- 英
- diacylglycerol DG DAG
- 同
- ジグリセリド diglyceride
- 関
- ジアシルグリセロールオイル diacylglycerol oil
概念
- 1分子のグリセロールglycerolの3つの水酸基のうち2つに、脂肪酸がエステル結合したもの。
- 1,2-ジアシル型と1,3-ジアシル型があり、後者は2位のアシル基の転位により生合成される。
- 天然には植物油の微量成分として認められる。
- 濃縮したものを食事の脂肪分に代用して摂取されることがある。
効能
- 体重減少と体脂肪の減少に効果があるとはいえないが、効能を示唆するデータはある。
- 作用機序としては、体内での働きエネルギーの消費を増大させ、脂肪を分解するのかもしれない。
用量
- 脂肪の代わりに、ジアシルグリセロールを1日10-45g摂取する。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/06/27 02:36:14」(JST)
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1-パルミトイル-2-オレイル-グリセロールの構造
ジアシルグリセロール(英: diglyceride, diacylglycerol、略称: DAG、DG)とは、グリセリンに2つの脂肪酸がエステル結合を介して結合した分子である。 右の図は1-パルミトイル-2-オレイル-グリセロールであるが、ジアシルグリセロールにはC1位とC2位の脂肪酸の選び方によって多くの種類がある。
目次
- 1 食品添加物
- 2 生化学シグナル
- 3 その他の生化学的機能
- 4 代謝
- 5 脚注
- 6 外部リンク
|
食品添加物
モノもしくはジアシルグリセロールは油や水などの原料とともによく食品添加物として用いられる。
商業的には牛や豚、もしくは大豆やキャノーラなどの野菜から作られる。また化学合成によっても作られる。パン、ジュース、アイスクリーム、ショートニング、生クリーム、マーガリン、菓子などに良く用いられる。
生化学シグナル
PIP2のIP3およびDAGへの切断は細胞内カルシウムの放出とPKC活性化を引き起こす。
1,2-sn-ジアシルグリセロールは、イノシトール三リン酸とともにホスホリパーゼCによるシグナルのセカンドメッセンジャーとして働く。イノシトール三リン酸が原形質中に拡散してしまうのに対して、ジアシルグリセロールは疎水性のために細胞膜上に留まることができる。またイノシトール三リン酸は滑面小胞体からカルシウムイオンをリリースするのに対して、ジアシルグリセロールは膜上でプロテインキナーゼCを活性化させる。典型プロテインキナーゼCアイソザイムは、イノシトール三リン酸によって濃度が上昇する原形質中のカルシウムイオンによっても活性化を受ける。12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート (TPA) などのホルボールエステルは1,2-sn-ジアシルグリセロールのミミックとして働き、同様の作用を示す。
その他の生化学的機能
ジアシルグリセロールは細胞中で様々な機能を持つ。
- プロスタグランジンの原料
- プロテインキナーゼCの活性化
- 内在性カンナビノイドである2-アラキドニルグリセロールの前駆体
代謝
ジアシルグリセロールの合成はジヒドロキシアセトンリン酸に由来するグリセロール-3-リン酸が出発となる。グリセロール-3-リン酸はまずアシルCoAによりアシル化を受けてリゾホスファチジン酸になる。その後別のアシルCoAが付加し、ホスファチジン酸となり、脱リン酸化されてジアシルグリセロールができる。
ジアシルグリセロールに、ジグリセリドアシルトランスフェラーゼが作用してさらに1分子の脂肪酸が付加し、トリアシルグリセロールとなることがある。
ジアシルグリセロールはホスファチジン酸を経由して作られるため、飽和脂肪酸がC1位に、不飽和脂肪酸がC2位にくる[1]。
脚注
- ^ Berg J, Tymoczko JL, Stryer L (2006). Biochemistry (6th ed. ed.). San Francisco: W. H. Freeman. ISBN 0716787245.
外部リンク
- ジアシルグリセロール - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ジアシルグリセロール(DAG)食用油とグリシドール脂肪酸エステルのラット乳腺発がんへの影響
- 酒々井 眞澄
- Nagoya medical journal 51(4), 197-201, 2011-03-01
- ジアシルグリセロール(DAG)食用油をヒト c-Ha-ras 遺伝子導入ラット (Hras128) に14週間口腔内滴下投与した結果,暴露部位から離れた乳腺に発がんプロモーション作用が認められた. 乳がん組織においてPKCの誘導がみられた. また,5週間のDAG食用油短期暴露試験でも乳腺組織においてPKC発現が誘導された. よって,DAGはPKC誘導によりHras128乳腺発がんを促進する可能性が …
- NAID 110008151226
- 枯草菌ジアシルグリセロールキナーゼ遺伝子dgkBは必須遺伝子だが, リポテイコ酸合成欠損株では挿入破壊可能となる
- 原 弘志,神谷 雄介,宮澤 岳,石川 一輝,橋本 理尋,松岡 聡,松本 幸次
- 脂質生化学研究 52, 48-51, 2010-05-25
- NAID 10026406993
Related Links
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- 花王「健康エコナクッキングオイル」は、身体に脂肪がつきにくくなる働きが認められて いる油脂成分の一種であるジアシルグリセロール※を高濃度に含む食用油脂であり、 当初、平成10年5月に特定保健用食品として許可されました。 その後、平成15年に、 ...
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★リンクテーブル★
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- 英
- vascular smooth muscle
- 関
- 中膜
アドレナリンによる血管平滑筋の収縮
- アゴニストがα1受容体(Gq)に結合することで、次の経路により細胞内のCa2+濃度が上昇し、平滑筋が収縮する
- 1. 受容体依存性カルシウムチャネル(receptor operated Ca channel, ROCC)が開口し、細胞外からCaが流入する(SAN.189)
- 2. 受容体刺激に引き続きG蛋白質を介してホスホリパーゼC(PLC)が活性化 → 細胞膜のホスファチジルコリンからホスファチジルイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)が生成 → IP3は筋小胞体からCa遊離を促進。DGはPKCを活性化し、収縮蛋白のCa感受性を高める。
[★]
- 英
- receptor tyrosine kinase receptor, tyrosine kinase RTK
- 同?
- チロシンキナーゼ受容体
カスケード
- リガンド結合→レセプターの二量体化→レセプターの細胞膜内領域を自己リン酸化
- →ホスホリパーゼC→ジアシルグリセロール→PKC→増殖因子の活性化
- →Grb2→SOS→Ras→Raf-1(MAPKKK)→MEK(MAPKK)→Erk1/Erk2(MAPK)→(核移行)→ELK1→c-fos
- →PI3キナーゼ→PI(3,4,5)P3→PDK1→PKB→増殖因子の活性化
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- 英
- diglyceride
- 関
- ジアシルグリセロール
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ジアシルグリセロール。ジグリセリド
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ジアシルグリセロール。DG DAG
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- 英
- diacylglycerol acyltransferase
- 関
- ジアシルグリセロール-O-アシルトランスフェラーゼ、ジアシルグリセロールアシル転移酵素、ジアシルグリセロールアシル基転移酵素
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- 英
- diacylglycerol acyltransferase
- 関
- ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ、ジアシルグリセロールアシル基転移酵素
[★]
- 英
- CDP-diacylglycerol-inositol 3-phosphatidyltransferase
- 関
- ホスファチジルイノシトール合成酵素
[★]
- 英
- 1,2-diacylglycerol, DG, DAG