- 英
- guanosine triphosphate, GTP
- 同
- グアノシン5'-三リン酸, guanosine 5'-triphosphate
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/02 09:25:19」(JST)
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グアノシン三リン酸(グアノシンさんリンさん、guanosine triphosphate)は生物体内に存在するヌクレオチドである。正式名はグアノシン-5'-三リン酸、普通は略称 GTP で呼ばれる。分子量 523.18。
グアノシン二リン酸 (GDP) からアデノシン三リン酸 (ATP) のリン酸を受容して生合成される。類似した構造を持つ ATP が生物体内で高エネルギーリン酸結合のエネルギーを利用して、様々な生合成や輸送、運動などの反応に用いられるのに対し、GTP は主として細胞内シグナル伝達やタンパク質の機能の調節に用いられる。
GTP の利用形態
生合成反応では RNA 合成やその他ヌクレオチドの合成に用いられる。そのほかに多糖の生合成では中間産物である「GDP糖」(GDP-グルコース、GDP-マンノースなど)の合成に用いられる。また動物のクエン酸回路ではスクシニル CoA 合成のエネルギー源、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸の合成でのリン酸供与体として機能する。
GTP 結合タンパク質としては次のようなものが知られる。これらは各機能の1サイクルごとに GTP 1分子と結合し、GDP に加水分解したのち解離する。
- タンパク質翻訳で働くいくつかの因子: 翻訳開始因子、翻訳伸長因子(アミノアシル tRNA のリボソームへの結合、ペプチジル tRNA の転座)、翻訳終結因子(真核生物)。
- チューブリン: GTP 結合型が重合して微小管を形成する。GDP に加水分解すると脱重合する。
- 7TM受容体からのシグナル伝達に関わるGタンパク質: GTP を結合した状態が活性型で下流にシグナルを伝達する。
- 低分子 GTP 結合タンパク質: Rasタンパク質など、シグナル伝達や細胞機能の調節に働く。Gタンパク質と同様に GTP を結合した状態が活性型として働く。
- グアニル酸シクラーゼ: これもシグナル伝達に関与するタンパク質である。GTP からサイクリックGMP (cGMP) を合成し、cGMP はセカンドメッセンジャーの一種として機能する。グアニル酸シクラーゼには心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体(膜結合型)や、一酸化窒素によって活性化されるもの(可溶型)が知られている。シルデナフィル(商品名バイアグラ)や発毛剤ミノキシジル(商品名リアップ)は cGMP の分解を抑制する作用がある。
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核酸の構成要素 |
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核酸塩基 |
プリン (アデニン、グアニン、プリン類縁体) · ピリミジン (ウラシル、チミン、シトシン、ピリミジン類縁体)
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ヌクレオシド |
リボヌクレオシド
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アデノシン · グアノシン · 5-メチルウリジン · ウリジン · シチジン
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デオキシリボヌクレオシド
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デオキシアデノシン · デオキシグアノシン · チミジン · デオキシウリジン · デオキシシチジン
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ヌクレオチド
(ヌクレオシド一リン酸) |
リボヌクレオチド
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AMP、GMP、m5UMP、UMP、CMP
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デオキシリボヌクレオチド
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dAMP、dGMP、dTMP、dUMP、dCMP
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環状ヌクレオチド
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cAMP、cGMP、c-di-GMP、cADPR
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ヌクレオシド二リン酸 |
ADP、GDP、m5UDP、UDP、CDP · dADP、dGDP、dTDP、dUDP、dCDP
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ヌクレオシド三リン酸 |
ATP、GTP、m5UTP、UTP、CTP · dATP、dGTP、dTTP、dUTP、dCTP
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主要な生体物質:炭水化物(アルコール、糖タンパク質、配糖体) · 脂質(エイコサノイド · 脂肪酸/脂肪酸の代謝中間体 · リン脂質 · スフィンゴ脂質 · ステロイド) · 核酸(核酸塩基 · ヌクレオチド代謝中間体) · タンパク質(タンパク質を構成するアミノ酸/アミノ酸の代謝中間体) · テトラピロール · ヘムの代謝中間体 |
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Japanese Journal
- 新規骨粗鬆症治療薬ミノドロン酸水和物(リカルボン^【○!R】錠1mg/ボノテオ^【○!R】錠1mg)の薬理学的特性および臨床効果
- 田中 真,森 裕史,清水 聖,松岡 俊行,山本屋 肇,南出 敏臣,森 政道,野崎 一敏,碓井 孝志,下川 建一郎,鈴木 ひろみ,青山 幸司,木本 愛之,笹又 理央,宮田 桂司
- 日本薬理学雑誌 134(3), 149-157, 2009-09-01
- … 細胞に選択的に取り込まれる分布経路が示唆された.また,ミノドロン酸は,メバロン酸代謝経路におけるファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素を強力に阻害したことから,破骨細胞内で低分子量グアノシン三リン酸(GTP)結合タンパク質のゲラニルゲラニル化を抑制することで破骨細胞の機能を低下させ,その結果,骨吸収を強力に抑制するものと推察された.閉経後骨粗鬆症の病態モデルである卵巣摘出骨粗鬆 …
- NAID 10025741537
- B型慢性肝炎治療薬エンテカビル水和物(バラクルード^【○!R】錠0.5mg)の薬理学的特性と臨床効果
- 天野 学,後藤 新
- 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 129(4), 287-297, 2007-04-01
- … イルス(HBV)に選択的な阻害作用を示し,他のウイルスに対する阻害作用は弱い.ETVは細胞内のキナーゼによってリン酸化され,活性体であるETV三リン酸(ETV-TP)となる.ETV-TPは天然基質のデオキシグアノシン三リン酸と競合し,HBV DNAポリメラーゼが有する3つの機能活性全てを阻害すると共にウイルスDNAに取り込まれてその伸長を停止させHBV複製を阻害する.HepG2.2.15細胞を用いたin vitro試験における本薬のHBV複製阻 …
- NAID 10019563362
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- 栄養・生化学辞典 グアノシン三リン酸の用語解説 - ヌクレオチドの一つ.生理的に重要な化合物.RNAやcGMPの材料になるほか,Gタンパク質とよばれる信号伝達系の分子と結合して,細胞内信号伝達に重要な役割を果たす.
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- tetrahydrobiopterin, BH4, THB
- 関
- プテリン、5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリン
物性
合成
補酵素
臨床関連
[★]
[★]
グアノシン三リン酸。グアノシン5'-三リン酸
[★]
- 英
- GTP analog
- 関
- グアノシン三リン酸
[★]
グアノシン三リン酸
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- phosphoric acid
- 関
- PO4
- pKa1=2.12
- pKa2=7.21
- pKa3=12.67
[★]
- 英
- guanosine Guo G
- 関
- [[]]