出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/27 14:02:56」(JST)
グルココルチコイド受容体 (Glucocorticoid Receptor; GR) はステロイド受容体(核内受容体)スーパーファミリーに属する分子である。リガンド非結合時においては細胞質に優位に存在する。ステロイドホルモンであるヒドロコルチゾンに対する受容体として働く一方、リガンド依存的に核内移行して転写因子としても働く。GRにはGRαとGRβの2つのスプライシングバリアントが存在する。
ステロイド系抗炎症薬を参照。
GR遺伝子には9個のエキソンが存在し、3'末端側のエキソンの選択的スプライシングにより2種類のmRNAが産生される。それらが翻訳されてできたのがGRαとGRβである。
以下、ヒトのGR蛋白質について述べる。
GRαは777アミノ酸残基からなる蛋白質であり、全身の組織に広く分布している。特に肝臓や腎臓、骨格筋、脳などで発現が高い。免疫制御や抗炎症作用、肺の成熟、糖新生、アポトーシスなどに関与している。その構造中にはN末端側からN末端ドメイン,DNA結合ドメイン,ヒンジ領域,リガンド結合ドメインが存在する。GRβはC末側のリガンド結合ドメインの一部が欠損しており、リガンド結合能を持たない。このため、GRβはドミナントネガティブ体として働くことが知られている。
GRの機能はリン酸化、ユビキチン化などの翻訳後修飾により制御されている。
GRのリン酸化は大きく基底リン酸化(Basal Phosphorylation)と過剰リン酸化(Hyper Phosphorylation)に分けられる。過剰リン酸化はリガンド依存的に生じてGRの機能に影響を与えることから研究対象となることが多い。また、これらのリン酸化は細胞周期により制御されており、過剰リン酸化はS期に高く、G2/M期にはほとんど見られない。ヒトのGRの過剰リン酸化部位はN末端ドメインに5箇所存在し、全てSer残基である。
GRはリガンドが結合した後に翻訳後修飾としてリン酸化を受け、その後ユビキチン化を受けて分解を受けることが知られている。GRのプロテアソームによる分解はリガンドの結合によって生じた転写活性を制御するために存在する機構であると考えられている。
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一般的作動薬 | 受容体 | G protein subunit | 作用 |
アドレナリン ノルアドレナリン |
α1 | Gq | 血管平滑筋収縮 |
α2 | Gi | 中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制 | |
β1 | Gs | 心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解 | |
β2 | 骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出 | ||
β3 | 肥満細胞脂質分解亢進 | ||
アセチルコリン | M1 | Gq | 中枢神経 |
M2 | Gi | 心拍数低下 | |
M3 | Gq | 外分泌腺分泌亢進 | |
ドーパミン | D1 | Gs | 腎臓平滑筋弛緩 |
D2 | Gi | 神経伝達物質放出を調節 | |
ヒスタミン | H1 | Gq | 鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み |
H2 | Gs | 胃酸分泌 | |
バソプレシン | V1 | Gq | 血管平滑筋収縮 |
V2 | Gs | 腎集合管で水の透過性亢進 |
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