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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/08 00:54:29」(JST)
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核内受容体(かくないじゅようたい、nuclear receptor)とは細胞内タンパク質の一種であり、ホルモンなどが結合することで細胞核内でのDNA転写を調節する受容体である。発生、恒常性、代謝など、生命維持の根幹に係わる遺伝子転写に関与している。ヒトでは48種類存在すると考えられている[1]。
核内受容体はリガンドが結合すると、核内に移行しDNAに直接結合して転写を制御する。すなわち転写因子の一種である。
目次
- 1 リガンド
- 2 構造
- 3 核内受容体スーパーファミリーに属する受容体
- 3.1 サブファミリー1:甲状腺ホルモン受容体型
- 3.2 サブファミリー2:レチノイドX受容体型
- 3.3 サブファミリー3:エストロゲン受容体型
- 3.4 サブファミリー4:神経成長因子IB 型
- 3.5 サブファミリー5:ステロイド産生因子型
- 3.6 サブファミリー6:GCNF型
- 3.7 サブファミリー0:その他
- 4 歴史
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
リガンド[編集]
ビタミンAやビタミンDなどの脂溶性ビタミンや甲状腺ホルモン、ステロイドホルモンなどが核内受容体に結合し、活性化させる。核内受容体はきわめて多くの遺伝子転写を調節しているため、このようなリガンドは生体に強い作用をもたらす。疾患に関与する遺伝子も多く、アメリカ食品医薬品局が認可している医薬品の13%は核内受容体をターゲットとしたものである。
核内受容体の中には内在性リガンドが明らかとなっていない(少なくとも、広く認められていない)ものも多く、そのような受容体をオーファン(孤児)受容体と呼ぶ。そのうちFXRやLXR、PPARなどは、(比較的弱いながら)脂肪酸や胆汁酸、コレステロール代謝物など代謝に関連する化合物をリガンドとすることが近年の研究で明らかにされており、脂質センサーとして機能していると考えられている。またCARやPXRは異物センサーとして機能し、異物を代謝するシトクロムP450を誘導することが見出されている。これら近年に機能が見出された受容体は、Adopted Orphan Receptorとして新たに分類されている。
構造[編集]
核内受容体の構造 上:一次構造の模式図 下:エストロゲン受容体におけるDBDとLBDの三次元構造
- A/B領域:N末端側に位置し、リガンド非依存的な転写活性化能を有するAF-1領域を含む[2]。
- C領域:DNA結合ドメイン (DBD)。2か所のジンクフィンガーが、DNAのホルモン応答領域(HRE)と呼ばれる部分に結合する。
- D領域:ヒンジ領域。DBDとLBDを柔軟に結合している。
- E/F領域:リガンド結合ドメイン(LBD)。αヘリックスが多く存在し、リガンド依存的に転写活性可能を有するAF-2領域を含む。リガンドの結合によってコンフォメーションが変動し、受容体の二量体化やコアクチベーター・コリプレッサーとの結合に寄与する。
核内受容体スーパーファミリーに属する受容体[編集]
核内受容体同士は上記のように遺伝子配列に高い共通性があり、遺伝子スーパーファミリーを形成している。以下に、ヒトに存在する48種の核内受容体を相同性に基づく分類[3][4]により以下のように列記する。
サブファミリー:サブファミリー名
- グループ名(ある場合は、共通する内因性リガンド)
- 受容体名(略号、NRNC表記、遺伝子)(内因性リガンド)
サブファミリー1:甲状腺ホルモン受容体型[編集]
- グループA:甲状腺ホルモン受容体 (甲状腺ホルモン)
- 甲状腺ホルモン受容体α (TRα, NR1A1, THRA)
- 甲状腺ホルモン受容体β (TRβ, NR1A2, THRB)
- グループB:レチノイド受容体 (ビタミンAなどのレチノイド)
- レチノイド受容体α (RARα, NR1B1, RARA)
- レチノイド受容体β (RARβ, NR1B2, RARB)
- レチノイド受容体γ (RARγ, NR1B3, RARG)
- グループC:ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体 (脂肪酸、プロスタグランジン)
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α (PPARα, NR1C1, PPARA)
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ (PPARδ, NR1C2, PPARD)
- ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ (PPARγ, NR1C3, PPARG)
- グループD:Rev-ErbA (ヘム)
- Rev-ErbAα (Rev-ErbAα, NR1D1)
- Rev-ErbAβ (Rev-ErbAβ, NR1D2)
- グループF:RAR-related orphan receptor (コレステロール、ATRA)
- RAR-related orphan receptorα (RORα, NR1F1, RORA)
- RAR-related orphan receptorβ (RORβ, NR1F2, RORB)
- RAR-related orphan receptorγ (RORγ, NR1F3, RORC)
- グループH:肝X受容体型 (オキシステロール)
- 肝X受容体α (LXRα, NR1H3, NR1H3)
- 肝X受容体β (LXRβ, NR1H2, NR1H2)
- ファルネソイドX受容体 (FXR, NR1H4, NR1H4)
- グループI:ビタミンD受容体型
- ビタミンD受容体 (VDR, NR1I1, VDR) (活性型ビタミンD3)
- プレグナンX受容体 (PXR, NR1I2) (生体異物)
- 構成的アンドロスタン受容体 (CAR, NR1I3) (アンドロスタン)
サブファミリー2:レチノイドX受容体型[編集]
- グループA:肝細胞核因子4 (脂肪酸)
- 肝細胞核因子4-α (HNF4α, NR2A1, HNF4A)
- 肝細胞核因子4-γ (HNF4γ, NR2A2, HNF4G)
- グループB:レチノイドX受容体 (レチノイド)
- レチノイドX受容体α (RXRα, NR2B1, RXRA)
- レチノイドX受容体β (RXRβ, NR2B2, RXRB)
- レチノイドX受容体γ (RXRγ, NR2B3, RXRG)
- グループC:Testicular receptor
- Testicular receptor 2 (TR2, NR2C1)
- Testicular receptor 4 (TR4, NR2C2)
- グループE: TLX/PNR
- Human homologue of the Drosophila tailless gene (TLX, NR2E1)
- Photoreceptor cell-specific nuclear receptor (PNR, NR2E3)
- グループF:COUP/EAR
- トリ卵白アルブミン上流プロモータ転写因子 I (COUP-TF1, NR2F1)
- トリ卵白アルブミン上流プロモータ転写因子 II (COUP-TF2, NR2F2)
- V-erbA-related gene (EAR-2, NR2F6)
サブファミリー3:エストロゲン受容体型[編集]
- グループA:エストロゲン受容体 (エストロゲン)
- エストロゲン受容体α (ERα, NR3A1, ESR1)
- エストロゲン受容体β (ERβ, NR3A2, ESR2)
- グループB:Estrogen related receptor
- Estrogen-related receptor-α (ERRα, NR3B1, ESRRA)
- Estrogen-related receptor-β (ERRβ, NR3B2, ESRRB)
- Estrogen-related receptor-γ (ERRγ, NR3B3, ESRRG)
- グループC:3-ケトステロイド受容体群
- 糖質コルチコイド受容体 (GR, NR3C1)(コルチゾール)
- 鉱質コルチコイド受容体 (MR, NR3C2)(アルドステロン)
- プロゲステロン受容体 (PR, NR3C3, PGR)(プロゲステロン)
- アンドロゲン受容体 (AR, NR3C4, AR)(テストステロン)
サブファミリー4:神経成長因子IB 型[編集]
- グループA:NGFIB/NURR1/NOR1
- 神経成長因子IB (NGFIB, NR4A1)
- Nuclear receptor related 1 (NURR1, NR4A2)
- Neuron-derived orphan receptor 1 (NOR1, NR4A3)
サブファミリー5:ステロイド産生因子型[編集]
- グループA:SF1/LRH1
- ステロイド産生因子1 (SF1, NR5A1)(リン脂質)
- Liver receptor homolog 1 (LRH-1, NR5A2)
サブファミリー6:GCNF型[編集]
- グループA:GCNF
- Germ Cell Nuclear Factor (GCNF, NR6A1)
サブファミリー0:その他[編集]
- グループB:DAX/SHP
- Dosage-sensitive sex reversal, adrenal hypoplasia critical region, on chromosome X, gene 1 (DAX1, NR0B1)
- Small heterodimer partner (SHP, NR0B2)
歴史[編集]
- 1905年 アーネスト・スターリングがホルモンという言葉を考案
- 1926年 エドワード・カルビン・ケンダルとタデウシュ・ライヒスタインがコルチゾンとサイロキシンを単離、構造決定
- 1929年 アドルフ・ブーテナントとエドワード・アダルバート・ドイジーがそれぞれ独立してエストロンを発見、構造決定
- 1961年 エルウッド・ジェンセンがエストロゲン受容体を単離
- 1980年代 ピエール・シャンボン、ロナルド・エヴァンス、Björn Vennströmによってエストロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体がクローニングされる
- 2004年 シャンボン、エバンス、ジェンセンがアルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞
参考文献[編集]
- ^ Zhang Z, Burch PE, Cooney AJ, Lanz RB, Pereira FA, Wu J, Gibbs RA, Weinstock G, Wheeler DA (2004). "Genomic analysis of the nuclear receptor family: new insights into structure, regulation, and evolution from the rat genome". Genome Res 14 (4): 580–90. doi:10.1101/gr.2160004 PMID 15059999
- ^ Wärnmark A, Treuter E, Wright AP, Gustafsson J-Å (2003). "Activation functions 1 and 2 of nuclear receptors: molecular strategies for transcriptional activation". Mol. Endocrinol. 17 (10): 1901–9.
- ^ Nuclear Receptors Nomenclature Committee (1999). "A unified nomenclature system for the nuclear receptor superfamily". Cell 97 (2): 161–3. doi:10.1016/S0092-8674(00)80726-6 PMID 10219237
- ^ Laudet V (1997). "Evolution of the nuclear receptor superfamily: early diversification from an ancestral orphan receptor". J. Mol. Endocrinol. 19 (3): 207–26. doi:10.1677/jme.0.0190207. PMID 9460643
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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- 35. 側鎖にフェニル基を導入したブラシノステロイド受容体アンタゴニストの創出(口頭発表,植物化学調節学会第49回大会)
- コルチコステロイド受容体ダイナミクスのバイオイメージング
- 30. ブラシノステロイド受容体阻害剤の創出(口頭発表,植物化学調節学会第48回大会)
- 野武 晃,轟 泰司,中野 雄司,Hothorn Michael
- 植物化学調節学会研究発表記録集 48(Supplement), 45, 2013-10-04
- NAID 110009738239
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Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- corticosteroid receptor
[★]
- 英
- steroid receptor
- 関
- ステロイド受容体
[★]
- 英
- steroid receptor coactivator 1
- 関
- 核内受容体コアクチベーター1、ステロイドレセプターコアクチベーター1
[★]
- 英
- corticosteroid receptor
- 関
- ステロイド受容体、コルチコステロイドレセプター
[★]
- 英
- steroid receptor coactivator
- 関
- ステロイド受容体コアクチベーター
[★]
- 英
- steroid receptor coactivator
- 関
- ステロイド受容体活性化補助因子
[★]
- 英
- receptor
- 同
- レセプター、リセプター
- 関
種類
First Aid FOR THE USMLE STEP 1 2006 p.199
一般的作動薬
|
受容体
|
G protein subunit
|
作用
|
アドレナリン ノルアドレナリン
|
α1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
α2
|
Gi
|
中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制
|
β1
|
Gs
|
心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解
|
β2
|
骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出
|
β3
|
肥満細胞脂質分解亢進
|
アセチルコリン
|
M1
|
Gq
|
中枢神経
|
M2
|
Gi
|
心拍数低下
|
M3
|
Gq
|
外分泌腺分泌亢進
|
ドーパミン
|
D1
|
Gs
|
腎臓平滑筋弛緩
|
D2
|
Gi
|
神経伝達物質放出を調節
|
ヒスタミン
|
H1
|
Gq
|
鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み
|
H2
|
Gs
|
胃酸分泌
|
バソプレシン
|
V1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
V2
|
Gs
|
腎集合管で水の透過性亢進
|
チャネルの型による分類(SP. 154改変)
イオンチャネル連結型受容体
Gタンパク質共役型受容体
受容体とシグナル伝達系
リガンド、受容体、細胞内情報伝達系
PKA,PKC
癌細胞における
[★]
- 英
- accept, acceptance
- 関
- 受け取る、承認、受諾、認容、認める、受け入れる
[★]
- 英
- body
- ラ
- corpus、corpora
- 関
- 肉体、身体、本体、コーパス、ボディー
[★]
- 英
- steroid
- 関
- コルチコステロイド、ステロイドホルモン
- ステロイド軟膏