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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/12 12:58:32」(JST)
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急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん、英:acute haemorrhagic conjunctivitis )は、アフリカのガーナが発祥の目の病気。エンテロウイルス70またはコクサッキーA24変異株によって引き起こされる結膜炎。別名はアポロ病 (Apollo disease )[1]。
症状
1969年夏の大流行時には、結膜が出血し、赤く腫れ上がり眼痛、頭痛、発熱を発症。また、小児マヒのように筋力低下を引き起こし、運動マヒによる後遺症が残される場合も報告された。その後、ウイルスの変異によって結膜下出血のような症状が出ることは稀となり、アデノウイルスによる流行性結膜炎同様の経過をたどり、1週間程度で治癒することが一般的となった[1]。
病原体
病原体は、エンテロウイルス70。日本人科学者によって原因ウイルスが発見された[1]。非常に伝染力が強く、当時は特効薬、予防法が確立されていなかった。結膜炎の病気は数日で治る病気であり、日本のような生活環境が優れた場所では、大きな広がりは見せないとされていたが、一部の地域では集団感染が報告されている。
「アポロ病」
1969年夏の大流行時は、アメリカの人工衛星アポロ11号が月の着陸を終えて、地球への帰還で人々が熱狂・興奮していた時期であった。当時は月に固有の微生物やウイルス等が全く存在しないという確証はなかったので、帰還した飛行士たちは3週間のあいだ厳重な隔離下におかれ、検査と経過観察を受けたほどであった。そのことと同時期に大流行が起きたため、「アポロ11号が月から病原体を持ち込んだ」というデマが流れ、俗にアポロ病と呼ばれた。
脚注
- ^ a b c 高村悦子 (2003年1月1日). “ウイルス性結膜炎:7.急性出血性結膜炎”. 目についての健康情報. 日本眼科医会. 2010年9月20日閲覧。
日本の感染症法における感染症 |
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一類感染症 |
エボラ出血熱 - クリミア・コンゴ出血熱 - 痘そう - 南米出血熱 - ペスト - マールブルグ病 - ラッサ熱
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二類感染症 |
急性灰白髄炎 - 結核 - ジフテリア - 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) - 鳥インフルエンザ(H5N1)
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三類感染症 |
コレラ - 細菌性赤痢 - 腸管出血性大腸菌感染症 - 腸チフス - パラチフス
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四類感染症 |
E型肝炎 - ウエストナイル熱 - A型肝炎 - エキノコックス症 - 黄熱 - オウム病 - オムスク出血熱 - 回帰熱 - キャサヌル森林病 - Q熱 - 狂犬病 - コクシジオイデス症 - サル痘 - 腎症候性出血熱 - 西部ウマ脳炎 - ダニ媒介脳炎 - 炭疽 - チクングニア熱 - つつが虫病 - デング熱 - 東部ウマ脳炎 - 鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ(H5N1)を除く) - ニパウイルス感染症 - 日本紅斑熱 - 日本脳炎 - ハンタウイルス - Bウイルス病 - 鼻疽 - ブルセラ症 - ベネズエラウマ脳炎 - ヘンドラウイルス感染症 - 発しんチフス - ボツリヌス症 - マラリア - 野兎病 - ライム病 - リッサウイルス感染症 - リフトバレー熱 - 類鼻疽 - レジオネラ症 - レプトスピラ症 - ロッキー山紅斑熱 - 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)
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五類感染症 |
アメーバ赤痢 - ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) - 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) - クリプトスポリジウム症 - クロイツフェルト・ヤコブ病 - 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 - 後天性免疫不全症候群 - ジアルジア症 - 先天性風しん症候群 - 梅毒 - 破傷風 - バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - バンコマイシン耐性腸球菌感染症 - 風しん - 麻しん - 侵襲性インフルエンザ菌感染症 - 侵襲性髄膜炎菌感染症 - 侵襲性肺炎球菌感染症 - RSウイルス感染症 - 咽頭結膜熱 - A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 - 感染性胃腸炎 - 水痘 - 手足口病 - 伝染性紅斑 - 突発性発しん - 百日咳 - ヘルパンギーナ - 流行性耳下腺炎 - インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) - 急性出血性結膜炎 - 流行性角結膜炎 - 性器クラミジア感染症 - 性器ヘルペスウイルス感染症 - 尖圭コンジローマ - 淋菌感染症 - クラミジア肺炎(オウム病を除く) - 細菌性髄膜炎 - マイコプラズマ肺炎 - 無菌性髄膜炎 - ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 - 薬剤耐性アシネトバクター感染症 - 薬剤耐性緑膿菌感染症
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Japanese Journal
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- acute hemorrhagic conjunctivitis AHC
- 同
- アポロ11病 Apollo 11 disease、アポロ病 Aporo disease
- 関
- エンテロウイルス
法令
病原体
潜伏期
症状
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俗称
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病原体
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好発年齢
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季節性
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潜伏期
|
症状
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感染症法
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学校保健安全法
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出席停止
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流行性角結膜炎
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EKC
|
はやり目
|
アデノウイルス8型
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なし
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春~夏
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1-2週間
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漿液性の目脂、流涙、羞明。乳幼児では発熱、感冒様症状、下痢、眼瞼結膜に偽膜形成。 眼瞼:腫脹。結膜:充血、浮腫、結膜の小出血斑。角膜:(発症約10日後)点状上皮下混濁。リンパ節:耳前リンパ節腫脹
|
五類感染症(眼科定点)
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第三類
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医師が感染のおそれがないと認めるまで
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咽頭結膜熱
|
PCF
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プール熱
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アデノウイルス3,4,7型
|
小児
|
夏(基本的に通年)
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1週間
|
発熱、咽頭炎、結膜炎
|
五類感染症(小児科定点)
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第二種
|
出席停止は主要症状が消退した後二日を経過するまで
|
急性出血性結膜炎
|
AHC
|
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コクサッキーウイルスA群24型、エンテロウイルス70型
|
成人
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なし
|
1-2日
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結膜下出血を伴う急性濾胞性結膜炎
|
五類感染症(眼科定点)
|
第三類
|
医師が感染のおそれがないと認めるまで
|
[★]
- 英
- apo
- 関
- アポリポタンパク質、アポリポ蛋白、アポリポ蛋白質、アポリポタンパク
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患