100H034

  • 16歳の女子。複視と歩行時のふらつきとを主訴に来院した。2週前に咽頭痛全身倦怠感および微熱を生じたが数日で軽快した。昨日、起床時に物が二重に見えることと歩行時のふらつきとを自覚し、徐々に症状が増悪してきた。水平方向の眼球運動制限を認め、左方視で複視が出現する。四肢で筋力は正常であるが、腱反射が消失している。血液検査では異常を認めない。脳脊髄液検査では細胞数は正常、蛋白は軽度の上昇を認める。
  • 適切な治療はどれか。2つ選べ。



[正答]


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★リンクテーブル★
国試過去問100H035」「100H033
リンク元フィッシャー症候群

100H035」

  [★]

  • 15歳の男子。右膝痛を主訴に来院した。3週前、走っていた際に突然右膝痛が出現した。安静によって一時軽快したが、1週前から痛みが再発し増悪傾向にある。初診時の右膝エックス腺単純写真と大腿骨遠位部の骨生検H-E染色標本とを以下に示す。
  • 診断はどれか。


[正答]


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100H033」

  [★]

  • 62歳の男性。最近、歩行と動作とが遅くなったため来院した。半年前から手が震えることに気付いていた。意識は清明。脳神経に異常はない。腱反射は正常で、病的反射はない。四肢に筋固縮を認め、安静時に左手の振戦を認める。
  • 可能性が高い疾患はどれか。2つ選べ。

[正答]


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フィッシャー症候群」

  [★]

Fisher syndrome, FS
ミラー・フィッシャー症候群 Miller-Fisher症候群 Miller-Fisher syndromeMiller Fisher syndromeFisher症候群
ギラン・バレー症候群ビッカースタッフ型脳幹脳炎全眼筋麻痺免疫介在性ニューロパチー

概念

  • ギラン・バレー症候群の亜型であり、抗GQ1b-ガングリオシド抗体が出現している。GQ1b-ガングリオシドを多く含むCN III, IV, VI, VIIが主に障害される。
  • 1956年Miller Fisherが報告。
  • ミラー・フィッシャー症候群(Miller-Fisher syndrome)ないしフィッシャー症候群(Fisher syndrome)は急性の外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失を三主徴とする免疫介在性ニューロパチーである。
  • 多くは上気道感染後に発症し、1-2週間進行した後に自然経過で改善に向かうという単相性の経過をとる。
  • 先行感染、髄液蛋白細胞解離などのギラン・バレー症候群と共通する特徴を有し、同症候群の亜型と考えられている。
  • フィッシャー症候群患者の80-90%において血清ガングリオシドGGQ1b IgG抗体が検出されており、この自己抗体が診断マーカーとなっている。
  • 眼運動神経(動眼・滑車・外転神経)に他の脳神経や脊髄前後根よりGQ1bが豊富に発現していることからGQ1b抗体が外眼筋麻痺に関与していると考えられている。
参考2
  • 三徴がそろわず、眼球運動障害のみ(急性外眼筋麻痺)や運動失調・腱反射低下のみ(急性失調性ニューロパチー)を呈する不全型が存在する。

病型

亜型

  • 典型的フィッシャー症候群:(約半数例)外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失
  • 不全型フィッシャー症候群:眼球運動のみ、運動失調と腱反射低下のみ

近縁疾患との関係・移行

疫学

  • 欧米よりアジアにて多い
  • 日本では、フィッシャー症候群例とギラン・バレー症候群例の和を分母とするとフィッシャー症候群例は全体の26%ないし34%といわれている。
  • ギランバレー症候群は年間10万人中1.5人発症すると言われているため、日本でのフィッシャー症候群は0.5%と推測されている。日本の50例における男女比は34:16と男性優位であり、平均発症年齢は40歳であったが、発症年齢は13-78歳とあらゆる年代に渡っており、地域差は認めなかった。

病因

先行感染

  • 平均潜伏期間(感染症状から神経症状発現まで):7日
  • 80-90%で先行感染が認められ、80%が上気道炎、4-25%で胃腸炎が先行する。
論文報告 n 先行感染 上気道炎 胃腸炎 発熱
2001 50 0.8 0.76 0.04 0.02
2008 466   0.76 0.25 0.02

病原体

  • 上気道炎:インフルエンザ桿菌
  • 胃腸炎 :カンピロバクター

病態生理

  • 自己抗体であるGQ1b IgG抗体がGQ1bの発現が高い眼神経運動、後根神経節大型感覚ニューロン、筋紡錘を障害するとの仮説が有力視されている。

症状

  • 初発症状:複視(外眼筋麻痺)、ふらつき(運動失調)
  • 三主徴:外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失

その他の症状

  • 脳神経
  • 瞳孔異常 42%
  • 眼瞼下垂 58%
  • 顔面神経麻痺 32%
  • 球麻痺 26%
  • 感覚
  • 四肢しびれ・異常感覚 24%
  • 表在覚低下 20%
  • 深部覚・振動覚低下 18%
  • 運動
  • 徒手筋力テスト4の筋力低下 20%

経過

  • 典型的フィッシャー症候群の自然経過での回復は良好である。
  • フィッシャー症候群患者50例の解析報告では、運動失調は発症から平均1ヶ月で、外眼筋麻痺は平均3ヶ月で消失した。発症から6ヶ月の段階で運動失調・外眼筋麻痺は48例で消失しており、2例で軽度の福祉が残存していた。
  • フィッシャー症候群92名の解析では免疫グロブリン治療群、血液浄化療法群、免疫治療を受けなかった群では、外眼筋麻痺、運動失調の改善・消失時期を比較したところ優位さは認められなかった。
  • 発症から6ヶ月の時点で眼球運動障害、運動失調はほとんどの例で消失。
  • 再発例の報告はすくなからずある。

鑑別診断

  • 急性の外眼筋麻痺
  • 運動失調をきたす脳幹・あるいは多発脳神経を侵す疾患が鑑別となる。




国試

参考

  • 1. 診断基準? Diagnostic and classification criteria for the Guillain-Barré syndrome.
  • Van der Meché FG, Van Doorn PA, Meulstee J, Jennekens FG; GBS-consensus group of the Dutch Neuromuscular Research Support Centre.SourceUniversity Hospital, Rotterdam, The Netherlands. vandermeche@neur.azr.nl
  • European neurology.Eur Neurol.2001;45(3):133-9.
  • BACKGROUND: Diagnostic criteria for the Guillain-Barré syndrome (GBS) have been available since 1978. Since then, several variants have been described. More recently, a distinction has been made between pure motor forms, severe sensory forms, primary axonal and primary demyelinating varieties. Asso
  • PMID 11306855
  • 2.Fisher syndrome: clinical features, immunopathogenesis and management.
  • Mori M, Kuwabara S, Yuki N.SourceDepartment of Neurology, Graduate School of Medicine, Chiba University, 1-8-1 Inohana, Chuo-ku, Chiba 260-8670, Japan. morim@olive.ocn.ne.jp
  • Expert review of neurotherapeutics.Expert Rev Neurother.2012 Jan;12(1):39-51. doi: 10.1586/ern.11.182.
  • Since Miller Fisher's first report in 1956, evidence has accumulated about clinical and laboratory features, immunopathogenesis and treatment of Fisher syndrome (FS). Our literature review revealed the nature of FS. It has relatively uniform clinical and laboratory features. Ophthalmoplegia, ataxia
  • PMID 22149656