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助産師(じょさんし、midwife)とは、妊娠や出産にかかわり、助産行為を行う者である。
助産師は、女性の妊娠・出産・産褥の各時期において必要な監督・ケア・助言を行い、自分自身の責任において分娩介助をし、新生児及び乳児のケアを行うことができる。このケアには予防的措置、母子の異常な状態の発見、医学的援助を得ること、医学的援助が欠如している場合の緊急措置の実施が含まれる。
助産師は女性のためだけでなく、家族及び地域社会の中にあっても健康カウンセリングと教育に重要な役割を担っている。その活動には産前教育と親になるための準備が含まれ、さらに婦人科の一部の領域、家族計画及び育児にまで及ぶ。
特にアメリカでは助産師に多くの権限が与えられており、エコー検査による胎児のチェックや子宮頸がん検診も助産師一人で行うことが出来る。[1]
アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでは男性の助産師も存在してはいる(ただし、ほとんどは女性である)。日本では助産師国家試験の受験資格は女性のみとなっていて、結果として女性しかいない。
英語の呼称「midwife」の語源は1250~1300年ころ中英語の「midwif」にあり、この「mid」とは「with ~とともに」や「付き添う」といった意味で、「wif」は(古英語や中英語では)「女性」を意味している[2]。つまり「女性に付き添う者」といったような意味の表現である。
古代エジプトの、エーベルス・パピルス(紀元前1900年~紀元前1500年ころのものと考えられているもの)には助産師に関する記述がある。このパピルスの中の5段落が、出産に関する知識にあてられていて、特に分娩を早める方法と新生児の出生予後に関して記述している。ウェストカー・パピルス(紀元前1700年ころのものと目されるもの)は、出産予定日の計算方法と、出産用の椅子の様々なタイプについて記述している。ルクソール神殿や他の神殿に王族のための分娩室があることも、この古代エジプトの文化で助産が重視されていたことを示している[3]。
古代ギリシアや古代ローマには様々なタイプの助産婦がいて、ローマ帝国内の各村で民衆医療の伝統を引き継いでいる老婆や、様々なところから知識を得つつ豊富な経験を積んだ助産婦や、特に高度な訓練を受けていて女性外科医と見なされた人物などがいた[4]。
日本では、助産行為を行うことができるのは医師および助産師である、とされている。助産行為の範囲については、法的には示されていない(分娩介助、臍帯の切断は、保助看法にも記載されている助産行為である)。助産師が単独で行えるのは、正常な経過の妊娠分娩に関しての助産行為である。正常経過ではない、或いは正常分娩ではない・困難な場合は、医師がかかわる事になっている。従って、個人で助産所を設け助産師としての活動を行っている際に異常を確認した場合、提携の産婦人科医に連絡するなりの措置を行う。
助産師は病院、診療所、保健所、家庭、その他のサービスの場で業務を行うことができ、助産師は、「助産所(助産院)」を自ら開業することが可能である。
古くは「取り上げ婆」(とりあげばばあ)などと呼ばれていた時代があったが、戦前は「産婆(さんば)」と(しばしば「産婆さん」と、さんづけで)呼ばれていた。(今でも日常的には「産婆さん」と呼ばれることがある)。
昭和23年には法的な名称が「助産婦」(じょさんふ、じょさんぷ)となり、2002年3月1日に従来の「保健婦助産婦看護婦法」が「保健師助産師看護師法」に変更された際に、看護師や保健師とともに名称が「助産師」に改められた。
保健師助産師看護師法3条に規定され、「助産師とは厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と明記されている。また、従来は業務独占のみの資格であったが、平成18年に保健師助産師看護師法に42条の3が追加され、助産師・看護師・准看護師にも名称独占規定が設けられた。
助産師には医師と同様に開業権(名称:助産院)が認められている。
保健師助産師看護師法20条に規定されている。
看護師免許取得者が、助産師学校などの養成機関で1年以上の専門教育と実習(直接介助10件、間接介助5件が目安)を受け、それぞれの国家試験に合格すると、助産師の資格が与えられる。ただし助産師指定養成校として認可を受けた看護大学では、助産師に関する講義や実習を加えて行うことで4年間の大学教育を経て看護師と同時に受験資格をえられるところがある。
現在は、4年制大学に選択制の「助産」のコースを設置する大学が増加し、短期大学の助産専攻科や助産師学校は減少傾向にあるが、その大学においても少子化によるお産の減少や看護師養成教育の充実などを背景に、時間的な制約が大きく十分な助産技術が習得できないなどの理由から、近年は看護大学卒業後に助産師教育を担う大学院や専攻科などが設置され始めている。
日本国内において平成24年末現在で就業している助産師の総数は31,835人であり、その就業先は病院が約65%、診療所が約21%、助産所が約6%、養成・研究機関が約5%となっており[5]、全体としてこの10年に限れば、助産師数は増えてきており、施設内分娩の普及や住宅事情により、助産所よりも病院等の医療施設に勤務する助産師が増えている。
日本では、看護師や保健師と異なり、資格は女性のみである。
現在の日本において、性別によって国家資格の取得が制限されることは稀であるが、日本では現実問題として男性の助産師を積極的に求める妊産婦がいないため、男性が助産師の資格を得られないのはやむを得ないとする見方が一般的であり、仮に法律で男性の助産師を認可しても需要はほとんど無きに等しいと予想される[6]。
2001年に保健師助産師看護師法が改正され、2002年3月より看護師、保健師と同様、性別による名称の違いを伴わない助産師へと助産婦から名称が変更された過程の中で、男性への助産師資格の開放に関して具体的な動きが存在した。しかし、分娩等に関わる助産業務の特殊性を背景に、男性が関わることへの「生理的な嫌悪感」や「妊産婦が助産師の性別を選択できる権利が保証されていない」などの意見が主張され、名称は変更されたものの男性助産師を認めることについては時期尚早として見送られることとなった。
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