- 英
- fat embolism syndrome FES
症状
- 受傷後12-48時間(SOR.637)/24-72時間(参考4)の潜伏期。 12時間以内に発症する場合もあるし、2週間後に発症することもある(参考4)
- 古典的な三徴:低酸素血症、神経学的異常、点状出血斑(参考4)
- 初期には発熱・頻脈、出血斑(前胸部、眼窩部、結膜)
検査
- 血液検査:Hb低下、血小板減少、赤沈口唇、低酸素血症
- 胸部X線写真:吹雪様陰影
- 聴診:湿性ラ音
診断基準
Gurdの診断基準
- 点状出血斑
- 呼吸困難とX線像上の両肺野の吹雪様陰影
- 頭部外傷や他の原因によらない脳神経症状
- 頻脈
- 発熱
- 網膜変化(脂肪滴または出血斑)
- 尿変化(無尿、乏尿、脂肪滴)
- ヘモグロビン値の急激な低下
- 血小板の急激な減少
- 赤沈値の亢進
- 喀痰中の脂肪滴
- 臨床診断
- 大基準1項目以上と小基準4項目以上
鶴田の診断基準
- 点状出血
- 呼吸器症状・肺X線所見
- 頭部外傷がない脳神経症状
- 頻脈
- 発熱
- 尿中脂肪酸
- 血小板減少
- 赤沈亢進
- 血清リパーゼ上昇
- 血中遊離脂肪滴
- 臨床診断
- 大基準2項目以上
- 大基準1、中小基準4以上
- 疑症
- 大基準0、中基準1、小基準4
参考
- http://tokushukai-amami-area.com/_src/sc514/0904_01.pdf
- http://ys-db.com/html/modules/pico/index.php?content_id=587
- http://www.fmu.ac.jp/home/cmecd/igakusei_kensyui/lecture/H22/lecture_100907.pdf
- 4. [charged] Fat embolism syndrome - uptodate [1]
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2022/09/26 07:31:34」(JST)
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膵炎の後、重篤な脂肪塞栓症により死亡した症例では、肺血管に脂肪組織の遊離を確認した (ERCP=内視鏡的逆行性胆膵管造影、HE染色)
脂肪塞栓症(しぼうそくせんしょう、英: fat embolism、独: Fettembolie)は、脂肪細胞が血管を塞栓させて起こる病気である。
病態
脂肪細胞に血管を塞栓された臓器が虚血による不全を起こす事が本症の病態である。塞栓される臓器によって様々な臓器不全を起こす。
長管骨の骨折もしくは軟部組織の広範な挫滅を伴う外傷、手術、熱傷、炎症などにより、骨髄もしくは皮下の脂肪組織が遊離し、血管もしくはリンパ管内に流入して循環障害を来すのが脂肪塞栓症である。損傷を受けた静脈系に流入した脂肪滴が肺血管を閉塞し、数時間から数日後に呼吸困難、チアノーゼを呈して肺水腫に陥り、重篤となることがある。まれに肺を通過して動脈系に入り、脳や腎血管を閉塞することがある。また、プルチェル網膜症は全身性の脂肪塞栓症と同様に脂肪塞栓によるものである。
原因
原因は、外傷時に脂質代謝が変化し血液内の脂肪が脂肪滴になるため、あるいは外傷部分の血管から骨髄などの脂肪が入り込むためと考えられている。全身性の脂肪塞栓症の原因としては、骨折の他に、皮下脂肪組織の挫滅、脂肪肝による障害、急性膵炎、減圧症、広範囲の火傷、糖尿病、骨髄炎などがある。
統計
骨折時に起きやすい。通常、受傷後12 - 48時間後に発症する。
症状と治療
塞栓が軽度であれば無症状の事も多いが、たとえば脂肪が肺動脈を塞栓すれば低酸素症を起こし、脳を栄養する動脈を塞栓すれば意識障害等を起こす。最悪の場合、死亡することもある。全身性の脂肪塞栓症に対しては、ステロイドの大量療法と機械的換気が行われる。
社会的影響
本症は生命に危険がなさそうな骨折患者でも起こり得るが、重症感の無い患者や家族に対しては医療者はインフォームド・コンセント(以下IC)を十分行わない事が多いので、本症で死亡した遺族から医療ミスを疑われやすい。本症を考える事によって重症感と実際のリスクが比例しない病気について認識を深め、重症感に拠らずICを徹底する事が重要である。
プルチェル網膜症
プルチェル網膜症(英:Purtscher's retinopathy、独:Purtscher-Retinopathie)は、外傷性網膜血管症 traumatic retinal angiopathy、プルチェル症候群 Purtscher's syndrome、プルチェル病 Purtscher's disease ともいう。プルチェル(Otmar Purtscher, 1852 - 1927)はドイツの眼科医である。
主な眼圧所見は両眼の綿花状白斑と静脈拡張である。綿花状白斑は後極部に好発、多発し、融合傾向が見られ、また主幹血管に沿った火炎状出血が認められる。発症後に呼吸困難、頻呼吸を伴う切迫呼吸症候群が起こることがある。病態、原因、治療については全身性の脂肪塞栓症に準ずる。
眼球以外における外傷、特に頭部に受けた打撲、胸部に受けた圧迫損傷などにより生じる網膜症で、外傷性網膜症 traumtic retinopathy、遠達性網膜障害 distant injury of the retina などとも呼ばれてきた。現在はその発生病理から外傷、特に骨折による脂肪塞栓を含め、脂肪塞栓による網膜症と広く解釈されている。
関連項目
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 肺梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- バージャー病
- 網膜動脈閉塞症⇒眼科学
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- 血栓性静脈炎
- 静脈血栓塞栓症 (エコノミークラス症候群)
- 動脈血栓塞栓症
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
- 抗血小板剤
- 抗凝固薬
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外部リンク
- 守克則、岡本雅雄、大塚尚、中枢神経症状のみを呈した脂肪塞栓症候群の1 例 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 56巻 (2013) 5号 p.1189-1190, doi:10.11359/chubu.2013.1189
- 大成一誓、津山健、毛利良彦、多発骨折に伴った電撃型脂肪塞栓症候群の1例 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 51巻 (2008) 2号 p.287-288, doi:10.11359/chubu.2008.287
- 真島隆三、小林秀樹、乗松敏晴 ほか、典型的脂肪塞栓症候群の1例 整形外科と災害外科 33巻 (1984-1985) 3号 p.672-675, doi:10.5035/nishiseisai.33.672
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- 末梢静脈血行再建術
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- 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
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- IV群
- カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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- 利尿薬
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- カルシウム拮抗剤
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- エイコサペンタエン酸
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UpToDate Contents
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- 1. 脂肪塞栓症症候群fat embolism syndrome [show details]
…of FES are reviewed here. Other embolism syndromes are discussed separately. Fat embolism is defined by the presence of fat globules in the pulmonary circulation. The term fat embolism syndrome (FES) …
- 2. 整形外科的外傷手術で行う麻酔anesthesia for orthopedic trauma [show details]
…required in addition to femoral block. Fat embolism – Subclinical fat embolism occurs in most patients with long bone fractures and rarely results in fat embolism syndrome. Injuries at or below the knee …
- 3. 鎌状赤血球症(成人と小児)における急性胸部症候群(ACS)acute chest syndrome acs in sickle cell disease adults and children [show details]
…vaso-occlusive pain episode and/or fat embolism. Infection and asthma are less-common causes. More than one trigger may be present. Vaso-occlusive pain and fat embolism – In a series of 107 ACS events in …
- 4. 成人における大腿骨骨幹部骨折midshaft femur fractures in adults [show details]
…fractures are uncommon but may include pulmonary embolism, fat embolism, acute respiratory distress syndrome (ARDS), and pneumonia. Fat embolism syndrome is more common with bilateral femur fractures or fractures …
- 5. 骨折のマネージメントの一般原則:早期および後期合併症general principles of fracture management early and late complications [show details]
…discussed separately. Fat embolism syndrome (FES) is a difficult diagnosis associated with closed long bone fractures of the lower extremity, most commonly involving the femoral shaft. FES typically manifests …
Related Links
- では脂肪塞栓症を疑った時に診断の根拠となる診断基準はどのようなものがあるのかを次に解説していきます。 脂肪塞栓症の診断基準 元々はGurd’s criteriaが古典的な診断基準として有名でしたが、改定されて Gurd and Wilson’s criteria となっています (4)。
- 挫滅症候群では「受傷後数日程度経ってから死に至る」という特徴がありました。この他にも、「受傷後しばらく時間が経過してから症状が出る」という特徴を持つ疾患があります。それが今回取り上げる"脂肪塞栓症候群"です。
- 脂肪塞栓症候群の最初の兆候は、通常、損傷後12〜72時間以内に現れます。次のような臨床症状があります。 浅い急速な呼吸(頻呼吸)と息切れ; 点状出血-点状出血-胸と肩、首と脇腹、口の粘膜と下まぶたの結膜(脂肪塞栓による ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- fat
- 関
- トリアシルグリセロール、脂肪酸
[★]
- 英
- embolism
- ラ
- embolia
- 同
- 塞栓形成 thrombus formation
- 関
- 塞栓、塞栓形成、塞栓術、塞栓療法、塞栓化
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- fat embolism
- ラ
- fat embolism
- 関
- 脂肪塞栓