- 英
- single ventricle、univentricular heart
- 同?
- 単心室
- 関
- 先天性心疾患
病型
- 参考3
参考
- http://www.yorksandhumberhearts.nhs.uk/templates/Page.aspx?id=419
- http://lunaandwe.blogspot.com/2010/04/single-ventricle-alphabet-soup.html
- http://www.ctsnet.org/graphic/66_2_1.jpg
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/03 16:06:22」(JST)
[Wiki ja表示]
単心室症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
Q20.4 |
ICD-9 |
745.3 |
MedlinePlus |
007327 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
肺動脈狭窄が高度な単心室症では新生児期にチアノーゼが出る。(肺血流増加型では心不全症状が主でありチアノーゼは目立たない)
単心室 または 単心室症(英: single ventricle, SV)とは、先天性心疾患における疾患群の一つである。胎生期の心臓発生過程における心臓の形成異常により右室または左室が非常に小さいか無いために、正常に機能する心室が一つしかない病態を指す。様々な複雑心奇形の集合体としての概念であり、その内包する疾患は多岐にわたる。共通するのは、両心房からの血液が流入する主心室が存在することである。主心室の他にもう一方の「痕跡的心室」が存在することも多いが、心室としての機能は無い。一方の房室弁が痕跡的心室に騎乗していてもその程度が50%以下(共通房室弁なら25%以下)であれば単心室とする。その他、弁や心室流入路・流出路の形成異常などを診断基準として分類される。
両心室に十分な大きさがない単心室症では解剖学的根治術が不可能であるため、最終的にはフォンタン循環を目指すことが多いが、実際には個々の患児の循環動態により治療方針もそれぞれ異なることが多い。
目次
- 1 形態
- 2 治療
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
形態
単心室は、発達不十分な心室が右室(肺循環を担う)か左室(体循環を担う)であるかによって、それぞれ左室型単心室症、右室型単心室症に大きく分類される。
以下に代表的な単心室、単心室類縁疾患の形態を列挙する。
- 左室型単心室症(Single left ventricle, SLV)
- 主心室(左室)の内腔はやや粗だが平滑で、心尖部に斜走肉柱を認める。主心室以外に右室形態を示す流出路腔(痕跡的右室, outlet chamber)を持つ。流出路腔はd-loop心 { S, D, D } または { S, D, S } では右前方に、l-loop心 { S, L, L } では左前方に位置する(中括弧の記載法は区分診断法を参照)。房室結合はDILVが最も多い。心室大血管関係は、正常大血管型 { S, D, S }、大血管転位型 { S, D, D } あるいは { S, L, L }、その他多様なタイプが存在するが、大血管転位型が最も多い[1]。
- 両房室弁左室挿入(Double inlet left ventricle, DILV)– 両房室弁または共通房室弁が左室に挿入する
- 両大血管左室起始症(Double outlet left ventricle, DOLV) – 大動脈と肺動脈が左室から起始する
- 肺動脈弁閉鎖症(Pulmonary atresia, PA)
- 三尖弁閉鎖症(Tricuspid atresia, TA)
- 右室型単心室症(Single right ventricle, SRV)
- 大半は心房内臓錯位症候群 heterotaxia syndrome (無脾症候群、多脾症候群)伴う。主心室の形態は粗大な肉柱が特徴的で、自由壁では並行に走行し心尖部は不規則な配列を示す。主心室後方に痕跡的左室(d-loop心では左後方、l-loop心では右後方)を認める場合がある。痕跡的左室を認める症例の約半数では房室弁が分割している。心室大血管関係はDORVで、大半で大動脈が前方、肺動脈は後方に位置する[1]。
- 両房室弁右室挿入(Double inlet right ventricle, DIRV)– 両房室弁または共通房室弁が右室に挿入する
- 両大血管右室起始症(Double outlet right ventricle, DORV) – 大動脈と肺動脈が右室から起始する
- 左心低形成症候群(Hypoplastic left heart syndrome, HLHS)
治療
正常循環・単心室症の循環・フォンタン循環の図解例。赤は動脈血(酸素化血)、青は静脈血(脱酸素化血)、紫はチアノーゼを表す。
新生児の肺は生理的肺高血圧の状態にあるため、フォンタン循環が成立しない。そこで、まずは新生児期から乳児期に姑息手術を行い、最終的に機能的根治術であるフォンタン手術を目指すことが多い。但し個々の治療方針は患児それぞれの解剖・循環動態により異なる。代表的な術式としては、
- 肺動脈絞扼術(英語版): 肺血流増加型単心室に対する姑息術
- BTシャント: 肺血流減少型単心室に対する姑息術
- ノーウッド手術:右室・主肺動脈に左心機能を代替させる姑息術
- DKS吻合術
- 心室中隔欠損拡大術
- グレン手術: フォンタン手術前の姑息術として
- フォンタン手術
フォンタン手術後は体循環と肺循環が全て直列に接続し、チアノーゼが解消される。
脚注
- ^ a b 龍野勝彦 他, 『心臓血管外科テキスト』, 中外医学社, 2007年, p194-197
参考文献
- Single Ventricle Heart Defect | Symptoms, Diagnosis & Repair
- 龍野勝彦 他, 『心臓血管外科テキスト』, 中外医学社, 2007年
- 単心室 - MyMed 医療電子教科書
関連項目
心血管疾患 |
|
疾患 |
|
心疾患
|
不整脈
|
徐脈性
|
洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
|
|
頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈(en) | 心房細動 | 心房粗動(en) | ブルガダ症候群 | 早期再分極症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性疾患
|
狭心症 | 心筋梗塞 | 急性冠症候群 | 冠動脈血栓症 | 心室瘤 | 心破裂 | 乳頭筋断裂(en)
|
|
弁膜症
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症(en) | 三尖弁閉鎖不全症(en) | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症(en)
|
|
先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖(en) | 単心室
|
|
心内膜・心筋
・心膜疾患
|
心内膜疾患
|
感染性心内膜炎
|
|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎(en) · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
|
心筋疾患
|
心筋症(虚血性心筋症・拡張型心筋症(en) · 肥大型心筋症(en) · 拘束型心筋症(en) · 特発性心筋症) | 心筋炎
|
|
|
心臓腫瘍(en) | 心臓性喘息 | 肺性心
|
|
|
血管疾患
|
大血管
|
大動脈瘤(胸部・腹部(en)・胸腹部) | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群
|
|
動脈
|
閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | 動静脈瘻 | 動脈硬化 | レイノー病
|
|
静脈
|
静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
|
|
|
|
|
病態・症候 |
|
心不全
|
左心不全 | 右心不全 | 両心不全(en)
|
|
血圧異常
|
高血圧
|
本態性高血圧症(en) | 二次性高血圧(en) | 高血圧性緊急症(en)
|
|
低血圧
|
|
|
心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
|
|
|
|
所見・検査 |
|
血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓MRI | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査 | 脈波伝播速度検査
|
|
|
治療 |
|
外科的治療
|
冠動脈バイパス術(CABG)
|
CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
|
|
弁膜症手術
|
弁置換術(en) | 弁形成術(en) | 弁輪形成術 | 交連切開術(en)
|
|
小児心臓外科
|
動脈管結紮術 | BTシャント | 肺動脈絞扼術(en) | ノーウッド手術 | グレン手術 | フォンタン手術 | ジャテン手術 | ラステリ手術 | ロス手術
|
|
心不全外科
|
心移植術 | 補助人工心臓装着術 | 左室形成術(Dor・SAVE・Overlapping)
|
|
不整脈外科
|
メイズ手術(en) | 心臓ペースメーカー | 植え込み型除細動器
|
|
大動脈手術
|
大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
|
|
末梢血管手術
|
末梢動脈血行再建術 | 末梢静脈血行再建術 | 静脈抜去術(en) | 静脈血栓摘除術(en) | 内シャント作成術 | 肢切断
|
|
|
内科的治療
|
循環作動薬
|
抗不整脈薬
|
Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
|
|
心不全治療薬(en)
|
利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
|
|
狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
|
|
高血圧治療薬
|
利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
|
|
|
血管内治療
|
経皮的冠動脈形成術
|
|
|
|
|
循環器系の正常構造・生理 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 1702 急性心不全を呈した単心室症例のリハビリテーション経験 : その病態の考察(内部障害系理学療法,一般演題(ポスター発表演題),第43回日本理学療法学術大会)
- 森島 優,中村 重敏,入澤 寛,山内 克哉,美津島 隆
- 理学療法学 35(Supplement_2), 877, 2008-04-20
- NAID 110006801259
- 肺動脈絞扼術後急速に進行した大動脈弁下狭窄に対して早期にDamus-Kaye-Stanse1吻合を要した大動脈弓低形成を伴う単心室症の1例
- 加藤 秀之,平松 祐司,坂 有希子,野間 美緒,金本 真也,阿部 正一,榊原 謙
- 日本心臓血管外科学会雑誌 36(5), 284-287, 2007-09-15
- … 肺動脈絞扼術後に急速に進行した大動脈弁下狭窄に対して,早期にDamus-Kaye-Stansel (DKS)吻合術を行って奏効した大動脈弓低形成を伴う単心室症,両大血管右室起始症の1例を報告する.症例は右室型単心室症,僧帽弁閉鎖症,両大血管右室起始症,大動脈弓低形成,心房中隔欠損症および動脈管開存症の新生児.日齢4に拡大大動脈弓形成術と肺動脈絞拒術を行った.生後70日ころからチアノーゼと多呼吸が出現し,強 …
- NAID 110006419170
Related Links
- 単心室症. 【病気の概略・治療】. 「単心室症」とは、ひとつの病気というよりはいろいろな 複雑心奇形の集まりといえます。普通心臓には二つの心室があり、そのうち「右室」が肺 への循環を、「左室」が全身への循環を保つポンプの役割を果たしていますが、「単心室 ...
- 2010年3月1日 ... 単心室症. たんしんしつしょう. 概要. 4つある心臓のへやのうち左心室と右心室の区別が なく、心室が一つになっている病気です。全身からもどってくる酸素濃度の低い血液( 静脈血)と肺から戻ってくる酸素濃度の高い血液(動脈血)が一つの ...
- 2010年4月15日 ... 単心室症. 右心バイパス術(両方向性グレン手術、フォンタン手術[Fontan手術]). チアノーゼ(血液中の酸素の濃度が低い状態)をもった子供たちは、心臓の中で、全身 から戻ってくる酸素濃度の低い血液(静脈血)と肺から戻ってくる酸素濃度 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Fontan procedure
- 同
- 心房肺動脈吻合術 univentricular repair
- フォンタン術、Fontan手術、Fontan術、Fontan-Kreutzer手術
- 関
- ファロー四徴症、グレン手術
概念
- 単心室(三尖弁閉鎖症は単心室という広い疾患概念に含まれる)の根治手術。右房-肺動脈バイパス術。
- 右室を介さずに体循環から肺循環に血液を送り込む循環を形成する手術となる。
バリエーション
- フォンタン原法、
- Kreutzer変法
- TCPC手術
- 人工血管によるTCPC法
対象疾患
手術の概要
- 手術方法にはバリエーションがあるが、上大静脈と下大静脈をそれぞれ肺動脈に吻合し、左右の肺動脈分岐部から肺動脈間を結紮、あるいは切離し、一つの心室を体循環に用いるようにする。
シュサの10項目
- Choussat et al (1977)
- 4歳以上であること age older than 4 years
- 洞調律であること sinus rhythm
- 静脈還流が正常 normal systemic venous return
- 右心系の容量(RA,RVのvolume??)が正常であること normal right atrial volume
- 平均肺動脈圧が15mmHgであること mean pulmonary artery pressure less than 15 mm Hg
- 肺細動脈抵抗が4 Wood units/m2であること pulmonary arteriolar resistance less than 4 Wood units/m2
- pulmonary artery-aorta ratio more than 0.75
- 左室駆出分画が0.6以上であること left ventricular ejection fraction more than 0.60
- 僧帽弁に異常がないこと competent mitral valve
- 肺動脈に捻れがないこと absence of pulmonary artery distortion
参考
- 2. シェーマ lateral tunnel fontan, extracardiac fontan
- http://4.bp.blogspot.com/_AbLNpU_GDyQ/S85OiNhvTgI/AAAAAAAAAH8/vllsnnwPKss/s1600/Fontan+.jpg
- 3. シェーマ 左心低形成症候群に対する第3期手術。フォンタン変法
- http://www.abcparma.it/sindrome_fig%203.gif
- http://www.hgexperts.com/article.asp?id=7948
[★]
- 英
- mitral atresia MA
- 関
- 僧帽弁、先天性心疾患、単心室症
参考
- http://www.ctsnet.org/graphic/66_2_1.jpg
[★]
- 英
- ventricle (KH)
- ラ
- ventriculus
- 関
- 心房
生理学
- 循環血液量↑、心室拡張性↑ → 拡張期心室容量↑
- 循環血液量↓、心室拡張性↓ → 拡張期心室容量↓
- 末梢血管抵抗↑、心室収縮性↓ → 収縮期心室容量↑
- 末梢血管抵抗↓、心室収縮性↑ → 収縮期心室容量↓
[★]
- 英
- single ventricle, SV, univentricular heart, common ventricle
- 同
- 両房室弁流入心室 double-inlet ventricle
- 関
- 単心室症、先天性心疾患
[★]
- 英
- sis, pathy