- 英
- phenylthiourea PTU
- 関
- フェニルチオカルバミド phenyl thiocarbamide PTC
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/08 17:19:13」(JST)
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フェニルチオカルバミド |
|
IUPAC名 |
フェニルチオ尿素 |
分子式 |
C7H8N2S |
分子量 |
152.218 |
CAS登録番号 |
[103-85-5] |
融点 |
148-150 °C |
沸点 |
- °C |
SMILES |
C1=CC=C(C=C1)NC(=S)N |
フェニルチオカルバミド(Phenylthiocarbamide、PTC)は、味覚に対して特異な性質を持つ有機化合物である。フェニルチオカルバミドはTAS2R38という苦味受容体に反応する苦味物質であるが、この受容体は遺伝的に持っている人と持っていない人がいるため、この物質を苦いと感じるかどうかは遺伝に依って決まり、苦味を感じないグループを味盲という。
世界的に見ると、およそ70%の人がこの物質を苦いと感じるが、この割合は民族によって変化する。例えば、この割合が低いアボリジニではわずか58%なのに対して、アメリカ州の先住民族では98%もの人が苦味を感じることができる。また非喫煙者や、コーヒーやお茶を日常的に飲まない人には、この割合が高いという研究結果もある。また女性の方が男性よりも苦味を感じる率が高いという報告もある。
歴史[編集]
デュポンに勤める化学者であったアーサー・フォックスは、1931年にフェニルチオカルバミドの純粋な結晶の粉末を誤って落としてしまったことにより、偶然その苦味を感じるかどうかが遺伝によって決まるという事実を発見した。近くにいた同僚の研究者の口に入り、苦味に対して文句を言われたのに、より近くにいたフォックスは何も感じなかったのである。フォックスはその後、家族や友人にも被験者として協力してもらって研究を続け、この現象が父系の遺伝的であることを突き止めた。
味覚[編集]
チオ尿素系の化合物に対する味覚と食習慣の間には関係があるという証拠はたくさんある。同様に、ヘビースモーカーはPTCに対して、より鈍感である。
遺伝[編集]
味覚に関わるタンパク質をコードする遺伝子には4つの一塩基多型が見つかっている。しかし、これが優性なのか劣性なのかは分かっていない。一方のコピーのみが感受性であれば苦味を感じることが示されているが、苦味の感じ方が弱いという結果もある。またこれには別の遺伝子も関わっているという指摘もある。
参考文献[編集]
- Fischer, R., Griffin, F. and Kaplan, A. R. (1963). “Taste Thresholds, Cigarette Smoking, and Food Dislikes”. Medicina experimentalis. International journal of experimental medicine 9: 151-67. PMID 14083335.
- Kaplan, A. R., Glanville, E. V. and Fischer, R. (1964). “Taste Thresholds for Bitterness and Cigarette Smoking”. Nature 202: 1366. PMID 14210998.
- L. Kameswaran, S. Gopalakrishnan, M. Sukumar, (1974). Phenylthiocarbamide and Naringin Taste Threshold in South Indian Medical Students, Ind. J. Pharmac., 6 (3). 134-140.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 四つの基本味覚物質に対する舌の部位別感受性--フェニールチオ尿素に対する感受性のない人(味盲)を含む女子短期大学生における調査
- <I>Myrothecium verrucaria</I>胞子のアスコルビン酸酸化酵素
- 舟木 淳子,阿部 啓子,本間 清一,相田 浩
- 日本栄養・食糧学会誌 40(1), 47-51, 1987
- … <BR>5) 本酵素はジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム, フェニルチオ尿素, 8-ハイドロキシキノリンおよびアザイドに阻害されなかったが, Cu2<SUP>+</SUP>を10<SUP>-4</SUP>M添加することで活性が5.7倍に上昇し, 本酵素の活性に対しCu<SUP>2+</SUP>が大きな影響をもっていることがわかった。 …
- NAID 130000861198
Related Links
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★リンクテーブル★
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- 英
- phenylthiocarbamide
- 関
- フェニルチオ尿素
[★]
フェニルチオ尿素
- 関
- phenylthiocarbamide
[★]
- 英
- urea
- 同
- カルバミド carbamide、ウレア
- 商
- アセチロール、イソジンシュガーパスタ、ウリモックス、ウレア、ウレパール、カフコデN配合、ケラチナミン、ケラベンス、コンベルビー、ノルニチカミン、パスタロン、パステルハップ 、ビタルファ、ピロニック、プラチアミン、ブロバリン、ブロムワレリル尿素 、ベギン、ユービット、ワイドコール
- 関
- 尿素クリアランス、ウレアーゼ
O=C(NH2)2
生合成
分解
- 尿素はウレアーゼにより加水分解されて二酸化炭素とアンモニアを生じる。ヘリコバクター・ピロリ菌や尿路の細菌がウレアーゼを産生している
腎臓
- 多くの組織では浸透圧物質として無効であるが、腎臓のネフロンの多くの部位では有効な浸透圧物質である (文献名不明 p.373)
- 再吸収:近位尿細管、集合管(ADH作用時)
- 分泌 :ヘンレプールの細い部分
- GFRが低下すると血中尿素濃度と血中クレアチン濃度は上昇し、GFRが正常の1/3-1/4になると顕著となる。
腎髄質での尿濃縮機構
- 腎臓における尿の濃縮は(1)腎髄質の浸透圧勾配(NaClと尿素が形成)と(2)集合管による水透過性に支配されている。
- 尿素が腎髄質の浸透圧勾配に重要な役割を果たしている。
- シスプラチンは尿素サイクルを抑制し、尿濃縮機構を障害する。
外用薬
- 皮膚角質の水分保持力を増強させ、また角質溶解作用などにより角化皮膚をしっとりさせ、皮膚の状態を正常化させる。
- アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、老人性乾皮症、掌蹠角化症、苔癬、進行性指掌角皮症などに使用される。
- 炎症を来している部位への外用により刺激感を生じる。
- 潰瘍、びらん、創面への直接塗布は避けるようにする。
臨床関連
- GFRが低下して血中に窒素化合物が蓄積している状態
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- 英
- phenyl、Ph
- 関
- フェニール