウォーキング膝 - サーフィン膝 - スノーボード膝 - 卓球膝 - スキー膝 - 膝蓋骨脱臼 - 半月板損傷 - 靭帯損傷(外側側副靭帯損傷 - 内側側副靭帯損傷 - 前十字靭帯損傷 - 後十字靭帯損傷) - 関節軟骨損傷
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下腿の障害 |
シンスプリント - コンパートメント症候群 - アキレス腱炎(アキレス腱周囲炎 - アキレス腱滑液包炎) - アキレス腱断裂
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足の障害 |
フットボール足 - サッカー足 - フットサル足 - サイクリング足 - スケート足 - テニス足 - 足底筋膜炎 - 踵骨骨端症 - 捻挫 - モートン病
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その他の障害 |
疲労骨折 - 筋痙攣 - イップス - ハンガーノック
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Japanese Journal
- 症例報告 開放性頭部損傷後に多発性脳神経麻痺で発症し,2年後の脳生検にて中枢神経原発性悪性リンパ腫と診断された1例
- 頭部外傷に対する低体温療法の適応と限界(<特集>頭部外傷update)
- 末廣 栄一,藤澤 博亮,小泉 博靖,米田 浩,石原 秀行,野村 貞宏,藤井 正美,鈴木 倫保
- 脳神経外科ジャーナル 20(12), 873-879, 2011-12-20
- … の役割はいまだに大きい.その有効性を高めるためには,より早期の低体温療法への導入,あるいは低体温維持期や復温期におけるモニタリング下での個々の病態に応じた適切な温度管理が必要である.重症頭部外傷の病態は多様であるが,近年では急性硬膜下(外)血腫や脳挫傷など,開頭術を要する病態での本治療法の有効性が強調されてきている.今後,温度管理法や適応症例の見直しによる本治療法の成績向上が期待される. …
- NAID 110008799371
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- 脳挫傷。脳挫傷とはどんな外傷か 外傷による局所の脳組織の挫滅(ざめつ)(衝撃によって組織が砕けるような損傷)を脳挫傷と呼びます。通常、脳挫傷はある程度の出血を伴い、出血が塊になって血腫(けっしゅ)をつくれば、 gooヘルスケア ...
- 交通事故では頭部への衝撃により脳の実質に損傷を受ける脳挫傷等を被り、高次脳機能障害などの後遺障害が残ってしまうことがあります。ここでは脳挫傷の概要について記載しております。
- 脳挫傷の症状を解消,改善,オルゴールにある3.75ヘルツの低周波から10万ヘルツの高周波が神経と ホルモンをコントロールする脳幹の血流を促進して脳挫傷の症状を改善する革新的な療法です。
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- 次の文を読み、63~65の問いに答えよ。
- 67歳の男性。交通事故で受傷したため搬入された。
- 現病歴:道路を歩いて横断中、自動車に衝突され跳ね飛ばされ転倒した。直ちに救急車が要請された。救急隊到着時、意識は清明で右殿部を痛がり、歩行不能であった。四肢に明らかな麻痺はなかった。救急車で救命救急センターに搬送された。
- 既往歴:高血圧症で内服治療中。
- 生活歴:妻と2人暮らし。定年退職後は無職。日常生活は自立し毎朝の散歩を日課にしていた。
- 家族歴:父親が高血圧性脳内出血で死亡。母親が認知症。
- 現症:病院到着時は不穏。体温3 6.0℃。心拍数 136/分、整。血圧 70/38mmHg。呼吸数 32/分。SpO2 95%(リザーバー付マスク10L/分100%酸素投与下)。右腰部に皮下出血がみられ、仙骨部に圧痛を認める。腹部は平坦で、軽度の反跳痛を認める。外尿道口から出血を認める。
- この患者にポータブルエックス線撮影を指示した。
- 検査所見:血液所見:赤血球243万、Hb 5.4g/dL、Ht 22%、白血球 8,400、血小板 12万。血液生化学所見:AST 56IU/L、ALT 42IU/L、尿素窒素 24mg/dL、クレアチニン 1.4mg/dL。CRP 5.2mg/dL。
- この患者に、まず赤血球濃厚液4単位を輸血した。実際には輸血後のHbは6.0g/dLであった。
- この患者に想定される合併損傷のうち最優先で対処する必要があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E064]←[国試_109]→[109E066]
[★]
- 75歳の男性。転びやすいことを主訴に来院した。 4日前から少しずつ歩行が不安定となり転倒しそうになることが多くなった。家族は 1週前から受け答えもつじつまが合わないと言う。 1か月前、歩行中に転倒して右側頭部を打ち、裂創を生じたため他院で縫合処置を受けた。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108H025]←[国試_108]→[108H027]
[★]
- 25歳の男性。バイクを運転中に転倒した。事故後数分間は呼びかけに応じなかったが、その後意識は清明となった。頭部X線写真で左側頭骨に線状骨折を認めた。受傷3時間後に強い頭痛を訴え、嘔吐し、次第に呼びかけに応じなくなった。
- 最も可能性の高いのはどれか。
[正答]
[★]
- 外傷患者で診断を確定するために、単純CTに造影CTを追加することが最も有用なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113F028]←[国試_113]→[113F030]
[★]
- 英
- concussion、brain concussion、cerebral concussion, brain concussion cerebral contusion
- ラ
- commotio cerebri
- 関
- 振盪、振盪症、震盪症、脳震盪、震盪。脳挫傷(brain contusion)、脳損傷(brain injury)
[show details]
脳震盪 : 約 426,000 件
脳振盪 : 約 10,100 件
- 頭部への衝撃よって生じた病態の臨床分類 ⇔ 脳挫傷;病理的・画像的な脳皮質の器質的損傷を表す
閉鎖性頭部外傷の臨床的分類 荒木の分類
- SCN.246
- 第I型(単純型または無症状型):脳からの症状を全く欠く
- 第II型(脳震盪型):意識障害が受傷後6時間以内に消失し、そのほかの脳の局所症状を示さないもの
- 第III型(脳挫傷型)
- 1) 受傷直後から意識障害が6時間以上続く。
- 2) 脳の局所症状を示す。意識障害の有無によらない。
- 第IV型(頭蓋内出血型):受傷直後の意識障害・局所症状を欠く、あるいは軽度だったものが、時間経過につれて意識障害・局所症状が出現もしくは増悪するもの。
[★]
- 英
- traumatic brain injury, TBI
- 関
- 脳挫傷、頭部外傷、びまん性脳損傷、脳傷害、外傷性脳障害、急性脳損傷、皮質挫傷、局所性脳損傷
[show details]
[★]
脳挫傷
- 関
- acute brain injury、brain injury、brain trauma、cerebral contusion、cortical contusion、diffuse brain injury、focal brain injury、TBI、traumatic brain injury、traumatic encephalopathy
[★]
- 英
- cortical contusion
- 関
- 脳挫傷、頭部外傷、びまん性脳損傷、脳傷害、外傷性脳損傷、外傷性脳障害、急性脳損傷、局所性脳損傷
[★]
- 英
- acute brain injury
- 関
- 脳挫傷、頭部外傷、びまん性脳損傷、脳傷害、外傷性脳損傷、外傷性脳障害、皮質挫傷、局所性脳損傷
[★]
- 英
- contusion, bruise
- ラ
- contusio
- 関
- 打撲傷、打撲
[★]
- 英
- wound
- 関
- 創傷、傷つける