プロポフォール
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/02 18:35:08」(JST)
[Wiki ja表示]
プロポフォール
|
IUPAC命名法による物質名 |
2,6-ジイソプロピルフェノール |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B (U.S.), C (Au) |
法的規制 |
℞-only (U.S.) |
識別 |
CAS登録番号 |
2078-54-8 |
ATCコード |
N01AX10 |
KEGG |
D00549 |
化学的データ |
化学式 |
C12H18O |
分子量 |
178.271 |
プロポフォール (propofol) 、化学名2,6-ジイソプロピルフェノール (2,6-diisopropylphenol) は鎮静作用のある化学物質である。分子式C12H18O、分子量178.27。CAS登録番号は2078-54-8。
アストラゼネカからディプリバンという商品名で発売されている。
目次
- 1 化学的性質・作用機序
- 2 医薬品としての利用
- 3 副作用・注意すべき点
- 4 関連項目
化学的性質・作用機序[編集]
無色~微黄色透明の液体で脂溶性であり、エタノール、ジエチルエーテル、ヘキサンなど有機溶媒にはよく溶けるが、水にはほとんど溶けない。
基本的にはGABAA受容体作動薬と考えられている。GABAA受容体作動薬にはこの他にバルビツール酸系やベンゾジアゼピンがある。
医薬品としての利用[編集]
プロポフォールの主な用途は医療分野における鎮静薬としての使用である。プロポフォールの持つ中枢神経抑制作用を利用し全身麻酔の導入、維持に用いられる。また、集中治療における人工呼吸時の鎮静にも頻用される。プロポフォール自体は上記のように水に溶けづらいので販売されているプロポフォール製剤は脂肪製剤を乳化剤としたエマルションの形を取っている。投与経路は点滴からの静脈内注入である。投与開始後速やかに作用が発現し、投与された患者は数十秒で意識を失う。また、投与を中止した場合、それまでの投与速度、投与時間にもよるが通常10分前後で患者の意識が回復し刺激に応じて開眼する。
副作用・注意すべき点[編集]
心臓および血管系に対して抑制効果を有するため過剰に投与した場合心拍数、血圧の低下を招く。呼吸抑制作用があり呼吸が不十分に、あるいは停止することがあり、十分な監視下で使用されなければならない。注入時の血管痛が報告されている。注入に伴い注入部位周辺に疼痛を覚えることがある。
小児に対する使用法は確立していない。胎盤移行性があり、妊婦には使用してはいけない。母乳移行性があり、授乳婦へ投与する場合は授乳を中止する必要がある。プラスチック製品中の化学物質の溶出が指摘されている。三方活栓や点滴の器具にはプロポフォールに対応した物を使用する。脂肪製剤は栄養価が高く細菌が繁殖しやすいため、保存する際は冷蔵保存するなど製剤の汚染には十分注意しなければならない。
関連項目[編集]
- マイケル・ジャクソン - プロポフォールの過剰投与による副作用が原因で心停止を起こし、50歳で死に至った。
麻酔: 全身麻酔 (N01A) |
|
バルビツール酸系 |
ヘキソバルビタール · ブレビタール · ナルコバルビタール · チオペンタール
|
|
エーテル |
ジエチルエーテル · デスフルラン · エンフルラン · イソフルラン · メトキシフルラン · メチルプロピルエーテル · セボフルラン · ビニルエーテル
|
|
ハロゲン化アルキル |
クロロホルム · ハロタン · トリクロロエチレン
|
|
オピオイド |
アルフェンタニル · アニレリジン · フェンタニル · フェノペリジン · レミフェンタニル · スフェンタニル
|
|
その他 |
アルファキサロン · ドロペリドール · エスケタミン · エトミデート · ヒドロキシ酪酸 · ケタミン · ミナキソロン · 亜酸化窒素 · プロパニジド · プロポフォール · キセノン
|
|
睡眠導入剤と鎮静剤 (N05C) |
|
GABAA受容体 |
バルビツール酸系
|
超短時間作用型
|
Methohexital Thiamylal チオペンタール
|
|
短時間作用型
|
Allobarbital アモバルビタール Aprobarbital Butobarbital ペントバルビタール Secobarbital Talbutal
|
|
長時間作用型
|
バルビタール Mephobarbital フェノバルビタール
|
|
その他
|
Cyclobarbital Ethallobarbital Heptabarbital Hexobarbital Proxibarbal Reposal Vinylbital Vinbarbital
|
|
|
ベンゾジアゼピン
|
超短時間作用型
|
トリアゾラム
|
|
短時間作用型
|
ブロチゾラム Cinolazepam Doxefazepam Loprazolam ミダゾラム
|
|
中時間作用型
|
エスタゾラム フルニトラゼパム ロルメタゼパム ニメタゼパム Temazepam
|
|
長時間作用型
|
フルラゼパム フルトプラゼパム ニトラゼパム クアゼパム
|
|
|
Dialkylphenols
|
Fospropofol プロポフォール チモール
|
|
非ベンゾジアゼピン系
|
CL-218,872 Indiplon Necopidem Pazinaclone ROD-188 Saripidem Suproclone Suriclone SX-3228 U-89843A U-90042 Zaleplon ゾルピデム ゾピクロン エスゾピクロン
|
|
Piperidinediones
|
Glutethimide Methyprylon Pyrithyldione Piperidione
|
|
Quinazolinones
|
Afloqualone Cloroqualone Diproqualone Etaqualone Mebroqualone Mecloqualone Methaqualone Methylmethaqualone
|
|
Neuroactive
steroids
|
Acebrochol Allopregnanolone Alphadolone Alphaxolone Eltanolone Ganaxolone Hydroxydione Minaxolone Org 20599 Org 21465 Tetrahydrodeoxycorticosterone
|
|
|
Alpha-2アドレナリン受容体 |
Alpha-adrenergic agonists
|
4-NEMD クロニジン Dexmedetomidine Lofexidine メデトミジン Romifidine Tizanidine キシラジン
|
|
|
メラトニン受容体 |
メラトニン
|
Agomelatine メラトニン ラメルテオン Tasimelteon
|
|
|
ヒスタミン受容体 &
アセチルコリン受容体 |
抗ヒスタミン薬 &
抗コリン薬
|
アミトリプチリン Dimenhydrinate ドキシラミン Hydroxyzine ジフェンヒドラミン Bromodiphenhydramine Carbinoxamine Doxepin Orphenadrine ミアンセリン ミルタザピン Nefazodone Niaprazine Phenyltoloxamine Propiomazine Pyrilamine スコポラミン トラゾドン
|
|
|
GABAB受容体 /
GHB 受容体 |
GHB Type
|
1,4-ブタンジオール Aceburic acid GABOB γ-ヒドロキシ酪酸 GBL gamma-Valerolactone
|
|
|
オレキシン受容体 |
Orexin antagonists
|
Almorexant SB-334,867 SB-408,124 SB-649,868 TCS-OX2-29
|
|
|
その他受容体/
グループ外 |
アルデヒド
|
Acetylglycinamide chloral hydrate 抱水クロラール Chloralodol Dichloralphenazone Paraldehyde Petrichloral
|
|
アルキン
|
ウレタン Ethchlorvynol Ethinamate Hexapropymate Methylpentynol
|
|
Carbamates
|
Meprobamate Carisoprodol Tybamate メトカルバモール Procymate
|
|
その他
|
2-Methyl-2-butanol Acecarbromal アセトフェノン Apronal 臭化物 ブロムワレリル尿素 Carbromal Chloralose Clomethiazole Embutramide エトミデート Evoxine Fenadiazole Gaboxadol Loreclezole Mephenoxalone Sulfonmethane Trichloroethanol Triclofos セイヨウカノコソウ バルノクタミド
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- ユーザシリンジ登録機能があるポンプの流量精度 : ディプリバンシリンジへの応用
- 古畑 貞彦,西村 チエ子
- 医療機器学 = The Japanese journal of medical instrumentation 80(5), 471-472, 2010-10-01
- NAID 10026667251
- 症例 ディプリバンによる,冠動脈攣縮を伴った致死的アナフィラキシーショックの1例
Related Links
- 副作用等. 1. 低血圧, 記載場所:, 重大な副作用. 頻度:, 5%以上. 2. 舌根沈下、一過性 無呼吸、痙攣、反弓緊張、てんかん様体動、重篤な徐脈、心室性期外収縮、覚醒遅延, 記載場所:, 重大な副作用. 頻度:, 5%未満. 3. 血管浮腫、気管支痙攣、紅斑、低血圧、 ...
- さあ、今日もエクササイズの時間だ。 今日のエクササイズはディプリバンだぞ! ディプリバンは主に除細動(DC)のシーンで使用される薬剤だ。 心カテにおける ディプリバンの役割をしっかりと理解する...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
1%ディプリバン注?キット
組成
成分・含量(1mL中):
添加物(1mL中):
- ダイズ油 100mg
濃グリセリン 22.5mg
精製卵黄レシチン 12mg
エデト酸ナトリウム水和物 0.055mg
pH調整剤 適量
禁忌
- 本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊産婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 小児(集中治療における人工呼吸中の鎮静)(「小児等への投与」の項参照)
効能または効果
- 全身麻酔の導入及び維持*集中治療における人工呼吸中の鎮静
[全身麻酔の導入及び維持の場合]
- 1%ディプリバン注?キット(プレフィルドシリンジ)は、投与速度(mL/kg/時(プロポフォールとしてmg/kg/時))の変更により麻酔深度を調節する投与方法と、プロポフォールの目標血中濃度(μg/mL)の変更により麻酔深度を調節するディプリフューザーTCI(Target Controlled Infusion)機能を用いる投与方法で投与することができる。ディプリフューザーTCI機能を用いて投与する場合、ディプリフューザーTCIモジュールが組込まれた市販のシリンジポンプを使用すること。*1%ディプリバン注(アンプル、バイアル)は、ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法に使用することはできない。*ディプリフューザーTCI機能は、プレフィルドシリンジからの本剤の投与を記憶し、これを基に逐次血中濃度の計算を行い、投与速度を制御するので、血中濃度を正しく予測し、過量投与を防止するために、以下の点に注意すること。*本剤の投与開始後、ディプリフューザーTCI機能を用いる方法に切り替えて投与しないこと。*本剤を投与終了後数時間のうちに、ディプリフューザーTCI機能を用いて投与しないこと。*ディプリフューザーTCI機能を使用中にポンプの電源をオフにした患者に、ディプリフューザーTCI機能を用いて再投与しないこと。*ディプリフューザーTCI機能を用いて本剤を投与中の患者に、他の注入経路から本剤を投与しないこと。
[集中治療における人工呼吸中の鎮静の場合]
- ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法は使用しないこと。[ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法は、全身麻酔の導入及び維持における成人の臨床試験成績に基づいて設定されている。]
全身麻酔の導入及び維持
ディプリフューザーTCI機能を用いない投与方法
導 入
- 通常、成人には本剤を0.05mL/kg/10秒(プロポフォールとして0.5mg/kg/10秒)の速度で、患者の全身状態を観察しながら、就眠が得られるまで静脈内に投与する。なお、ASAIII及びIVの患者には、より緩徐に投与する。*通常、成人には本剤0.20?0.25mL/kg(プロポフォールとして2.0?2.5mg/kg)で就眠が得られる。高齢者においては、より少量で就眠が得られる場合がある。就眠後は必要に応じて適宜追加投与する。
維 持
- 通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。通常、成人には、本剤0.4?1.0mL/kg/時(プロポフォールとして4?10mg/kg/時)の投与速度で適切な麻酔深度が得られる。*また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。*なお、局所麻酔剤併用時には通常より低用量で適切な麻酔深度が得られる。
ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法
導 入
- 通常、成人にはプロポフォールの目標血中濃度3.0μg/mLで静脈内に投与を開始し、投与開始3分後に就眠が得られない場合には1分毎に1.0?2.0μg/mLずつ目標血中濃度を上げる。通常、目標血中濃度3.0?6.0μg/mL、投与開始後1?3分で就眠が得られる。*高齢者、ASAIII及びIVの患者には、より低い目標血中濃度で投与を開始すること。
維 持
- 通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、目標血中濃度を調節する。通常、成人には、目標血中濃度2.0?5.0μg/mLで適切な麻酔深度が得られる。*また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。
集中治療における人工呼吸中の鎮静
- 成人(高齢者を含む)には本剤を0.03mL/kg/時(プロポフォールとして0.3mg/kg/時)の投与速度で、持続注入にて静脈内に投与を開始し、適切な鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。*通常、成人には本剤0.03?0.30mL/kg/時(プロポフォールとして0.3?3.0mg/kg/時)の投与速度で適切な鎮静深度が得られる。*なお、疾患の種類、症状の程度を考慮し、必要とする鎮静深度に応じて投与速度を増減すること。また、必要に応じて鎮痛剤を併用すること。
[全身麻酔の導入及び維持の場合]
ディプリフューザーTCI機能を用いない投与方法
維持における使用例
- 導入後の時間:投与速度
0?10分:1.0mL/kg/時(プロポフォールとして10mg/kg/時)
10?20分:0.8mL/kg/時(プロポフォールとして8mg/kg/時)
20?30分:0.6mL/kg/時(プロポフォールとして6mg/kg/時)
30分?:全身状態をみながら調節する。
ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法
- 本剤の血中濃度は個体差が大きく、患者別の調節が必要であるため、ディプリフューザーTCI機能を用いる場合においても、設定した目標血中濃度のみに依存せず、一般の全身麻酔剤と同様に、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視し、患者の状態に応じて対応を行うこと。
使用例
- 時間:目標血中濃度
就眠まで:3.0μg/mL(3分後に就眠が得られない場合1分毎に1.0?2.0μg/mLずつ目標血中濃度を上げる。)
就眠後:2.0?5.0μg/mL(全身状態を観察しながら適宜増減)
[集中治療における人工呼吸中の鎮静の場合]
- 本剤は、持続注入により投与すること。急速投与を行わないこと。*本剤は、通常、7日を超えて投与しないこと。ただし、鎮静効果が認められ、7日を超えて本剤投与による鎮静が必要な場合には、患者の全身状態を引き続き慎重に観察すること。
使用例
- 時間:投与速度
0?5分:0.03mL/kg/時
5分?:0.03?0.30mL/kg/時(全身状態を観察しながら適宜増減)
慎重投与
- ASAIII、IVの患者及び衰弱患者 [無呼吸、 低血圧等の呼吸循環抑制が起こるおそれがあるので例えば、 導入時の投与速度を約1/2、すなわち本剤約0.025mL/kg/10秒に減速するか、又は通常より低い目標血中濃度で投与を開始すること。]
- 循環器障害、呼吸器障害、腎障害、肝障害及び循環血液量減少のある患者[無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがあるので患者の全身状態を慎重に観察しながら、投与量や投与速度又は目標血中濃度に注意する。]
- てんかん発作の既往歴のある患者[痙攣があらわれることがある。]
- 薬物依存の既往歴のある患者
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 脂質代謝障害の患者又は脂肪乳剤投与中の患者[本剤1.0mLあたり約0.1gの脂質を含有する。血中脂質濃度が上昇する可能性があるので、血中脂質が過剰になるおそれのある患者については、血中脂質をモニターし本剤又は併用中の脂肪乳剤の投与量を調節すること。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項、「薬物動態」の項参照)
重大な副作用
- 低血圧(5%以上):低血圧があらわれることがある。このような場合には患者の頭部を下げ、重篤な場合には血漿増量剤、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
- アナフィラキシー様症状(0.1%未満):血管浮腫、気管支痙攣、紅斑、低血圧を伴うアナフィラキシー様症状があらわれることがある。
- 気管支痙攣(0.1%未満):気管支痙攣を起こすことがあるので、本剤の使用にあたっては、緊急時に対応できる準備をし、本剤投与中は観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
- 舌根沈下(0.1?5%未満)、一過性無呼吸(0.1?5%未満):舌根沈下、一過性無呼吸があらわれることがある。このような場合には気道を確保し、人工呼吸等適切な処置を行うこと。
- てんかん様体動(0.1?5%未満):痙攣・反弓緊張等のてんかん様体動があらわれることがある。
- 重篤な徐脈(0.1?5%未満)、不全収縮(0.1%未満):重篤な徐脈、不全収縮があらわれることがある。[本剤には迷走神経抑制作用がないので、迷走神経が亢進した状態あるいは徐脈等を生じる可能性のある薬剤を併用する場合には、麻酔導入前又は維持中、抗コリン剤(例えばアトロピン)の静脈内投与を行う等適切な処置を行うこと。]
- 心室頻拍(0.1%未満)、心室性期外収縮(0.1?5%未満)、左脚ブロック(0.1%未満):心室頻拍、心室性期外収縮、左脚ブロックがあらわれることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
- 肺水腫(0.1%未満):肺水腫があらわれることがある。
- 覚醒遅延(0.1?5%未満):覚醒遅延があらわれることがあるので、使用に際しては十分な患者管理のできる状態で使用すること。
- 横紋筋融解症(0.1%未満):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
- 悪性高熱類似症状(0.1%未満):原因不明の頻脈、不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋硬直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常加熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿等を伴う重篤な悪性高熱類似の臨床症状を呈することがあるので十分な観察をし、使用中、これら類似症状を認めた場合は、直ちに適切な処置等を行うこと。
薬効薬理
- 静脈内投与における50%催眠量(HD50)は12.9mg/kg、 50%致死量(LD50)は57.9mg/kgで治療指数(LD50/HD50)は4.5であった(マウス)。
- 本剤は速やかに麻酔を導入し、HD50値の約2倍量を投与した場合の麻酔時間は約5分であり、麻酔後の回復時間も約3分と速やかな回復性が認められた(マウス)28)。
- 麻酔維持中の呼吸・循環器系や維持麻酔後の回復性に特に異常はみられず、本剤の麻酔維持への適応性が認められた(ネコ、ラット)。
- 本剤は用量依存的に脳波を低振幅速波から、平坦脳波へ変化させた(ネコ)29)。
- 本剤の反復投与による麻酔時間の延長はチオペンタールより明らかに軽微であった(マウス)28)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
化学名:
- 2,6-Diisopropylphenol
- 本品は無色?微黄色澄明の液で、特異なにおいがある。エタノール(99.5)、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びヘキサンに極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- propofol
- 商
- ディプリバン、Diprivan
- 関
- 麻酔、麻酔薬、静脈麻酔、静脈麻酔薬
特徴
構造
作用機序
薬理作用
- 鎮痛:× → 麻酔性鎮痛薬などと組み合わせて用いる。
- 意識消失:○
- 筋弛緩:△
- 反射抑制:○
効能又は効果
- 1%ディプリバン注
- 全身麻酔の導入及び維持
- 集中治療における人工呼吸中の鎮静
動態
- 1%ディプリバン注
- 日本人健康成人男子6例に1.0、2.0及び2.5mg/kgを単回静脈内ボーラス投与したとき、プロポフォールの体内動態は3-コンパートメントモデルに適合し、全血中濃度は3相性に減衰した。各相の半減期は2.6分(t1/2α)、51.0分(t1/2β)及び365分(t1/2γ)であった。中央コンパートメントにおける分布容積及び定常状態時の分布容積はそれぞれ26L及び317Lであった。全身クリアランス(CLTB)値は1.62L/分であった。1~2.5mg/kgの用量範囲で、血漿中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)が用量に比例して増加することが示された。また、薬物動態パラメータに明らかな性差はみられなかった(外国人の成績)。
- 成人患者8例に平均2.6mg/kgを単回静脈内ボーラス投与した場合、投与後24時間までにプロポフォール及び1,4キノール体のグルクロン酸抱合体ならびに1,4キノール体の硫酸抱合体として投与量の68.3%が尿中に排泄された。
- 外国人患者にプロポフォールを2.5mg/kg用量で単回静脈内ボーラス投与したとき、投与後10及び120分後の蛋白結合率は約97~99%であった。
適応
注意
- 妊婦、授乳婦 → 母乳に移行する。ただし、その量は微々たるものらしい。しかし、できるだけ回避。
禁忌
- 1%ディプリバン注
- 1. 本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2. 妊産婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
副作用
- 注射時の痛み、呼吸抑制、無呼吸、低血圧(麻酔導入時に起こる低血圧はバルビツレートに比べて高頻度に起こる)
- 徐脈-アシドーシス(プロポフォール注入症候群):稀であるが致命的。
参考
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1119402A1022_1_15/1119402A1022_1_15?view=body
[★]
- 英
- general anesthetic
- 関
- 全身麻酔薬
商品