出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/01 16:10:37」(JST)
寒剤(かんざい、英: freezing mixture[1])とは、科学実験などで低温を得るために用いる冷却剤のこと。氷と塩類など、2種類以上の物質の混合物を指すが、液体窒素などクーリングバスで使う冷却材を広く含めることもある。理想的な系では共晶点の温度を得ることが可能。溶解が吸熱反応の場合、寒剤を断熱的に溶解させると溶液全体が冷える。このようにある物質を溶解することにより温度が下がるような混合物である。
通常は、水と塩、氷と塩、アルカリか酸かドライアイス等と有機溶媒(エチルアルコール、エチルエーテルなど)である。
そのメカニズムは、氷と塩類の場合、まず氷の一部が融解して融解熱を奪い、その解けた水に塩類が溶解して溶解熱を奪うため温度は徐々に降下し、共融点に近い低温で降下が止まる、というものである。端的に言うと融解熱や溶解熱が奪われることによって冷却が起こる。
混合物 | 質量比 | 到達可能温度 (°C) |
---|---|---|
氷/水 | 1:1 | 0 |
食塩/水 | 1:0.36 | (低下温度)2.5℃低下 |
塩化アンモニウム/炭酸ナトリウム/水 | 1:1:3 | (低下温度)29.0℃低下 |
塩化アンモニウム/水 | 3:10 | (低下温度)2℃低下 |
亜硝酸ナトリウム/水 | 6:10 | (低下温度)12℃低下 |
チオシアン酸アンモニウム/水 | 13:10 | (低下温度)15℃低下 |
酢酸ナトリウム/氷 | 9:10 | −15 |
塩化カルシウム(六水和物)CaCl2・6H2O/氷 | 81:100 | −21.5 |
CaCl2・6H2O/氷 | 123:100 | −41 |
CaCl2・6H2O/氷 | 58.8:41.2 | −54.9 |
食塩/氷 | 22.4:77.6 | −21.2 |
塩化アンモニウム/氷 | 3:10 | -18 |
硝酸アンモニウム/氷 | 1:1 | −25 |
塩化アンモニウム/硝酸カリウム/氷 | 1:1:1 | −25 |
臭化ナトリウム/氷 | 65:100 | −28 |
塩化カリウム/氷 | 1:1 | −30 |
塩化マグネシウム/氷 | 3:10 | −33 |
塩化亜鉛/氷 | 51:49 | −62 |
硫酸(66%)/氷 | 1:1 | −37 |
四塩化炭素CCl4/ドライアイス | 無し | –23 |
アセトニトリル/ドライアイス | 無し | −42 |
エチルアルコール/ドライアイス | 無し | -72.0 |
アセトン/ドライアイス | 無し | −86 |
エチルエーテル/ドライアイス | 無し | −77.0 |
エーテル/ドライアイス | 無し | −98 |
エチルアルコール/液体空気(*) | −100 | |
エーテル/液体空気(*) | −116 | |
石油エーテル/液体空気(*) | −150 | |
液体窒素 | −196 | |
液体水素 | −253 | |
液体ヘリウム | −269 | |
なお、これらの数値は資料によって僅差がある | ||
(*)寒剤に直接液体空気は混ぜない。 |
寒剤に用いられる主な物質は3種類ある。
最も簡単な寒剤としては氷と水を混ぜたものがある。この物質は1気圧下では水の融点、0°Cに保たれる。適当な無機塩を混ぜることにより0°C以下にすることができる。
ドライアイスの昇華点は−79°C(1気圧)であるが、有機溶媒を用いることで寒剤を作ることができる。エーテルとの寒剤は−98°C近くまで下げることができる。
一般的に、ドライアイス/エタノールやドライアイス/アセトンの混合物が使用されるが、特に可燃性蒸気の発生を嫌う場合にはドライアイス/塩化メチレンやドライアイス/四塩化炭素を用いる。
液体窒素の沸点は−196°Cである。液体窒素は一般に安価であり原料の窒素は大気から潤沢に得られるが、さらに低温が必要な場合は液体水素や液体ヘリウムを用いる。液体水素は非常に引火性が高く危険であり、液体ヘリウムは希少資源でかつ非常に高価という欠点がある。
[ヘルプ] |
この節の加筆が望まれています。 |
この節の加筆が望まれています。 |
この項目は、化学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:化学/Portal:化学)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「華氏」 |
関連記事 | 「剤」 |
華氏 | 摂氏 | |
氷点 | 32.0 F | 0.0 C |
平熱 | 98.6 F | 37 C |
発熱 | 100.0 F | 37.8 C |
沸点 | 212.0 F | 100.0 C |
華氏度(かしど)は、数種ある温度目盛のうちの1つであるファーレンハイト温度目盛(華氏温度目盛)によって計測した温度の単位である。ファーレンハイト度(ファーレンハイトど)とも言う。「華氏」は、考案者ファーレンハイト(Fahrenheit)の中国語における音訳「華倫海特」(普通話ではHualunhaite)によるものである。
ファーレンハイト温度目盛は、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトが1724年に提唱したもので、その名前を取って呼ばれる。ファーレンハイト度は、他の温度目盛と同様「度」(記号:°)の単位がつけられ、他の温度目盛による値と区別するためにファーレンハイトの頭文字を取って"°F"と書き表される。「32°F」は、日本語では「華氏32度」、英語では"32 degrees Fahrenheit"、または、"32 deg F"と表現される。
ファーレンハイト温度目盛では、水の氷点を1 E2 K(32°F)、沸点を212度(212°F)とする。水の氷点と沸点の間は180度に区切られる。よって、この温度目盛によって計った温度Fは、セルシウス温度目盛による値(セルシウス度、摂氏度)Cと、以下の関係にある。
|
|
|
セルシウス度に対するケルビンに対応するものとして、絶対零度を0としてファーレンハイト度の目盛りを振ったランキン度がある。
ファーレンハイトがこの温度目盛を作った時の話には、いくつかの説がある。
日本では1.と2.を合わせたものがよく知られているが、アメリカでは3.が有名であるようである。
ファーレンハイトの計測は完全に正確ではなかった。彼が作ったオリジナルの目盛によって計った水の氷点・沸点は32度・212度とは異なっていた。彼の死後、その値が32度・212度となるように調整された。その結果、人の体温は96度ではなく98.6度となった。
1960年代まで、多くの英語圏の国でファーレンハイト度は気候・産業・医療における温度の基準となっていた。1960年代後半から1970年代にかけて、メートル法への切り換えの一環としてセルシウス度(摂氏度)の導入が政府によって行われた。しかし、切り換えのための努力にもかかわらず、現在でも多くの英語圏の国では非科学分野での温度計測にファーレンハイト度が広く使用されている。
ファーレンハイト度の支持者は、これがファーレンハイト度が利用者によって親しみやすいからだと主張している。地球上の居住可能地域の大部分で気温変化は0°Fから100°Fの範囲に収まり、ファーレンハイト度は生活感覚に直結した温度目盛であると主張している。
しかし、そのような温度と生活感覚の相互関係は、単に習慣から生まれるものである。日常摂氏を使用している人であれば、マイナスの温度では霜が降り、0-10℃は寒い、10-20℃は適温、20-30℃は暖かい、30-40℃は暑いということを知っている。
アメリカ合衆国・ジャマイカでは、メートル法への置き換えが生産者側・消費者側の両方で大きな抵抗に遭っているため、ファーレンハイト度は様々な分野で広く使われ続けている。同様にイギリスの一部では、低い温度はセルシウス度で表されるが、日常的に使われる温度はファーレンハイト度で測定されている。カナダではメディアはセルシウス度で温度が報じるが、年配のカナダ人は今でもファーレンハイト度で温度を表す。
また、ファーレンハイト度での人間の平熱が98.6度であることはよく知られていて、体温が華氏100度以上になると治療が必要とされる。
.