尿素
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尿素 |
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|
別称
Carbamide, carbonyl diamide, carbonyldiamine, diaminomethanal, diaminomethanone
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
57-13-6 |
PubChem |
1176 |
ChemSpider |
1143 |
UNII |
8W8T17847W |
DrugBank |
DB03904 |
KEGG |
D00023 |
ChEBI |
CHEBI:16199 |
ChEMBL |
CHEMBL985 |
RTECS番号 |
YR6250000 |
ATC分類 |
B05BC02,D02AE01 |
|
- InChI=1S/CH4N2O/c2-1(3)4/h(H4,2,3,4)
Key: XSQUKJJJFZCRTK-UHFFFAOYSA-N
InChI=1/CH4N2O/c2-1(3)4/h(H4,2,3,4)
Key: XSQUKJJJFZCRTK-UHFFFAOYAF
|
特性 |
化学式 |
CH4N2O |
モル質量 |
60.06 g mol−1 |
外観 |
白色の固体 |
密度 |
1.32 g/cm3 |
融点 |
133–135 °C
|
水への溶解度 |
107.9 g/100 ml (20 °C)
167 g/100ml (40 °C)
251 g/100 ml (60 °C)
400 g/100 ml (80 °C) |
溶解度 |
50g/L エタノール, 500g/L グリセロール[1] |
塩基解離定数 pKb |
pKBH+ = 0.18[2] |
構造 |
双極子モーメント |
4.56 D |
危険性 |
MSDS |
JT Baker |
半数致死量 LD50 |
8500 mg/kg (oral, rat) |
関連する物質 |
関連する |
チオ尿素
ヒドロキシカルバミド |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
尿素(にょうそ、英: urea)は、化学式 (H2N)2C=O と表される有機化合物。カルバミドともいう。無機化合物から初めて合成された有機化合物として、有機化学史上、重要な物質である。
目次
- 1 性質
- 2 窒素の排泄
- 3 用途
- 4 歴史
- 5 脚注
- 6 関連項目
|
性質
無色無臭の結晶で、哺乳類や両生類の尿に含まれる。水に容易に溶け、その溶解度は 108 g/100 mL (20 ℃)。非線形光学現象を示す。加熱すると分解し、アンモニア、ビウレット、シアヌル酸に変わる。
尿素の結晶の構造には、小分子が入るのにちょうど良い大きさの空孔がある。そのため尿素は、ヘキサンなど、さまざまな化合物と安定な包接化合物を作る。過酸化水素との包接化合物(尿素-過酸化水素付加体、略称 UHP)は、固体の形で取り扱える酸化剤として市販されている。
窒素の排泄
ヒトがタンパク質などから取り入れた窒素のうち、過剰分のほとんどが尿の中に尿素の形で排泄される(尿には尿素が含まれており、成人は尿素を 1日 30 g ほど排泄する。)。生体内では、尿素回路によりアンモニアから尿素が産生される。
最も簡単な窒素化合物はアンモニアであるが、人体に有害なため、安全な尿素として蓄えられ水溶液として排泄される。ただし水溶性であるから水と共に捨てなければならず、濃縮にも一定のエネルギーを要する。水の確保が重要な問題となる生活ではこの点で尿酸にしたほうが有利である。
窒素の排泄は、硬骨魚類では主にアンモニア、哺乳類、両生類、軟骨魚類では主に尿素、鳥類や爬虫類の多くでは尿酸のかたちで行われる[3][4]。なお、軟骨魚類は、浸透圧調節のため、尿素やトリメチルアミンオキサイドを体内に蓄積している[5]。
用途
尿素の用途として、保湿クリーム・肥料などとして広く使われており、ホルムアルデヒド (HCHO) と反応させることで尿素樹脂(ユリア樹脂)も得ることが出来る。高濃度の水溶液はタンパク質、核酸を変性させる作用がある。
水と混ぜると吸熱効果が現れる。硝酸アンモニウムと尿素の混合物を水の入った袋と同封し、衝撃を加えて混合物を反応させ冷却効果を得る携帯用の冷却パックとしての用途もある。
またディーゼルエンジンでは、尿素を水に溶かした尿素水を使って窒素酸化物を分解している[1]。具体的には、尿素をディーゼルエンジンの排熱で分解し、放出されるアンモニアと排気中に含まれる窒素酸化物を化学反応させ、水と窒素に還元させる。
歴史
フリードリヒ・ヴェーラーは尿素の合成法を発見した。
尿素は、人間の手によって初めて無機化合物のみから合成された有機化合物として、有機化学の歴史上非常に重要な化合物である。 1828年にその合成に成功した人物は、フリードリヒ・ヴェーラーである。彼は、シアン酸アンモニウムの水溶液を加熱して尿素が生成することを確認した。この合成法はヴェーラー合成と呼ばれている。
-
その当時の化学では、有機化合物は生物にしか作り出すことができないという考え(生気論)が正当とされてきたが、ヴェーラーの実験結果はそれをくつがえすもののひとつとなった(ただし、尿素は炭酸のアミドに相当し、炭酸は通常有機化合物に含まれない。このため尿素を真に有機化合物と呼んでよいかは議論がある)。
脚注
- ^ http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search/f?./temp/~ZAvqWP:1:sol [リンク切れ]
- ^ “pKa Data” (2001年10月24日). 2009年11月27日閲覧。
- ^ にょうそ【尿素】の意味 - 国語辞書 goo辞書
- ^ 有馬四郎「兩棲類の發生初期の代謝終産物について : I.蛙尿の化學成分について」 動物学雑誌 61(9), 1952-09-15, pp275-277 NAID 110003360889
- ^ 石橋賢一「大学院特論講義:水電解質研究の進歩」『明治薬科大学研究紀要 』38号、2009年05月31日、pp21-28 尿素 - J-GLOBAL
関連項目
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Japanese Journal
- ウレアーゼ活性を有する微生物を鋳型とした球状炭酸アパタイトの合成
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ウレアクリーム20%「イワキ」
組成
成分・含量(1g中)
添加物
- グリセリン、流動パラフィン、サラシミツロウ、パラフィン、イソステアリルグリセリルエーテル、エチルパラベン、ブチルパラベン、エデト酸Na、ジブチルヒドロキシトルエン、塩化アンモニウム、pH調節剤2成分
効能または効果
- 老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬、魚鱗癬
慎重投与
(次の場合には慎重に使用すること)
- 炎症、亀裂を伴う症例[一過性の刺激症状を生じることがある。]
- 皮膚刺激に対する感受性が亢進している症例[一過性の刺激症状を生じることがある。]
薬効薬理
生物学的同等性試験1)
- 健康成人男子16名にウレアクリーム20%「イワキ」と標準製剤(W/O型乳剤性尿素軟膏、20%)を単回経皮投与し、高周波伝導度により皮表角質水分含有量を測定し、AUC(高周波伝導度−時間曲線下面積)を指標に統計解析した結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
性状
- 本品は無色〜白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、冷涼な塩味がある。水に極めて溶けやすく、沸騰エタノール(95)に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
水溶液(1→100)は中性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- urea
- 同
- カルバミド carbamide、ウレア
- 商
- アセチロール、イソジンシュガーパスタ、ウリモックス、ウレア、ウレパール、カフコデN配合、ケラチナミン、ケラベンス、コンベルビー、ノルニチカミン、パスタロン、パステルハップ 、ビタルファ、ピロニック、プラチアミン、ブロバリン、ブロムワレリル尿素 、ベギン、ユービット、ワイドコール
- 関
- 尿素クリアランス、ウレアーゼ
O=C(NH2)2
生合成
分解
- 尿素はウレアーゼにより加水分解されて二酸化炭素とアンモニアを生じる。ヘリコバクター・ピロリ菌や尿路の細菌がウレアーゼを産生している
腎臓
- 多くの組織では浸透圧物質として無効であるが、腎臓のネフロンの多くの部位では有効な浸透圧物質である (文献名不明 p.373)
- 再吸収:近位尿細管、集合管(ADH作用時)
- 分泌 :ヘンレプールの細い部分
- GFRが低下すると血中尿素濃度と血中クレアチン濃度は上昇し、GFRが正常の1/3-1/4になると顕著となる。
腎髄質での尿濃縮機構
- 腎臓における尿の濃縮は(1)腎髄質の浸透圧勾配(NaClと尿素が形成)と(2)集合管による水透過性に支配されている。
- 尿素が腎髄質の浸透圧勾配に重要な役割を果たしている。
- シスプラチンは尿素サイクルを抑制し、尿濃縮機構を障害する。
外用薬
- 皮膚角質の水分保持力を増強させ、また角質溶解作用などにより角化皮膚をしっとりさせ、皮膚の状態を正常化させる。
- アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、老人性乾皮症、掌蹠角化症、苔癬、進行性指掌角皮症などに使用される。
- 炎症を来している部位への外用により刺激感を生じる。
- 潰瘍、びらん、創面への直接塗布は避けるようにする。
臨床関連
- GFRが低下して血中に窒素化合物が蓄積している状態
[★]
商品
[★]
- 英
- carbamide
- 関
- ウレア、尿素
[★]
- 英
- urease test
- 関
- 迅速ウレアーゼ試験、Helicobacter pylori
[★]
- 英
- rapid urease test
- 関
- ウレアーゼ試験、Helicobacter pylori
[★]
- ラ
- Centaurea
- 関
- ヤグルマギク属、Centaurea属