- 英
- infectious mononucleosis
- 同
- キス病 kissing disease、伝染性単核症、EBウイルス感染症 Epstein-Barr virus infection、腺熱 glandular fever
- 関
- 単核球症、EBウイルス
概念
疫学
- 多く(90%以上)は幼児期に初感染し、無症状(不顕性感染)か軽症である。
- 学童期から青年期(14-18歳)に多い。成人になってからの初感染では症状が出る。 → 肝炎様症状
- 日本では成人の80%が既感染者。健常者咽頭粘液:10-20%陽性
潜伏期間
- 4-6週(YN.H-75, ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
病原体
感染経路
病態
- 飛沫感染 → 咽頭粘膜上皮細胞やリンパ組織で増殖 → Bリンパ球を介して全身に散布 → 増殖能を獲得したBリンパ球によるIgの産生(ポール・バンネル反応、ペニシリンアレルギーと関連)・腫瘍化したBリンパ球対して活性化した細胞障害性T細胞(異型リンパ球)の増加
- EBウイルスがB細胞に感染して癌化させる。ガン化にはEBウイルスが産生する核内抗原(EBNA)と表面抗原(LMA)が重要な役割りを果たす。ガン化したB細胞に対する傷害性T細胞が異型リンパ球として観察される。
経過
- その後、EBウイルスは持続感染する
症候
- 発熱、全身性リンパ節腫脹、絶対的リンパ球増加(10%以上の異型リンパ球)
- 発熱(1-2週間持続,90%)、扁桃炎・咽頭炎(咽頭痛・嚥下困難、発赤・腫脹)、全身性リンパ節腫脹(圧痛)、肝脾腫(10-50%)、結膜の充血、麻疹様・風疹様の発疹(10-40%)
- 扁桃炎・咽頭炎は溶連菌による扁桃炎に似て発赤が強く膿苔を伴うことが多い (SPE.340) → 扁桃白苔とも表現される(滲出性扁桃炎の所見)
- リンパ節腫脹:
- 年齢と共に咽頭、頸部リンパ節腫脹の所見は低下する。40歳以下で頸部リンパ節腫脹94%, 扁桃腺腫大84%, 40歳以上では頸部リンパ節腫脹47%, 扁桃腫大43%
- 後頸部リンパ節腫脹(陽性尤度比 3.1 95%CI 1.6~5.9)
検査
血算
- 末梢血白血球↑、
単核球↑?:白血球分画のリンパ球・単核球?が60%以上となる。 ← Bリンパ球で増殖するため減少、Tリンパ球は反応性に増殖
- 末梢血異型リンパ球(~50%)
- IMにおける異型リンパ球の陽性尤度比
異型リンパ球
|
陽性尤度比
|
95% CI
|
≧10%
|
11.4
|
2.7~35
|
≧20%
|
26
|
9.6~68
|
≧40%
|
50
|
38~64
|
- まれ:溶血性貧血、血小板減少症、再生不良性貧血、TTP、HUS、DIC (QB.H-196 参考1) ← 時に見られる造血系の異常は、EBウイルスにたいする抗体との交差反応によるもの、らしい(参考1)
免疫血清検査
- 1. ペア血清:VCA-IgM↑、VCA-IgG↑ ← VCA-IgMは一過性上昇 ← 急性期に上昇
- VCAとはウイルスキャプシド抗原(virus capsid antigen)
- 陽性→潜伏感染
- EBNA抗原はゆっくりと上昇し3ヶ月後に陽転する。3-6週後に陽転(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
肝臓酵素
- 肝逸脱酵素↑:AST、ALT、ALP、γ-GTP。ビリルビンも上昇する。
- 肝障害は80-90%の例にみられる。
診断
- 若年者の場合はCMVとEBVの両方を考慮して血清学的検査(VCA-IgG, VCA-IgM, EBNA, CMV-IgG, CMV-IgM)を提出する。
- トランスアミナーゼ上昇が認められているので、肝胆膵をスクリーニングするために腹部エコーを行うと良いのかもしれない。
鑑別診断
治療
- 特異的治療法無し
- 対症療法:解熱薬や肝庇護薬の投与、輸液など
合併症
注意
- ペニシリン系・セフェム系薬物の投与は禁忌:発疹などのアレルギー反応が起こる
- ペニシリン系抗菌薬では30-100%の割合で皮疹が生じるが、その際にはセフェム系抗菌薬を使う方がよいとされている(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
予防
予後
参考
- 1. [charged] Infectious mononucleosis in adults and adolescents - uptodate [1]
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/13 05:49:42」(JST)
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伝染性単核球症 |
分類及び外部参照情報 |
伝染性単核球症で見られる異型リンパ球
|
ICD-10 |
B27.0 |
ICD-9 |
075 |
DiseasesDB |
4387 |
MedlinePlus |
000591 |
eMedicine |
emerg/319 med/1499 ped/705 |
MeSH |
D007244 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう、英: IM; Infectious mononucleosis)または伝染性単核症とは、主にEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス・EBV)の初感染によって生じる急性感染症。 侵入門戸は、口移しやディープキス等の唾液感染である。 日本では2~3歳までの感染が70%を占め、 20代では90%以上がこのウイルスの抗体を持つ。アメリカでは幼児期の感染率は20%で、多くは思春期・青年期で感染する。 思春期以降は唾液を介するディープキスによって伝染することがほとんどのため「キス病」とも言われる。EBウイルスは唾液に生息するため、唾液を介さない行為では感染しない。 感染する時期(年齢)によって症状の現れ方が異なり、乳幼児期では不顕性(ふけんせい)感染(病原菌に感染しても症状が現れない)が多く、思春期以降では感染者の約半数に本症がみられる。 EBウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生にわたって共存する。そのため、急性感染症以外にもいろいろな病気を引き起こす。まれに輸血などにより血液を介して感染する場合もある。
本稿では、EBウイルスによる伝染性単核球症を中心に述べる。
目次
- 1 歴史
- 2 原因
- 3 症状
- 4 検査
- 4.1 血球算定、血液像
- 4.2 生化学
- 4.3 血清診断
- 5 治療
- 6 予後
- 7 出典
歴史
1889年にドイツ人小児科医のエミール・ファイファーによって一連の症候群として初めて報告され、欧州では「ファイファー病」として知られている。
原因
多くはEBウイルスの初感染によって生じる。しかし小児期に感染すると症状を伴わない(不顕性感染)ことが多く、成人期には80%以上の人が抗体を有しているため[1]、発症するケースとしては成人期に初感染した場合が多い。
また、EBウイルス以外にはサイトメガロウイルス、エイズウイルスによっても生じる。
症状
一般に、発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹の三徴と特徴とする。
1~2歳程度の幼少児の初感染では、発熱と口蓋扁桃の膿栓(白苔)を伴った腫脹・発赤が見られる程度で、特異的な症状が目立たないことが多い。このため、この年齢の児の初感染では伝染性単核球症と診断されないことが多く「扁桃炎」と診断されているものと思われる。2~3日で自然軽快してしまうので、それ以上の追究もほとんどされないものと思われる。血液検査を行えば、異型リンパ球の出現などから本疾患を疑える可能性はあり、血清診断は理論上可能である。
年長児から青年期、あるいはそれ以上の年齢で初感染した場合、発熱・全身倦怠感のほか、口蓋扁桃の発赤腫脹・咽頭痛、アデノイド腫脹による鼻閉、全身特に頚部のリンパ節腫脹、肝脾腫がみられる。発疹を伴うこともあり、特にアミノベンジルペニシリン (ABPC) の投与は発疹を誘発するとされる。有熱期間は一般的なウイルス感染症よりも長く、5~7日程度続くことが多い。
ときに、悪性リンパ腫や亜急性壊死性リンパ節炎などとの鑑別を要する場合があり、以下に述べる血清診断や、リンパ節生検を行うこともある。
検査
血球算定、血液像
白血球総数は正常ないしやや増加、好中球数は正常ないしやや減少(百分率は低下)する。リンパ球の著しい増加、異型リンパ球の出現(5%以上になることが多い)が特徴的である。伝染性単核球症の鑑別において平均リンパ球/白血球比(L/WBCC)を用いると、cut off 0.35とすることで、特異度100%、感度90%との報告がある[2]。
異型リンパ球の出現は、EBウイルスがBリンパ球に感染し、感染細胞に対する細胞性免疫反応により活性化された幼若なT細胞が増加することによる。
生化学
多くの症例で肝脾腫を伴うため、トランスアミナーゼ(AST, ALT)が上昇する。そのため、肝炎を疑われる場合も多い。
血清診断
「抗EBV EA-IgG抗体」または、「抗EBV VCA-IgM」「抗EBV VCA-IgG抗体」「抗EBNA-IgG抗体」の抗体価を測定する。抗EBNA抗体が初感染後数ヶ月を経ないと出現しないのに対し、抗EA、VCM抗体は急性期にも出現していることを利用する。
- 初感染パターン…抗EBNA抗体陰性、抗VCA-IgGまたは/かつIgM抗体陽性。抗EA抗体は偽陰性が多いが、EA陽性ならば急性感染の可能性が高い。
- 既感染パターン…抗EBNA抗体陽性、他の抗体は(通常)陰性。このような場合、症状の原因としてEBV感染は考えにくい。
サイトメガロウイルスについては、抗CMV-IgGおよびIgMを調べる(IgM陽性例は急性感染の可能性が高い)ほか、血液中のサイトメガロウイルスDNAを核酸増幅法(PCR)で調べることもある。
治療
EBウイルスによる伝染性単核球症に特異的な治療法はなく、対症療法が中心となる。肝脾腫が強い例では、腹部への衝撃により脾破裂が起こった例もあるため、安静が必要である。小児など、咽頭痛や全身倦怠感のために経口摂取不良となった場合には、入院して補液を行う必要がある。抗菌薬は伝染性単核球症それ自体には無効である。発疹を誘発する可能性があるので、この疾患が疑われた際には、ペニシリン系抗生物質のみならず、セフェム系抗生物質の投与も控えるべきであろう。ただ、比較的高率に細菌による混合感染をおこすとする報告もあり、血液検査所見から混合感染が疑われた場合には抗菌薬の投与を行うという選択肢も考慮に入れるべきであろう[3]。
特に重症である例(発熱が長期に持続する、全身状態が著しく不良である、血球減少が見られ血球貪食症候群の合併が懸念される、など)では副腎皮質ステロイド投与やガンマグロブリン大量投与が行われることもある。
サイトメガロウイルスにはガンシクロビル(GCV)が有効である可能性があるが、骨髄抑制、腎障害など重篤な副作用があるため、伝染性単核症には通常用いられない(GCVは造血幹細胞移植後など、免疫不全状態の患者の重篤なCMV感染症に適応がある)。
予後
EBウイルスによる伝染性単核球症は通常、約4~6週間で症状は自然になくなるが、まれに数ヶ月以上症状が持続し、全身状態が極めて重篤となる極めて予後不良の例があることが知られるようになった。このような例ではEBウイルスが持続的に活動していることが証明され、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)という病態として区別される。
出典
- ^ 小児科 Vol.41 No.5 2000
- ^ Arch Otolaryngol Head Neck Surg 2007; 133: 61-64
- ^ 日耳鼻 2004; 107: 199-202
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- リンパ節腫脹 (日常診療でよくみる症状・病態--診断の指針・治療の指針) -- (全身の症候)
- 症例報告 伝染性単核球症に伴って発症したバセドウ病の3例
- 山口 圭三,池添 清彦,本間 憲一,磯本 浩晴,入江 康司
- 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 71(9), 2261-2265, 2010-09-25
- NAID 10026731925
- 伝染性単核球症 (特集 日常診療で診る感染症--この疾患を見落とすな) -- (よく見かける感染症--診断・治療の最新事情)
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- gooヘルスケア 家庭の医学。伝染性単核球症<子どもの病気>。どんな病気か 発熱、 咽頭(いんとう)・扁桃炎(へんとうえん)、頸部(けいぶ)リンパ節(せつ)や肝臓・脾臓がは れる病気で、異型リンパ球と呼ばれるリンパ球の増多と肝機能障害などがみられます。
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★リンクテーブル★
[★]
- 56歳の女性。頭痛と発熱を主訴に来院した。2週間前に山菜採りに行き、その数日後から右耳介後部に水疱が出現した。4日前から頭痛と発熱が出現し、3日前に自宅近くの診療所を受診しセフェム系抗菌薬を処方されたが症状は改善しなかった。昨日から全身に発疹が出現した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。海外渡航歴はなく、ペット飼育歴もない。意識は清明。体温 40.1℃。脈拍 108/分、整。血圧 150/82mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に異常を認めない。眼球結膜に充血を認める。口腔内粘膜に異常を認めない。頸部にリンパ節腫大を認めない。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹部に赤色の小丘疹が散在しているが、癒合傾向を認めない。右耳介後面下部の写真(別冊No. 20)を別に示す。血液所見:赤血球 497万、Hb 14.8g/dL、Ht 46%、白血球 2,400(分葉核好中球 75%、好酸球 0%、好塩基球 1%、単球 3%、リンパ球 21%、異型リンパ球 0%)、血小板 11万。血液生化学所見:総蛋白 6.5g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.6mg/dL、AST 500U/L、ALT 275U/L、LD 881U/L(基準 176~353)、ALP 1,477U/L(基準 115~359)、γ-GTP 326U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 73U/L(基準 37~160)、CK 86U/L(基準 30~140)、尿素窒素 10mg/dL、クレアチニン 0.7mg/dL。CRP 5.3mg/dL。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A050]←[国試_113]→[113A052]
[★]
- 21歳の女性。 1か月持続する発熱と右頸部リンパ節の腫大とを主訴に来院した。1年前にも同様の症状があり軽快している。これまでに性感染症の既往はない。体温 38.2℃。脈拍 80/分、整。血圧 120/62 mmHg。皮膚に発赤など所見を認めない。右頸部に圧痛を伴う径 1~1.5 cmの軟らかく可動性のあるリンパ節を 4個触知する。他の部位にリンパ節を触知しない。口蓋扁桃の腫大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 442万、 Hb 12.9 g/dl、Ht39%、白血球 3,250(桿状核好中球 14%、分葉核好中球 37%、好酸球 2%、単球10%、リンパ球 37% )、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dl、アルブミン 4.7 g/dl、総ビリルビン 0.5 mg/dl、AST 19 IU/l、ALT 22 IU/l、LD 255 IU/l(基準 176.353)、尿素窒素 12 mg/dl、クレアチニン 0.5 mg/dl。免疫血清学所見: CRP 1.0mg/dl、VCA IgG抗体 1倍 (基準 10以下 )、 VCA IgM抗体 1倍 (基準 10以下 )、抗核抗体 8倍 (基準 20以下 )。胸部エックス線写真に異常を認めない。頸部リンパ節生検ではリンパ節組織は傍皮質を中心に境界の比較的明瞭な壊死とマクロファージの浸潤がみられる。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G055]←[国試_108]→[108G057]
[★]
- 68 歳の男性。発熱と皮疹とを主訴に来院した。5日前から持続する38℃台の発熱と顔面、頸部および体幹を中心に紅斑が出現し、次第に拡大融合したために受診した。三叉神経痛に対し6週間前からカルバマゼピンを内服中であった。体温 38.6℃。脈拍 88/分、整。血圧 140/86mmHg。口腔粘膜と咽頭とに異常を認めなかった。頸部と鼠径部とに径2cmのリンパ節を2個ずつ触知した。肝・脾は触知しなかった。血液所見:赤血球 420万、Hb 14.0g/dL、Ht 43%、白血球 16,000(桿状核好中球7%、分葉核好中球 49%、好酸球 23%、単球6%、リンパ球 12%、異型リンパ球3%)、血小板 34万。血液生化学所見:総ビリルビン 1.0mg/dL、AST 110U/L、ALT 345U/L、γ-GTP 250U/L(基準 8~50)、クレアチニン 1.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 3.1mg/dL、VCA-IgG抗体 陰性、抗EBNA抗体 陰性、抗ヒトヘルペスウイルス6IgG抗体価 20倍(基準10以下)。体幹部の写真(別冊No. 30)を別に示す。3週間後の採血で、抗ヒトヘルペスウイルス6IgG抗体価は1,280倍であった。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D058]←[国試_112]→[112D060]
[★]
- 6歳の男児。けいれんのため搬入された。5日前に発熱と咽頭痛とを認め、伝染性単核球症と診断されていた。本日、早朝に全身のけいれんを認めたため救急搬送された。来院時、けいれんはなく意識は清明。体温 38.5℃。脈拍 120/分、整。呼吸数 24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝を右季肋下に4cm、脾を左季肋下に5cm触知する。尿中β2-マイクログロブリン 23,000ng/L(基準 230以下)。血液所見:Hb 12.1g/dL、白血球 2,200(桿状核好中球 34%、分葉核好中球 38%、単球 3%、リンパ球 15%、異型リンパ球 10%)、血小板 6.0万、APTT 45.2秒(基準対照 32.2)、血清FDP 80ng/mL(基準 10以下)、Dダイマー 30ng/mL(基準 1.0以下)。血液生化学所見:AST 386IU/L、ALT 341IU/L、LD 2,594IU/L(基準 176~353)、フェリチン 5,000ng/mL(基準 28~280)。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A037]←[国試_109]→[109A039]
[★]
- 1歳の男児。発熱と頸部の腫脹が出現したため、両親に連れられて来院した。日前から39℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いたため来院した。体温 39.2℃。心拍数 144/分、整。呼吸数 40/分。眼球結膜に充血を認める。両側の頸部に複数のリンパ節を触知する。前胸部、手掌および足底に紅斑を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を1cm触知する。血液所見:赤血球 394万、Hb 10.5g/dL、Ht 33%、白血球 17,400(桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71%、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15%)、血小板 43万。血液生化学所見:総蛋白 6.2g/dL、AST 35U/L、ALT 23U/L、LD 450U/L(基準 202~437)。CRP 6.7mg/dL。口唇の写真(別冊No. 25)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A059]←[国試_113]→[113A061]
[★]
- 1歳の男児。発熱と頸部の腫脹とを主訴に来院した。3日前から38℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いた。体温38.7℃。脈拍144/分、整。前胸部に紅斑を認める。眼球結膜に充血を認める。左頸部に径3cmのリンパ節を1個、径2cmのリンパ節を1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を1cm触知する。血液所見:赤血球394万、Hb 10.5g/dl、Ht 33%、白血球 17,400(桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71%、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15%)、血小板 43万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dl、AST 35 IU/l、ALT 83 IU/l、LD(LDH) 287 IU/l(基準176~353)。CRP 8.7mg/dl。顔面下部の写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D038]←[国試_103]→[103D040]
[★]
- 23歳の男性。のどの痛みを主訴に来院した。
- 現病歴:2日前からのどの痛みと発熱とを自覚していた。痛みが次第にひどくなったため23時に救急外来を受診した。痛みが強く唾液を飲み込むことができないため口から吐き出している。
- 既往歴: 15歳時に虫垂炎の手術を受けた。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現 症:意識は清明。体温38.2℃。脈拍92/分、整。血圧124/80mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。咽頭後壁粘膜はやや発赤しているが、口蓋扁桃の腫脹はみられない。頸部に圧痛を認め、軽度喘鳴を聴取する。心音に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E058]←[国試_106]→[106E060]
[★]
- 1歳7か月の女児。脾腫の精査を目的に来院した。 1歳6か月児健康診査で脾腫を指摘された。出生後の発育と発達とは正常である。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部で肝を1cm、脾を4cm触知する。血液所見:赤血球 347万、Hb 8.7g/dl、Ht 27%、白血球 12,100、血小板 36万。血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dl、アルブミン 4.2g/dl、総ビリルビン 2.0mg/dl、AST 41IU/l、ALT 23IU/l、ALP 558IU/l(基準361-958)、ハプトグロビン 10mg/dl(基準19-170)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.17)を別に示す。
- 合併によって原疾患が急激に増悪する可能性があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D042]←[国試_105]→[105D044]
[★]
- 30歳の女性。咽頭痛と開口障害とを主訴に来院した。5日前から咽頭痛と軽度の発熱があったため自宅近くの医療機関を受診し、抗菌薬と解熱鎮痛薬の内服治療を受けていた。昨日から開口障害と摂食困難とが出現したため受診した。喫煙歴はなく、飲酒は機会飲酒。頸部リンパ節と肝・脾とを触知しない。血液所見:赤血球 480万、Hb 13.0g/dL、白血球 16,800(桿状核好中球 30%、分葉核好中球 52%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 10%)、血小板 21万。血液生化学所見:AST 30U/L、ALT 28U/L。CRP 14mg/dL。口腔内写真(別冊No. 12)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D028]←[国試_112]→[112D030]
[★]
- 26歳の女性。1週前からの全身倦怠感、発熱および咽頭痛を主訴に来院した。扁桃は発赤し、白苔が付着している。頭部にリンパ節腫脹を認める。胸部聴診では心音、呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を2cm触知し、肺濁音界の拡大を認める。
- 血液所見:赤血球386万、Hb11.5g/dl、Ht35%、白血球11,000(桿状核好中球10%、分葉核好中球30%、好酸球2%、好塩基球1%、リンパ球45%、異型リンパ球12%)、血小板13万。
- 血清生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dl、AST186単位、ALT196単位、LDH670単位(基準176~353)。
- 予想される病原体はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C005]←[国試_099]→[099C007]
[★]
- 68歳の女性。発熱と発疹とを主訴に来院した。6日前に淡い紅斑が出現したが、2日で消退した。昨日から39℃台の発熱と全身に点状紅斑とが多数出現している。てんかんのためカルバマゼピンを内服している。白血球 17,000(好酸球24%)。血液生化学所見: AST 80IU/l、ALT 98IU/l, CRP 3.5 mg/dl、粘膜疹を認めない。咽頭培養は陰性。血中抗HHV-6抗体の上昇がみられる。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I072]←[国試_104]→[104I074]
[★]
- 19歳の男性。鼻汁と咽頭痛とを主訴に来院した。2日前から透明な鼻汁が多く、咽頭痛とともに少し咳が出るため受診した。痰は少量で透明な色調である。軽度の頭重感があるが食事は普通に摂取できている。同居している家族も同様の症状を呈している。既往歴に特記すべきことはない。体温37.3℃。咽頭に軽度発赤を認める。頸部リンパ節を触知しない。呼吸音に異常を認めない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F017]←[国試_109]→[109F019]
[★]
- 32歳の男性。4日前から咽頭痛と発熱とがあったが放置していた。昨日から高熱が出現し、嚥下困難や開口障害を伴うようになってきたので来院した。
- 血液所見:赤血球480万、Hb13.0g/dl、白血球13,600。
- 血清生化学所見;AST(GOT)30単位(基準40以下)、ALT(GPT)28単位(基準35以下)。CRP 13.6mg/dl (基準0.3以下)。
- 咽頭の写真を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D010]←[国試_096]→[096D012]
[★]
- 29歳の男性。発熱と全身倦怠感とを訴えて来院した。体温37.8℃。四肢に紫斑の散在を認める。リンパ節腫脹はなく、肝と脾とを触知しない。血液所見:赤血球203万、Hb 6.5 g/dl、Ht 20 %、白血球16,300、血小板1.3万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095D032]←[国試_095]→[095D034]
[★]
- 24歳の女性。発熱と発疹とを主訴に来院した。3日前から微熱があり、昨日から全身に小丘疹が生じ水疱化してきた。薬剤歴に特記すべきことはない。顔面を含む全身と口腔内に小水疱が散在している。顔面の写真(別冊No.4)を別に示す。
- 最も考えられる診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105H027]←[国試_105]→[105H029]
[★]
- 48歳の女性。首のしこりを主訴に来院した。 3か月前、頚部に腫瘤があることに気付いた。痛みがなかったのでそのままにしていたが、次第に大きくなってきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。
- 現時点で考えられるのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E056]←[国試_106]→[106E058]
[★]
- 17歳の男子。10日前からの発熱、咽頭痛および倦怠感を主訴に来院した。鼻汁、鼻閉および咳嗽はない。両側後頸部リンパ節腫脹と脾腫とを認める。皮疹はみられない。血液検査で白血球12,400、異型リンパ球78%。
- 口腔内にみられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103C015]←[国試_103]→[103C017]
[★]
- 22歳の女性。発熱と摂食困難とで来院した。5日前から咽頭痛と39.0℃の発熱とがあり、近医で処方された抗菌薬と解熱鎮痛薬とを内服している。口蓋垂は右側に偏位し、左軟口蓋から前口蓋弓にかけて発赤と腫脹とが著明である。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G011]←[国試_099]→[099G013]
[★]
- 56歳の男性。呼吸困難と嚥下痛とのため来院した。昨日から咽頭痛があり、今朝から呼吸困難が出現した。吸気性喘鳴を聴取する。喉頭内視鏡写真を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A011]←[国試_099]→[099A013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104I004]←[国試_104]→[104I006]
[★]
- 英
- fever of unknown origin FUO
- 同
- 原因不明熱
- 関
- 発熱、体温
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
定義
- 3週間以上の発熱。38.3℃以上、1週間の入院精査でも原因不明
鑑別疾患
3大疾患
- 1. 感染症(深部腫瘍、心内膜炎、結核、寄生虫、腸チフスなど)
- 2. 悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病など)
- 3. 膠原病(血管炎、側頭動脈炎、成人still病など)
- 4. その他:薬剤性など
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- (各種病原体)感染性心内膜炎、骨髄炎、伝染性単核球症、副鼻腔炎、齲歯
- (細菌)結核、腸チフス、リケッチア感染症
- (ウイルス)HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症
- (真菌)ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス症
- (寄生虫)マラリア
- UCSF.44
- 感染症26%, 腫瘍13%, 非感染性炎症疾患24%
- 感染症:背臥位結核、心内膜炎、膿瘍(肝臓、脾臓、腎臓、後腹膜、骨、脳、耳、脊椎)、HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ感染症、その他(尿路感染症、副鼻腔、骨髄炎)、入院患者(尿路感染、カテーテル感染症、偽膜性腸炎、褥瘡、蜂窩織炎)
- 腫瘍:悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝癌、心房粘液腫、VAHS(ウイルス関連性血球貪食症候群)、LAHS(リンパ腫関連性血球貪食症候群)
- 非感染性炎症疾患:成人スティル病、SLE(全身性エリテマトーデス)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)/多発性結節性動脈周囲炎(PN)/高安病、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- その他:薬剤熱、詐熱、肺塞栓症/深部静脈血栓症、脊椎損傷/頭蓋内疾患、副腎機能不全/甲状腺機能亢進症、家族性地中海熱、組織球性壊死性リンパ節炎(菊地病)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編 p.53
- 不明熱の最終診断
診断
|
診断診断例 n=192
|
早期診断例 n=67
|
中期診断例 n=38
|
後期診断例 n=87
|
感染症
|
|
57(29.7)
|
25(37.3)
|
12(31.6)
|
20(23.0)
|
細菌性
|
|
43
|
1.8
|
8
|
17
|
心内膜炎
|
11
|
9
|
1
|
1
|
結核
|
8
|
0
|
0
|
8
|
尿跨感染症(1)
|
6
|
3
|
1
|
2
|
腹腔内膿瘍
|
5
|
2
|
2
|
1
|
骨・関節感染
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他の細菌感染
|
9
|
2
|
3
|
4
|
ウイルス性
|
|
10
|
5
|
3
|
2
|
CMV
|
6
|
2
|
3
|
1
|
EpsteinーBarrウイルス
|
3
|
3
|
0
|
0
|
HIV
|
1
|
0
|
0
|
1
|
寄生虫性(2)
|
|
4
|
2
|
1
|
1
|
悪性新生物
|
|
29(15.1)
|
5(7.5)
|
6(15.8)
|
18(20.7)
|
血液疾患
|
|
22
|
2
|
6
|
14
|
非Hodgkinリンパ腫
|
9
|
0
|
2
|
7
|
Hodgkin病
|
5
|
1
|
1
|
3
|
白血病
|
6
|
0
|
3
|
3
|
血管免疫芽球性リンパ酔症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
固形癌
|
|
7
|
3
|
0
|
4
|
腺癌
|
5
|
2
|
0
|
3
|
その他(3)
|
2
|
1
|
0
|
1
|
非感染性炎症性疾患
|
|
68(35.4)
|
22(32.8)
|
.6)
|
34(39.1)
|
結合織疾患
|
|
35
|
15
|
6
|
14
|
成人Still病
|
18
|
5
|
4
|
9
|
SLE
|
8
|
5
|
1
|
2
|
リウマチ性多発性筋痛症
|
3
|
3
|
0
|
0
|
関節リウマチ
|
2
|
0
|
0
|
2
|
Sjogren症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
その他(4)
|
2
|
1
|
1
|
0
|
血管炎症候群
|
|
19
|
5
|
3
|
11
|
巨細胞性動脈炎
|
11
|
4
|
3
|
4
|
Wegener肉芽腫症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
結節性多発性動脈炎
|
2
|
0
|
0
|
2
|
その他(5)
|
4
|
0
|
0
|
4
|
肉芽腫性疾患
|
|
14
|
2
|
3
|
9
|
サルコイドーシス
|
10
|
0
|
2
|
8
|
Crohn病
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他
|
|
39(18.1)
|
15(22.4)
|
8(21.1)
|
15(17.2)
|
亜急性甲状腺炎
|
6
|
3
|
1
|
2
|
Addison病
|
2
|
0
|
1
|
1
|
心筋梗塞後症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
肺動脈塞栓症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
習慣性高体温症
|
11
|
6
|
3
|
2
|
薬剤熱
|
4
|
3
|
0
|
1
|
詐熱
|
1
|
1
|
0
|
0
|
その他(6)
|
10
|
0
|
3
|
7
|
- 数値は症例数で( )内は比率. %表示
- 1) 膿瘍を除く実質感染
- 2) マラリア(2例)、ジアルジア症、トリパノソーマ症を含む
- 3) germinoma, hypernephromaを含む
- 4) Reiter症候群, 多発性筋炎を含む
- 5) Behcet病, Schönlein-Henoch紫斑病, Schnitzler症候群, 分類不能型血管炎を含む
- 6) Sweet症候群, 原発性硬化性胆管炎, アルコール性肝炎, 出血を伴う巨大肝血管腫, 間質性肺炎, 特発性胸膜心膜炎, 特発性好酸球増多症候群, リンパ節の炎症性偽腫瘍, 後腹膜線維症, 線状IgA水疱症
- (Vanderschueren S. Knockaert D. et al. : From prolonged febrile illness to fever of unknown origin: the challenge continues. Arch Intern Med. 2003 : 163 : 1033-1041)
診断
問診
- 既往歴、家族歴、職業歴、旅行歴、薬剤歴、sick contact、動物との接触、同性とのまたはハイリスクな性的接触の有無、現病歴と発熱パターン、輸血歴
診察
- リンパ節腫脹、肝脾腫、心雑音、圧痛
- 培養
- 胸部XP
- 抗核抗体,C3,C4,RF,赤沈
- 抗HIVコウタイ
- 皮膚生検
- ツベルクリン反応/クオンティフェロン
- 腹部エコー
- 造影CT
- 心エコー:心内膜炎を最も疑えば経食道心エコーを。
- ガリウムシンチ
- 骨髄生検
- 腰椎穿刺
- 頭部CT
- 大腸ファイバー
- 肝生検
[★]
- 英
- hepatomegaly, hypertrophy of the liver
- 同
- 肝肥大
- 関
- 肝臓
概念
症状
- ほぼ無症状。
- 著名に腫大すれば、周囲臓器圧迫により腹満感や息苦しさを訴えることがある。
診察
- 健常者でも約20%に右肋骨弓下に肝を触れる
- 右肋骨弓下に2横指触れれば肝腫大と診断可能
頻度
- 右心不全:100%
- 一過性肝腫脹:高頻度(80%以上)急性心不全、急性ウイルス感染症、薬物性肝障害。
- 持続的肝腫大:高頻度(80%以上)脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変。原発性胆汁性肝硬変、ヘモクロマトーシス、Wilson病、巨大肝嚢胞、巨大肝血管腫。
原因
- 脈管:特発性門脈圧亢進症、肝静脈閉塞(バッド・キアリ症候群)、右心不全
- 蓄積:脂肪肝、ヘモクロマトーシス、アミロイドーシス、ウィルソン病、糖原病、
- 炎症:急性ウイルス性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、結核、サルコイドーシス、種々のウイルス感染、寄生虫感染、膠原病
- 胆汁鬱滞:肝内胆汁うっ滞、肝外胆汁うっ滞、原発性硬化性胆管炎
- 腫瘍浸潤:白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患
- 肝腫瘍:肝細胞癌、胆管細胞癌、肝芽腫、肝嚢胞、肝海綿状血管腫、転移性肝癌
診断
- 血液検査で肝機能、アルブミン、肝炎ウイルス、ANA、ANA、EBV、CMVを評価
- 腹部超音波検査、腹部造影CT、MRCPが有用
- 腫瘍を疑う場合にはPIVKA II, AFP, CEA, CA19-9
鑑別診断
- DIF
[★]
- ☆case78 発熱
- ■症例
- 36歳 男性
- 主訴:発熱、筋痛
- 現病歴:発熱、背中・四肢周辺の筋肉の痛みを訴えて来院。患者はインフルエンザと考えていたが、9-10日間症状が持続。3日間下痢症状が見られたが、現在はない。
- 先週くらいから口の痛みが続いており摂食が困難であるが、空腹感はないとのこと。彼は体重は2,3kg減少したと考えている。
- (発熱、筋痛のこと?)症状が始まったときから中等度の紅斑性赤色の皮疹(erythematous rash)を胸部と腹部が出現し、現在は消退した。
- 過去に行きつけのにたいしたことのない訴えで診療所を訪れていた。過去3年の間ベトナムやタイに行くためのワクチンを接種してもらうためにpracticeに行っていた。最後の旅行は、3ヶ月前に海外に旅行した。12ヶ月前のHIV testは陰性であった。
- 嗜好品:タバコ:10本/日。アルコール:20-30 unit/week(缶ビール(350ml)6本弱本/週)。違法薬物(illicit drug)はやっていない。
- 既往歴:特記事項無し
- 家族歴:特記事項無し
- 社会歴:事務弁護士として働いている。
- 生活歴:独身であり、一人住まいである。過去に多数の同性・異性関係があった。
- 身体所見 examination
- 体温 38℃、脈拍 94/分、呼吸数 16/分、血圧 124/78mmHg。心血管系、呼吸器系に異常なし。口腔内潰瘍2ヵ所 直径5-10mm。両側の頚部リンパ節を触知し、わずかに有痛性。肝脾腫を認めず。皮疹は認められない。
- 検査所見 investigations
- 正常
- 腺熱のスクリーニング検査:陰性
- ■要点
- ・一週間以上続く感染症かな?
- ・インフルエンザは経過が長くない。
- ・頚部リンパ節腫脹 + 口腔内潰瘍
- ・体温上昇が持続
- ・出現して消失した皮疹
- ・血液所見正常、腺熱(伝染性単核球症)の検査は陰性
- ・これらの所見は腺熱で最もなんだけどね
- ・性感染症を疑うキーワード
- ・同性愛者との性的接触
- ・ベトナム、タイへの旅行
- ・HIVを否定するキーワード
- ・12ヶ月前のHIV test陰性
- ・感染後4-6週後にHIV seroconversion illnessが起こる。HIVテストが陰性でもp24 antigenやHIV virus RNAの証明で診断されうる。
- ・そのほかの疾患に当てはまるか?
- ・二期梅毒(secondary syphilis)
- ・当てはまらない点:皮疹は全身性。リンパ腫は無痛性。
- ・肝炎:全身性の前駆症状を呈する
- ・当てはまらない点:肝臓は正常
- ・リンパ腫:リンパ腺腫、発熱
- ・当てはまらない点:口腔内潰瘍、皮疹
- ・診断
- ・血清学的検査:陰性だったらリンパ節生検を考慮
- ・オチ:検査したら、ウイルス血症であった。抗レトロウイルス療法はHIVの明らかな暴露、あるいは暴露の危険が高いとき抗レトロウイルス療法は感染のリスクを減らすのに有効。この段階でウイルス負荷をモニターするための説明と準備が支持的である。
- ■key points
- ・HIV感染した人の50%でseroconversion illnessが起こる
- ・既感染もしくは針刺しのようなハイリスクに暴露した症例では、即座おこなう抗レトロウイルス療法がよく適応となる。すぐに助言を求めるべきである。
- □アルコールのunit
- 1 unit = 10 ml of ethanol
- 350ml アルコール5% → 350x0.05/10=1.75 unit
- ■glossary
- practice
- n.
- 実施、実行、実践、実際。経験。(数学)実算
- (個人の)習慣。(社会の)慣行、慣例、習わし
- (教会)礼拝式
- 練習、実習、稽古
- 熟練(skill)、手腕
- (医師・弁護士などの)業務、営業。事務所、診療所
- 患者、事件依頼人
- solicitor
- n.
- (米)(地域の)法務官、(州の)巡回検事◆州によっては法務官をattorneyと呼ぶこともある。
- (英)事務弁護士◆事務処理だけをする弁護士。法廷弁護士と訴訟依頼人との間で裁判事務を扱う弁護士。ある種の開催板書を除いて法廷での弁論権がない
- prodrome
- n.
- (医)前駆症状、前駆症、前徴、前兆
[★]
- 英
- Epstein-Barr virus, EB virus, EBV
- 同
- エプスタイン-バーウイルス エプスタイン-バー・ウイルス、エプスタイン・バーウイルス
- 関
- EBウイルス感染症、ウイルス
ウイルス学
EBV関連抗原
- EA, early antigen
- VCA, virus capsid antigen
- EBNA, EB virus determined nuclear antigen
- LMA, late membrane antigen
- LYDMA, lymphocyte-detected membrane antigen
EBV特異抗体
感染症
感染経路
疫学
- 日本では3歳までに80%が感染する (SMB.530)
検査
- 急性期・回復期に、VCA-IGM, VCA-IgG, EA(早期抗原, early antigen)の高値、EBNA(核内抗原)の陰性を証明
- EBNAは感染後3ヶ月以上経たないと立ち上がらない。
- ウイルス抗体価:急性期(発病2~7日)と回復期(2~3週)の検体を同時測定し、回復期の抗体価が急性期の結果の4倍(2管差)以上に上昇したとき、血清学的に有意とみなす。
- 抗体のパターン
|
VCA IgG
|
VCA IgM
|
EBNA
|
EA IgG
|
感染前
|
ー
|
ー
|
ー
|
ー
|
急性期
|
+
|
+
|
ー
|
+/ー
|
回復期
|
+
|
+/ー
|
+/ー
|
+/ー
|
感染既往
|
+
|
ー
|
+
|
+/ー
|
再活性化
|
+
|
+/ー
|
+
|
+
|
- 目的別検査組み合わせ
[★]
- 英
- sexually transmitted disease, STD, STI
- 同
- 性行為感染症
- 関
- 性病
定義
- 性行為を介して、ヒトからヒトへ病原微生物が直接伝播する感染症の総称
- 性行為は性交のみに限らず、また異性間の場合も同性間の場合も含まれ,性器以外の性交に類似した行為も該当する。
疫学
♂:淋菌性尿道炎 > クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ
♀:クラミジア性尿道炎 > 性器ヘルペス > 尖圭コンジローマ > 淋菌性尿道炎
性感染症
治療薬
- QB.Q-265
URL
- http://sks.oriaca.net/
- http://www.jsog.or.jp/PDF/51/5109-203.pdf