イベルメクチン
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/16 09:17:18」(JST)
[Wiki ja表示]
イベルメクチン
R = CH3: イベルメクチン B1a
R = H: イベルメクチン B1b
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
識別 |
ATCコード |
P02CF01 QP54AA01 QS02QA03 |
KEGG |
D00804 |
化学的データ |
化学式 |
C48H74O14 (22,23-dihydroavermectin B1a)
C47H72O14 (22,23-dihydroavermectin B1b) |
イベルメクチン(英: ivermectin)は、マクロライド類に属する腸管糞線虫症の駆虫薬の1つ。また疥癬、毛包虫症の治療薬でもある。商品名はストロメクトールなど。放線菌が生成するアベルメクチンの化学誘導体。
線虫のシナプス前神経終末においてγ-アミノ酪酸(GABA)の遊離を促進することにより節後神経シナプスの刺激を遮断する。吸虫や条虫では末梢神経伝達物質としてGABAを利用しないため無効。イヌでは犬糸状虫症の予防のために使用される。犬糸状虫のミクロフィラリアが血中に存在しているイヌにイベルメクチンを投与すると、ミクロフィラリアが一度に死滅し、発熱やショックを引き起こす場合がある。したがって、イベルメクチンを予防薬として使用する際は犬糸状虫の感染の有無を検査する必要がある。同効薬として、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、マデュラマイシンが在る。
目次
- 1 医療
- 2 畜産への利用
- 3 参考文献
- 4 関連項目
医療
日本国内においては、健康保険適応疾患としては腸管糞線虫症、および疥癬がある。 糞線虫では2回、疥癬では1回服用できる(一般論としては、孵化していない虫卵に対しては効果がないため、2回服用が好ましい)。2回内服する場合は1~2週間空ける。
畜産への利用
- ウシの寄生虫駆除のため、イベルメクチンの投与が行われているが、牛肉に成分が残留するため、アメリカ合衆国や日本等の輸入国では許容値が設けられている。
- 2010年5月14日、アメリカ合衆国農務省食品安全検査部は、ブラジル産牛肉から、許容量以上のイベルメクチンが検出されたとして輸入を停止、リコールを行った。その後、輸入は再開されたが、再び同年9月に許容量以上のイベルメクチンが検出されたとして二度目の輸入停止措置を行っている。
参考文献
- 吐山豊秋著 『新編家畜薬理学 改訂版』 養賢堂 1994年 ISBN 4842594047
- Donald C. Plumb著 佐藤宏ほか監訳 『プラム 動物用医薬品ハンドブック 原書第3版』 株式会社ワハ 2003年
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
関連項目
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 疥癬 scabies
- 2. 駆虫薬療法 anthelminthic therapies
- 3. アタマジラミ症 pediculosis capitis
- 4. 糞線虫症 strongyloidiasis
- 5. オンコセルカ症 onchocerciasis
Japanese Journal
- P2-124 ストロメクトール錠の有効性に影響を与える要因の検討3 : 簡易懸濁法の手技の現状について(一般演題 ポスター発表,使用状況調査・意識調査,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 大沼 亜紀,赤木 圭太,酒巻 智美,松田 慶祐,大谷 真理子,橋本 薫,杉山 奈津子,小熊 麗子,増田 光枝,小茂田 昌代
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 410, 2010-10-25
- NAID 110008109124
- P1-253 ストロメクトール錠の有効性に影響を与える要因の検討2 : 簡易懸濁法及び錠剤投与時の血漿中イベルメクチン濃度推移の比較(一般演題 ポスター発表,薬物動態・TDM・投与設計,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 山本 陽介,河原 匡秀,宮嶋 篤志,大谷 真理子,小茂田 昌代,廣田 孝司
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 329, 2010-10-25
- NAID 110008108635
- 日経メディカル 39(4), 24-27, 2010-04
- 疥癬治療の第一選択薬であるイベルメクチン。皮膚科以外でも処方する機会が増える一方、肝障害の報告や不適切な使用例も散見される。投与の際には肝機能のチェックが欠かせない。 イベルメクチン(商品名ストロメクトール)は疥癬に保険適用がある唯一の経口薬として2006年に承認された。外用の煩雑性がなく有効性が高い同薬の登場で、疥癬の治療は大きく変わった。
- NAID 40017064883
Related Links
- マルホ株式会社 医療関係者の皆さまのページです。療関係者の皆さまを対象に、弊社の提供する医療用医薬品の製品情報や医師・薬剤師の先生方のお役に立つ情報を 提供しております。一般の方の閲覧はご遠慮いただいております ...
- ストロメクトールとは?イベルメクチンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 概説 寄生虫を駆除するお薬です。糞線虫症(ふんせんちゅう)や疥癬(かいせん)の治療に用います。 作用 ...
- ストロメクトールとは。効果、副作用、使用上の注意。 寄生虫を直接死滅させたり、寄生虫に、まひ、けいれん、呼吸停止をおこさせたりする作用をもつ薬です。 エスカゾール は、 包虫症 の治療剤です。 コンバントリン は、 蟯虫 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ストロメクトール錠3mg
組成
有効成分の名称
含量:イベルメクチンとして
添加物
- 結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ブチルヒドロキシアニソール、無水クエン酸
禁忌
効能または効果
- 疥癬については、確定診断された患者又はその患者と接触の機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用すること。
腸管糞線虫症
- 通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口投与する。下記に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。
疥癬
- 通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。下記に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。
患者体重毎の1回当たりの投与量
体重(kg):15-24
体重(kg):25-35
体重(kg):36-50
体重(kg):51-65
体重(kg):66-79
体重(kg):≧80
- 本剤は水のみで服用すること。本剤は脂溶性物質であり、高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがある。したがって、本剤は空腹時に投与することが望ましい。(「薬物動態」の項参照)
- 本剤による治療初期にそう痒が一過性に増悪することがある (「副作用」の項参照)。また、ヒゼンダニの死滅後もアレルギー反応として全身のそう痒が遷延することがある。特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合、又はそう痒が持続しても、特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合には、漫然と再投与しないこと。
- 重症型 (角化型疥癬等) の場合、本剤の初回投与後、1〜2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮すること。
慎重投与
- ロア糸状虫による重度感染患者〔抗ミクロフィラリア薬投与後に、又は投薬とは無関係に、まれに重篤又は致命的な脳症が発症することがあり、本剤においても因果関係は確立していないが、発症することがある。(「重要な基本的注意」の項参照)〕
重大な副作用
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)注)
- 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)注)
- 著しいAST (GOT)、ALT (GPT) の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血小板減少(頻度不明)注)
- 血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- イベルメクチンは、広域スペクトル抗寄生虫薬であるアベルメクチン群に含まれ、独特な作用機序を持っている。イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl-チャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合する。13)、14) これにより、Cl-に対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫が麻痺を起こし、死に至る。イベルメクチンは、特に、神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)によって活性化される他のリガンド作動性Cl-チャンネルとも弱いながらも相互作用するものと思われる。15)
このクラスの化合物が持つヒトでの安全域は、哺乳類ではグルタミン酸作動性Cl-チャンネルの存在が報告されていないこと、16) 哺乳類の脳の特異的な結合部位に対するイベルメクチンの親和性が線虫に比べ約100倍低いこと、17) またラット等の哺乳類ではアベルメクチン類が血液−脳関門を容易には通過することができない18)、19) という事実から確保されているものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- anthelmintic, anthelmintic agent, antiparasitic agent, helminthagogue, insectifuge, vermicide, worm powder, wormer
商品
[★]
- 英
- ivermectin
- 商
- ストロメクトール Stromectol, Mectizan
- 関
- 疥癬