オキシコドン
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オキシコドン
|
IUPAC命名法による物質名 |
4,5-epoxy-14-hydroxy-3-methoxy-17-methylmorphinan-6-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
- B/D (prolonged use or in high doses at term)
|
法的規制 |
- AU: Controlled (S8)
- CA: Schedule I
- UK: Class A
- US: Schedule II
|
依存性
|
中程度〜高度 |
投与方法 |
経口、筋肉注射、経静脈、経鼻、皮下注射、経皮、経直腸 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
〜87% |
血漿タンパク結合 |
45% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
3 - 4.5 時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号 |
76-42-6 |
ATCコード |
N02AA05 |
PubChem |
CID 5284603 |
DrugBank |
APRD00387 |
KEGG |
D05312 |
化学的データ |
化学式 |
C18H21NO4 |
分子量 |
315.364 g/mol |
オキシコドン (oxycodone) とは、アルカロイド系の鎮痛剤の一種。アヘンに含まれる成分のテバインから合成される半合成麻薬。
目次
- 1 概要
- 2 訴訟
- 3 アメリカでの乱用問題
- 4 トヨタ役員逮捕事件
- 5 脚注
- 6 関連項目
概要
オキシコドン塩酸塩水和物の徐放製剤「オキシコンチン錠(塩野義製薬)」「オキシコドン徐放カプセル(帝國製薬、テルモ)」・速放製剤「オキノーム散(塩野義製薬)」・注射剤「オキファスト(塩野義製薬)」、複方オキシコドン(ヒドロコタルニン酸塩酸塩との合剤)注射剤「パビナール注」(武田薬品工業)、ヒコアト注射液(複方オキシコドン・アトロピン注射液)「パビナール・アトロピン注(同)」が日本で販売されている。
モルヒネ、フェンタニルと並んでがん性疼痛治療第3段階に用いられる強オピオイドで、オピオイド受容体μとκのアゴニスト。鎮痛作用は経口投与でモルヒネの1.5倍、硬膜外投与で1/10程度である[1]。
モルヒネに比べてμ2受容体への親和性が弱いとも言われており、便秘や吐き気などの副作用が少ないとされる。経験上、吐き気もモルヒネにくらべて難治性となる割合が低い。しかしこれは便秘や吐き気対策が必要ないということではなく、使用に当たっては十分な配慮が求められる。
高用量で他のオピオイドにはない神経因性疼痛への効果が動物実験でも確かめられており、臨床応用が期待されている。一方、呼吸困難や咳嗽への効果はモルヒネと同等であるとの論文も見られるが、臨床的にはモルヒネより明らかに弱いという意見も多く、議論となっている。[要出典]
訴訟
2007年、アメリカにおけるオキシコンチンの販売者であるパーデュー・ファーマ (Purdue Pharma) に対し、誤解を招くようなブランド戦略に対して6億ドルの罰金が科された[2]。同社は、長時間型の放出製剤であるので、短時間作用の薬剤よりも低い致命性、乱用性、依存性であると主張し、マーケティング・キャンペーンの要として1996年に売り出しすぐに10億ドルの売り上げに達した。しかし、2000年には、アメリカの特に農村部にて依存や関連犯罪が急増した。そして、同社の内部文書によれば、売り出される前から依存性や医師の懸念による抵抗があることを示していたが、詐欺的なマーケティング・キャンペーンを実施した[2]。
アメリカでの乱用問題
アメリカでは手軽で効き目が長続きすることから、けがや歯痛など慢性的な痛みを和らげる痛み止めとして利用されており、処方箋を出せば街の薬局で入手できるため乱用が社会問題となっている[3]。錠剤を粉砕して鼻から吸引し、ヘロインのような高揚感を得る例が多かったため[3]、2010年には粉砕してもゲル状になるようにオキシコンチンの製剤方法が変更された[4]。
トヨタ役員逮捕事件
2015年6月18日、トヨタ自動車のジュリー・ハンプ常務役員(55)が麻薬取締法違反の容疑のため逮捕された。「ネックレス」と記載された米国からの国際宅配便の小包に、「オキシコドン」錠剤57錠が入っていたため密輸の疑いが持たれたが、「麻薬を輸入したとは思っていない」と容疑を否認した[5]。 小包はミシガン州から発送後ケンタッキー州の空港を経由し、6月11日に成田空港に空輸されたもので、ハンプ容疑者は「父親から送ってもらった」「膝の痛みを和らげるために輸入した」と説明している[6]。 7月8日、アメリカ大使館の働きかけもあって東京地検は不起訴処分(起訴猶予)とし、ハンプ元役員は同日釈放され帰国した[7]。「規制薬物との認識はあったが、体調不良に対処するためで快楽を求めるなど乱用目的ではなかった」と理由を説明していた。日本の検察当局は、米国では違法薬物使用に関する罪が軽い事と、逮捕後の6月30日に役員を辞任し社会的制裁を受けている旨を考慮し、起訴を見送った[8]。
脚注
- ^ NEW 薬理学 改訂第6版(南江堂)
- ^ a b Barry Meier (2007年5月11日). “In Guilty Plea, OxyContin Maker to Pay $600 Million”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2007/05/11/business/11drug-web.html 2015年5月15日閲覧。
- ^ a b 小林哲 (2015年6月20日). “麻薬オキシコドン、米では鎮痛剤で普及 乱用が社会問題”. 朝日新聞. 2015年7月17日閲覧。
- ^ Filipa Ioannou (2014年10月3日). “Heroin Deaths in America Doubled in Just Two Years”. The Slatest. http://www.slate.com/blogs/the_slatest/2014/10/03/heroin_deaths_double_cdc_study_opioids_and_painkillers.html 2015年5月15日閲覧。
- ^ 大西睦子 (2015年7月3日). “トヨタ役員逮捕「オキシコドン」報道に対する米国での反応”. 新潮社Foresight. 2015年7月17日閲覧。
- ^ 斎川瞳 (2015年6月26日). “麻薬密輸容疑:過去にも送ってもらった…トヨタ役員が供述”. 毎日新聞. 2015年7月17日閲覧。
- ^ Nathan Bomey (2015年7月8日). “The Kennedy touch: Ambassador helps Toyota exec go free”. USA TODAY. 2015年7月17日閲覧。
- ^ “トヨタ元常務役員を不起訴 地検「乱用目的ではない」”. 朝日新聞 (2015年7月8日). 2015年7月17日閲覧。
関連項目
- グレープフルーツジュース - CYP3A4を阻害するため、併用によりオキシコドンの血中濃度上昇の危険性がある
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Japanese Journal
- オピオイド(モルヒネ以外)の適応と使用法 (特集 難治性慢性痛患者への治療と対処)
- 3 一般病院での緩和ケアチームの活動とオピオイド鎮痛薬の使用(第631回新潟医学会,新潟県の緩和ケアの現状-それぞれの立場から-)
- 片柳 憲雄
- 新潟医学会雑誌 121(12), 665-669, 2007-12
- … etail(細かい配慮を)であり,これを熟知し,除痛により延命が可能になることを他の医療者,患者,家族に啓蒙する必要がある.当院での入院患者の徐放性オピオイドの使用状況は,2006年時点でMSコンチン^[○R]4%,オキシコンチン^[○R]58%,デロテップパッチ^[○R]31%,アンペック^[○R]7%となっている.オキシコドン速放製剤がレスキュー使用可能となり,オキシコドン徐放錠がさらに使いやすくなった.経口摂取可能な間はオピオイドも経 …
- NAID 110007146376
Related Links
- オキシコンチン,オキノームとは?オキシコドンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価 も調べられる(おくすり110番:病気別版)
- わが国では、効果の“長い”オキシコドンとして、オキシコンチン錠(塩野義)が2003年夏 に発売され、今年の2月には、効果の“短い” ... 麻薬の1種であるオキシコドンにも、長 時間作用型の“オキシコンチン錠(徐放性の錠剤)”と、短時間作用型の“オキノーム散(速 放 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
オキシコンチン錠5mg
組成
成分・含量(1錠中):
- オキシコドン塩酸塩水和物5.77mg(無水物として5mgに相当)
添加物:
- 乳糖水和物,ポビドン,アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS,ソルビン酸,水酸化ナトリウム,トリアセチン,ステアリルアルコール,ステアリン酸マグネシウム,タルク,ヒプロメロース,酸化チタン,マクロゴール4000,三二酸化鉄,黄色三二酸化鉄
禁忌
重篤な呼吸抑制のある患者,重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者[呼吸抑制を増強する。]
気管支喘息発作中の患者[呼吸を抑制し,気道分泌を妨げる。]
慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
痙攣状態(てんかん重積症,破傷風,ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄の刺激効果があらわれる。]
麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する。]
急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]
アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者
出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では,症状の悪化,治療期間の延長を来すおそれがある。]
効能または効果
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
*通常,成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10〜80mgを2回に分割経口投与する。
なお,症状に応じて適宜増減する。
====初回投与====
- 本剤の投与開始前のオピオイド系鎮痛薬による治療の有無を考慮して,1日投与量を決め,2分割して12時間ごとに投与すること。
オピオイド系鎮痛薬を使用していない患者には,疼痛の程度に応じてオキシコドン塩酸塩として10〜20mgを1日投与量とすることが望ましい。
モルヒネ製剤の経口投与を本剤に変更する場合には,モルヒネ製剤1日投与量の2/3量を1日投与量の目安とすることが望ましい。
経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には,経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから,剥離直後の本剤の使用は避け,本剤の使用を開始するまでに,フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに,本剤の低用量から投与することを考慮すること。
疼痛増強時
- 本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は,直ちにオキシコドン塩酸塩等の速放性製剤の追加投与(レスキュードーズ)を行い鎮痛を図ること。
増量
- 本剤投与開始後は患者の状態を観察し,適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと。5mgから10mgへの増量の場合を除き増量の目安は,使用量の25〜50%増とする。
減量
- 連用中における急激な減量は,退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は,患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
投与の中止
- 本剤の投与を必要としなくなった場合には,退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
慎重投与
心機能障害あるいは低血圧のある患者[循環不全を増強するおそれがある。]
呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]
脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。]
ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]
代謝性アシドーシスのある患者[呼吸抑制を起こしたときアシドーシスを増悪させるおそれがある。]
甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者[呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。]
副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]
薬物・アルコール依存又はその既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]
薬物,アルコール等による精神障害のある患者[症状が増悪するおそれがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
衰弱者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]
前立腺肥大による排尿障害,尿道狭窄,尿路手術術後の患者[排尿障害を増悪することがある。]
器質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った患者[消化管運動を抑制する。]
痙攣の既往歴のある患者[痙攣を誘発するおそれがある。]
胆嚢障害,胆石症又は膵炎の患者[オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。]
重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合,巨大結腸症を起こすおそれがある。]
重大な副作用
ショック,アナフィラキシー様症状(頻度不明※):ショック,アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,顔面蒼白,血圧低下,呼吸困難,頻脈,全身発赤,血管浮腫,蕁麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
依存性(頻度不明※):連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること。また,連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により,あくび,くしゃみ,流涙,発汗,悪心,嘔吐,下痢,腹痛,散瞳,頭痛,不眠,不安,譫妄,痙攣,振戦,全身の筋肉・関節痛,呼吸促迫,動悸等の退薬症候があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,1日用量を徐々に減量するなど,患者の状態を観察しながら行うこと。
呼吸抑制(0.1〜1%未満):呼吸抑制があらわれることがあるので,息切れ,呼吸緩慢,不規則な呼吸,呼吸異常等があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
なお,本剤による呼吸抑制には,麻薬拮抗剤(ナロキソン,レバロルファン等)が拮抗する。
錯乱(頻度不明※),譫妄(0.1〜1%未満):錯乱,譫妄があらわれることがあるので,このような場合には,減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
無気肺,気管支痙攣,喉頭浮腫(頻度不明※):無気肺,気管支痙攣,喉頭浮腫があらわれるとの報告がある。
麻痺性イレウス(0.1〜1%未満),中毒性巨大結腸(頻度不明※):麻痺性イレウスがあらわれることがある。また,炎症性腸疾患の患者に投与した場合,中毒性巨大結腸があらわれるとの報告があるので,これらの症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害(0.1〜1%未満):AST(GOT),ALT(GPT),Al-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
- 鎮痛作用
鎮痛作用についてモルヒネ硫酸塩を対照薬として検討した。
マウスのHot plate法,Tail pressure法,酢酸ライジング法及びラットのTail flick法(いずれも経口投与)を用いて検討した結果,オキシコドン塩酸塩はモルヒネ硫酸塩よりED50値で3〜6倍,効力比で3〜5倍強い鎮痛作用を示した 14)。
- 表4 鎮痛作用参照
作用機序
- モルヒネと同様にμオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:
- オキシコドン塩酸塩水和物(JAN)[日局]
Oxycodone Hydrochloride Hydrate
化学名:
- (5R)-4,5-Epoxy-14-hydroxy-3-methoxy-17-methylmorphinan-6-one monohydrochloride trihydrate
分子式:
分子量:
化学構造式:
性状:
- 白色の結晶性の粉末である。
水,メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく,エタノール(95)にやや溶けにくく,無水酢酸に溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
光によって変化する。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- oxycodone
- 同
- ジヒドロヒドロキシコデイノン dihydrohydroxycodeinone
- 化
- 塩酸オキシコドン oxycodone hydrochloride、オキシコドン塩酸塩
- 商
- オキシコンチン、オキノーム、オキファスト、パビナール・アトロピン、パビナール
- 関
- アヘンアルカロイド系麻薬
添付文書
- オキノーム散2.5mg/**オキノーム散5mg/**オキノーム散10mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/8119002B2023_1_01/8119002B2023_1_01?view=body
[★]
- 英
- lithospermum root
- 関
- 紫根