- 英
- high-energy phosphate bond
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/21 11:37:03」(JST)
[Wiki ja表示]
高エネルギーリン酸結合(こうエネルギーリンさんけつごう、high‐energy phosphate bond, energy‐rich phosphate bond)とはアデノシン三リン酸など高エネルギーリン酸化合物が有するリン酸無水物結合を意味する生化学上の概念である。
ピロリン酸など、通常のリン酸化合物においては、リン酸無水物結合の加水分解による切断時の標準自由エネルギーの減少は3000cal/mol程度である。それに対して、ATPの加水分解における減少は7000cal/molにも達することが実験的に確認されている。それ故、この種のリン酸結合を有する化合物を高エネルギーリン酸化合物と呼ぶ。なお、反応の自由エネルギー変化が大きいのであって、P-O間の結合エネルギーは一般の化合物と比べて特に大きいわけではない点に注意が必要である。
生化学では高エネルギーリン酸化合物を化学式で表す場合のみリン酸をPを丸で括った記号を用い、そのうち高エネルギーリン酸結合を「~」(波線)で表すことがある。例えば、アデノシン三リン酸の場合、アデノシンと結合しているリン酸は通常の結合であるが、リン酸間を結んでいる結合は~で表される。
生体内の物質代謝における反応には、化学ポテンシャルの変化から自発的に進行すると予測される方向とは異なる方向に進行するものが多い。そのほとんどは、高エネルギーリン酸結合の切断反応と共役することで実現されている。したがって、高エネルギーリン酸化合物の持つ生化学的な意味は大きい。言い換えると、筋肉の収縮や濃度勾配に逆らった物質輸送は、高エネルギーリン酸結合の関与によって初めて成し得るものである。
アデノシン三リン酸などのリン酸無水物結合が高エネルギー結合となる原因については、共鳴エネルギーの低下やリン酸間の静電反発の増大あるいは、母核化合物の互変異性など高エネルギーリン酸化合物の構造に由来する原因が複合していると考えられている。
高エネルギーリン酸化合物
次に、高エネルギーリン酸化合物を示す。
- ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸 = アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)等
- アシルリン酸 = アセチルリン酸 等
- グアニジンリン酸 = クレアチンリン酸 等
- エノールリン酸 = ホスホエノールピルビン酸 等
関連項目
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 断想-分子生物学を巡る巨人 : 7. フリッツ・リップマン-高エネルギーリン酸結合を提唱し, 補酵素CoAを発見した遍歴の生化学者
- 日本全身咬合学会雑誌 = The J[ou]rnal of the Japanese Academy of Occlusion and Health 7(2), 103-107, 2001-11-05
- NAID 10018369389
- 8-6 アーバスキュラー菌根菌におけるリン酸貯蔵形態であるポリリン酸の代謝 : 高エネルギーリン酸結合は再利用されるか(8.共生)
Related Links
- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - 高エネルギーリン酸結合の用語解説 - リン酸基を含んだ有機化合物には,リン酸基の結合が切断されたとき多量の化学エネルギーの放出を伴うものがある。このような化合物におけるリン酸基と ...
- 高エネルギーリン酸結合(こうエネルギーリンさんけつごう、high‐energy phosphate bond, energy‐rich phosphate bond)とはアデノシン三リン酸など高エネルギーリン酸化合物が有するリン酸無水物結合を意味する生化学上の概念である。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
高エネルギーリン酸結合
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- binding、bond、linkage、connection、conjugation、conjunction、union、bonding、engagement,
- bind、associate、conjugate、combine、connect、couple、engage、join、dock、ligate、conjoin
- 関
- 会合、関係、関与、関連、協同、共役、組み合わせ、結合性、結紮、結線、従事、接合、接合体、同僚、ドッキング、バインディング、複合物、付随、併用、抱合、抱合体、結びつける、約束、癒合、癒着、連関、連結、連合、連鎖、連接、連絡、団結、組合、参加、接続、一対、合併、組み合わせる、カップル、組合せ、絆
[★]
- 英
- energy
- 関
- エネルギー代謝
- 食事のカロリー、熱量の意味で使われることがある。ちなみに肝硬変の代償期の食事は30-35cal/kgが推奨される。