- 英
- ice
WordNet
- diamonds; "look at the ice on that dame!" (同)sparkler
- water frozen in the solid state; "Americans like ice in their drinks" (同)water_ice
- cause to become ice or icy; "an iced summer drink"
- put ice on or put on ice; "Ice your sprained limbs"
- a frozen dessert with fruit flavoring (especially one containing no milk) (同)frappe
- the frozen part of a body of water
PrepTutorEJDIC
- 〈U〉『氷』 / 〈U〉《the~》表面に張った氷,氷面 / 〈C〉《米》氷菓子(シャーベット・フラッペなど) / 〈U〉(気持ち・態度などの)冷たさ,よそよそしさ / …‘を'氷でおおう《+『名』+『over』(『up』),+『over』(『up』)+『名』》 / …‘を'氷にする / (特に氷で)…‘を'冷やす,冷たくする / 〈ケーキなど〉‘に'糖衣をかける / 凍る《+『over』(『up』)》
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/03/03 03:30:39」(JST)
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海氷 氷は水よりも密度が低いため、内部に水を残したまま、表面から氷結する。
氷(冰、こおり)とは、固体の状態にある水のこと。
なお、天文学では宇宙空間に存在する一酸化炭素や二酸化炭素、メタンなど水以外の低分子物質の固体をも氷(誤解を避けるためには「○○の氷」)と呼ぶこともある。また惑星科学では、天王星や海王星の内部に存在する高温高密度の水やアンモニアの液体のことを氷と呼ぶ事がある。さらに日常語でも、固体の二酸化炭素をドライアイスと呼ぶ。しかしこの記事では、水の固体を扱う。
目次
- 1 氷の特徴
- 2 氷の製造
- 3 氷の利用
- 4 氷利用の歴史
- 5 自然界の氷
- 5.1 大気中
- 5.2 地上
- 5.3 海上
- 5.4 地球外
- 6 相変化
- 7 参考文献
- 8 関連項目
- 9 外部リンク
氷の特徴
熱い氷 図は縦軸に温度(摂氏と絶対温度)、横軸に圧力 (GPa) を取った。1 GPa は大気圧の1万倍である。例えば、10 GPa では数百度という高温の氷VIIが存在することが読み取れる。
- 結晶
- 無色透明で六方晶系の結晶を持つ。融点は通常の気圧で摂氏0度。ただし、圧力を変えることで相変化を起こし、結晶構造や物理的性質に差がある、さまざまな高圧相氷になることが知られている。この場合、我々が普段目にする「普通の」氷は「氷I」と呼ばれる。現在のところ、圧力が高い状態において氷IIから氷XVI(16)まで発見されている[1]。特に、きわめて高い圧力下では、水素結合が縮んで水分子の配列が変わる。このように様々な相が存在することを多形という。
- 熱
- 氷は特異的に凝固熱、融解熱が大きい。例えば融解するときに、潜熱として1キログラムあたり約 80 kcal (333.5 kJ) の熱を周囲から奪う。これは同量の水を0℃から80℃まで温めることができるほどの熱量である。雪を食べると体力を消耗するとして、寒地では(特に遭難時)禁忌とされている。また、氷は圧力により界面が融解する性質がある。これは後述する通り、氷が水に比べて密度が低い事に由来する。スケート・スキー・カーリング・そりなどはこれらの性質を活かしている。
- 体積
- 通常気圧において凍る際は体積が約11分の1増加する。すなわち、比重が0.9168 と小さくなり、水に浮く。物質は温度が低くなるほど分子の振動が小さくなるため、通常であれば温度が低くなるほど密度は大きくなり、従って気相よりも液相、液相よりも固相のほうが密度が大きい。このように固相の方が液相よりも密度が低い物質は非常に珍しい。これは液相の水分子が水素結合で強固に結びついており、固相の場合よりも分子間の距離が小さい事が原因である。また、密閉された状態で凍ると周囲の物質を押し出し、時に破壊する。例えば岩の隙間に水が入り込んで氷になると、岩を破壊する。冬季の寒冷地では水道管の破裂を防ぐため、夜間は水抜栓を用いて水を冷気の及ばない地中に落とし、凍結を防ぐ。清涼飲料水類の缶にも「凍らせないでください」という注意書きが書かれている。
- 不純物
- 液体が固体になるとき、溶解している物質は結晶構造に加わらずに濃縮される。冷蔵庫などで氷を作ると、内部に白く気泡が残されるのはこのためで、気泡中には、溶けていた空気(二酸化炭素やその他不純物)が閉じ込められている。一方、透明な部分は不純物が少ない、純度が高い水になっている。透明な氷を作るためには、なるべく純粋な水をゆっくり凍らせる必要がある。一般に、一度煮沸して気体を追い出したり、大部分が凍結した段階で不純物が集まった水の部分を捨てるなどの方法が取られる(濃縮された方に用がある場合は、凍結濃縮法と呼ばれる)。
氷の製造
「冷蔵庫」および「製氷」も参照
氷には河川や湖水の冬季に氷結した物を切り出して保存・利用する「天然氷」と機械によって製造される「人造氷」とがあり、長らく人類は天然氷のみを利用してきたが、19世紀、科学技術の発達により人造氷が現れると衛生面・コストの点で天然氷の利用は主流ではなくなった。
我々は打ち水をすれば気温が下がることを知っているが、これは水が気化する際に熱を奪う(気化熱)ことによって起こる。機械による製氷も気化熱による冷却と同様の原理が利用される。
1748年、手回し式の減圧装置を用いることによるジエチルエーテルの気化熱を利用した製氷をスコットランドのウィリアム・カレンが行ったのが人造氷のはじまりとされる[2][3]
1834年には、エーテルを利用したコンプレッサー式製氷機の特許がアメリカのジェイコブ・パーキンスによって取られている[2][3]
日本では、明治以降に外国人居留地で小規模な製氷が行われるようになり、1883年(明治16年)東京製氷株式会社が設立されている(当初の製氷能力は、一日当たり6t)。
氷の利用
食用
- かき氷
- 飲用 - かち割り、氷水
- クラッシュドアイス - 清涼飲料水、カクテル、ウィスキーの冷却
冷却用
- 冷蔵庫 - 初期の冷蔵庫は、単に断熱性のある筐体の天井部分に巨大な氷を詰めて冷やすだけのものであった。現在のアイスボックスに近く、定期的に氷屋から氷を届けてもらう必要があった。現在においても電気冷蔵庫に保存した場合、食材によっては特有の臭いがつく場合あり、氷冷蔵庫が用いられる例もある。
- 生鮮食品の鮮度維持 - 生鮮食品(特に魚介類)を輸送する際、梱包に砕いた氷を充填する。沿岸漁業では、漁船は船倉に砕いた氷を積んで出航するため、大きな漁港では岸壁に氷を送るコンベヤダクトが備えられている。
- 人体の冷却 - 発熱時等に氷枕(氷嚢)として冷却を行なう。
- アイシング
その他
- イグルー、かまくらなどの住居
- 燃料の結着・成型(例えばアルミニウム粉末を氷で固めたALICE推進剤)
- 氷像、氷による建築・装飾など
- スケートリンク
- トイレの便器 - 主に飲食店のトイレで小便器に置き、小便を冷やして臭気を抑える効果を持たせている(当然、本物の氷を定期的に補充しなければ無意味である)
- 1973年、南極大陸で氷の桟橋(Ice pier)が作られ利用された[4]。耐用年数は3〜5年で、寿命が来たら砕氷船に曳航され除去される。
- 寒冷地では凍った湖や川などの上を道路や飛行場として利用し、臨時の鉄道も敷かれる[5](レニングラード包囲戦、アラスカ鉄道)。
氷利用の歴史
人為的に冷却効果を得る技術が登場するまで、氷自身が唯一の冷却材であったため、冬季や寒冷地にて得られた天然氷を融かさないよう保管する努力が講じられた。保管方法として、地下や洞窟の奥などに空間を作り、冷却効果を得ようと大量に氷を保管した。また、断熱効果を得るためオガクズなども用いられた。
日本ではこれを氷室(ひむろ)、英語ではアイスハウスと呼ぶ。歴史的には紀元前1780年ごろのメソポタミア北部のテルカで使われた記録がある[6]。
昨今では、冬に降った大量の氷雪を保管しておいて夏期の冷房に利用しようとする試みや、気温が低く電力需要も少ない(そのため電力料金も安くなる)夜間に製氷しておき、昼間の冷房に役立てようとするサービスなどが普及しつつある。
「:en:Ice trade」も参照
函館氷
「函館氷」も参照
日本において、冬を除いて冷たい飲み物が飲めるようになるのは、明治になってからになる。中川嘉兵衛という実業家が、明治4年、函館で初めて天然氷の採氷事業に成功したときにはじまる。 嘉兵衛はまず、富士山の山麓に500坪の採氷池を掘り、そこから約2000個の天然氷を得ることに成功する。しかしこの氷は、江尻港(静岡市)までの8里(約31キロ)は馬で、その後は帆船を借りて一般貨物の2倍の運賃で横浜まで運んだものの、横浜到着時にはすべて溶けて水になってしまっていた。この後2年間休業したのち、諏訪湖、日光、釜山、青森からと、毎年場所を変えて氷を採り、横浜へと運搬したがいずれも失敗に終わった。しかし、嘉兵衛はあきらめることなく、函館に渡り、6回目の採氷に挑戦した。この年は温暖であったため、僅かな氷しか採れず、250トンの氷を横浜に輸送することが出来たものの、採算は取れなかった。しかしこれに手ごたえを感じ、明治2年、函館の五稜郭の外濠を借り受け、亀田川の水を引き入れて7回目の採氷を行った。この7度目の挑戦にしてやっと事業が成功。明治5(1872)年の『新聞雑誌』には、「製氷界の恩人――中川嘉兵衛」の見出しで、
“ |
昨夏横浜の氷会社より氷を売り出し、其価甚だ安く衆人の賞美大方ならず。(中略)文政天保の際に、奢侈を極めし貴人富豪と誰も知らざる所の一味を、一貧生にして飽まで消受すること、明代の余沢ならずや。 |
” |
と述べられ、その事業が称賛されている。これまで簡単に手に入れられなかった夏場の氷が、安く手に入るようになり、人々が夏場に冷たいものにふれる始まりになった。また明治7(1874)年の『東京日日新聞』においても、函館の天然氷採取が取り上げられ、功績が称賛されている。
“ |
氷の世に大功ある事は、第一熱病には必要の薬品にて、氷室ありし以来、炎症を助けしこと少なからず。第二暑中人意を快くし、第三我国の一産物を開けり |
” |
製氷事業は病人の熱さましとして、また暑い夏の飲食用として、人々に歓迎された。
近年の需要動向
1980年代から1990年代にかけて飲食店で業務用の自動製氷機が普及したため食用氷純氷を扱う業者は販売不振に陥っていた[7]。しかし、2013年にコンビニエンスストアのひき立てコーヒーが登場したことによって再び食用氷の需要が上昇している[7]。 近年のかき氷ブームによる需要でふわふわ感が楽しめる氷として、またウイスキーをオンザロックで飲む際に用いられる高品質でほとんど無味無臭の氷として製氷工場で作られた純氷が求められるようになってきた。
自然界の氷
大気中
- 雪
- 雹(ひょう)
- 霰(あられ)
- 霧氷
- 雨氷
- ダイヤモンドダスト
地上
- 南極大陸、グリーンランドの氷床
- 氷河
- 氷柱(つらら)
- 氷筍
- 霜(しも)
- 霜柱
海上
地球外
- 彗星
- 火星の極冠
- 氷衛星
- 土星の環
- 天王星型惑星のマントル
- 太陽系外縁天体
相変化
1気圧の環境では、氷は0℃以上で溶解し水になり、水は0℃以下で凝固し氷になる。611.657Pa以下の気圧では、温度が上昇すると氷が水蒸気に昇華する。
氷、水、水蒸気は、611.657Paの圧力、273.16K(0.01℃)の三重点で共存することができる[8][9]。
加圧下の多くの液体は、圧力が分子を固定することから高温でも凝固する。しかし、下図の100MPa周辺の水の場合は強い水素結合によって0℃以下で溶けている。この高圧下での氷の融解は、氷河の移動に寄与すると考えられている[10]。
氷の結晶構造は、2014年に新種が見つかり現在17種の多形と[1]、様々な密度の非晶質氷(英語版)が判明している。
対数線形図 水の圧力―温度相図。青いSolid部が氷。ローマ数字が氷の多形を示す。
- 非晶質氷
- 非晶質氷(またはアモルファス氷)は分子配列の長距離秩序が無いアモルファス状態の氷の事である。非晶質氷は密度によって3つの形態に分けられる。大気圧で形成された低密度非晶質氷(LDA)や、より高い圧力で形成された高密度非晶質氷(HDA)および超高密度非晶質氷(VHDA)である。
- 宇宙空間では、地球上で最も優勢な六方晶系の氷は非常にまれで、非晶質氷が一般的である。しかし、火山活動によって六方晶系の氷が形成される可能性がある[11]。
- 氷の多形
詳細は「:en:Ice#Phases」を参照
- 一般的な六方晶系の氷であるIce Ih(氷Ih)を始め、Ice Ic、Ice II、Ice III、Ice IV、Ice V、Ice VI、Ice VII、Ice VIII、Ice IX、Ice X、Ice XI、Ice XII、Ice XIII、Ice XIV、Ice XV、Ice XVIの17種が発見されている。
参考文献
- ^ a b Falenty, A.; Hansen, T. C.; Kuhs, W. F. (2014). “Formation and properties of ice XVI obtained by emptying a type sII clathrate hydrate”. Nature 516 (7530): 231. Bibcode 2014Natur.516..231F. doi:10.1038/nature14014. PMID 25503235.
- ^ a b “製氷機を発明した人を動かした、熱い意志”. WIRED Japan. 2016年2月5日閲覧。
- ^ a b “溶けゆく氷を使っていた大正・昭和の冷蔵庫 変わるキッチン(第15回)~冷やす(後篇)”. 2016年2月5日閲覧。
- ^ "Unique ice pier provides harbor for ships," Antarctic Sun. 8 January 2006; McMurdo Station, Antarctica.
- ^ Makkonen, L. (1994) "Ice and Construction". E & FN Spon, London. ISBN 0-203-62726-1
- ^ Stephanie Dalley (1 January 2002). Mari and Karana: Two Old Babylonian Cities. Gorgias Press LLC. p. 91. ISBN 978-1-931956-02-4. https://books.google.com/books?id=_oTh51M5XF4C&pg=PA91.
- ^ a b “コンビニ「氷特需」 コーヒー用カップ入り増産、札幌の工場フル稼働”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年8月7日). http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/555554.html
- ^ International Equations for the Pressure along the Melting and along the Sublimation Curve of Ordinary Water Substance W. Wagner, A. Saul and A. Pruss (1994), J. Phys. Chem. Ref. Data, 23, 515.
- ^ Review of the vapour pressures of ice and supercooled water for atmospheric applications. D. M. Murphy and T. Koop (2005) Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, 131, 1539.
- ^ National Snow and Data Ice Center, "The Life of a Glacier"
- ^ Chang, Kenneth (2004年12月9日). “Astronomers Contemplate Icy Volcanoes in Far Places”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2004/12/09/science/09ice.html 2012年7月30日閲覧。
関連項目
- アイスバーン
- 氷食症
- 冷却、過冷却
- 凝固、凝固点、凝固点降下
- ムペンバ効果
- 氷室
- スピンアイス(英語版)
外部リンク
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- クラスレート水和物の分解と氷の結晶成長 : 自己保存現象のメカニズム
- 竹谷 敏
- 低温科学 71, 153-160, 2013-03-31
- … 氷点下温度でのクラスレート水和物の分解は, 分解によって放出される水分子の凝固により成長する氷膜により抑制されると考えられ, クラスレート水和物の自己保存性と呼ばれている. … この現象は, 分解時の温度・圧力履歴やゲスト分子の種類, さらには成長する氷の形態変化に依存することが明らかになってきた. …
- NAID 120005228445
- 樋本 和大,松本 正和,田中 秀樹
- 低温科学 71, 131-140, 2013-03-31
- … 計算機シミュレーションにより氷VIIと液体状態の水に挟まれた温度・圧力領域での存在が予測されている水のプラスチック相(プラスチック氷)について, 現在までに明らかとなった構造や水素結合連結性の特徴およびダイナミクスを紹介する. …
- NAID 120005228443
- 飯高 敏晃
- 低温科学 71, 121-124, 2013-03-31
- … 氷VII相における水素原子の運動(プロトンダイナミクス)に対する圧力効果を非平衡熱力学モデルにより考察した. … 室温下で氷VII相を加圧すると圧力10GPa付近で特徴的なピークが電気伝導率に生じることが示された. … このピークは, 氷VII相が「プラスティック状態」から「結晶状態」へ遷移するさいに発生するものと考えられる. …
- NAID 120005228440
Related Links
- 内容(「CDジャーナル」データベースより)全作詞・作曲を自らが手がけた2ndアルバムは2459といったヒット・シングルのオンパレード。日本好みする泣きの入ったサウンドに乗せた彼女の瑞々しい歌声からは,恋をしている女性ならではの喜び ...
- 彫刻や氷中花など氷の芸術の販売案内と作品展示。ドライアイス、イベント用の氷の販売。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
氷酢酸「東豊」
組成
効能または効果
- 洗浄液、収れん液の調製に用いる。
又、緩衝、矯味の目的で調剤に用いる。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 摂氏
- ninety-eight point six degrees Fahrenheit
|
華氏
|
摂氏
|
氷点
|
32.0 F
|
0.0 C
|
平熱
|
98.6 F
|
37 C
|
発熱
|
100.0 F
|
37.8 C
|
沸点
|
212.0 F
|
100.0 C
|
華氏度(かしど)は、数種ある温度目盛のうちの1つであるファーレンハイト温度目盛(華氏温度目盛)によって計測した温度の単位である。ファーレンハイト度(ファーレンハイトど)とも言う。「華氏」は、考案者ファーレンハイト(Fahrenheit)の中国語における音訳「華倫海特」(普通話ではHualunhaite)によるものである。
概要
ファーレンハイト温度目盛は、ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトが1724年に提唱したもので、その名前を取って呼ばれる。ファーレンハイト度は、他の温度目盛と同様「度」(記号:°)の単位がつけられ、他の温度目盛による値と区別するためにファーレンハイトの頭文字を取って"°F"と書き表される。「32°F」は、日本語では「華氏32度」、英語では"32 degrees Fahrenheit"、または、"32 deg F"と表現される。
ファーレンハイト温度目盛では、水の氷点を1 E2 K(32°F)、沸点を212度(212°F)とする。水の氷点と沸点の間は180度に区切られる。よって、この温度目盛によって計った温度Fは、セルシウス温度目盛による値(セルシウス度、摂氏度)Cと、以下の関係にある。
- <math>F = \frac{9}{5}C + 32</math>
- <math>C = \frac{5}{9}(F - 32)</math>
華氏⇔摂氏早見表
華氏 |
摂氏
|
-40.0 |
-40.0
|
-30.0 |
-34.4
|
-22.0 |
-30.0
|
-20.0 |
-28.9
|
-10.0 |
-23.3
|
-4.0 |
-20.0
|
0.0 |
-17.8
|
10.0 |
-12.2
|
14.0 |
-10.0
|
20.0 |
-6.7
|
30.0 |
-1.1
|
32.0 |
0.0
|
40.0 |
4.4
|
50.0 |
10.0
|
|
華氏 |
摂氏
|
50.0 |
10.0
|
60.0 |
15.6
|
68.0 |
20.0
|
70.0 |
21.1
|
80.0 |
26.7
|
86.0 |
30.0
|
90.0 |
32.2
|
100.0 |
37.8
|
104.0 |
40.0
|
110.0 |
43.3
|
120.0 |
48.9
|
122.0 |
50.0
|
130.0 |
54.4
|
140.0 |
60.0
|
|
華氏 |
摂氏
|
140.0 |
60.0
|
150.0 |
65.6
|
158.0 |
70.0
|
160.0 |
71.1
|
170.0 |
76.7
|
176.0 |
80.0
|
180.0 |
82.2
|
190.0 |
87.8
|
194.0 |
90.0
|
200.0 |
93.3
|
210.0 |
98.9
|
212.0 |
100.0
|
220.0 |
104.4
|
230.0 |
110.0
|
|
セルシウス度に対するケルビンに対応するものとして、絶対零度を0としてファーレンハイト度の目盛りを振ったランキン度がある。
歴史
ファーレンハイトがこの温度目盛を作った時の話には、いくつかの説がある。
- ファーレンハイトは最初、彼が測ることのできた最も低い室外の温度を0度、彼自身の体温を100度としようとしたと述べている。彼は1708年か1709年の冬の大変寒い日に、ダンツィヒ郊外の彼の自宅において「0度」を計測した(これは-17.8℃である)。後に同じ温度を氷・塩化アンモニウム・水を混ぜることで実験室環境で作り出している。当時使われていたレーマー度目盛では、日常的に使われる温度にマイナスの値が出てきてしまっていて不便であったので、彼はこれを避けたかった。彼の体温(彼は37.8℃と計測したが、正確には37℃であった)を「100度」と固定した。この元の目盛を12等分し、さらに8等分して、96度の目盛を作った。これにより、水の氷点が32度、沸点が212度になり、その間が正確に180度に区切られることになる。
- 「0度」を同量の氷・塩の混合物(寒剤)によって得られる温度(この温度が人類が作り出せる最も低い温度であるとファーレンハイトが思っていたともいう)としたとしている。そして血液の温度を96度とした(彼が温度目盛を調整するときは馬の血液を使った)。当初は12等分しかしていなかったが、後にそれぞれを8等分して96度とした。彼は、この目盛によって純水が32度で凍り、212度で沸騰することを観測した(それまでは、物質が凍ったり沸騰したりする温度は一定であるとは思われていなかった)。
- レーマー温度目盛で水が凍る温度が7.5度、沸騰する温度が60度であることから、小数をなくしスケールを大きくするためにそれぞれを4倍して30と240にしたというものである。それから、水の氷点と人の体温(彼はこれを96度とした)の間が64度(64が2の6乗であるので)となるように再調整した。その結果、水の氷点は32度になった。
日本では1.と2.を合わせたものがよく知られているが、アメリカでは3.が有名であるようである。
ファーレンハイトの計測は完全に正確ではなかった。彼が作ったオリジナルの目盛によって計った水の氷点・沸点は32度・212度とは異なっていた。彼の死後、その値が32度・212度となるように調整された。その結果、人の体温は96度ではなく98.6度となった。
使用
1960年代まで、多くの英語圏の国でファーレンハイト度は気候・産業・医療における温度の基準となっていた。1960年代後半から1970年代にかけて、メートル法への切り換えの一環としてセルシウス度(摂氏度)の導入が政府によって行われた。しかし、切り換えのための努力にもかかわらず、現在でも多くの英語圏の国では非科学分野での温度計測にファーレンハイト度が広く使用されている。
ファーレンハイト度の支持者は、これがファーレンハイト度が利用者によって親しみやすいからだと主張している。地球上の居住可能地域の大部分で気温変化は0°Fから100°Fの範囲に収まり、ファーレンハイト度は生活感覚に直結した温度目盛であると主張している。
- 10度台 -- 厚い霜が降りる。
- 20度台 -- 薄い霜が降りる。
- 30度台 -- 寒い。氷点に近い。
- 40度台 -- 寒い。厚い衣服が必要。
- 50度台 -- 涼しい。適度な厚さの衣服で十分。
- 60度台 -- 暖かい。薄手の衣服が必要。
- 70度台 -- 適度に暑い。夏服が必要。
- 80度台 -- 暑いが耐えられる。少なめの衣服
- 90度台 -- とても暑い。過熱に対する予防措置が必要。
- 100度台 -- 危険なほど暑い。
しかし、そのような温度と生活感覚の相互関係は、単に習慣から生まれるものである。日常摂氏を使用している人であれば、マイナスの温度では霜が降り、0-10℃は寒い、10-20℃は適温、20-30℃は暖かい、30-40℃は暑いということを知っている。
アメリカ合衆国・ジャマイカでは、メートル法への置き換えが生産者側・消費者側の両方で大きな抵抗に遭っているため、ファーレンハイト度は様々な分野で広く使われ続けている。同様にイギリスの一部では、低い温度はセルシウス度で表されるが、日常的に使われる温度はファーレンハイト度で測定されている。カナダではメディアはセルシウス度で温度が報じるが、年配のカナダ人は今でもファーレンハイト度で温度を表す。
また、ファーレンハイト度での人間の平熱が98.6度であることはよく知られていて、体温が華氏100度以上になると治療が必要とされる。
[★]
[★]
- 英
- cryoscopic method
- 関
- 凝固点降下度測定法
[★]
- 英
- ice crystal、cryohydrate
- 関
- 含氷晶
[★]
- 英
- ice water immersion test
- 関
- 乱調反応
[★]
- 英
- ice application
- 関
- 寒冷療法