フルチカゾン
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フルチカゾン
|
IUPAC命名法による物質名 |
6,9-difluoro-11-hydroxy-16-methyl-3-oxo-17-
(1-oxopropoxy)-androsta-1,4-diene-17-carbothioic acid (6α,11β,16α,17α)-
S-(fluoromethyl) ester |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
吸入、鼻腔内、経皮(軟膏・クリーム) |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
0.51%(鼻腔内投与) |
血漿タンパク結合 |
91% |
代謝 |
鼻腔内 - 肝臓 CYP3A4 |
半減期 |
10時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号 |
80474-14-2 |
ATCコード |
D07AC17 & D07AC04
topical, R01AD08
nasal, R03BA05
inhaled |
PubChem |
CID 444036 |
DrugBank |
APRD00065 |
KEGG |
D07981 |
化学的データ |
化学式 |
C25H31F3O5S |
分子量 |
500.572 g/mol |
フルチカゾン (fluticasone) は、コルチコステロイド剤の一種である。主に気管支喘息やアレルギー性鼻炎などの治療に用いられる。
目次
- 1 気管支喘息
- 1.1 概要
- 1.2 効能・効果
- 1.3 用法・用量
- 1.4 注意点
- 2 鼻炎
- 3 脚注・出典
- 4 関連項目
気管支喘息
気管支喘息に対しプロピオン酸フルチカゾン(略称 FP)を成分とする吸入剤を、日本ではグラクソ・スミスクラインがフルタイドという商品名で、また気管支拡張剤サルメテロールキシナホ酸塩との配合剤をアドエアの商品名で販売している。その後、グラクソ・スミスクラインはフランカルボン酸フルチカゾンを主成分としたレルベアを発売している[1]。上記のプロピオン酸エステルよりも効き目が持続し、一日一吸引で効果が得られるのが特徴。
また杏林製薬からも、フルチカゾンを主成分とした吸入薬("フルティフォーム")が発売となっている。こちらはpMDI製剤であるのが特徴だが、吸入は原則として1日2回に分けて必要である。
このタイプの吸入ステロイド薬は、喘息の急性期の症状を抑えるためではなく、毎日定期的に吸入することで、喘息の急性発作や悪化を予防する目的で使用する。
概要
日本アレルギー学会による、喘息予防・管理ガイドライン (2006) では、日常管理薬としてステップ2(軽症持続型喘息)以上で、第一選択薬として推奨されている。気管支喘息は気道に炎症が起きていることにより、過敏性が増して発作を起こしやすくなり、また炎症が続くとリモデリングの原因となる。例えば、傷口は少しの刺激にも敏感になり、また何度もかさぶたが剥がれ、再びかさぶたができる、という状態を繰り返すとその部分が肥厚するのと同じである。このように炎症を抑え、リモデリングを防止するのが吸入ステロイドである。
効能・効果
気管支喘息
用法・用量
成人には通常1回100μgを1日2回吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は800μgを限度とする。
小児には通常1回50μgを1日2回吸入投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は200μgを限度とする。
注意点
フルタイドは、長期にわたり安全に使用できる吸入ステロイド薬であるが、局所的な副作用(嗄声や口腔カンジダ)を予防するため、吸入後にはうがいをする必要がある。
また、高用量を長期間使用する必要がある場合には、副腎皮質機能のチェックをするべきである。(長期又は大量の全身性ステロイド療法を受けている患者では副腎皮質機能不全が考えられるので、全身性ステロイド剤の減量中並びに離脱後も副腎皮質機能検査を行い、外傷、手術、重症感染症等の侵襲には十分に注意を払うこと。また、必要があれば一時的に全身性ステロイド剤の増量を行うこと。[2])
鼻炎
アレルギー性鼻炎などに対し、プロピオン酸フルチカゾンを主成分とした点鼻薬を、日本ではグラクソ・スミスクラインがフルナーゼの商品名で、また数社がその後発品としてキリガミール、スカイロン、ファビ、フルチカノーズ、プロチカゾン、フロラーズ、ミリカレットなどの商品名で販売している。
2009年には、グラクソ・スミスクラインが上記のレルベア同様にフランカルボン酸フルチカゾンを主成分とした点鼻薬をアラミストの商品名で発売開始した[3]。こちらも、一日二回投与が必要なフルナーゼと異なり、一日一回で効果があるのが特徴。
フルチカゾン点鼻薬は鼻炎の三大症状である「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」に等しく効果がある。
効能・効果
アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
脚注・出典
- ^ レルベア、グラクソ・スミスクライン
- ^ フルタイドディスカス添付文書情報 2009年9月改訂(第10版)
- ^ 【新薬】フルチカゾンフランカルボン酸エステル アラミスト:2剤目の1日1回型鼻噴霧用ステロイド薬、日経メディカル、2009年6月12日、2014年6月2日閲覧
関連項目
- サルメテロール・フルチカゾン - キシナホ酸サルメテロールとの配合剤。
- トリアムシノロン
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副腎皮質ホルモン |
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アルドステロン - コルチゾン - コルチゾール - デスオキシコルチコステロン - デヒドロエピアンドロステロン - コルチコステロン
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- MS5-3 フルタイドディスカスとパルミコートタービュヘィラーの同等性について(MS5 小児気管支喘息1,ミニシンポジウム,第24回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 吉田 之範,亀田 誠,池岡 美根子,鶴 珠緒,矢島 裕子,高岡 有理,錦戸 知喜,土居 悟
- アレルギー 61(3・4), 471, 2012-04-10
- NAID 110009482735
- フルタイド^<TM>とキュバール^<TM>の吸入ステロイド併用療法の有用性
- 金子 教宏,大国 義弘,田辺 裕子 [他],長谷川 景子,井上 恵一,安井 大策,綾部 悦里好,佐藤 智恵子,光石 陽一郎,中下 珠緒,本島 新司
- アレルギー 57(6), 706-712, 2008-06-20
- 目的:我々はFP-DPI 800μg/日とBDP-HFA 400μg/日を併用することにより自覚症状と肺機能検査の著明な改善を認めた症例を報告した.そこで,今回我々は不安定な重症気管支喘息7例を対象にBDP-HFA 400μg/日の上乗せ効果を検討した.結果:PEFは改善し,日内変動も安定化した.肺機能検査では,FVC,FEV_<1.0>有意な改善は示さなかったがV 25/height …
- NAID 110006825240
- 1.乳幼児慢性肺疾患における全身性ステロイドの離脱を目的としたフルタイド・ベビーヘラーの試用(一般演題,第2回山口県小児吸入療法研究会)
- 木畑 鉄弘,磯部 智香子,坂本 朋子,重安 良恵,岩室 真理子,井上 直樹,鎌田 研治,高田 啓介,守分 正
- 山口医学 55(6), 211, 2006-12-31
- NAID 110006152254
Related Links
- くすりのしおり くすりの働き、くすりの使い方、くすりを使った後気をつけていただくこと(副作用) など。くすりの適正使用協議会ページ(外部サイト)に移動します。 フルタイド50ディスカス フルタイド100ディスカス
- フルタイドとは?フルチカゾンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フルタイド50ディスカス
組成
1ブリスター中のフルチカゾンプロピオン酸エステル含量
添加物
禁忌
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある]
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
成人(フルタイド50ディスカス、フルタイド100ディスカス、フルタイド200ディスカス)
- 成人には、フルチカゾンプロピオン酸エステルとして通常1回100μgを1日2回吸入投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は800μgを限度とする。
小児(フルタイド50ディスカス、フルタイド100ディスカス)
- 小児には、フルチカゾンプロピオン酸エステルとして通常1回50μgを1日2回吸入投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は200μgを限度とする。
- 症状の緩解がみられた場合は、治療上必要最小限の用量で投与すること。
慎重投与
- 感染症の患者[症状を増悪するおそれがある]
- 糖尿病の患者[症状を増悪するおそれがある]
重大な副作用
アナフィラキシー様症状
- アナフィラキシー様症状(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある(頻度不明注1,3))ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
喘息抑制作用
- フルチカゾンプロピオン酸エステルの吸入投与及び気管内投与により、モルモットにおける卵白アルブミン抗原誘発遅発型喘息反応を抑制し、気管支肺胞洗浄液中の好酸球増加に対して抑制作用を示した。好酸球浸潤抑制作用はベクロメタゾンプロピオン酸エステルの約7倍であった。
抗炎症作用
ヒト血管収縮作用18)
- フルチカゾンプロピオン酸エステルはMcKenzieらの方法による健康成人皮膚における血管収縮試験(皮膚蒼白度を指標)においてベクロメタゾンプロピオン酸エステルの約1.9倍、ベタメタゾン吉草酸エステルの約2.6倍、フルオシノロンアセトニドの約9.5倍の局所抗炎症作用を示した。
急性炎症モデルに対する作用19)
- ラットにおけるカラゲニン足蹠浮腫抑制作用は、局所投与でフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル=ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、皮下投与でフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル>ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの順であった。
亜急性・慢性炎症モデルに対する作用19)
- ラットを用いたcotton pellet法による肉芽腫増殖抑制作用はフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル>ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの順であり、croton oil法による局所投与ではフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル=ベクロメタゾンプロピオン酸エステルの順である。
また、ラットのadjuvant関節炎抑制作用は皮下投与で、フルチカゾンプロピオン酸エステルはベタメタゾン吉草酸エステル、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルより強い抑制作用を示す。
抗アレルギー作用19)
- ラットにおける48時間PCA反応に対し、皮下投与で用量依存的に抑制し、その強さはフルチカゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステル>クロモグリク酸ナトリウムの順である。
また、picryl chloride誘発マウス耳浮腫法による遅延型アレルギー反応に対し、皮下投与で用量依存的に抑制し、その強さはフルチカゾンプロピオン酸エステル=ベクロメタゾンプロピオン酸エステル>ベタメタゾン吉草酸エステルの順である。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- フルチカゾンプロピオン酸エステル(Fluticasone Propionate)
化学名
- S-Fluoromethyl 6α,9α-difluoro-11β-hydroxy-16α-methyl-3-oxo-17α-propionyloxyandrost-1,4-diene-17β-carbothioate
分子式
分子量
性状
- 白色の微細な粉末である。
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリル又はクロロホルムにやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
分配係数(logP)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fluticasone
- 化
- プロピオン酸フルチカゾン fluticasone propionate
- 商
- アドエア、アラミスト、キリガミール、スカイロン、ファビ、フルタイド、フルチカノーズ、フルナーゼ、フロラーズ、ミリカレット、フルナーゼ、Flonase, Flovent
- 関
- 耳鼻科用剤
[★]
商品
[★]
- 英
- (国名)Thailand, (魚)sea bream
- 関
- ゴウシュウマダイ、ヨーロッパヘダイ