出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/26 21:51:44」(JST)
開発元 | マイクロソフト |
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最新版 | 2010 / 2009年11月2日 |
対応OS | Microsoft Windows |
プラットフォーム | x64(従来はx86) |
種別 | グループウェア |
ライセンス | MS-エンドユーザライセンス |
公式サイト | www.microsoft.com/japan/exchange |
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Microsoft Exchange Server (マイクロソフト エクスチェンジ サーバー) は、マイクロソフトの開発したグループウェア / 電子メール製品。Microsoft Serversの一部であり、マイクロソフト製品を採用している企業で広く使われている。Exchangeの主な機能は、電子メール / 予定表 / 連絡先などの共有と携帯機器やウェブからの情報アクセスサポート、さらにデータ格納サポートである。
目次
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マイクロソフトが従来のXENIXベースのメッセージングシステムからExchange Serverへの移行を開始したのは1993年4月であり[1]、1995年1月には約500ユーザーが Exchange Server Beta 1 を使用していた。1996年4月までに 32,000 ユーザーが移行した。
1996年6月11日にリリースされたExchange Server 4.0が社外に販売するようになった最初のバージョンであり、Microsoft Mail 3.5の後継とされた。ただし、Exchange Serverは全く新しいX.400ベースのクライアントサーバ型メールシステムであり、単一のデータベースとX.500ディレクトリサービスをサポートしていた。Exchange Serverで使われていたディレクトリは後にActive DirectoryというLDAP準拠ディレクトリサーバとなった。Active DirectoryはWindows 2000に導入された。
1997年5月23日、Exchange Server 5.0がリリースされた。Exchange Administrator コンソールが新たに導入され、SMTPベースのネットワークとの連携を初めて実現した。SMTPリレーが別途必要だったMicrosoft Mailとは異なり、Exchange Server 5.0はInternet Mail Connectorというアドインを使って、直接SMTPベースのサーバと通信可能であった。また、Exchange Web AccessというWebメールインタフェースも新たに導入された。ただし、これは後にOutlook Web Accessと改称し、サービスパックに入れられた。5.0に対応して、その新機能をサポートしたMicrosoft Outlook 8.01、Microsoft Exchange Client 5.0、Microsoft Schedule+ 7.5がリリースされた。
1997年11月、Exchange Server 5.5がリリースされた。スタンダード・エディションとエンタープライズ・エディションがある。これらは、データベースの大きさ、メール転送機能、クラスタリング機能などで差がある。スタンダード・エディションは従来版と同じ16GBというデータベースの制限があるが、エンタープライズ・エディションではこれが8TBに拡張されていた(ただし、マイクロソフトは100GBを越えた構成を推奨していない)。スタンダード・エディションには、Site Connector、MS Mail Connector、Internet Mail Service(Internet Mail Connector から改称)、Internet News Service(Internet News Connector から改称)、cc:Mail / Lotus Notes / Novell GroupWiseといったソフトウェアとの連携機能がある。エンタープライズ・エディションにはさらに、X.400 Connector、IBMのSNADSやPROFSとの連携機能がある。エンタープライズ・エディションには2ノードのクラスタリング機能が導入された。その他の新機能として、予定表をサポートしたOutlook Web Access、IMAP4とLDAP v3クライアントのサポート、削除されたアイテムの復旧機能がある。このバージョンまで、Exchange Serverには内蔵のディレクトリとSMTP / NNTPサービスが含まれていた。Outlook 8.03が対応するクライアントとしてリリースされたが、Exchange ClientとSchedule+は対応バージョンがリリースされなかった。
2000年11月29日にリリースされたExchange Server 2000(開発コード名 Platinum)では、様々な制限が解除された。例えば、データベースのサイズ制限が緩和され、クラスタは2ノードから4ノードに拡張された。しかし、Active Directoryが必須となったためにアップグレードできない顧客が続出した。つまり、以前はディレクトリサービスを内蔵していたのだが、2000 ではActive Directoryなしでは機能しなくなったのである。Exchange Server 5.5から移行する場合、5.5の動作するシステムと2000をインストールするサーバは別に必要であり、そうしないとディレクトリの内容を変換できない。インスタントメッセージのサポートも追加されたが、後にMicrosoft Office Live Communications Serverとして分離されている。Exchange Server 2003(開発コード名 Titanium)で従来版からの移行がかなり容易になった。このため、Exchange Server 5.5のユーザーは2003のリリースを待ったところが多い。また、アップグレードするには、サーバのOSをWindows 2000にする必要があった。顧客によっては、マイクロソフトのサポートが得られないExchange Server 5.5とWindows NT 4.0の組合せに留まる選択をしたところもある。この製品発表会では、アクティブ/アクティブ型のクラスタ対応を宣伝するため、黒山羊と白山羊を模した自動メール発信を動作させておき、障害が発生しても問題が発生しないことをアピールしようとした。このパフォーマンス中、サーバの電源を引き抜き、障害を発生させたが、送信メール数と受信メール数が合わず、エラーにもならず、メールをロストしてしまったという、失態を演じた。[2]
2003年9月28日リリース。Windows 2000 Server(ただし、SP4)と、32ビットのWindows Server 2003で動作するが、後者では新機能の一部が機能しない。各種互換モードを備えており、ユーザーが徐々に移行できるようにしている。これは、多数のExchange Serverを稼動させていて、移行のためにサービスを停止できない企業などで重宝された。
Exchange Server 2003の新機能の一つとして、ダウン時の復旧を高速化した点が挙げられる。これは、メッセージストアがバックアップから復旧される前から新規メールのやり取りを可能としたものである。Mobile Information Server 2001 / 2002の機能の一部もExchange Serverに取り入れられた。例えば、Outlook Mobile AccessやActiveSyncのサーバ側などである(Mobile Information Server はその後開発中止となった)。ウイルスおよびスパム対策も強化され[3]、フィルタリングソフト向けのAPIの追加、SPFおよびDNSBL[4]フィルタリングの基本部分の組み込みがなされている。メッセージ / メールボックス管理ツールも強化され、管理者の作業時間短縮に寄与している。インスタントメッセージと Exchange Conferencing ServerはLive Communication Server(現在はMicrosoft Office Communications Serverに改名)に分離され別製品となったため、完全に除かれた。マイクロソフトはグループウェアとしての機能を、Microsoft Office、Microsoft Office Live Communications Server、Microsoft Live Meeting、Microsoft Office SharePoint Server の組合せで実現するという方向となっている。このため、Exchange Serverは、電子メールと予定表だけを分担するようになっている。
Exchange Server 2003には、スタンダード・エディションとエンタープライズ・エディションがある。スタンダード・エディションはサーバ毎に1つのメッセージ・データベースをサポートし、データベースは最大16GBである。SP2では最大75GBに拡張されたが、デフォルトは18GBとなっており、それ以上に設定するにはレジストリを編集する必要がある[5]。エンタープライズ・エディションでは最大 16TB であり、最大5つのデータベースからなるストレージグループをサーバ内に最大4つ持つことができる(合計で20個のデータベース)[6]。
Windows Small Business Server 2003にはExchange Server 2003も含まれるが、32ビット版だけであり、64ビット版では動作しない。
Exchange Serverの使うRPCプロトコルは独自のもので、APIしか公開されていない (MAPI)。これは、Microsoft Outlookクライアントで使うべく設計された。Exchange Server上の電子メールはPOP3とIMAP4でアクセスでき、Mozilla ThunderbirdやLotus Notesといったクライアントでも使える。OutlookとNovell EvolutionはExchange Server特有の機能にも対応したクライアントである。Macintosh用のMicrosoft Entourageも最新版ではExchange Server特有の機能の大部分をサポートしている。ウェブブラウザからメールボックスにアクセスすることもでき、これをOutlook Web Access (OWA) と呼ぶ。また、Exchange Server 2003はモバイル版OWA (Outlook Mobile Access, OMA) もサポートしている。
Windows Mobile 5.0 AKU2以降では、Exchange Server 2003 SP2と組み合わせて、プッシュ型電子メールをサポートしている[7][8]。
2006年12月7日リリース。Exchange Server 2003以降、マイクロソフトの方向性は不明だった。2005年に何らかの改良がリリースされる予定が立てられたが、中止されている。Exchange Server 2007がリリースされたのは2006年末であった。ボイスメールとの連携、ウェブサービス検索強化、フィルタリング強化、新たなOutlook Web Accessインタフェースなどが含まれる。
64ビットのx64版のWindows Serverでのみ動作する。サポートは得られないが、32ビットの試用版がダウンロード可能となっている。32ビットのハードウェアでExchange Serverを使っている顧客は、ハードウェアの置換が必要となるし、64ビットのハードウェアを使っている顧客でも、OSを64ビット版にしないと移行できない。
ベータ版は2005年12月にリリースされたが、ベータテストを行ったサイトはごく少ない。広範囲に配布されるベータ版は(開発チームのブログによれば)2006年3月に公開された。2006年4月25日、マイクロソフトはExchange Serverの次期バージョンがExchange Server 2007となることを発表した。
2009年1月、Exchange Server 2007 のセキュリティソリューションとしてマイクロソフトが起案・監修したメール情報セキュリティ強化パックがリリースされ、開発したソフトバンク・テクノロジーのWebサイトから無償提供される。
マイクロソフトによれば、強化点は以下の通り[9]。
2009年11月2日リリース。ベータ版は2009年4月にリリースされた。マイクロソフトが推進するクラウドコンピューティングである、ソフトウェア プラス サービス (S+S) に対応した最初のリリース。マルチテナント型で提供されるクラウドコンピューティングサービスであるMicrosoft Exchange Onlineを意識したつくりになっている。
エンタープライズ・エディションは、Windows 2000 Serverでは4ノードまでのクラスタ、Windows Server 2003では8ノードまでのクラスタをサポートしている。Exchange Server 2003はアクティブ/アクティブ型クラスタも導入しているが、その場合は2ノードクラスタのみである。アクティブ / アクティブ型では、同時に両方のサーバが利用できる。より一般的なアクティブ/パッシブ型は、クラスタ内に現用系のフェイルオーバーのための待機系が存在する。待機系は現用系で障害が発生するときのために待機状態にある。アクティブ / アクティブ型については性能問題があることがわかり、マイクロソフトも現在では利用を推奨していない[11]。実際、Exchange Server 2007 では、アクティブ / アクティブ型クラスタはサポートされていない。
Exchangeのクラスタリングは、同じ物理データのノード間での共有方法が問題視されてきた。クラスタリングによってExchange Serverは「アプリケーション」として多重化されるが、「データ」は多重化されない[12]。この場合、データが「単一故障点」となるが、マイクロソフトはこれを "Shared Nothing" と説明している[13]。ただし、この隙間をISVやストレージ企業が様々な手法で埋めてきた[14]。Exchange Server 2007 では、新たなクラスタリング構成を導入し、従来の "shared data model" の問題点に対処している[15]。
Exchange Server 2007では、SQL Serverの"Log Shipping"[16]に基づいた非同期レプリケーションを、CCR(クラスタ連続レプリケーション)[15]として組み込みでサポートしている。これは、MSCS MNS(Microsoft Cluster Service - Major Node Set) を使ったもので、共有ストレージを必要としない。このようなクラスタは安価に構成でき、遠隔のデータセンタ間でクラスタを構成可能で、サイト全体の災害などにも対応できる。CCRクラスタは、2ノードでのみ構成可能で、追加のファイル共有証人としての "voter node" が第三のノードとして追加可能である[17]。voter nodeはスプリットブレインシンドロームを防ぐもので、一般にHub Transport Server上でファイル共有する[15]。
第二のクラスタ形態は、以前のバージョンから可能だったもので、現在はSCC(シングルコピークラスタ)と呼ばれている。Exchange Server 2007では、CCRもSCCも展開が簡略化され、Exchange Serverのインストール時にクラスタとしての構成が可能である。LCR(ローカル連続レプリケーション)[15] は "poor man's cluster"(貧者のクラスタ)とも呼ばれる。これは、データのレプリケーションを同じサーバ上の別の装置に行うもので、ストレージの故障に対応できる。しかし、サーバそのものが故障した場合には対応できない。
2007年11月、マイクロソフトはExchange Server 2007のSP1をリリースした。このサービスパックには新たな高可用機能 SCR(スタンバイ連続レプリケーション)が含まれている。CCRでは両サーバがWindowsクラスタに属していなければならなかったが、SCRではクラスタ化されていないサーバにレプリケーション可能であり、遠隔地のデータセンタへのレプリケーションが容易である。
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