成分 | 化学式 | 体積比 [%] |
重量比 [%] |
---|---|---|---|
窒素 | N2 | 78.084 | 75.510 |
酸素 | O2 | 20.946 | 23.010 |
アルゴン | Ar | 0.930 | 1.286 |
二酸化炭素 | CO2 | 0.034 | 0.040 |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/27 15:08:22」(JST)
「空気」のその他の用法については「空気 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
空気(くうき、英: air)とは、地球の大気圏の最下層を構成している気体で、人類が暮らしている中で身の回りにあるものをいう[1]。
一般に空気は、無色透明で、複数の気体の混合物からなり、その組成は約8割が窒素、約2割が酸素でほぼ一定である。また水蒸気が含まれるがその濃度は場所により大きく異なる。工学など空気を利用・研究する分野では、水蒸気を除いた乾燥空気(かんそうくうき, dry air)と水蒸気を含めた湿潤空気(しつじゅんくうき, wet air)を使い分ける。
地球を覆う気体の層を「大気圏」といい[2]、その気体そのものを日常会話や工業分野などでは「空気」[1]、気象学など地球科学の分野では「大気」[3]とも呼ぶ。ふつう日常会話で「空気」という場合には、人間が暮らしている中で身の回りに存在する地上の空気を指し、場合によっては飛行機が航行する高度のような上空の空気を指す。一方、地球科学においては同じものを「大気」という。
なお日本語における「空気」には、その場にいる人々の気分やその場の雰囲気という意味もある[4]。詳しくは場の空気の項目を参照のこと。
空気は目に見えず、その他感覚にふれることもなく、普段はその存在を意識することもないが、常に身の回りにあり、無くてはならない存在であることから、ごく親しい仲のことを「空気のような」と表現することがある。最近の若者の俗語では「あいつは空気だから」といった使い方もする。こちらのほうは、存在感のなさを揶揄した否定的な用法である。[要出典]
乾燥した空気1 Lの重さは、セ氏0度、1気圧(1 atm)のときに1.293 gである[1]。1 Lで1 gというと一見小さいようであるが、垂直に数十kmも積み重なることで、地表付近の空気には大きな重さ(圧力)がかかる。1気圧は1.033 kgf/cm2なので、地表では1 cm2あたりおよそ1 kgの圧力が加わっていることになる。
なお、風速、つまり空気の移動速度が大きくなるにつれ、衝突する空気の総量が増え、大きな風圧が生じることになる。帆船、ヨット、ウィンドサーフィンなどはこれを利用して大きな推力を得ているわけであるし、台風などでは巨大な破壊力となる。
また、空気は流体であり、空気の中を進む物体には揚力や抗力(空気抵抗)が生じる。鳥や飛行機の翼は大きな揚力を得ることで空気中を飛揚する。
密度(0 ℃ 1 atm) | 1.293 kg/m3 |
平均モル質量 | 28.966 g/mol |
熱膨張率(100 ℃ 1 atm) | 0.003671 /K [注 1] |
常温、常圧の空気はほぼ理想気体として振る舞い、t [℃]における空気の密度ρ [kg/m3]は、大気圧をP [atm]、水蒸気圧をe [atm]とすると、
と表せる[5]。
また、セ氏0度、1気圧の乾燥空気における音速は331.45 m/s[6]、セ氏15度では約340 m/sである。
1気圧における近似的な値だが、乾燥空気の熱伝導率はセ氏0度 - 25度の間で約0.024 W・m-1・K-1 とほとんど変わらない[7][8][9]。
また、1気圧の乾燥空気の電気伝導率(導電率)はエアロゾルの量により大きく変わり、2.9×10−15(エアロゾル濃) - 7.88×10−15(エアロゾル薄) Ω-1・m-1(または S/m)程度であるという研究報告がある[10]。
地球の大気は窒素、酸素のほか多数の微量成分で構成される。1cm^3あたり3×10^19個の分子が含まれる。[11]以下に国際標準大気(1975)[12]における、海面付近(1気圧)の、エアロゾル等の微粒子を除いた清浄な乾燥空気の組成を解説する。
(*)を付けた成分は、呼吸や光合成などの生物の活動、車や工場の排気ガスなどの産業活動、空気中で起こる光化学反応に伴う合成・分解により、場所により大きく変動する。
実際の空気中で最も変動するのは水蒸気であり、最大で4%程度、低いときは0%近くまで低下する。全球地表平均では約0.4%となる(下表には含まない)。
(+)をつけた成分は、人為的に排出される成分であり、濃度が近年著しく変化しているものである。主に産業革命以降完全に人為的に排出されて大気中に残存した成分と、もともと自然界で排出されていたが産業革命以降人為的に大量に排出されて濃度が高まった成分とがある。
数値の右の(>)は、その値が通常の空気における最大値であることを示す。「1ppm>」であれば、最大1ppm、通常はそれ以下であることを意味している。
成分 | 化学式 | 体積比 割合(vol%) | ppm | ppb | 備考 |
窒素 | N2 | 78.084 | 780,840 | - | [12] |
酸素 | O2 | 20.9476 | 209,476 | - | [12] |
アルゴン | Ar | 00.934 | 009,340 | - | [12] |
二酸化炭素 | CO2 | 00.0390 | 000,390 | - | +*2011年の値[13][12][注 2] |
ネオン | Ne | 00.001818 | 000,018.18 | - | [12] |
ヘリウム | He | 00.000524 | 000,005.24 | - | [12] |
メタン | CH4 | 00.000181 | 000,001.81 | 1813±2 | +2011年の値[13][12][注 3] |
クリプトン | Kr | 00.000114 | 000,001.14 | - | [12] |
二酸化硫黄 | SO2 | 00.0001> | 000,001> | - | *[12] |
水素 | H2 | 00.00005 | 000,000.5 | - | [12] |
一酸化二窒素 | N2O | 00.000032 | 000,000.32 | 0324.2±0.1 | +*2011年の値[13][12][注 4] |
キセノン | Xe | 00.0000087 | 000,000.087 | 0087 | [12] |
オゾン | O3 | 00.000007> | 000,000.07> | 0070> | *[注 5][12] |
二酸化窒素 | NO2 | 00.000002> | 000,000.02> | 0020> | *[12] |
ヨウ素 | I2 | 00.000001> | 000,000.01> | 0010> | *[12] |
成分 | 化学式 | 体積比割合(vol%) | ppm | ppb | ppt | 備考 |
クロロメタン | CH3Cl | 約0.000000055 | - | 0.55 | 約550 | +* 2008年の値[14] |
ジクロロジフルオロメタン(CFC-12) | CCl2F2 | - | - | - | 約540 | + 2008年の値[14] |
トリクロロフルオロメタン(CFC-11) | CCl3F | - | - | - | 約245 | + 2008年の値[14] |
クロロジフルオロメタン(HCFC-22) | CHClF2 | - | - | - | 約200 | + 2008年の値[14] |
一酸化炭素 | CO | - | - | - | 約91 | +* 2008年の値[15] |
四塩化炭素 | CCl4 | - | - | - | 約90 | + 2008年の値[14] |
トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113) | C2Cl3F3 | - | - | - | 約75 | + 2008年の値[14] |
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a) | C2H2F4 | - | - | - | 約50 | + 2008年の値[14] |
1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b) | CClF2CH3 | - | - | - | 約20 | + 2008年の値[14] |
1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b) | CCl2FCH3 | - | - | - | 約20 | + 2008年の値[14] |
1,1,1-トリクロロエタン | CH3CCl3 | - | - | - | 約10 | + 2008年の値[14] |
1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a) | C2H4F2 | - | - | - | 約4-9 | + 2008年の値[14] |
六フッ化硫黄 | SF6 | - | - | - | 約6.5 | + 2008年の値[14] |
ブロモクロロジフルオロメタン(ハロン1211) | CClBrF2 | - | - | - | 約4 | + 2008年の値[14] |
ブロモトリフルオロメタン(ハロン1301) | CBrF3 | - | - | - | 約3 | + 2008年の値[14] |
アンモニア | NH3 | 痕跡量*[要出典] | - | - | - |
産業用として圧縮空気はさまざまな場面で利用される。圧縮空気を原動力として用いる機械を空圧機械というが、圧縮機を用いたり使用者が手動で行ったりといくつかの方式がある。
また純粋な空気の利用では、ボンベ等に充填した圧縮空気、低温下で液化させた液体空気も製造される。常圧ではおよそ-190℃で液化し、液体酸素の影響から液体の空気は淡い青味を帯びた色をしている[16]。ボンベに充填する空気は一般的に、水蒸気や微粒子成分を取り除いた乾燥空気である。
スキューバ・ダイビングで使用するタンクには圧縮空気が充填されているが、50m程度まで潜水する場合は、窒素酔いを避けるため、窒素分をヘリウムと置換した空気を用いる。
また、窒素、酸素、二酸化炭素のほか、アルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどの大気中に含まれる成分は、空気を利用して冷却・圧縮、化学吸着、膜分離等の方法で産業用に製造されるものがある。
古代ギリシャではすでに、空気は4つの元素(四大元素)の1つとされた(四元素説)。この考え方は中世ヨーロッパにも継承された。近代的な元素の概念が生まれた後も、相当期間、空気は元素の1つと考えられていた。空気とは性質が異なるさまざまな気体が発見されたが、それらは空気の化合物か混合物だと考えられた。
18世紀になると、アントワーヌ・ラヴォアジエが、空気が酸素と窒素の混合物であることを示し、空気を元素とは考えなくなった。
我々は空気に依存し、空気の中で生活しているが、日常生活の中でそれを意識することはあまりない。同様に生活に欠かせない水がその手応えや感触から、普段からはっきり意識されるのとは好対照である。
ただし空気は、それに流れがある時には意識される傾向があり、「風」と呼ばれるようになる[注 6]。
また、その成分については、閉め切った部屋、(洞窟の中など)換気が不十分な場所など(現在の観念で言えば、酸素が不十分だったり、余計なガスが混じった状態)では意識されていて、古くから「腐った空気」「空気が腐る」といった表現がされてきた。また、香りや臭いが漂ったり、化学物質により刺激を感じるような場合も意識されるようになる。
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