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- 関
- 連鎖球菌性敗血症
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感染症と全身性炎症反応症候群(SIRS)と敗血症の関係
敗血症(はいけつしょう、英: sepsis)は、病原体によって引き起こされた全身性炎症反応症候群(SIRS)である。細菌感染症の全身に波及したもので非常に重篤な状態であり、無治療ではショック、DIC、多臓器不全などから早晩死に至る。もともとの体力低下を背景としていることが多く、治療成績も決して良好ではない。
傷口などから細菌が血液中に侵入しただけの状態は菌血症と呼ばれ区別される。逆に敗血症であっても定義上、血液中からの菌の検出は必須では無く、あくまで全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatory response syndrome)つまり高サイトカイン血症の状態を指す[1]。
目次
- 1 症状
- 2 原因
- 3 検査
- 4 病態
- 5 治療
- 6 関連項目
- 7 脚注
- 8 参考文献
- 9 外部リンク
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症状
悪寒、全身の炎症を反映して著しい発熱、倦怠感、鈍痛、認識力の低下を示す。末梢血管の拡張の結果、末梢組織に十分な栄養と酸素が届かず、臓器障害や臓器灌流異常、血圧低下が出現する。進行すれば錯乱などの意識障害を来たす。DICを合併すると血栓が生じるために多臓器が障害(多臓器不全)され、また血小板が消費されて出血傾向となる。起炎菌が大腸菌などのグラム陰性菌であると、菌の産生した内毒素(エンドトキシン)によってエンドトキシンショックが引き起こされる。また代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスの混合性酸塩基平衡異常をきたす。敗血症性ショック症状を起こすと患者の25%は死亡する[2]。
原因
肺炎や腹膜炎をはじめとした重症細菌感染症の進行した場合にみられる。また、悪性腫瘍の化学療法によって免疫力が低下した場合に合併することがある。この場合は、主な感染源はセラチア菌などの腸内細菌であるといわれる[3]。
検査
各種感染症検査の他、エンドトキシンやプロカルシトニンの測定がおこなわれる。ショックの確認のために収縮期血圧(90mmHgや乳酸値)4mmol/lなどを確認する。SIRSの診断には下記項目の測定が必要である。 下記の4項目のうち2項目を3日間満たした場合、SIRSと診断される。
- 体温の変動
- 38度以上、ないし36度以下
- 脈拍数の増加
- 90回/分以上
- 呼吸数の増加
- 呼吸数増加(20回/分以上)またはPaCO2が32 Torr以下
- 白血球数
- 12,000/μl以上、ないし4,000/μl 以下。あるいは未熟顆粒球が10%以上。
病態
全身性炎症反応症候群のうち感染を基盤とするSIRSが敗血症である。言いかえると敗血症は感染を基盤として発症する急性循環不全である。初期には血液分布異常性ショックを呈する。血管内皮細胞の障害が深くかかわると考えられており脳の血管内皮が障害されれば脳浮腫が起こり、肺の血管内皮が障害されればARDSが起こり、四肢の血管内皮細胞が障害されれば浮腫が起こると考えられている。初期には高心拍出量性ショックをしめすが、血管内皮細胞障害が進行すると低心拍出量ショックに移行する。適切な輸液負荷を行っても低血圧が持続する場合もある。
治療
Surviving Sepsis Campaign Guideline(SSCG)という診断と治療に関するガイドラインがある。surviving sepsis campaign guideline 2008(SSCG2008)[4]では循環管理だけではなく感染対策、続発する臓器不全や周辺病態に対しての集中治療が示されている。内容としては初期蘇生、感染症治療、急性呼吸障害や腎障害の管理、血糖管理、その他に分かれている。特に初期蘇生の循環管理がearly goal-direct therapy(EGDT)として纏められている。初期治療の第1選択は、輸液負荷を行いバイタルサインや臨床症状の推移を見極める。
EGDT
敗血症では適切な抗菌薬を1時間以内に投与することを推奨している。これは1時間投与が遅れると7.6%ずつ予後が悪化するとされているからである。この場合は広域な抗菌薬を使用する。そして速やかに大量輸液を行う。目標値としてはCVPを8~12mmHgとなる輸液管理および平均血圧>65mmHg、尿量>0.5ml/Kg/h、中心静脈酸素飽和度あるいは混合静脈血酸素飽和度>70%を目指す。通常最初の6時間で6~10lの輸液が必要となる。人工呼吸器管理をしている場合は胸腔内圧が高くなるのでCVPを12~15mmHgを目標とする。CVPを保っても平均血圧が65mmHgを下回るのならば昇圧剤の投与を開始する。ノルアドレナリンやドパミンが用いられる場合が多い。平均血圧が90mmHg以上となった場合は硝酸薬(ニトログリセリン)を併用する。平均血圧が保てれば中心静脈酸素飽和度あるいは混合静脈血酸素飽和度を確認し、ヘマトクリットが30%以下ならば輸血を行い、それでも70%以上を保てなければドブタミンを使用する。
なおEGDTを行う場合は大量輸液によって肺の酸素化が障害される場合がおおく、人工呼吸器管理となることが多い。急性肺障害(ALI)の基づいて呼吸管理する場合が多い。
その他の治療
- 昇圧剤の選択
- DOBは十分な輸液がなされていないと血管拡張により血圧の低下を招きやすい。昇圧剤はノルアドレナリンを用いることが多い。
- 副腎不全対策
- 少量ステロイド療法を行うことがある。ハイドロコルチゾンならば一日200~300mgの3~4分割または持続静注で7日間行う。投与前に採血を行い血漿コルチゾルが34ug/ml以上ならばステロイドを結果を中止し、9~34ug/mlならばACTH250ug/mlの負荷試験を行う。
- 血糖管理
- 高血糖の持続が血管内皮細胞障害を起こすため血糖を150mg/dl以下を目標に速効型インスリンの持続静注を行う。
- 持続濾過透析
- 抗サイトカイン療法として行うこともある。PMMA-CHDFなど。
- エンドトキシン吸着
- DICの対応
- ストレス性潰瘍
- H2ブロッカーやPPIの投与。
- 栄養管理
- 経腸栄養を優先する。
関連項目
脚注
- ^ 1991年の米胸部疾患学会と米集中治療医学会、合同の定義による
- ^ 敗血症性ショックメルクマニュアル家庭版
- ^ セラチア菌愛知県衛生研究所
- ^ Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2008、Crit Care Med、2008年1月;36(1):296-327.PMID:18158437
参考文献
- 敗血症診療ガイドライン ISBN 4898012949
外部リンク
- 日本版敗血症診療ガイドライン(案) (PDF) 日本集中治療医学会Sepsis Registry委員会
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Related Links
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★リンクテーブル★
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連鎖球菌性敗血症、レンサ球菌性敗血症
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- streptococcal septicemia
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- streptococcal sepsis、streptococcal septicemia
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連鎖球菌性敗血症、レンサ球菌性敗血症
- 関
- streptococcal sepsis
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- 英
- sepsis, (昔の概念→)septicemia
- 関
定義
- 感染症による全身性炎症反応症候群(SIRS)をセプシス(sepsis, 広義の敗血症?)とする
- 感染症の病原体は、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスなど
- 皮膚や粘膜の傷とか、種々の臓器にある感染巣から、細菌がリンパ流から血中に入り、全身に播種されて、新たに転移性の感染巣をつくり、重篤な全身症状を引き起こす。
全身性炎症反応症候群の診断基準
- 1. 体温>38℃ or 体温<36℃
- 2. 心拍数>90bpm
- 3. 呼吸数>20回/min or PaCO2<32mmHg
- 4. (白血球数>12,000/ul or 白血球数<4,000/ul) or ( 幼若好中球>10% ) ← ここでいう幼若好中球とは桿状好中球のことである。
敗血症の周辺疾患概念
- 発熱や白血球増加などの全身の炎症の徴候によって特徴づけられる病態(SIRSの診断基準に合致する病態)
病態生理
- LPSが血液凝固を促進→血小板、フィブリノゲン、凝固因子消費 → 血栓形成 → プラスミノゲンを消費して血栓溶解 (FDP産生) →
- →出血傾向 → 皮下出血、歯肉出血、顕微鏡的血尿(出血性敗血症)
原因となる病原体
症状
- 悪寒、戦慄を伴う発熱、頻脈、頻呼吸、全身倦怠感、呼吸困難、意識障害、ショック、乏尿
- 敗血症による多臓器不全で障害を受けやすい臓器:肺、腎臓、心血管系、中枢神経系
検査
血液検査
- 白血球:12,000/ul以上のことが多い(SIRSの定義)
- 左方移動、重症例では白血球減少
- 血小板数:血管内凝固に伴い低下
- CRP:基準値以上
- 凝固系・線溶系:凝固能低下、線溶系亢進
培養
- 血液培養
- カテーテルの先端(留置カテーテルがある場合)
治療 (ICU.644)
酸素投与
敗血症における組織の酸素化
- 敗血症では細胞の酸素摂取能が損なわれている → 重症敗血症患者の組織酸素濃度がなぜ健常者よりも高くなる (ICU.645)
- 重症敗血症や敗血症性ショックにおいては
敗血症における酸素摂取量(ICU.645)
初期蘇生
- 重症敗血症や敗血症性ショックの患者に対する最初の6時間の管理目標
- 1.中心静脈庄8-12mmHg
- 2.平均動脈庄≧65mmHg
- 3.尿量≧0.5 mL/kg/h
- 4.SVO2≧70% or SCVO2≧70%
- SVO2:混合静脈血酸素飽和度、肺動脈血酸素飽和度
- SCVO2:中心静脈血酸素飽和度、上大静脈血酸素飽和度
輸液負荷
- 1. 500-1,000mLの晶質液 or 300-500mLの膠質液を30分かけて投与
- 2. 初期蘇生の目標値に達するまで、または輸液過多寸前になるまで1)を行う。
昇圧薬(ICU.646)
- 1. 輸液負荷を行っても低血圧が持続する場合、ドパミン or ノルアドレナリンを投与
- ドパミン:5-20 ug/kg/min:心拍出量増加:腹腔内蔵機の血流減少
- ノルアドレナリン:0.2-1.3 ug/kg/min:心拍出量不変、血管収縮
- パソプレシン:0.01-0.04 U/min:血管収縮薬:心拍出量減少→心不全の既往で慎重
経験的抗菌薬治療(ICU.646)
- 重症敗血症や敗血症性ショックと診断したら1時間以内に抗菌薬を静脈内投与する
- 抗菌薬投与前に少なくとも2セットの血液検体を採取 → 血液培養&感受性検査のため
- イミペネム/メロペネムの単剤
- MRSAのリスクリスク有り:イミペネム/メロペネム + バンコマイシン/リネゾリド
コルチコステロイド(ICU.646)
- 昇庄薬を必要とするすべての敗血症性ショック患者に推奨
- ヒドロコルチゾン:200-300mg用を2-3回に分割して静脈内投与もしくは経口投与、7日間継続
- 副腎不全の改善
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- 英
- sis, pathy
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- ラ
- septicus、septic
- 関
- 敗血症、敗血性
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- 英
- coccus
- 関
- 細菌