- 英
- nitric oxide synthase
- 関
- NO合成酵素、一酸化窒素合成酵素、NOシンターゼ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/10 00:03:49」(JST)
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一酸化窒素合成酵素 |
識別子 |
EC番号 |
1.14.13.39 |
CAS登録番号 |
125978-95-2 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
一酸化窒素合成酵素(いっさんかちっそごうせいこうそ、英:Nitric Oxide Synthase(NOS)、EC 1.14.13.39)とは、窒素酸化物である一酸化窒素(英:Nitric Oxide、NO)の合成に関与する酵素である。NOは単純な化学的構造を持つ分子であるが、常温において気体の状態で存在し、生体膜を自由に通り抜けて細胞情報伝達因子として機能する。NOはアポトーシス、血圧変動などの過程に関与する。NOSは常時細胞内に一定量存在する構成型NOS(cNOS)と炎症やストレスにより誘導される誘導型NOS(iNOS、NOS2)に分類され、さらにcNOSには神経型のnNOS(NOS1)と血管内皮型のeNOS(NOS3)が存在する。近年ではミトコンドリアにもNOSの存在が示された(mtNOS)[1]。
目次
- 1 機能
- 2 NO合成反応
- 3 構造
- 4 各NOSの特徴
- 5 NOS阻害薬
- 6 出典
- 7 参考文献
機能
NOSによるNO合成反応。図中でオレンジ色で示されているのは酵素のヘム部位。
NOSはアミノ酸であるL-アルギニン(L-Arg)からL-シトルリン(L-Cit)とNOを合成する代謝反応に関与する酵素である。NOSの補酵素としてカルモジュリンや還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)が働いている。以下は、NOSにより生成されたNOの生理作用として代表的なものを挙げる。
- 血管拡張作用
- NOは細胞内可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を活性化させる作用を持ち、グアノシン三リン酸(GTP)の高エネルギーリン酸結合部位の切断により生成した環状グアノシン一リン酸(サイクリックGMP、cGMP)はプロテインキナーゼGを活性化する。これにより平滑筋の収縮に関与するカルシウムイオンの細胞内流入は抑制されるため、結果として血管平滑筋は弛緩し拡張する。末梢血管の拡張により血圧は低下する。また、NOの産生経路は亜酸化窒素の分解による経路も存在する。狭心症治療薬であるニトログリセリン(硝酸薬)は細胞内亜酸化窒素量を増加させることによりその作用を発現する。
- 血小板凝集抑制作用
- 血管内皮細胞により産生されたNOは血小板内のcGMPレベルを上昇させることにより血小板凝集を抑制すると考えられている[2]。この作用はアラキドン酸代謝物であるトロンボキサンA2の血小板凝集促進作用と拮抗する。
その他にもNOは細胞障害作用や殺菌作用など種々の作用を示す。詳細は一酸化窒素を参照のこと。
NO合成反応
L-ArgからNO及びL-Citを生成する反応はNG-ヒドロキシ-L-アルギニン(NOHLA)を中間代謝物とした酸化反応である。1モルのNOを生成するために2モルの酸素分子(O2)と1.5モルのNADPHを必要とする。NOSにより触媒されるNOの生合成反応は以下の式により示される。
- L-アルギニン + NADPH + H+ + O2 → NOHLA + NADP+ + H2O
- NOHLA + 1/2 NADPH + 1/2 H+ + O2 → L-シトルリン + 1/2 NADP+ + NO + H2O
構造
3種類のNOS(nNOS、iNOS、eNOS)はカルシウム(Ca2+)結合タンパク質であるカルモジュリン結合部位を有し、nNOS及びeNOSはCa2+依存的に結合するカルモジュリンによって活性化される。iNOSはもともとCa2+非依存的にカルモジュリンが結合しており、炎症性刺激として知られるリポポリサッカライド(LPS)などによって誘導される。さらにC末端側にはシトクロムP450と相同性を有するドメインを有する。
各NOSの特徴
名称 |
遺伝子 |
発現 |
機能 |
神経型NOS (nNOS) |
NOS1 |
|
|
誘導型NOS (iNOS) |
NOS2A、NOS2B、NOS2C |
|
|
内皮型NOS (eNOS) |
NOS3 |
|
|
NOS阻害薬
- D-アルギニン
- NG-モノメチル-L-アルギニン(L-NMMA)
- NG-ニトロ-L-アルギニン(L-NNA)
出典
- 今堀 和友、山川 民夫 編集 『生化学辞典 第4版』 東京化学同人 2007年 ISBN 9784807906703
- 田中 千賀子、加藤 隆一 編集 『NEW薬理学 第4版』 南江堂 2002年 ISBN 9784524220830
参考文献
- ^ La Padula P, Bustamante J, Czerniczyniec A and Costa LE.(2008)"Time course of regression of the protection conferred by simulated high altitude to rat myocardium: correlation with mtNOS."J.Appl.Physiol. 105,951-7. PMID 18566187
- ^ Benjamin N,Dutton JA and Ritter JM.(1991)"Human vascular smooth muscle cells inhibit platelet aggregation when incubated with glyceryl trinitrate: evidence for generation of nitric oxide."Br.J.Pharmacol.102,847-50. PMID 1906768
UpToDate Contents
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- 1. 高圧酸素療法 hyperbaric oxygen therapy
- 2. 煙の吸入 smoke inhalation
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- 4. 新生児脳症の病因および発症機序 etiology and pathogenesis of neonatal encephalopathy
- 5. 一酸化炭素拡散能 diffusing capacity for carbon monoxide
Japanese Journal
- 狂犬病罹患牛のニューロン中における内皮性および誘導性一酸化窒素シンターゼの免疫組織化学的局在の検討(短報)(臨床病理学)
- SHIN Taekyun,WEINSTOCK Daniel,CASTRO Marlene D.,HAMIR Amir N.,WAMPLER Thomas,WALTER Mark,KIM Hyun Young,ACLAND Helen
- The journal of veterinary medical science 66(5), 539-541, 2004-05-25
- 狂犬病を自熱発症した牛の脳における内皮細胞性一酸化窒素シンターゼ(eNOS)ならびに誘導性NOS(iNOS)の発現について検討した.小脳の脳幹部ニューロンおよびプルキンエ細胞にeNOSの発現が増強していた.これに対し,iNOSはウイルスに冒されたニューロンの細胞質に散在性に局在し,一部は炎症細胞に存在した.eNOSと狂犬病抗原がニューロンの封入体(Negri小体)中に共存していた.Negri小体中 …
- NAID 110003886443
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- nitric oxide synthase、NO synthase、NOS
- 関
- 一酸化窒素合成酵素、一酸化窒素シンターゼ、NOシンターゼ
[★]
- 英
- nitric oxide NO, nitrogen monooxide
- 商
- アイノフロー
- 関
- その他の循環器官用薬
平滑筋弛緩作用
- →NOの分泌が失われると下部食道括約筋が緊張しアカラジアを生じる
炎症との関連(BPT.50)
- iNOSにより産生される
- 1. vasodilation:血管平滑筋の弛緩
- 2. 血小板活性化の全ての段階の拮抗作用(adhesion, aggregation, and degranulation
- 3. 炎症部位への白血球のリクルートメントの減少
- 4. 活性化マクロファージの中でのバクテリア障害物質としての作用
メモ
[★]
- 英
- nitrogen、N、N2、nitric
- 関
- アスパラギン、ヌクレオシド、規定濃度
[★]
- 英
- synthase
- 関
- 合成酵素、付加酵素
[★]
- 英
- monoxide
- 関
- 一酸化物
[★]
- 英
- nitrogen oxide, NO