- 英
- diglyceride
- 関
- ジアシルグリセロール
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/04 10:42:06」(JST)
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1-パルミトイル-2-オレイル-グリセロールの構造
ジアシルグリセロールとは、グリセリンに2つの脂肪酸がエステル結合を介して結合した分子である。略称してDGまたはDAGと表し、別名をジグリセリドともいう。右の図は1-パルミトイル-2-オレイル-グリセロールであるが、ジアシルグリセロールにはC1位とC2位の脂肪酸の選び方によって多くの種類がある。
目次
- 1 食品添加物
- 2 生化学シグナル
- 3 その他の生化学的機能
- 4 代謝
- 5 脚注
- 6 外部リンク
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食品添加物
モノアシルグリセロール(Monoacylglycerol)もしくはジアシルグリセロールは油や水などの原料とともによく食品添加物として用いられる。
商業的には牛や豚、もしくは大豆やキャノーラなどの野菜から作られる。また化学合成によっても作られる。パン、ジュース、アイスクリーム、ショートニング、生クリーム、マーガリン、菓子などに良く用いられる。
生化学シグナル
PIP2のIP3およびDAGへの切断は細胞内カルシウムの放出とPKC活性化を引き起こす。
1,2-sn-ジアシルグリセロールは、イノシトール三リン酸とともにホスホリパーゼCによるシグナルのセカンドメッセンジャーとして働く。イノシトール三リン酸が原形質中に拡散してしまうのに対して、ジアシルグリセロールは疎水性のために細胞膜上に留まることができる。またイノシトール三リン酸は滑面小胞体からカルシウムイオンをリリースするのに対して、ジアシルグリセロールは膜上でプロテインキナーゼCを活性化させる。典型プロテインキナーゼCアイソザイムは、イノシトール三リン酸によって濃度が上昇する原形質中のカルシウムイオンによっても活性化を受ける。12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート (TPA) などのホルボールエステルは1,2-sn-ジアシルグリセロールのミミックとして働き、同様の作用を示す。
その他の生化学的機能
ジアシルグリセロールは細胞中で様々な機能を持つ。
- プロスタグランジンの原料
- プロテインキナーゼCの活性化
- 内在性カンナビノイドである2-アラキドニルグリセロールの前駆体
代謝
ジアシルグリセロールの合成はジヒドロキシアセトンリン酸に由来するグリセロール-3-リン酸が出発となる。グリセロール-3-リン酸はまずアシルCoAによりアシル化を受けてリゾホスファチジン酸になる。その後別のアシルCoAが付加し、ホスファチジン酸となり、脱リン酸化されてジアシルグリセロールができる。
ジアシルグリセロールに、ジグリセリドアシルトランスフェラーゼが作用してさらに1分子の脂肪酸が付加し、トリアシルグリセロールとなることがある。
ジアシルグリセロールはホスファチジン酸を経由して作られるため、飽和脂肪酸がC1位に、不飽和脂肪酸がC2位にくる[1]。
脚注
- ^ Berg J, Tymoczko JL, Stryer L (2006). Biochemistry (6th ed. ed.). San Francisco: W. H. Freeman. ISBN 0716787245.
外部リンク
- ジアシルグリセロール - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
Japanese Journal
- 伊藤 友美,安達 卓生,山田 哲也
- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 55(2), 56-62, 2008-02-15
- … 3種類の市販の油脂(バター,ジグリセリド,トリグリセリド)と2種類の試薬としての油脂(トリオレイン,トリパルミチン)を用いてクッキー様菓子を作製し,これらの油脂添加の影響を,クッキー様菓子とクッキー様菓子から分離した澱粉の特性面から調べた.<BR>(1) クッキー様試料の断面は澱粉粒が油脂に覆われた構造であった.油脂の種類による違いは認められなかった.<BR>(2) DSCによる糊化特 …
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- X線造影性を有する歯内治療実習用の単根性不完全分岐根管上顎第一小臼歯試作模型 : 歯の解剖形態とマイクロCT観察
- 川崎 孝一,森 拓也,佐藤 友則,井野場 朗子,五味渕 美加,北島 佳代子,江面 晃,五十嵐 勝,岩城 重次
- 日本歯科保存学雑誌 50(5), 630-638, 2007-10-31
- … る.本研究では,株式会社ニッシンの協力を得て,歯根中央で2根管分岐し1根尖孔で終わる,歯内治療実習用のX線造形性を付与した上顎第一小臼歯人工歯根管模型が新しく試作された.人工歯はビスフェノールAジグリセリド・エーテル(DGEBA)とX線造形性を有するガラスフィラーやその他から作られている.本研究の目的は,これらの人工歯と根管の解剖学的形態を調べることであった.歯冠の近心辺縁隆線部には介在結節(辺縁結節 …
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- diacylglycerol DG DAG
- 同
- ジグリセリド diglyceride
- 関
- ジアシルグリセロールオイル diacylglycerol oil
概念
- 1分子のグリセロールglycerolの3つの水酸基のうち2つに、脂肪酸がエステル結合したもの。
- 1,2-ジアシル型と1,3-ジアシル型があり、後者は2位のアシル基の転位により生合成される。
- 天然には植物油の微量成分として認められる。
- 濃縮したものを食事の脂肪分に代用して摂取されることがある。
効能
- 体重減少と体脂肪の減少に効果があるとはいえないが、効能を示唆するデータはある。
- 作用機序としては、体内での働きエネルギーの消費を増大させ、脂肪を分解するのかもしれない。
用量
- 脂肪の代わりに、ジアシルグリセロールを1日10-45g摂取する。
[★]
ジアシルグリセロール。ジグリセリド
[★]
- 英
- cytidine diphosphate diglyceride
[★]
- 英
- glyceride
- 同
- アシルグリセロール acylglycerol、中性脂肪 neutral fat、油脂 fat and oil
- 関
- トリグリセリド、脂肪酸、グリセロール