アルデヒドデヒドロゲナーゼ
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/30 00:18:32」(JST)
[Wiki ja表示]
アルデヒドデヒドロゲナーゼ (aldehyde dehydrogenase、ALDH) はアルデヒドを酸化してカルボン酸にする反応を触媒する酵素である。
生物に普遍的に存在し、ヒトには17種類のALDHファミリータンパク質が存在する[1]。
ヒトのALDHの例 [編集]
- ALDH1A (RALDH)
- レチナールの酸化によりレチノイン酸を作り出す酵素。レチノイン酸はビタミンAが生体内で働く際の本体で、目や骨の形成など様々な分化過程に関わる。このため、ALDH1A の機能に異常があると正常に発生が進行しない。分子量は約 55 kDa。四量体として機能する。ALDH1A1 (RALDH1)、ALDH1A2 (RALDH2)、ALDH1A3 (RALDH3) の3種があり、それぞれ異なった組織発現様式を示す。
- ALDH2 (ALDH I)
- 肝臓、心臓、腎臓、筋肉に多く存在する。細胞内ではミトコンドリアに局在するがミトコンドリアDNAにコードされるミトコンドリア遺伝子ではなく核ゲノム遺伝子に由来する。一般にアルコールに弱い人はアルコールに強い人に比べて持っている ALDH2 の活性が弱い。
- ALDH2 遺伝子には少なくとも4種の対立遺伝子が報告されているが、日本人が一般に持つのは ALDH2*1 と ALDH2*2 で、ALDH2*2 が機能喪失型。四量体として機能し、ALDH2*2 を持つ複合体は機能を持たないため、ヘテロ接合型でも ALDH2 の活性が極端に下がる。
- ALDH9A1
- γ-アミノブチルアルデヒドから神経伝達物質であるγアミノ酪酸 (GABA) を作る。494 アミノ酸、分子量 54 kDa。四量体として機能する。
- 肝臓、副腎、腎臓で高い酵素活性が認められた一方で、ノーザンブロットでは筋肉で最も高いmRNAの存在が確認された[2] 。同様にノーザンブロットにより、脳の中では脊髄で最も高い発現がみられた[3]。
脚注 [編集]
- ^ Sladek, N. E. (2003). "Human aldehyde dehydrogenases: potential pathological, pharmacological, and toxicological impact". J. Biochem. Mol. Toxicol. 17: 7–23.
- ^ Izaguirre, G.; Kikonyogo, A.; Pietruszko, R. (1997). "Tissue distribution of human aldehyde dehydrogenase E3 (ALDH9): comparison of enzyme activity with E3 protein and mRNA distribution". Comp. Biochem. Physiol. B. Biochem. Mol. Biol. 118: 59–64.
- ^ Kikonyogo, A.; Pietruszko, R. (1996). "Aldehyde dehydrogenase from adult human brain that dehydrogenates gamma-aminobutyraldehyde: purification, characterization, cloning and distribution". Biochem. J. 316: 317–324.
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 3P-1068 試験管内遺伝子改変法によるホルムアルデヒド脱水素酵素の熱安定化(2a酵素学,酵素工学,一般講演,酵素学,タンパク質工学および酵素工学,伝統の技と先端科学技術の融合)
- 40.アセトアルデヒド吸入曝露によりアルデヒド脱水素酵素2ノックアウトマウス臓器におけるDNA付加体数は上昇する(第27回産業医科大学学会総会 学術講演会記録)
- 小山 倫浩,PHAM Thi Thu Phuong,余 旭勝,田中 政幸,川本 俊弘
- 産業医科大学雑誌 32(1), 120, 2010-03-01
- NAID 110007588902
Related Links
- 2型アルデヒド脱水素酵素 » アセトアルデヒドを分解する主要な酵素。日本人には酵素の働きが弱いひとが多く、少量の飲酒でフラッシング反応を起こし飲酒量が抑制される。
- これを決定するのはアルコール分解能で、具体的にはアルコール脱水素酵素1B(ADH1B)とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の活性だ。体内に入ったアルコールはADH1Bによって毒性の強いアルデヒドに代謝される。
- アセトアルデヒドを酢酸に代謝するALDH(アルデヒド脱水素酵素)には、ALDH1 と、ALDH2の、二つのアイソザイムが、存在する。 ALDH1は、ミトコンドリア外の細胞質に存在するので、アセトアルデヒド(飲酒に際して、エタノールが K ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- drug metabolism
- 関
薬物代謝の過程
1. 第1相反応:酸化oxidation、還元reduction、加水分解hydrolysis
- oxygenases
- -OH, -COOH, SH, -O=, -NH2を付与
- 生物学的性質の不活化
2. 第2相反応:抱合conjugation
- transerases
- 可溶化。分子量の増加→腎排泄されやすくなる
生物異物代謝 (GOO.73)
[★]
- 英
- aldehyde dehydrogenase ALDH
- 同
- アルデヒド脱水素酵素
- 関
- アセトアルデヒド、エタノール
[★]
- 英
- aspartate-semialdehyde dehydrogenase
- 関
- アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ
[★]
- 英
- malonate-semialdehyde dehydrogenase
- 関
- マロン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ
[★]
- 英
- enzyme, ferment
- 関
- 酵素反応
酵素の分類
- (a)酸化還元酵素(oxydoreductase) EC1:ある物質を酸化したり、還元したりします。脱水素酵素、ペルオキシダーゼなどを含みます。
- (b)転移酵素(transferase) EC2: アミノ基やリン酸基などをある物質から別の物質に転移する酵素です。アミノ基を転移する酵素はアミノトランスフェラーゼと呼ばれます。
- (c)加水分解酵素(hydrolase) EC3:ある物質(基質)に水(H2OのうちHとOH)を加えることにより、2つに分解します。多くの蛋白分解酵素が含まれます。
- (d)リアーゼ(lyase) EC4:ある物質を2つに分解します。
- (e)イソメラーゼ(isomerase) EC5:ある基質を異性体に変換します。
- (f)リガーゼ(ligase) EC6;ATPのエネルギーを使って2つの物質を結合します。
[★]
- 英
- dehydrogenase
- 同
- デヒドロゲナーゼ