出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/18 10:21:41」(JST)
「代位」とは異なります。 |
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代理 (だいり) とは、ある行為について本来行うべき者に代わって一定の者がその行為を行うことをいう。
以下において、特に断りなく条文に言及するときは、民法の条文を指す。
民法上の用法では、本人に代わって別の人間が意思表示を行うことにより法律行為(契約等)を行い、その効果が本人に帰属する制度をいう。
代理によってなされる法律行為のことを代理行為と呼ぶ。代理行為を依頼した人物を本人、代理を行う者を代理人と呼び、これら以外の代理行為の当事者を相手方と呼ぶ。代理の効果は直接本人に帰属し、本人に帰属させる意思を代理意思という。代理を行う権限を代理権という。本人に当たるものが、会社などの法人の場合、その法人の構成員が法人のために法律行為を行う場合も広義の代理に含まれる。この場合は、特に代表という。文言上「代表」とあっても、「代理」を意味することがある。
民法における代理とは、法律行為の効果帰属主体と意思表示の主体(行為主体)を分割する制度である。そのため、本人がいかなる法律行為をするか決め、その意思表示を伝達するにすぎない使者とは異なり、代理人が、代理権の範囲で、代理人自身の判断でいかなる法律行為をするか決め、意思表示をするのである。例えば、民法上の支配人たる支店長が支店長名にて会社に関する契約を締結すれば「代理」だが、代表取締役によって記名捺印された契約書を、相手方に交付するにすぎない場合は、意思表示の主体は代表取締役であって、この場合の支店長は「使者」にすぎない。
※一般に民法学では代理について、本人と代理人の代理権関係、代理人と相手方の代理行為関係、本人と相手方の効果帰属関係の三面関係に分けて論じられることが多い。したがって、以下ではそれぞれの法律関係について順に述べる。
代理が効力を生じるためには、まず、本人からの授権行為あるいは法律の規定によって代理人が代理権 ( Vertretungsmacht ) を有していることが必要である。代理権のない者(無権代理人)が代理人として行為した場合は、後述の無権代理となる。
なお、原則として代理人は行為能力者である必要はないので、制限行為能力者でもなることが出来る(102条)。ただし、法定代理の場合には本人の保護を考慮して行為能力を要求する場合がある(この点については後述の「代理行為の有効要件」の「代理人の行為能力の問題」を参照)。
以下、この節では代理における本人と代理人との間の法律関係(代理権関係)について述べる。
代理には任意代理と法定代理の2種類があり、代理権の発生原因はそれぞれ異なる。
復代理とは、代理人がさらに代理人を選任し本人を代理させることである。こうして選任された本人の代理人を復代理人という。復代理人を選任する権限を復任権といい、任意代理の場合と法定代理の場合で異なる。
本人が死亡したり、代理人が死亡又は破産し、あるいは後見開始の審判を受けたときには代理権は消滅する(111条1項1号、2号)。代理権が委任に基づいて発生した場合は、委任が終了したときにも代理権は消滅する(同条2項)。このほか法定代理の場合には代理権の消滅事由につき特段の規定が設けられている場合がある。なお、商行為の委任による代理権については、商法に特則があり、本人の死亡によっては消滅しないものとされている(商法第506条)。
代理によってなされる法律行為のことを代理行為と呼ぶ。
以下、この節では代理における代理人と相手方との間の法律関係(代理行為関係)について述べる。
代理行為の成立要件は代理意思(本人のためにする意思)の表示である。代理人は本人のためにすることを示して意思表示をしなければならない(99条1項)。本人のためにする意思を相手方に示すことを顕名といい、それを怠ると、自己のためにしたものとみなされる(100条本文、ただし、相手方が代理人の代理意思を知っていた場合は例外)。代理行為に顕名を要求する制度を顕名主義といい、これは相手方が法律効果の帰属先を誤認しないようにするための制度である。
なお、商行為の代理では反復性や迅速性が重視されるため、顕名主義は採用されておらず、商行為の代理人が顕名をしない場合であっても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとされ、例外的に相手方が代理人が本人のためにすることを知らなかったときには代理人に対して履行の請求をすることを妨げないものとされている(商法504条)。ただし、「代理人に対して履行の請求をすることを妨げない」の意味については争いがある。
代理は代理人と相手方との代理行為の内容によって、99条1項のように代理人が代理権の範囲内で相手方に対して意思表示をする場合(能働代理)と、同条2項のように第三者が代理人に対して意思表示をする場合(受働代理)があるが、現実の代理人は相手方に意思表示を行ったり相手方からの意思表示を受け取ったり両方を行うことがほとんどであるので現実の代理を能働代理と受働代理に峻別することは多くの場合できない。
代理人が有効になした代理行為の法律効果はすべて本人に直接的に帰属することになる。代理人に帰属した法律効果が本人に移転するわけではない。
本人から代理権を授与された代理人が代理権の範囲内で行う有効な代理行為を有権代理というが、これに対して無権代理とは、広義には本人の代理人と称する者に代理権がない代理行為をいい(広義の無権代理)、この広義の無権代理は表見代理と狭義の無権代理に分けられる(通説は表見代理は広義の無権代理の一種であるとするが、学説の中には表見代理は本質的に無権代理とは異なるものであるとみる説もある)。
代理権なしに代理人と称する者が代理意思をもって行為をしても、当該行為は無権代理となり代理としての効果は否定されるが、代理権の存在について本人の責に帰するところによって本人と代理人と称する者の間に代理関係があるかのような一定の外観が生じており、相手方がそれを過失なく信じた場合は、表見代理として有効な代理と同様の扱いを認め、相手方は代理行為上の効果を本人に対して主張できることになる。これを表見代理という。権利外観法理の一類型と位置付けられる。
民法上、次の3類型の表見代理が認められている。
表見代理の成否の判定においては、まず民法109条・110条・112条に該当する場合か否かを条文の文言に照らして判定しなければならない。条文の文言に該当しないがそれでは相手方に酷であるあるいは文言の意味が不明確といった場合にはじめて表見法理・権利外観法理による法解釈での救済・修正がなされる。例えば110条の「正当の理由」の解釈において表見法理等が反映されるのであり、条文以前に当然に表見法理・外観法理が適用されるわけではない。
詳細は「表見代理」を参照
狭義の無権代理とは、本人を代理する権限がないにもかかわらず、代理人と称する者が勝手に本人の代理人として振る舞うことをいう(113条1項)。
狭義の無権代理の相手方は、民法の定めるところにより、催告権(114条)、取消権(115条)、無権代理人の責任の追及(117条)などの手段を選択できることになる。
詳細は「無権代理」を参照
狭義の無権代理における無権代理人の責任(115条)と表見代理制度は、ともに相手方の保護という性格をもつ制度である。そこで無権代理人の責任(115条)の要件と表見代理の要件が共に存在する場合に、相手方がどのような責任追及の手段をとりうるかについては、次のような見解の相違がある。
なお、判例は相手方が無権代理人の責任を追及した場合には、表見代理が成立することを抗弁として無権代理人は、117条の責任を免れることはできないとしている。
商法上、商行為の代理(商事代理)については特則が置かれている。
以上で説明した「代理」と類似する概念として「取次ぎ」がある。代理は、(顕名の有無はともかくとして)他人の名において他人の計算において行為するのに対して、取次ぎは、自己の名において他人の計算において行為するものである。両者を対比するため、本来の代理を「直接代理」、取次ぎを「間接代理」と呼ぶことがある。
詳細は「行政行為#形成的行為」を参照
詳細は「権限#権限の代行」を参照
日本国憲法下の内閣においては、国務大臣をもって補職する各省大臣(主任の大臣)の職、国務大臣をもって充てる大臣庁等の委員長・長官の職について、組閣・改造等の人事の都合で直ちに新任者・後任者の発令ができないとき、あるいは既に在任している当該大臣等(内閣総理大臣自身を含む)が海外出張・病気等で一時的に職務の遂行ができないときは、臨時にその職務を代わりに行うことを命ずる辞令が内閣総理大臣から発出される。この場合の代理者の職位の名称は、次のようになっている。
これらの代理等の職名を用いて公文書に署名する際は、当該職名に続けて氏名、ではなく、「何大臣臨時代理 (改行) 国務大臣 氏名」のように、「国務大臣」の職名を同時に用いて自らの職位をも示すこととなっている(ただし、内閣総理大臣が自ら当たる場合のみ当該部分は「内閣総理大臣」となる)。
なお、会計検査院長については「会計検査院長職務代行」が、人事院総裁については「人事院総裁職務代行」が、大臣庁等でない委員会の委員長については「事務」の字が入らない「何委員会委員長代理」が、府省庁の局長等については「何省何局長事務代理(上司による場合は事務取扱)」の職名がそれぞれ使用される。
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リンク元 | 「substitute」「置換」「代理」「二者択一」「オルターナティブ」 |
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