Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/04/19 05:16:53」(JST)
[Wiki ja表示]
乙字湯(おつじとう)は、漢方薬方剤の一つ。
目次
- 1 概要
- 2 適応
- 3 組成
- 4 その他
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
乙字湯は、主に痔疾にもちいられる日本で作られた処方である。原典は原南陽の「叢桂医事小言(ソウケイテイイジショウゲン)」。浅田宗伯が改良した「勿誤薬室方函(フツゴ-アヤマルナカレ- ヤクシツ ホウカン)」の処方が現在使用されている。名称は、水戸藩の侍医であった原が創作した戦陣で活用できる処方の2番目を意味している。[1][2][3]
適応
中程度以上の体力のある者の、痔疾、痔核、脱肛、肛門出血、痔疾の疼痛など。
組成
- トウキ
- サイコ
- オウゴン
- カンゾウ
- ダイオウ
- ショウマ
その他
小柴胡湯を改良し、下腹部の消炎止血、血行改善(駆瘀血)、垂れ下がった患部の吊上げ(升提、しょうてい)、便通改善などの効能を期待する構成。痔疾薬としてサイコ・ショウマの升提、トウキの駆瘀血作用、トウキ・ダイオウの便秘改善が特徴的である[2]。
効能については、創薬した原・浅田は、痔疾のほか、肛門陰部痛痒感、ノイローゼや自律神経失調にも効能を挙げている。浅田は「此方甘草ヲ多量ニセザレバ効ナシ」[4]として、カンゾウの増量を指示している<。
また、下痢しやすいダイオウを省いた「乙字湯去大黄」や、いずれも駆瘀血作用をもつ薬種である、元のトウキにボタンピ、トウニンを加え、ダイオウをより穏やかなドクダミに変更した大塚敬節の乙字湯もある。
脚注
- ^ 甲字湯(桂枝茯苓丸の改良。女性の血行障害→刀傷や内出血に応用)、乙字湯(痔疾)、丙字湯(淋証=排尿障害ストレス対応やノイローゼ)、丁字湯(胃腸病)
- ^ a b 埴岡 博 『薬局製剤漢方212方の使い方』 じほう、2012年3月。ISBN 4840743258。
- ^ 金 成俊 『基礎からの漢方薬』 薬事日報社、2012年9月。ISBN 4840812209。
- ^ 勿誤薬室方函口訣
参考文献
関連項目
- ツムラ - エキス製剤3番が乙字湯エキス
- 補中益気湯 - 同じく升提作用をもち、痔疾にも用いられる。
- 麻杏甘石湯 - 痔疾にも用いられる。
- 大黄牡丹皮湯- 痔疾にも用いられる。
- 水戸藩
外部リンク
- 原南陽. “叢桂亭医事小言 (PDF)”. 須原屋安次郎/早稲田大学図書館古典籍総合データベース. 2015年12月24日閲覧。
- 浅田宗伯. “勿誤藥室方凾 (PDF)”. 勿誤藥室/あんず鍼灸整骨院サイト・江戸期の医学書ライブラリ. 2015年12月24日閲覧。
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Clinical Research 肛門疾患に対する乙字湯の使用経験
- 大竹 実,吉村 彰人,前田 ひろみ,伊藤 ゆい,上田 晃三,土倉 潤一郎,岩永 淳,矢野 博美,犬塚 央,田原 英一,木村 豪雄,三潴 忠道
- Kampo Medicine 64(5), 261-264, 2013
- … 乙字湯は痔疾患の処方として有名である。 … しかし,我々は口と肛門の解剖学的類似性に着目し,瘀血を伴う口唇炎に乙字湯が奏効した症例を経験した。 … 瘀血を目標に乙字湯を合方したところ,症状は改善した。 …
- NAID 130003394595
Related Links
- 乙字湯とは?効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- ツムラ漢方乙字湯 エキス顆粒 「(「乙字湯(おつじとう)」は、『(原南陽(はらなんよう)』という日本の漢方医が考案した漢方薬で、大便がかたく便秘ぎみの方の「いぼ痔」、「きれ痔」に用いられています。 『ツムラ漢方乙字湯エキス ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
テイコク乙字湯エキス顆粒
組成
日局トウキ 6.0g
日局サイコ 5.0g
日局オウゴン 3.0g
日局カンゾウ 3.0g
日局ショウマ 1.0g
日局ダイオウ 1.0g
上記の混合生薬より製した水製乾燥エキス4.27gを含有する。
添加物
- 乳糖水和物、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- アルドステロン症の患者[これらの疾患及び症状が悪化するおそれがある。]
- ミオパチーのある患者[これらの疾患及び症状が悪化するおそれがある。]
- 低カリウム血症のある患者[これらの疾患及び症状が悪化するおそれがある。]
効能または効果
- 大便がかたくて便秘傾向のあるものの次の諸症:いぼ痔、きれ痔、便秘
- 通常成人1日3回、1回3.0gを食前に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 下痢、軟便のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
- 著しく胃腸の虚弱な患者[食欲不振、胃部不快感、悪心、腹痛、下痢等があらわれることがある。]
- 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
- 著しく体力の衰えている患者[副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。]
重大な副作用
間質性肺炎:
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、発熱、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、ただちに連絡するよう患者に対し注意を行うこと。
偽アルドステロン症:
- 低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
ミオパチー:
- 低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸:
- AST(GOT)、ALT(GPT)、Al‐P 、γ‐GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
★リンクテーブル★
[★]
- 日
- おうごん
- 英
- Scutellaria root, baical skullcap root
- ラ
- Scutellariae radix
- 同
- オウゴン、黄ごん
- 関
- コガネバナ、Scutellaria baicalensis
- 生薬
- 健胃薬
- フラボノイド(baicalin)
- 少陽病の治療方剤である多くの黄連剤、柴胡剤に含まれる。
- 少陽病・心下痞硬型(黄連剤)
- 薬理作用:清熱作用、抗炎症作用
- 副作用:間質性肺炎、肝機能障害・黄疸、膀胱炎を表す漢方方剤の中に黄芩を含むものが比較的多い
黄芩を含む漢方方剤
参考
- *http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%AC%E3%83%8D%E3%83%90%E3%83%8A
[★]
- 関
- 漢方製剤、乙字湯