出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/06 22:23:18」(JST)
2-プロパノール | |
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IUPAC名
propan-2-ol |
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別称
イソプロピルアルコール
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 67-63-0 |
KEGG | D00137 |
SMILES
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特性 | |
化学式 | C3H8O |
モル質量 | 60.10 g/mol |
外観 | 無色液体 |
密度 | 0.78084 g/cm3, 液体 (25 ℃) |
融点 |
−89.5 ℃ |
沸点 |
82.4 ℃ |
酸解離定数 pKa | 16.5 |
屈折率 (nD) | 1.3749 (25 ℃) |
粘度 | 1.77 mPa s (30 ℃) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
2-プロパノール(2-propanol)は分子式はC3H8O、示性式はCH3CH(OH)CH3と表される、第二級アルコールの一種である。プロパノールの2種類の構造異性体のうちの一つである。
IUPAC命名法により名付けられる化合物名には、化合物の構造から系統的に決まる組織名(系統名)と、いくつかの基本的な化合物や構造に使用が認められた慣用名(許容慣用名とそれ以外)とがある。この化合物の場合は2-プロパノール(2-propanol)、プロパン-2-オール(propan-2-ol)が組織名で、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、基官能命名法)は慣用名から誘導した化合物名である。IUPAC命名法では双方とも利用は認めているが、組織名(2-プロパノール)を使用することを推奨している。また、許容慣用名は化合物名の誘導に際して制限される場合が多い[要出典]。
IUPAC命名法によらない化合物名として、「s-プロピルアルコール」、「sec-プロピルアルコール」(secondary propyl alcohol)と呼ばれることもあるが、今日では使用は推奨されていない。日本薬局方では「イソプロパノール」という名称で規定されているが、この名称もIUPAC命名法に反する。
無色透明で芳香を帯びた液体で、可燃性であり、引火点 11.7℃(常温で引火する)、発火点460 ℃ である。ヒドロキシ基による水素結合性を持つことから水、アルコールなどの極性溶媒に溶ける。同時に、相対的に大きな疎水性基(イソプロピル基)を持つためにエーテルなどの非極性溶媒にも溶ける両親媒性を示す。またCH3CH(OH)を構造中に持つためヨードホルム反応を示す。
酸化するとアセトン、還元するとプロパンとなる。メールワイン・ポンドルフ・バーレー還元、あるいはベンゾフェノンなどの光化学的還元反応において、還元剤兼溶媒としてはたらく。第二級アルコールは光の作用で空気中の酸素と反応して、微量ながら過酸化物として過酸化アセトンを生じる。2日間、日光に晒すと過酸化物の濃度が0.003 mol/Lから0.026 mol/Lにも達した事例がある。[要出典]環状イミドオキシム触媒などを用いて、積極的に酸化させて過酸化水素を製造する手法が研究されている。
1-プロパノール(n-プロピルアルコール)の構造異性体で、物性、化学反応性は異なる。
アセトン合成の中間原料やグリセリンの合成原料としても用いられる。キシレンなどの有機溶剤にくらべ環境負荷が小さく、印刷用・文具用インクの基材として利用されている。プラスチック(アクリル樹脂)やゴムを侵す場合もある。
医療機関等で消毒用としてエタノールと並び広く利用されている。エタノールより殺菌できる菌種は少ないが酒税がかからないため安価である。エタノールに比べてやや毒性と刺激性が強いため、手指や器具の消毒程度が目安である。エタノールに、2-プロパノールや添加物を混ぜている製品があるが、これは酒税を回避する措置である。
湿式のVHS/CD/DVDレンズクリーナーのクリーニング液、コピー機のコンタクトガラスやレンズの洗浄液として利用される。
自動車等の燃料タンク内に入り込んだ水分を排出するための添加剤として、2-プロパノールが主成分に利用されている。2-プロパノールは水と油分の両方に親和性があることから、混入した水分を燃料中に乳化させて燃焼室に送り、燃焼あるいは蒸発させて水分を排出する。親水性かつ親油性で水分を含んでいなければ良く、無水エタノールでも同様の効果がある。自動車のガソリンや軽油の燃料タンク、灯油の屋外設置型タンクで使用される。用途や商品によっては防錆剤やエンジン保護剤、イソブチルアルコール(軽油用)を混合している物もある。
燃料タンク内の水分は、タンクの中の空気に含まれる水分が気温の低下とともに結露してタンクの底に溜まる場合がある。特に重力による自然流下によって燃料を供給するタンクでは燃料タンクの蓋に小さな通気口が設けられていて、蒸散したガソリンが大気中に流れ出すと同時に外気も入り込んでくるため、水分の結露が発生しやすい。こうした水分がタンクに溜まることはタンク内壁の錆を招く可能性があるとして、水抜き剤が製品化された。とはいうものの、自動車は基本的にタンク底面からポンプでガソリンを汲み上げる構造であり、乗車中はタンクが撹拌されているため、底面に溜まった水分がガソリンと同時に燃焼されるので問題は起きにくい。
2-プロパノールをはじめとするアルコール類は、濃度が高い場合はゴムや樹脂(アクリル樹脂)を膨潤させて劣化させる性質を持つため、水抜き剤には燃料に対する添加濃度が指定されている。
前述の自動車用脱水剤を流用することが多い。特にABS樹脂が素材に使われているものは、ラッカーで剥離するとひび割れ等によるダメージが大きいが、2-プロパノールの場合はひび割れ破損のリスクが小さい。数時間から1週間ほど漬け込み、歯ブラシなどでこすると剥離できる。[独自研究?]
塗装剥離のために2-プロパノールをケースに入れたものはしばしば「IPA槽」と呼ばれ、慣例的に「シンナープール」、イソプロピルアルコールの語感をもじった「磯風呂」と呼ばれることもある[独自研究?]。
フーゼル油を分留することで得られる1-プロパノールとは異なり、プロピレンの水和反応(水分子付加反応)でほぼ100 %生産されている。水和反応には 2種類あり、日本国内では酸化タングステンや酸化チタンなどの金属酸化物を触媒として用いる直接水和法が多用されている。2000年の日本国内における生産量は 15万トンである。もう一つは硫酸化後に加水分解を行う間接水和法であり、世界的には間接水和法が主力である。1920年、最初に工業的な合成が始まったときから採用されている伝統的な製法でもある。硫酸を媒介とする水和反応は求電子的付加反応の形式で進行する。
C3H6 + H2O = CH3CH(OH)CH3
日本国内における生産動態が「イソプロピルアルコール」の名称で経済産業省により集計されており、2014年度の生産量は 16,476 t、消費量は 72 t である[1]。
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リンク元 | 「消毒用アルコール」「イソプロピルアルコール」「2-propanol」 |
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