- 英
- sodium bisulfite
- 関
- 亜硫酸水素ナトリウム
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亜硫酸水素ナトリウム |
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
7631-90-5 |
特性 |
化学式 |
NaHSO3 |
モル質量 |
104.06g/mol |
外観 |
白色固体 |
密度 |
1.48g/cm3 |
融点 |
150℃
|
水への溶解度 |
42g/100ml(25℃) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
亜硫酸水素ナトリウム(ありゅうさんすいそナトリウム、sodium hydrogen sulfite または sodium bisulfite)とは、化学式が NaHSO3 と表される無機化合物である。亜硫酸水素イオンとナトリウムイオンからなる塩で、別名を重亜硫酸ナトリウム、あるいは酸性亜硫酸ナトリウムとも呼ぶ。食品添加物(保存料として)、化学における還元剤などとして用いられる。
NaHSO3は固体としては室温で不安定であり水溶液として存在し、亜硫酸水素塩は固体としては亜硫酸水素ルビジウムRbHSO3、亜硫酸水素セシウムCsHSO3、およびテトラアルキルアンモニウム塩NR4HSO3のみ室温で安定であり[1]、試薬として市販され用いられている結晶粉末はNaHSO3ではなく、二亜硫酸ナトリウムNa2S2O5を主成分とするものである[2]。
目次
- 1 性質
- 2 合成
- 3 化学的利用
- 4 DNA分析
- 5 関連項目
- 6 参考文献
性質[編集]
約150°Cで分解を起こす白色の粉末。二酸化硫黄の臭いを示す。水への溶解度は515g/L (20°C)で、54g/L水溶液 (20°C) の pHは3.5から5.0。
合成[編集]
炭酸ナトリウムの水溶液に二酸化硫黄を通じて得られる。
化学的利用[編集]
有機化学において、亜硫酸水素ナトリウムを用いたいくつかの反応が知られている。アルデヒドや環状ケトンに作用して付加体にあたる α-ヒドロキシスルホン酸を作る。
この反応はアルデヒドなどの精製法として利用される。まず不純物と混ざったアルデヒドの溶液に亜硫酸水素ナトリウムを作用させて付加体の形で沈殿させ、ろ過して単離する。その後、炭酸水素ナトリウムや水酸化ナトリウムなどの塩基で処理すると、逆反応により亜硫酸水素イオンが遊離して二酸化硫黄が発生し、同時に純粋なアルデヒドが得られる。テトラロン[3]、シトラール[4]、ピルビン酸エチル[5]、グリオキサール[6]、2-メチル-3-フェニルプロパナール[7]の精製に用いた例が知られている。
シクロヘキサノンにジアゾメタンを作用させる環拡大反応では亜硫酸水素ナトリウムが、主生成物のシクロヘプタノンから副生成物のシクロオクタノンを分離するため利用されている[8]。
また、スルホ基が脱離基としてはたらくことを利用して、付加体にシアン化物イオンを反応させ α-シアノヒドリンへと変換する反応も知られる[9][10]。
他の用途としては、亜硫酸ナトリウムと同様に、穏和な還元剤としての使用が挙げられる。酸化反応の後処理時に、余剰の酸化剤、塩素、臭素、ヨウ素 (Cl2, Br2, I2)、次亜塩素酸イオン (ClO−)、四酸化オスミウム (OsO4)、三酸化クロム (CrO3)、過マンガン酸カリウム (KMnO4) などに加えて不活性化することができる。
共役化合物や酸化剤により系が強く着色しているとき、亜硫酸水素ナトリウムを加えて脱色する場合がある。
亜硫酸水素ナトリウムは、2-ナフトールを 2-ナフチルアミンに変換するブヒャラー反応 (Bucherer reaction)、2-ナフトールとフェニルヒドラジンからベンゾカルバゾールを得るブヒャラーカルバゾール合成 (Bucherer carbazole reaction) に不可欠な試薬である。
DNA分析[編集]
亜硫酸水素ナトリウムは、DNA上のシトシン塩基がメチル化を受けていることを検出するために用いられる。
シトシンは、亜硫酸水素ナトリウムの作用で脱アミノ化を受けてウラシルに変わるが、5位がメチル化されている 5-メチルシトシンはこの反応を受けない。DNA を亜硫酸水素ナトリウムで処理後に PCR法 で増幅することで、ウラシルはチミンに、5-メチルシトシンはシトシンへ変わった DNA が得られるため、その後に塩基配列を決定して亜硫酸水素ナトリウム処理前の配列と比較することで、5-メチルシトシンの位置を特定できる[11]。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年,原書:F. ALBERT COTTON and GEOFFREY WILKINSON, Cotton and Wilkinson ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY A COMPREHENSIVE TEXT Fourth Edition, INTERSCIENCE, 1980.
- ^ Merck Index 13th.
- ^ Soffer, M. D.; Bellis, M. P.; Gellerson, H. E.; Stewart, R. A. (1952), “β-Tetralone”, Org. Synth. 32: 97, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv4p0903 ; Coll. Vol. 4: 903 .
- ^ Russell, A.; Kenyon, R. L. (1943), “Pseudoionone”, Org. Synth. 23: 78, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0747 ; Coll. Vol. 3: 747 .
- ^ Cornforth, J. W. (1951), “Ethyl pyruvate”, Org. Synth. 31: 59, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv4p0467 ; Coll. Vol. 4: 467 .
- ^ Ronzio, A. R.; Waugh, T. D. (1944), “Glyoxal bisulfite”, Org. Synth. 24: 61, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv3p0438 ; Coll. Vol. 3: 438 .
- ^ Buntin, S. A.; Heck, R. F. (1983), “2-Methyl-3-phenylpropanal”, Org. Synth. 61: 82, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv7p0361 ; Coll. Vol. 7: 361 .
- ^ Dauben, H. J., Jr.; Ringold, H. J.; Wade, R. H.; Pearson, D. L.; Anderson, A. G., Jr. (1954), “Cycloheptanone”, Org. Synth. 34: 19, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv4p0221 ; Coll. Vol. 4: 221 .
- ^ Taylor, H. M.; Hauser, C. R. (1963), “α-(N,N-Dimethylamino)phenylacetonitrile”, Org. Synth. 43: 25, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv5p0437 ; Coll. Vol. 5: 437 .
- ^ Young, S. D.; Buse, C. T.; Heathcock, C. T. (1985), “2-Methyl-2-(trimethylsiloxy)pentan-3-one”, Org. Synth. 63: 79, http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=cv7p0381 ; Coll. Vol. 7: 381 .
- ^ Frommer, M.; McDonald, L. E.; Millar, D. S.; Collis, C. M.; Watt, F.; Grigg, G. W.; Molloy, P. L.; Paul, C. L. (1992). "A genomic sequencing protocol that yields a positive display of 5-methylcytosine residues in individual DNA strands". Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89: 1827–1831. DOI: 10.1073/pnas.89.5.1827
ナトリウムのオキソ酸塩 |
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正塩 |
NaAlO2 · Na3AsO3 · Na3AsO4 · Na4As2O7 · Na5As3O10 · NaBiO3 · NaBO2 · Na2B8O13 · Na3BO3 · NaBrO · NaBrO2 · NaBrO3 · NaBrO4 · NaClO · NaClO2 · NaClO3 · NaClO4 · NaClO5 · Na2CO3 · Na2CO4 · Na2C2O5 · Na2C2O6 · Na2CrO4 · Na2Cr2O7 · NaFO · Na2FeO4 · Na2GeO3 · NaIO · NaIO3 · NaIO4 · Na5IO6 · NaMnO4 · Na2MnO4 · Na3MnO4 · NaNO2 · NaNO3 · Na2N2O2 · Na2N2O3 · NaPH2O2 · Na2PHO3 · Na2PO3F · Na3PSO3 · Na3PS2O2 · Na3PO4 · Na4P2O7 · Na5P3O10 · NaReO4 · Na2SeO3 · Na2SeO4 · Na2SiO3 · Na2Si2O5 · Na2SO3 · Na2SO4 · Na2SO5 · Na2S2O3 · Na2S2O4 · Na2S2O5 · Na2S2O6 · Na2S2O7 · Na2S2O8 · Na2S3O6 · NaTcO4 · Na2TiO3 · Na4TiO4 · Na2Ti3O7 · Na2TeO3 · NaVO3 · Na3VO4 · Na2WO4 · Na2XeO4 · Na4XeO6 · AlNa(SO4)2
|
|
水素塩 |
NaHCO3 · Na2H3IO6 · Na3H2IO6 · NaH2PO4 · Na2HPO4 · Na2H2P2O7 · Na3HP2O7 · NaHSeO3 · NaHSeO4 · NaHSO3 · NaHSO4
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ナトリウムの化合物 - ナトリウムのオキソ酸塩 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 加藤 弘,小松 計一,馬越 芳子
- 蚕糸試験場彙報 (134), p281-295, 1988-08
- … 3.セリシンを均一に残すための精練法としては,重亜硫酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合溶液による方法が有効であった。 …
- NAID 40001486423
- ハマナタマメ,ハマエンドウ,ヤハズエンドウ,フジのでんぷんについて
- 藤本 滋生,米盛 明子,菅沼 俊彦,永浜 伴紀
- 澱粉科学 31(4), 208-214, 1984
- … 1.鹿児島県下に自生する未利用のマメ類4種,ハマナタマメ,ハマエンドウ,ヤハズエソドウ,フジの各種子から,希薄な重亜硫酸ナトリウム溶液および水酸化ナトリウム溶液を用いて澱粉を単離精製した.収率はそれぞれの乾燥状態のマメ種子に対して,約21%,20%,300,12%であった. …
- NAID 130003866597
- ポリフェノールオキシダーゼ処理によるフラボノイド系天然色素の製造
- 元田 節士
- 日本食品工業学会誌 29(1), 25-30, 1982
- … しかし,過酸化水素,亜硫酸水素ナトリウム,メタ重亜硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウムなどの薬剤によってはほとんど影響を受けなかった。 … しかし,過酸化水素,亜硫酸水素ナトリウム,メタ重亜硫酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウムなどの薬剤によってはほとんど影響を受けなかった。 …
- NAID 130003788328
Related Links
- 化学製品 Chemical product 化学名または一般名 重亜硫酸ソーダ, 亜硫酸水素ナトリウム, 酸性亜硫酸ソーダ 化学式又は構造式 NaHSO 3 物 性 淡黄色の液体 弱酸性で亜硫酸ガスを発生する 酸化剤と激しく反応し発熱する
- 無機・有機工業薬品、医薬・農薬原料、スペシャリティケミカルズの製品紹介、有機合成、薬液調合 ... 商品名 無水重亜硫酸ソーダ〔Sodium Metabisulfite Anhydrous〕 CAS No. 7681-57-4 化学名 ピロ亜硫酸ナトリウム 又は二亜硫酸 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
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亜硫酸水素ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム
[★]
- 英
- sodium bisulfite
- 関
- 重亜硫酸ナトリウム
[★]
- 英
- sodium, natrium, Na
- 関
- Na+
血液(血清)中のナトリウム (臨床検査法提要第32版)
尿中のナトリウム
- <20 mEq/l (正常と判断できる範囲)
- >40 mEq/l (腎性腎不全を示唆)
尿Na,Kと血清Naによる血清Naの予測
- 経口摂取と輸液による自由水の摂取がなければ
- 尿([Na+]+[K+]) < 血清[Na+] → 血清[Na+]上昇
- 尿([Na+]+[K+]) = 血清[Na+] → 血清[Na+]普遍
- 尿([Na+]+[K+]) > 血清[Na+] → 血清[Na+]低下
食品中の食塩量
- ほとんどの製品ラベルに記載されている、ナトリウム[g]はそのまま食塩量[g]と考えることができないので、指導する債には注意を促す。
- 分子量から考えるとNa(23), Cl(35.5)なので、ナトリウムx[g]は食塩 x /23 * (23 + 35.5)、つまり2.54 * x [g]となる。
- 例えば、小生が常食している某社のインスタントラーメンにはナトリウム2[g]との記載があるが、これは5.08gの食塩が含まれているということになる。もちろんスープは全部飲む。1日3袋食べたことがあるのだが、、、
臨床関連
[★]
- 英
- thorium、Th
- 関
- トロトラスト、232Th
概念
- 参考1
- 原子番号:90
- 元素記号:Th
- アクチノイド元素の一つ
- 銀白色の金属。
- 安定同位体は存在しない。
- 北欧神話の軍神または雷神トールにちなんで名づけられた。
同位体
- 参考1
同位体
|
NA
|
半減期
|
DM
|
DE (MeV)
|
DP
|
228Th
|
trace
|
1.9116 y
|
α
|
5.52
|
224Ra
|
229Th
|
syn
|
7340 y
|
α
|
5.168
|
225Ra
|
230Th
|
trace
|
75380 y
|
α
|
4.77
|
226Ra
|
231Th
|
trace
|
25.5 h
|
β
|
0.39
|
231Pa
|
232Th
|
100 %
|
1.405 × 1010 y
|
α
|
4.083
|
228Ra
|
234Th
|
trace
|
24.1 d
|
β
|
0.27
|
234Pa
|
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
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- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- sulfurous acid、sulfite、sulfurous
- 関
- 亜硫酸塩、イオウ酸
[★]
- 英
- sulfuric acid, sulfate
- 関