IL-4
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インターロイキン-4(Interleukin-4,IL-4)とはサイトカインの一種であり、インターロイキンの中でも造血などに関与するヘマトポエチンファミリーというサブファミリーに分類される。IL-4は129個のアミノ酸から構成される可溶性タンパク質であり、活性化CD4+T細胞をはじめ、マスト細胞、NKT細胞などによって産生される。
目次
- 1 受容体
- 2 シグナル伝達
- 3 生理活性
- 4 出典
- 5 参考文献
受容体[編集]
IL-4受容体はIL-4に対し高親和性の受容体として発見、クローニングされた(Kd 10-11M)[1][2]。IL-4受容体にはIL-4受容体α鎖が共通γ鎖と複合体を形成した1型とIL-13受容体α1鎖と複合体を作った2型の2種類が存在しており、2型はIL-13に対しても結合能を有する。いずれの受容体も一回膜貫通型の受容体である。
シグナル伝達[編集]
細胞膜表面のIL-4受容体がヘテロ二量体を形成すると、IL-4受容体の細胞内ドメインの自己リン酸化が生じる。IL-4受容体に限ったことではないが、チロシンキナーゼ型受容体の自己リン酸化を受けた部位はシグナル伝達分子の結合部位となる事が知られており、IL-4Rのリン酸化された部位にチロシンキナーゼであるJAK3が結合すると転写因子であるSTAT6の誘導・リン酸化を行う。リン酸化を受けたSTAT6はコンフォメーションの変化が生じてホモ二量体形成および核内移行が可能となる。細胞核内に存在するDNA上にSTAT6が結合することでヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)活性を有するCREB結合タンパク質(CBP)を引き寄せ、DNAのアセチル化を行うことで転写調節を行う。
生理活性[編集]
IL-4は抗アレルギー作用、抗感染症を示す事が知られており、気管支喘息などの疾患を中心に解析が行われている。気管支喘息は免疫疾患であり、その病態形成にはTリンパ球が重要な役割を果たしている。アレルギー疾患の発症に関与するといわれるTh2細胞への分化にはTh2サイトカインと呼ばれる分子群の寄与が大きく、IL-4はIL-5、IL-13などと共にTh2サイトカインの一つに数えられる。
前述したSTAT6へテロ二量体がDNAに結合するとGATA3と呼ばれるTh2細胞特異的な転写因子が産生される(GATA3自体はIL-4の転写に直接関わるものではない)。GATA3はIL-4遺伝子座に結合することでクロマチンリモデリングを引き起こし、Th2分化を誘導する。
なお、最近の報告では側方抑制に関与することで有名なNotchシグナリングがIL-4系と独立した機構でTh2分化に関係があることが示唆されているが[3]、どのような状況下でこの系が働くのかは未だ解明されていない。
また、IL-4はB細胞に働きかけることで免疫グロブリンのクラススイッチにも関与している。IL-4が活性化B細胞に作用するとIgMからIgEおよびIgG1へのクラススイッチが起こる。
出典[編集]
- 宮園 浩平、菅村 和夫 編『BioScience 用語ライブラリー サイトカイン・増殖因子』羊土社 1998年 ISBN 4897062616
- 谷口 克、宮坂 昌之 編『標準免疫学 第2版』医学書院 2002年 ISBN 4260104527
参考文献[編集]
- ^ Mosley B, Beckmann MP, March CJ, et al.(1989)"The murine interleukin-4 receptor: molecular cloning and characterization of secreted and membrane bound forms."Cell. 59,335-58.
- ^ Idzerda RL, March CJ, Mosley B, et al.(1990)"Human interleukin 4 receptor confers biological responsiveness and defines a novel receptor superfamily."J.Exp.Med. 171,861-73.
- ^ Amsen D, Antov A, Jankovic D et al.(2007)"Direct regulation of Gata3 expression determines the T helper differentiation potential of Notch."Immunity. 27,89–99.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Th2サイトカイン遺伝子座における新規エンハンサー領域の同定--エンハンサーHS2,CGREによるIL-4,IL-13産生制御 (AYUMI 免疫のエピジェスティクス研究)
- オバルブミン感作したBALB/cマウスに対するγ-アミノ酪酸(GABA)の血清IgEレベル抑制作用
- 堀 あゆみ,原 崇,佐藤 可奈 [他],Joh Toshio,堀 あゆみ,原 崇,佐藤 可奈,城 斗志夫
- 新潟大学農学部研究報告 62(2), 117-123, 2010-03
- … In cytokine production assay in vitro, GABA showed increased IFN-γ production concomitant with decreased IL-4 production by splenocytes from OVA-immunized BALB/c mice. … In addition, these decreased IgE levels by administrated GABA were paralleled with increased IFN-γ production and decreased IL-4 production in splenocytes ex vivo. …
- NAID 120005238951
- 稲垣 直樹,高 〓坤,田中 宏幸 [他],永井 博弌
- 日本薬理学雑誌 131(4), 240-243, 2008-04-01
- … ,血中IgEの上昇,インターロイキン-4(IL-4)mRNA発現の増大およびインターフェロン-γ(IFN-γ)mRNA発現の減弱を伴う耳殻腫脹が誘発される.病理組織学的検討では表皮の肥厚,真皮の腫脹,炎症細胞の集積などの炎症の徴候が認められる.アトピー性皮膚炎に有効性を示す漢方方剤の十全大補湯,補中益気湯,消風散および黄連解毒湯は,IL-4 mRNA発現の増大およびIFN-γ …
- NAID 10024382287
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- interleukin-4, interleukin 4
- 同
- インターロイキン4、インターロイキン-4
- 関
- サイトカイン、インターロイキン
概念
- B細胞のIgのクラススイッチを促進(SP.251) ← IgEへのクラススイッチ
産生細胞
機能
受容体
[★]
- 英
- interleukin interleukins IL
- 関
- サイトカイン
=知られているインターロイキン
- IMM.799