- 英
- fluorescein
- ラ
- fluoresceinum natricum
- 化
- フルオレセインナトリウム fluorescein sodium
- 同
- フルオレセン、フルオレッセイン、ウラニン uranin
- 商
- (試験用紙)フローレス、(静注)フルオレサイト
- 関
- 緑膿菌、フルオレセインイソチオシアネート
臨床関連
WordNet
- a yellow dye that is visible even when highly diluted; used as an absorption indicator when silver nitrate solution is added to sodium chloride in order to precipitate silver chloride (turns pink when no chloride ions are left in solution and negative fluorescein ions are then absorbed) (同)fluoresceine, fluorescent_dye, resorcinolphthalein
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/23 17:54:52」(JST)
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フルオレセインイソチオシアネート |
|
別称
Fluorescein-5-isothiocyanate
|
識別情報 |
略称 |
FITC |
CAS登録番号 |
27072-45-3 |
PubChem |
18730 |
日化辞番号 |
J205.408F |
- C1=CC2=C(C=C1N=C=S)C(=O) OC23C4=C(C=C(C=C4)O)OC5=C3C=CC(=C5)O
|
特性 |
化学式 |
C21H11NO5S |
モル質量 |
389.38 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フルオレセイン (fluorescein) は顕微鏡観察に用いられる蛍光色素の一種である。他にも色素レーザーの媒体、法医学や血清学における血痕の探索、色素追跡(英語版)用途などに広く利用されている。
目次
- 1 概要
- 2 化学的・物理的特性
- 3 誘導体
- 4 合成
- 5 利用
- 5.1 入浴剤
- 5.2 河川での利用
- 5.3 生物学
- 5.4 眼科学
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
概要
フルオレセインは1871年、アドルフ・フォン・バイヤーにより発見された。フルオレセインの吸収極大は波長 494nm(青色光)、放出する蛍光の極大は 521nm(緑色光、水中)であり、励起にはアルゴンレーザーなどが利用できる。また等吸収点(全てのpHで等しい吸収を示す点)を 460nm に持つ。フルオレセインには「レソルシノールフタレイン」など多くの別名や慣用名がある。着色料としては「D&Cイエロー7」および「D&Cイエロー8」(二ナトリウム塩)の名で知られている。
化学的・物理的特性
フルオレセインの電離平衡における pKa は 6.4 である。従ってフルオレセインは pH 5 ~ 9 の範囲で pH 依存性の吸収と蛍光放出を示す。また、プロトン化/脱プロトン化されたフルオレセインの蛍光寿命はおよそ 3 ~ 4 ns であり、これを利用して pH を測定することもできる。この寿命は時間相関単一光子計数法 (time-correlated single photon counting; TCSPC) や蛍光寿命測定装置によって知ることができる。
誘導体
フルオレセインには、フルオレセインイソチオシアネート (fluorescein isothiocyanate; FITC) に代表される多くの誘導体が存在する。FITCはフルオレセインの水素原子の一つをイソチオシアネート基で置換した化合物(右図参照)であり、この部位でチオ尿素結合を形成し、細胞内タンパク質の第一級アミンと結合する。また、フルオレセイン骨格にスクシンイミジルエステルを付加したN-ヒドロキシスクシンイミド (N-hydroxysuccinimide; NHS) フルオレセインもアミンに対する結合性を持っており、良く用いられる化合物の一つである。
その他の誘導体としては、オレゴングリーン、トーキョーグリーン[1]、SNAFL、カルボキシフルオレセイン、カルボキシフルオレセインジアセテート (carboxy fluorescein diacetate; CFDA) などがある。これらの誘導体はAlexa (Molecular Probes) や DyLight(ピアス社)といった新参の色素と共に、より高い光安定性、多彩なスペクトル特性・結合特性が要求される化学・生物学用のアプリケーションに仕立てられ、利用されている。
合成
フルオレセインの合成は無水フタル酸とレソルシノールを反応物とし、塩化亜鉛の存在下でフリーデル・クラフツ反応を経て行われる。
反応触媒としては、塩化亜鉛の他にスルホン酸も用いられる。
利用
ランブル鞭毛虫のシスト。A:微分干渉像、BDE赤:シスト壁(フルオレセイン)、CDE緑:シスト (CFDA)
入浴剤
フルオレセインは入浴剤に添加する着色料として使われる。日本におけるこのような使用例については、薬事法の規定に基づいた、医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令によって黄色201号として指定されている。
河川での利用
フルオレセインの最も大々的な利用は聖パトリックの祝日に見られる。シカゴ川にこの色素を投入して緑色に染めるのである。1962年には実に 45kg のフルオレセインが投入されているが、2005年では 18kg に減っている。他に、水溶性のフルオレセインを雨水に添加して、環境中での水の行方や水漏れを追跡するなどの用法もある。オーストラリアやニュージーランドでは変性アルコールの検出にも使われている。
生物学
細胞生物学や免疫組織化学において、前述のようなイソチオシアネート化合物は細胞の標識と追跡に用いられ、蛍光顕微鏡やフローサイトメトリーに使われる。生物学的に活性のある分子(抗体など)を付加したフルオレセインも普及しており、細胞内の特定のタンパク質や微細構造を標識する用途で利用されている。
また、フルオレセインは核酸と結合させてハイブリダイゼーション用のプローブとしても利用される(→FISH法)。これらのアプリケーションではフルオレセインと共にジゴキシゲニンも良く使われ、単一サンプルの多重染色では併用される事も多い。
眼科学
フルオレセインナトリウムは眼科学における診断試薬として広く使われている。溶液を眼に滴下したり、静脈に注射したりする事によって血管造影を行う。フルオレセイン点眼は角膜の擦過傷、潰瘍、角膜ヘルペス、ドライアイなどの診断に効果的である。一方造影は加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、眼内の炎症・腫瘍などの識別に利用される。
脚注
- ^ Urano Y, Kamiya M, Kanda K, Ueno T, Hirose K, Nagano T Evolution of Fluorescein as a Platform for Finely Tunable Fluorescence Probes. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127 (13), 4888-94. DOI: 10.1021/ja043919h.
関連項目
- 染色 (生物学)
- 緑膿菌 - フルオレセインを産生する細菌
外部リンク
- 蛍光はどのようにして光が出るのですか?(キリヤ化学)
- フルオレセインの電離(Invitrogen、英語)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 若年者の虚血型網膜中心静脈閉塞症に対する放射状視神経乳頭切開術の長期経過
- 東 寛子/山本 香織/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E273-E279, 2012-01-31
- … フルオレセイン蛍光眼底造影では、腕網膜循環時間の遅延(30秒) 、造影早期から網膜血管透過性亢進を高度に認め、網膜周辺に無灌流領域を広範囲に認め、虚血型CRVOと診断した。 …
- NAID 110008767991
- レーザースペックルフローグラフィーにより血行動態を観察した特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に合併した切迫型網膜中心静脈閉塞症の1例
- 新井 歌奈江/小暮 朗子/小野 まどか/田村 明子/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E254-E259, 2012-01-31
- … 視力は良好であったが、左眼網膜静脈は拡張、蛇行し、フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)にて腕網膜時間の遅延を認めた。 …
- NAID 110008767987
Related Links
- フルオレセインは古くから知られている蛍光物質で,極大吸収波長494 nm,極大蛍光波長521 nmの緑色蛍光を発します。イソチオシアナート基を有する1,2,3は,標識対象のアミノ基やチオール基と速やかに反応して結合することから ...
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - フルオレセインの用語解説 - 化学式 C20H12O5 。黄赤色ないし赤色の粉末。融点 314~316 。水,ベンゼン,クロロホルム,エーテルに不溶で,熱アルコール,酢酸に可溶。アルカリ水溶液は淡い ...
- 概要 眼科疾患に用いられる造影剤(色素)にはフルオレセインとインドシアニングリーンがあり、特殊なフィルターを通した光をあてると蛍光を発する性質を持っています。これらを用いた検査が蛍光眼底造影です。腕の静脈に造影剤 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フルオレサイト静注500mg
組成
有効成分の名称
5mL中含量
添加物
- 水酸化ナトリウム 150mg
pH調節剤2成分 適量
禁忌
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- 全身衰弱の患者[全身状態がさらに悪化し、重篤な副作用が発現するおそれがある。]
- 重篤な糖尿病の患者[重篤な副作用が発現するおそれがある。]
- 重篤な心疾患のある患者[重篤な副作用が発現するおそれがある。]
- 重篤な脳血流障害のある患者[重篤な副作用が発現するおそれがある。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
- 肝硬変の患者[重篤な副作用が発現するおそれがある。]
効能または効果
- ぶどう膜・網膜・視神経等の疾患の診断
- フルオレセインとして、通常200〜500mgを肘静脈に注射する。
- 本剤は静脈内にのみ使用し、髄腔内への使用は重篤な副作用が発現する可能性があるので使用しないこと。
慎重投与
- 肝障害のある患者[一部肝臓から胆汁中に排泄され、症状を増悪させるおそれがある。]
- 腎障害のある患者[主たる排泄経路は腎臓であるので、排泄遅延から血中濃度が上昇するおそれがある。]
- 重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症の患者[症状を増悪させるおそれがある。]
- アレルギー素因のある患者
- 重篤な高血圧症の患者[血圧の変動を起こすおそれがある。]
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状
- ショック (0.1%未満)、アナフィラキシー様症状 (頻度不明) 等があらわれることがあるので、投与後においても観察を十分に行い、発赤、そう痒感、胸内苦悶、血圧低下、顔面蒼白、脈拍異常、呼吸困難、意識消失等の症状があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
,*心停止
- 心停止 (頻度不明) が起こることがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、異常が生じた場合は、直ちに心マッサージ、アドレナリン等のカテコールアミン投与等の蘇生処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- フルオレセイン (Fluorescein) (JAN)
化学名
- 3',6'-dihydroxyspiro[isobenzofuran-1(3H),9'-[9H]xanthen]-3-one
分子式
分子量
性状
- フルオレセインはだいだい色の粉末で、においはない。
エタノール (95) 又は水酸化ナトリウム試液に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 52歳の女性。眼精疲労を主訴に来院した。 10年前から両眼の異物感があった。視力は右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。眼圧は右12mmHg、左12mmHg。Schirmer試験は右1 mm、左1 mm(基準10-15)。フルオレセイン染色下での細隙灯顕微鏡検査にて角膜に点状の上皮欠損を認める。眼底に異常を認めない。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A035]←[国試_105]→[105A037]
[★]
- 50歳の男性。数日前からの右眼の視力低下と痛みとを主訴に来院した。視力は右0.3(矯正不能)、左1.2(矯正不能)。右前眼部写真とフルオレセイン生体染色前眼部写真とを以下に示す。
- 左眼に異常はみられない。この疾患でみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D054]←[国試_096]→[096D056]
[★]
- 英
- fluorescein、fluorescein sodium
- 関
- フルオレッセイン、フルオレセイン、フルオレセインナトリウム、フルオレセンナトリウム
[★]
フルオレセイン。フルオレセインナトリウム
[★]
- 英
- fluorescein staining test
- 関
- フルオレセイン
- 上皮障害部位にフルオレセインが貯留するために上皮欠損部位を知ることができる。
[★]
- 英
- fluorescein isothiocyanate、FITC
- 関
- フルオレッセインイソチオシアネート、フルオレセイン-5-イソチオシアネート
[★]
- 同
- フルオレセイン蛍光眼底検査?
- 関
- 脈絡膜フラッシュ、蛍光眼底造影、フルオレセイン