- 英
- artificial insemination, artificial fertilization
- 同
- 子宮内授精 intrauterine insemination IUI
- 関
- 体外受精
分類
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/04 16:47:19」(JST)
[Wiki ja表示]
人工授精(じんこうじゅせい)とは、生殖医療技術の一つで、人為的に精液を生殖器に注入することによって妊娠を実現することを目的とした技術のことである。 本項では、類似技術である体外受精・顕微授精についても網羅的に説明した。 人間の生殖医療(不妊治療)、家畜の生産や育種(→種付け)、養殖漁業、希少動物の種の保存(日本でもアムールトラ、オランウータン、ハンドウイルカ、シャチなどで研究が行われている)などの目的で行われる。なお、家畜については250年程度の歴史がある。 植物においては、人工授精に相当する行為を人工授粉(じんこうじゅふん)。体外受精に相当する行為を試験管内受粉(しけんかんないじゅふん)などと呼ぶ。 これらは実生性野菜や果実の生産、育種(自家不和合性を回避する)などの目的で行われる。
目次
- 1 ヒトにおける適用
- 2 体外受精
- 3 「授精」と「受精」
- 4 歴史(人間における適用)
- 5 問題点
- 6 脚注
- 7 参考文献
- 8 関連項目
ヒトにおける適用
精子の運動性や数に問題があり妊娠に困難がある場合、性交障害(インポテンツ)がある場合、女性生殖器の狭窄などによって精子の通過性に問題がある場合などに行われる。 手法として、精子を注射器のような器具を用いて子宮内に注入することによって行われる。かつては採取した精液をそのまま注入していたが、現在では精液を遠心分離などによって精製し、活性の高い精子を選別するなどして効率向上と副作用(精液中に存在するプロスタグランジンの影響などによる発熱等)の低減を図っている。このとき、卵細胞の活性化や(子宮内膜の状態を調整するため)黄体ホルモンの投与などが行われる。排卵誘発剤の投与も検討されるが、これは後に述べる多胎のリスクを増加させる問題もある。 精子の提供者について配偶者間人工授精(AIH:Artificial Insemination by Husband)・非配偶者間人工授精(AID:Artificial Insemination by Donor)に区別される。 日本では非配偶者間人工授精は、1948年に慶應大学病院で始まり、これまでに数千〜1万人以上生まれたと見られている。海外では精子の仲介をするビジネスが盛んである一方、そういった企業や医療機関を介在しない非配偶者間人工授精も、珍しくない。例えばアメリカでは、家庭で容易に精子の採取が出来るキット(精子の運動性を阻害しないような材質が使用されている)や、家庭で女性一人で人工授精できる専用のキット(Zavos Home Insemination Device)が17ドル程度で販売されている。
体外受精
排卵誘発剤や外科的手法などによって所得した卵子を体外で精子と接触させ人為的に受精を行ったのち、培養した胚(受精卵)を子宮内などに戻して妊娠を図る手法である。通例、精巣中に精子が存在しても精液中に精子が存在しない場合・卵管の傷害によって卵子の通過が行えない場合など、人工授精によって妊娠に至れないほどの障害がある場合に適用される。この手法のことを、「試験管内受精」「IVF(in vitro fertilization)」と呼ぶことがある。また、卵子に直接精子(もしくは精核)を注入して受精を行わせ、受精卵を得る方法を特に顕微授精と呼ぶ。非常に精子の活性や数が低い場合に行われる。
「授精」と「受精」
- 授精(insemination)とは、精液を人為的な手法によって(哺乳類の場合は)体内にかけて生殖の便宜を図ること。
- 受精(fertilization)とは、精子と卵子が結合すること(これについては論議があり、核の結合をもって受精とみなすとの考えもある)を指す。
「人工受精」との語は、一般に人工授精や体外受精を示す総称として使われているが、「じんこうじゅせい」の読みが誤認を招きやすいため専門業界ではあまり使用されない。
歴史(人間における適用)
- 1776年、ジョン・ハンターが英国で初めて成功。日本では1949年に初めて成功。現在日本では、1年あたり約1万人の新生児が人工授精または人工受精技術により生まれているとされる。
- 1978年、英国で初めて成功(ルイーズ・ブラウン)。日本では1983年に初めて成功。
- 1989年、シンガポールで初めて成功。日本では1992年に初めて成功。
問題点
生命倫理的側面
|
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2010年1月) |
|
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証し出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2015年2月) |
|
この節は言葉を濁した曖昧な記述になっています。
Wikipedia:言葉を濁さないを参考に修正してください。(2015年2月) |
- 不妊の原因となる遺伝子を除かずに子供を得ることは自然の摂理に反し、問題の先延ばしでしかないという批判がある[誰?]。また、性交渉は子供を得るためのみに認めるとする宗教からは、人工授精などによって子供を得ることは教義の逸脱で認められないという批判もある。
- 高度生殖補助医療 (ART)は生命の操作であるとの批判もあるが、この治療によっても妊娠・出産に至る患者は一周期あたり約3割で、残りの7割は妊娠・出産に至ることはできない。高度生殖補助医療は確率を上げる治療であって、最終的に妊娠・出産に至るか否かは自然界の摂理に委ねられる。
- また、非配偶者間人工授精などは家庭関係を複雑化させ、ひいては社会を不安定化させるといった批判がある。(→代理母出産を参照) その一方で、子供を望むのは人間として当然の権利であるという主張がされ、人工授精は少子化対策に有効であるという主張もある。
- 体外受精については、子宮内に戻す胚の数は多胎による母子への負担(最悪、母子共に死に至る)を避けるため、一般的に1-3個程度に限定されている。日本産科婦人科学会は2008年2月、「原則1個とし、35歳以上、または2回以上続けて妊娠できなかった女性などは、2個戻すことを許容する」[1]との指針案を示した。
- このとき、より多くの受精卵が得られた場合には冷凍保存または破棄することとなるが、受精卵や胚を「一つの生命」とみる立場からは、生命の選別や安易な廃棄は実質的な殺人であり、倫理的に許されないなどという批判も多い。
- 胚性幹細胞(ES細胞)の樹立(作出)に胚を用いることも可能だが、人間の胚を実験に供することには強い批判がある。
- こうした問題については、生命倫理学で取り扱われていることが多い。
費用的側面
- 人工授精の場合、1回につき数万円。体外受精の場合は1回につき数十万円の費用がかかるとされる。
- 2007年現在、日本では人工授精は健康保険の対象とならない。(但し地方自治体などによる公的補助が一部で行われている。また、体外受精などは「特定不妊治療」として補助が行われているが、国や自治体の一部負担に留まる) なお、EU諸国では北欧地方を中心に公的補助の対象とされている。
脚注
- ^ 産科婦人科学会:多胎妊娠防止で、受精卵取り扱い改定案毎日新聞 2008年2月23日 19時33分
参考文献
- 由井 秀樹「日本初の人工授精成功例に関する歴史的検討 : 医師の言説を中心に」、『Core ethics : コア・エシックス』第8巻、立命館大学、2012年、 423-432頁、 NAID 110009428294。
関連項目
- 性科学
- 生殖医療
- 代理母出産
- 高齢出産
- 不妊
- デザイナーベビー
- 産み分け
- 精子バンク
- 精子提供
- 死後懐胎子
- Known sperm donors 精子提供ボランティア
- 胚培養士
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 総目次(通巻281号~284号)平成26年4月号~平成27年1月号
- 事業団便り 2014年検定済種雄牛生産者へ感謝状を贈呈
- 海外情報 米国におけるゲノミック評価(選抜)を利用した乳牛改良の状況(4)
Related Links
- 人工授精(AIH、AID)を選択するケース、メリット、デメリット、方法、タイミング、副作用、合併症、成功率を上げる方法など、人工授精に関する基礎知識をまとめました。体外受精との違いについても、併せて解説します。
- 人工授精のリスクや費用・金額、着床の成功確率をあげるタイミング、行い方(精子濃度の高い精子を分離する方法など)、また体内受精から体外受精を行うまでの流れなどご説明致します。
- 人工授精の掲示板のトピックス一覧の1。情報交換・相談等にご利用ください。 ... 人工授精後~生理前の症状 (1) ラーレ はじめまして。妊活歴1年3か月、30代です。今月初めて人工授精を行い、その直後から赤・茶色の出血(ナプキンが ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 37歳の女性。3年間の不妊を主訴として来院した。月経周期は30日型、整で月経持続日数は5日である。基礎体温は2相性で、高温持続日数は14日前後である。子宮は正常大で、両側付属器は触知しない。夫の精液所見は正常で、性交後試験で子宮腔内に運動精子を認めた。子宮卵管造影写真と24時間後の骨盤部エックス線単純写真とを以下に示す。
- この患者に適切な治療法はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097I049]←[国試_097]→[098A001]
[★]
- 男性不妊症の原因と対応の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110A010]←[国試_110]→[110A012]
[★]
- 英
- intrauterine insemination, IUI
- 関
- 人工授精
[★]
- 関
- artificial insemination
[★]
- 英
- artificial insemination by donor, artificial insemination with donor's semen AID, heterologous insemination
- 関
- 人工授精
[★]
- 英
- artificial insemination with husband's semen AIH, homologous insemination
- 関
- 人工授精
- 同
- AIH
[★]
- 英
- insemination、inseminate
- 関
- 媒精、精子注入。受精
[★]
- 英
- artificial
- 関
- 人為的、人工的