フルコナゾール
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フルコナゾール
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-(2,4-difluorophenyl)-
1,3-bis(1H-1,2,4-triazol-1-yl)propan-2-ol
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- S3/S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
|
投与方法 |
Oral, IV, topical |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
>90% |
血漿タンパク結合 |
11–12% |
代謝 |
Hepatic 11% |
半減期 |
30 hours (range 20-50 hours) |
排泄 |
Renal 61–88% |
識別 |
CAS番号 |
86386-73-4 |
ATCコード |
D01AC15 J02AC01 |
PubChem |
CID: 3365 |
DrugBank |
APRD00327 |
KEGG |
D00322 |
化学的データ |
化学式 |
C13H12F2N6O |
分子量 |
306.271 g/mol |
フルコナゾールは、深在性真菌症に用いられるアゾール系の抗真菌薬。日本では、ファイザーがジフルカン®として販売している他、いくつかの後発医薬品が販売されている。剤形には、カプセル剤、ドライシロップ、注射液がある。
目次
- 1 効能・効果
- 2 禁忌
- 3 副作用
- 4 作用機序
- 5 不感症治療薬
- 6 改良品
- 7 脚注
効能・効果
- カンジダ属及びクリプトコッカス属による 真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎[1][2][3]
- 造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
- カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎(カプセル剤のみ)
禁忌
下記の患者には禁忌である[1][2][3]。
- トリアゾラム、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、キニジン、ピモジドを投与中の患者
- 製剤成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者
副作用
添付文書に記載されている重大な副作用は、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少、白血球減少、貧血、急性腎不全、肝障害、意識障害、痙攣、高カリウム血症、心室頻拍、QT延長、不整脈、間質性肺炎、偽膜性大腸炎である[1][2][3]。
作用機序
真菌細胞膜の成分であるエルゴステロール生合成を阻害し、更に細胞膜の変化を起こし、透過性その他真菌細胞の膜機能を障害することによる。
不感症治療薬
一時期、フルコナゾールを不感症治療薬として広告を行っていた個人輸入代行業者が存在した時期がある。1999年、製造元のファイザーより31軒の個人輸入業者へ警告書を送付した。ファイザーの説明では、そのような効果はないとのことである。2006年現在、このような広告は見受けられない[4]。
改良品
フルコナゾールは水に溶けにくいため、比較的多量の電解質液や輸液に溶解する必要があった。一方で深在性真菌症の患者では、腎機能障害や心不全のために水分制限や厳密な電解質管理を要することが多く、これらの患者へのフルコナゾールの投与には特別な注意が必要であった。
2004年に新たに発売されたホスフルコナゾール(英語版)(商品名プロジフ®、輸入販売元ファイザー株式会社)はフルコナゾールをリン酸エステル化したプロドラッグであり、体内でリン酸エステル加水分解酵素の作用を受けてフルコナゾールに変化する。ホスフルコナゾールは水に溶けやすいため、同力価のフルコナゾールを投与するときの1/40の液量で投与が可能であり、上記の欠点を克服することができた。また、フルコナゾールが点滴静注を必要とするのに対してホスフルコナゾールはボーラス静注が可能であることや、投与開始の2日間は2倍量を投与することが認められているために、有効血中濃度に早く達することができるという利点もある。
脚注
- ^ a b c “ジフルカンカプセル50mg/ジフルカンカプセル100mg 添付文書” (2015年5月). 2015年5月28日閲覧。
- ^ a b c “ジフルカンドライシロップ350mg/ジフルカンドライシロップ1400mg 添付文書” (2013年6月). 2015年5月28日閲覧。
- ^ a b c “ジフルカン静注液50mg/ジフルカン静注液100mg/ジフルカン静注液200mg 添付文書” (2013年6月). 2015年5月28日閲覧。
- ^ 但し、2008年に入り『バイアグラは男性向け勃起持続薬です。女性向けはダイフルカン』の様な内容のタイトルの付いたスパムメールが出没している。これらのメールの本文ではバイアグラ・レビトラ・シアリスの販売を謳っている。が、リンクをクリックすると個人輸入代行販売サイトに繋がるので警戒する必要がある。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 深在性真菌症治療薬ホスフルコナゾール(プロジフ^【○!R】)静注液の非臨床試験および臨床試験成績
- 日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA 124(1), 41-51, 2004-07-01
- NAID 10013796703
- デブリドマンおよびイトラコナゾール内服で略治した皮膚限局型クリプトコックス症の1例
- 西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology 66(2), 157-164, 2004-04-01
- NAID 10019000342
Related Links
- ジフルカンとは?フルコナゾールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- ジフルカンとは。効果、副作用、使用上の注意。真菌を包む細胞膜にダメージを与えて、真菌を死滅させる作用がある薬です。 アムホテリシンB製剤、ボリコナゾール製剤、ミコナゾール製剤は、アスペルギルス、カンジダ ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジフルカンドライシロップ350mg
組成
1瓶中:
有効成分
添加物
- 精製白糖、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、安息香酸ナトリウム、香料
禁忌
- 次の薬剤を投与中の患者:トリアゾラム、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、キニジン、ピモジド[「相互作用」の項参照]
- 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
カンジダ属及びクリプトコッカス属による下記感染症
- 真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
成人
カンジダ症
- 通常、成人にはフルコナゾールとして50〜100mgを1日1回経口投与する。
クリプトコッカス症
- 通常、成人にはフルコナゾールとして50〜200mgを1日1回経口投与する。
なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として400mgまで増量できる。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
- 成人には、フルコナゾールとして400mgを1日1回経口投与する。
小児
カンジダ症
- 通常、小児にはフルコナゾールとして3mg/kgを1日1回経口投与する。
クリプトコッカス症
- 通常、小児にはフルコナゾールとして3〜6mg/kgを1日1回経口投与する。
なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として12mg/kgまで増量できる。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
- 小児には、フルコナゾールとして12mg/kgを1日1回経口投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
ただし、1日量として400mgを超えないこと。
新生児
- 生後14日までの新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を72時間毎に投与する。
生後15日以降の新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を48時間毎に投与する。
造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
- 好中球減少症が予想される数日前から投与を開始することが望ましい。
- 好中球数が1000/mm3を超えてから7日間投与することが望ましい。
懸濁液調製法
- 本剤は1瓶について24mLの水を加えて懸濁すると、それぞれの濃度は以下の通りとなる。[「適用上の注意」の項参照]
慎重投与
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 腎障害のある患者[血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。(「薬物動態」の項参照)]
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させることがある。]
- 心疾患又は電解質異常のある患者[心室頻拍(torsades de pointesを含む)、QT延長、心室細動、房室ブロック、徐脈等があらわれることがある。(「重大な副作用」の項参照)]
- 遺伝性フルクトース不耐症、グルコース・ガラクトース吸収不全症又はスクラーゼ・イソマルターゼ欠損症の患者
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明注))
- ショック、アナフィラキシー様症状(血管浮腫、顔面浮腫、そう痒等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明注))
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血液障害(頻度不明注))
- 無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少、白血球減少、貧血等の重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明注))
- 急性腎不全等の重篤な腎障害が報告されているので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝障害(頻度不明注))
- 黄疸、肝炎、胆汁うっ滞性肝炎、肝壊死、肝不全等の肝障害が報告されており、これらの症例のうち死亡に至った例も報告されている。これらの発症と1日投与量、治療期間、患者の性別・年齢との関連性は明らかではない。本剤による肝障害は通常、投与中止により回復している。投与にあたっては、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
意識障害(頻度不明注))
- 錯乱、見当識障害等の意識障害があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
痙攣(頻度不明注))
- 痙攣等の神経障害があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
高カリウム血症(頻度不明注))
- 高カリウム血症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、電解質補正等の適切な処置を行うこと。
心室頻拍、QT延長、不整脈(頻度不明注))
- 心室頻拍(torsades de pointesを含む)、QT延長、心室細動、房室ブロック、徐脈等があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(頻度不明注))
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、本剤の投与を中止するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎(頻度不明注))
- 偽膜性大腸炎等の重篤な大腸炎(初期症状:発熱、腹痛、頻回の下痢)があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗真菌作用53〜55)
- フルコナゾールは、カンジダ属及びクリプトコッカス属に対しin vitro抗真菌活性を示す。
- カンジダ属及びクリプトコッカス属の病原真菌を用いたマウス感染防御実験において、フルコナゾールは従来のイミダゾール系抗真菌剤よりも強い効果を示した。
作用機序56)
- フルコナゾールは真菌細胞において、膜成分のエルゴステロール生合成を抑制することにより抗真菌作用を示す。また、真菌の酵母型発育相及び菌糸型発育相のいずれに対しても発育抑制を示す。フルコナゾールのエルゴステロール生合成阻害作用は真菌に選択的で、ラット肝細胞でのステロール生合成に対する影響は少ない。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
略号
化学名
- 2-(2,4-Difluorophenyl)-1,3-bis(1H-1,2,4-triazol-1-yl)propan-2-ol
分子式
分子量
融点
性状
- フルコナゾールは、白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に溶けにくい。希塩酸に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fluconazole
- 同
- FLCZ
- 商
- ジフルカン、ニコアゾリン、ビスカルツ、フラノス、フルカード、フルカジール、フルコナゾン、フルタンゾール、ミコシスト
- 関
- 抗真菌薬
-
ADME
阻害
排泄
添付文書
- ジフルカンカプセル50mg/ジフルカンカプセル100mg
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290002M1020_2_01/6290002M1020_2_01?view=body
- ジフルカン静注液50mg/ジフルカン静注液100mg/ジフルカン...
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290401A1099_2_01/6290401A1099_2_01?view=body
[★]
商品