- 英
- enterohepatic circulation
- 関
- アジピオドン、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、胆汁、胆汁酸
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/08 20:57:17」(JST)
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腸肝循環(ちょうかんじゅんかん、英: Enterohepatic circulation :EC)は、体内の生体物質や薬物などが、胆汁とともに胆管を経て十二指腸管内に一旦分泌されたのち、腸管から再度吸収され、門脈を経て肝臓に戻る循環のこと[1]。 極性が高い抱合体は一般に小腸から吸収されにくいが、腸内細菌が腸肝循環では大きな役割を果たしている。肝臓で抱合代謝を受けた代謝物は、嫌気的細菌群の酵素類(β-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼ、アゾ還元酵素)により、主に還元と加水分解を受け、脱抱合されて再び腸管から吸収されるという過程をたどる。腸肝循環は、小腸から肝臓へ栄養豊富な血液が送られる肝門脈系と混同されてはならない。また、ビタミンD3、ビタミンB12、ビタミンB6、葉酸、エストロゲン、胆汁酸などが効率よく利用される[2]。
目次
- 1 コレステロールと胆汁酸
- 2 薬剤
- 3 脚注
- 4 出典
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コレステロールと胆汁酸
肝細胞は、コレステロールを代謝し、コール酸とケノデオキシコール酸の胆汁酸を産生する。この脂溶性の胆汁酸は、グリシンやタウリンと結びついて時々抱合胆汁酸と呼ばれる水溶性の一次胆汁酸となる。これらの胆汁酸は、消化活動をしない場合に蓄えられる胆嚢まで運ばれ、消化活動時に総胆管を経て大十二指腸乳頭を通じて十二指腸下行部へ分泌される。十二指腸に分泌された胆汁酸の95%は、腸肝循環によりリサイクルされる。小腸のpHにもよるが、ほとんどの胆汁酸はイオン化されており、ほとんどの場合には「一次抱合脂肪酸」と呼ばれるナトリウム塩になっている。小腸下部及び大腸においては腸内細菌が一部分の一次胆汁酸を脱ヒドロキシ化し、(依然として水溶性である)二次胆汁酸を生成する。回腸に至るまで、これらの一次抱合胆汁酸は腸肝循環によって活発に再吸収される。腸内細菌は、一次抱合胆汁酸と二次抱合胆汁酸を分解し、腸肝循環に逆らわずに吸収される脂溶性の胆汁酸に変化させる。最終的には、イオン化されていない抱合胆汁酸は逆らわずに吸収される。回腸からの静脈血は、門脈を経て真っ直ぐに肝臓へと向かう。肝細胞は胆汁酸を極めて効率良く回収し、肝臓は胆汁酸をこの大循環から少しも逃がさない。もし胆汁が逃げ出したら黄疸が認められることだろう。腸肝循環の実質効率は、抱合胆汁酸が20回再利用されていることになり、一回の消化活動でも多分に何回も再利用されている。
薬剤
主に肝臓によって抱合されたグルクロニドが、腸管循環を受けやすい。 腸肝循環は、肝臓での濃度を高めるためそれほど有害性の高くない薬剤を異常に有害性の高いものに作用させてしまう可能性がある。薬剤が腸肝循環により長期間にわたってこの循環サイクルに残る可能性がある。 また、なんらかの理由(抗生物質投与等)で、腸内細菌にダメージがあると、腸肝循環に乱れがおこり、薬物効果の持続性に影響がでてくることが知られている。 腸管循環を起こすことでよく知られている薬物として、クロルプロマジン、インドメタシン、モルヒネ等が挙げられる。
脚注
- ^ “Sect. 6, Ch. 5: Enterohepatic Circulation of Bile Acids”. 2010年6月19日閲覧。
- ^ “公益社団法人日本薬学会”. 2012年1月22日閲覧。
出典
http://en.wikipedia.org/wiki/Enterohepatic_circulation
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Japanese Journal
- 遷延性黄疸 (特集 これが大切! 1カ月以内の新生児疾患) -- (症候からみた鑑別診断のしかた)
- 2-II-23 γ-トコフェロールの腸肝循環(一般研究発表,新世紀ビタミン学の展望と先進的展開を目指して,日本ビタミン学会第60回大会発表要旨)
- 産科医からみた環境ホルモン問題とその対策 (特集 重金属・環境汚染物質から身を守る)
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- 次の文を読み、1~3の問いに答えよ。
- 68歳の男性。激しい腹痛と嘔吐とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 2日前から食後に軽度の腹痛を自覚していたが放置していた。3時間前から激しい腹痛となり、嘔吐を伴うようになった。
- 既往歴 : 60歳時に開腹による胆嚢摘出術を受けた。
- 現症 : 身長162cm、体重58kg。体温36.8℃。脈拍100/分、整。血圧134/86mmHg。上腹部は膨隆し、金属音を聴取する。右上腹部に軽度の圧痛がある。鼠径部にヘルニアは認めない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球430万、Hb13.8g/dl、Ht41%、白血球8,900、血小板32万。
- 血清生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素18mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、AST36単位(基準40以下)、ALT30単位(基準35以下)、LDH340単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ268単位(基準260以下)、CK48単位(基準10~40)、Na140mEq/l、K4.5mEq/l、Cl102mEq/l。CRP0.4mg/dl(基準0.3以下)。
- 腹部エックス線単純写真立位像を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B030]←[国試_098]→[098C002]
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- 英
- anion exchange resin drugs
作用機序
- 1. 腸管内で胆汁酸を吸着→腸管からの胆汁酸の再吸収↓(cf.腸肝循環)→肝臓に再吸収されてくる胆汁酸↓→肝内コレステロールからの胆汁酸合成↑→肝臓内コレステロール↓
- 2. 以下のことが同時に起こりうる
- 2-a. →LDL受容体の発現↑→血液内LDL↓
- 2-b. →コレステロールの生合成↑→肝内コレステロール↑
- 2-b.の経路が2-a.の作用を弱める→HMG-CoA還元酵素との併用で薬効が増す
欠点
- 服用量が大量
- 胃腸症状(便秘が起こりやすい)
- 陰イオン性の薬剤(ジギタリス、ワーファリン)、脂溶性ビタミンの吸収↓
- 血清トリグリセリドを増加させる (WIL.1638, GOO.954)
[★]
- 英
- physiological jaundice
- 関
- 黄疸。新生児黄疸 neonatal jaundice
概念
- 新生児にみられる黄疸
- 生後2-3日頃より始まり、10-14日で消失。
- ピークは4-5日である。(097G053)
原因
- SPE.74
- 1. 生理的多血症(Ht 50-55%)
- 2. 赤血球寿命が短い(正期産児で70-90日)
- 3. 肝臓におけるグルクロン酸転移酵素活性が低い
- 4. 腸肝循環が盛んである
[★]
- 英
- circulation、circulate、circulatory
- 関
- 血行、循環性、流通、血行路
[★]
- 英
- ring、circle、annulus
- 関
- 輪、サークル、弁輪、リング