- 英
- fructose-1,6-bisphosphatase
- 同
- フルクトースビスホスファターゼ
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フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ 1 |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼとフルクトース-2,6-ビスリン酸の複合体。PDB 3FBP.
|
識別子 |
略号 |
FBP1 |
遺伝子コード |
FBP |
Entrez |
2203 |
HUGO |
3606 |
OMIM |
229700 |
RefSeq |
NM_000507 |
UniProt |
P09467 |
他のデータ |
EC番号 |
3.1.3.11 |
遺伝子座 |
Chr. 9 q22.3 |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ |
ウサギ肝臓のフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの結晶構造
|
識別子 |
略号 |
FBPase |
Pfam |
PF00316 |
Pfam clan |
CL0171 |
InterPro |
IPR000146 |
PROSITE |
PDOC00114 |
SCOP |
1frp |
SUPERFAMILY |
1frp |
利用可能な蛋白質構造: |
Pfam |
structures |
PDB |
RCSB PDB; PDBe; PDBj |
PDBsum |
structure summary |
|
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ |
識別子 |
略号 |
FBPase_2 |
Pfam |
PF06874 |
Pfam clan |
CL0163 |
InterPro |
IPR009164 |
利用可能な蛋白質構造: |
Pfam |
structures |
PDB |
RCSB PDB; PDBe; PDBj |
PDBsum |
structure summary |
|
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ |
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼの結晶構造
|
識別子 |
略号 |
FBPase_3 |
Pfam |
PF01950 |
InterPro |
IPR002803 |
SCOP |
1umg |
SUPERFAMILY |
1umg |
利用可能な蛋白質構造: |
Pfam |
structures |
PDB |
RCSB PDB; PDBe; PDBj |
PDBsum |
structure summary |
|
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(Fructose 1,6-bisphosphatase、FBPアーゼ、EC 3.1.3.11)は、同化過程の糖新生やカルビン回路でフルクトース-1,6-ビスリン酸をフルクトース-6-リン酸に変換する酵素である。FBPアーゼの触媒する反応は、解糖系におけるホスホフルクトキナーゼの逆反応である[1][2]。これらの酵素はどちらも一方向しか触媒できず、フルクトース-2,6-ビスリン酸等の代謝産物によって制御されるため、どちらか一方の活性が高くなると、もう一方の活性が低くなる。つまり、フルクトース-2,6-ビスリン酸はFBPアーゼをアロステリック阻害するが、ホスホフルクトキナーゼ-Iを活性化させる。フルクトース-1,6-ビスリン酸は多くの異なる代謝経路に関与し、ほぼ全ての生物で見られる。FBPアーゼは、触媒に金属イオン(Mg2+とMn2+)を必要とし、Li2+に強く阻害される[3]。
ブタのFBPアーゼのフォールディングは、イノシトール-1-ホスファターゼと相同である。イノシトールポリリン酸-1-ホスファターゼ、イノシトール-1-ホスファターゼ、FBPアーゼは、金属イオンに結合し触媒作用に関与していることが示されているAsp-Pro-Ile/Leu-Asp-Gly/Ser-Thr/Serのモチーフ配列を共有している。このモチーフは、菌類、細菌、酵母のイノシトール-1-ホスファターゼでも保存されている。これらのタンパク質は、イノシトールシグナル、糖新生、硫酸塩同化、そして恐らくキノン代謝等の様々な代謝経路に関与する。
3つの異なる種類のFBPアーゼのグループ(FBPアーゼI,II,III)が真核生物及び細菌で同定されている[4]。最近まで古細菌では発見されていなかったが、イノシトールモノホスファターゼの活性も持つ4つめの新しいグループのFBPアーゼ(FBPアーゼIV)が最近になって同定された[5]。
また、好熱性古細菌や超好熱性細菌Aquifex aeolicusでは、新しいグループのFBPアーゼ(FBPアーゼV)が発見された[6]。このグループのFBPアーゼは基質特異性が高く、これらの生物の真のFBPアーゼであることが示唆されている[6][7]。二次構造の研究により、FBPアーゼVは、通常の糖ホスファターゼが持つα-β-α-β-αの5層のサンドイッチ構造ではなく、新しいフォールディングであるα-β-β-αの4層構造を持っていることが明らかとなった[7]。触媒部位の側鎖と金属リガンドの配列は、他のFBPアーゼの機構として提案されていた3つの金属イオンによる触媒機構と一致することが発見された。
低GC含量のグラム陽性細菌であるフィルミクテス門の持つFBPアーゼは、他の生物の持つFBPアーゼと配列上の類似性がほとんどない。枯草菌の酵素はアデノシン一リン酸で阻害されるが、ホスホエノールピルビン酸によりこの阻害は解除され、またMn2+イオンに依存する[8][9]。この酵素を欠く変異体は、リンゴ酸やグリセロールのような糖新生成長基質でも生きることができる。
目次
- 1 関連項目
- 2 出典
- 3 関連文献
- 4 外部リンク
関連項目[編集]
- フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ欠損症
- フルクトース
- 糖新生
- 代謝
出典[編集]
- ^ Marcus F, Harrsch PB (May 1990). “Amino acid sequence of spinach chloroplast fructose-1,6-bisphosphatase”. Arch. Biochem. Biophys. 279 (1): 151-7. doi:10.1016/0003-9861(90)90475-E. PMID 2159755.
- ^ Marcus F, Gontero B, Harrsch PB, Rittenhouse J (March 1986). “Amino acid sequence homology among fructose-1,6-bisphosphatases”. Biochem. Biophys. Res. Commun. 135 (2): 374-81. doi:10.1016/0006-291X(86)90005-7. PMID 3008716.
- ^ York JD, Ponder JW, Majerus PW (May 1995). “Definition of a metal-dependent/Li(+)-inhibited phosphomonoesterase protein family based upon a conserved three-dimensional core structure”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92 (11): 5149-53. doi:10.1073/pnas.92.11.5149. PMC 41866. PMID 7761465. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=41866.
- ^ Donahue JL, Bownas JL, Niehaus WG, Larson TJ (October 2000). “Purification and characterization of glpX-encoded fructose 1, 6-bisphosphatase, a new enzyme of the glycerol 3-phosphate regulon of Escherichia coli”. J. Bacteriol. 182 (19): 5624-7. PMC 111013. PMID 10986273. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=111013.
- ^ Stec B, Yang H, Johnson KA, Chen L, Roberts MF (November 2000). “MJ0109 is an enzyme that is both an inositol monophosphatase and the 'missing' archaeal fructose-1,6-bisphosphatase”. Nat. Struct. Biol. 7 (11): 1046-50. doi:10.1038/80968. PMID 11062561.
- ^ a b Rashid N, Imanaka H, Kanai T, Fukui T, Atomi H, Imanaka T (August 2002). “A novel candidate for the true fructose-1,6-bisphosphatase in archaea”. J. Biol. Chem. 277 (34): 30649-55. doi:10.1074/jbc.M202868200. PMID 12065581.
- ^ a b Nishimasu H, Fushinobu S, Shoun H, Wakagi T (June 2004). “The first crystal structure of the novel class of fructose-1,6-bisphosphatase present in thermophilic archaea”. Structure 12 (6): 949-59. doi:10.1016/j.str.2004.03.026. PMID 15274916.
- ^ Fujita Y, Freese E (June 1979). “Purification and properties of fructose-1,6-bisphosphatase of Bacillus subtilis”. J. Biol. Chem. 254 (12): 5340-9. PMID 221467.
- ^ Fujita Y, Yoshida K, Miwa Y, Yanai N, Nagakawa E, Kasahara Y (August 1998). “Identification and expression of the Bacillus subtilis fructose-1, 6-bisphosphatase gene (fbp)”. J. Bacteriol. 180 (16): 4309-13. PMC 107433. PMID 9696785. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=107433.
関連文献[編集]
- Berg, Jeremy Mark; John L. Tymoczko, Lubert Stryer (2002). “Glycolysis and Gluconeogenesis”. In Susan Moran (ed.). Biochemistry (5th Edition ed.). 41 Madison Avenue, New York, New York: W. H. Freeman and Company. ISBN 0-7167-3051-0. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Search&db=books&doptcmdl=GenBookHL&term=fructose+bisphosphatase+AND+stryer%5Bbook%5D+AND+216199%5Buid%5D&rid=stryer.section.2281#2284.
外部リンク[編集]
- Fructose-1,6-Biphosphatase - the US National Library of Medicine Medical Subject Headings (MeSH)
カルビン回路 |
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物質 |
リブロース-1,5-ビスリン酸 - 3-ホスホグリセリン酸 - 1,3-ビスホスホグリセリン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸
ジヒドロキシアセトンリン酸 - フルクトース-1,6-ビスリン酸 - フルクトース-6-リン酸
エリトロース-4-リン酸 - セドヘプツロース-1,7-ビスリン酸 - セドヘプツロース-7-リン酸
キシルロース-5-リン酸 - リボース-5-リン酸
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酵素 |
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ - ホスホグリセリン酸キナーゼ - グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ - トリオースリン酸イソメラーゼ - アルドラーゼ - フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - リボース-5-リン酸イソメラーゼ - リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ - ホスホリブロキナーゼ
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- C307 ラン藻 Synechococcus PCC 7942 由来のフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの結晶構造
- B312 ラン藻 Synechococcus PCC 7942 由来のフルクトース -1,6- ビスホスファターゼ -II の結晶化
- 滝井 健二,黒川 晶永,中村 元二 [他],熊井 英水
- 近畿大学水産研究所報告 7, 15-23, 2000-03-25
- … 一方, 肝膵臓ホスホフルクトキナーゼおよびフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ活性には, 糖利用能の魚種間差に基づくと考えられる一定の傾向はみられなかったが, トラフグおよびマダイの肝膵臓グリコーゲン含量はグルコース負荷後に大きく上昇したのに対して, ブリの肝臓グリコーゲン含量は経時的に低下した。 …
- NAID 110000224182
Related Links
- なお、フルクトース-2,6-ビスリン酸は、AMP同様に、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ の活性を抑制し、糖新生を抑制します。 ... フルクトース-1,6-ビスホスファターゼが欠損 すると、糖新生が行われず、長時間の絶食や、果糖やグリセロールの投与により、著明 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- gluconeogenesis
- 関
- 解糖
- 図:FB.306
糖新生の不可逆反応を司る酵素
[★]
- 英
- fructose-1
- 関
- フルクトース-1,6-ジホスファターゼ欠損症
[★]
- 英
- fructose, Fru
- 同
- 果糖, fruit sugar、レブロース levulose
- 商
- 果糖注、フルクトン。(果糖、グリセリン)グリセレブ、グリセオール、グリセノン、グリセリンF、ヒシセオール、グリポーゼ、グリマッケン。(アミノ酸輸液製剤)アミノトリパ1号輸液、トリパレン1号、トリフリード輸液、フルクトラクト
- 関
- 単糖、糖
薬効
5%, 20%フルクトースとして
- 20%フルクトン注
- 1. エネルギー補給:果糖はブドウ糖に比べてグリコーゲン生成能が大で、容易に乳酸に分解されるため、速やかにエネルギー源となり、糖尿病状態時や肝障害時でも利用される。
- 2. インスリン非依存性:果糖は主として肝に存在するfructokinase(ketohexokinase)により代謝され、インスリンの影響を受けず、糖尿病状態時にも使用できる。
- 3. 蛋白節約作用:果糖は体内窒素平衡に関与し、ブドウ糖に比べて強い蛋白節約作用があり、糖尿病状態時でもその作用を示す。
- 4. 解毒作用:果糖はアルコール及び種々有毒物質の解毒を促進する
グリセリン、フルクトースの混合輸液として
- グリポーゼ
- 脳圧降下作用のあるグリセリン(グリセロール)に,溶血防止作用のある果糖(フルクトース)が配合されており、脳圧降下作用及び眼圧降下作用がある。
アミノ酸輸液との配合輸液として
- アミノトリパ
- 1. 糖質とアミノ酸の配合比率:本剤を構成する糖質・電解質液とアミノ酸液との配合比率を検討するため、一定の非蛋白熱量下にアミノ酸配合量を変えた液を用いて、絶食ラットに7日間の高カロリー輸液を施行した。その結果、蛋白栄養指標(窒素出納や血漿アルブミン濃度等)を良好に維持するための非蛋白熱量/窒素(NPC/N)は約150前後であることが確認された。
- 2. 栄養学的効果:本剤の栄養学的効果を市販製剤の混合液と比較するため、開腹術施行ラットに7日間の高カロリー輸液を施行した。その結果、本剤は窒素出納や肝グリコーゲン量等において、良好な栄養効果が認められた。