クレアチンキナーゼ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/06/23 14:21:39」(JST)
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creatine kinase MM, dimer, Human.
クレアチンキナーゼ(Creatine Kinase、CK)、CPK(クレアチンホスホキナーゼ、Creatine PhosphoKinase)は、動物が持つ酵素で、筋肉の収縮の際にエネルギー代謝に関与している。EC番号2.7.3.2。
働きは、クレアチンとATPからクレアチンリン酸とADPが生成する反応の媒介である。骨格筋や心筋など、興奮性を持つ細胞に分布している。
臨床検査
CKは骨格筋・心筋が障害を受けた際に血液中へ流出する逸脱酵素として臨床上重要である。
心筋梗塞、筋炎、筋ジストロフィーなど心筋障害・筋疾患で血中濃度が上昇する。ただし、激しい運動などでも筋線維が壊れるためCKの上昇がみられることがある。
単位はIU(国際単位)/L。正常値は男性の方が高く(筋肉量の違いによる)、男性で30〜190 IU/L、女性で20〜150 IU/L程度とされている。
アイソザイム
CKは二つのサブユニットからなる二量体の蛋白質である。このサブユニットには2種類あり(B:脳型、M:筋型)、この組み合わせによって3種類のCK(MM、BB、MB)がアイソザイムとして存在する。骨格筋にはMM型、心筋にはMB型が多いため、原因不明のCK上昇ではこのアイソザイム比率を分析することで有意義な所見を得られることがある。また、急性心筋梗塞が疑われる際にはCK-MBの測定が診断の裏付け、および重症度の指標となる。
心筋梗塞の発症後、CK値が上昇するには若干のタイムラグがある(数時間後から上昇)。急性期の対応では、確定診断のためにはCK-MBよりも早く上昇し、やはり特異性の高いトロポニンT値が重視される。
CK-MBでも骨格筋由来が正常でも5%程度認められることが知られている。そのためCK上昇時には比率を調べる必要がある。また骨格筋からも筋再生時にはCK-MBが産出されることが知られている。この場合はトロボニンTなども同様に産出される。特に皮膚筋炎、多発性筋炎の活動期にはCKの25%がCK-MBとなることもある。上記疾患の合併症に心筋炎が認められることもあるため心臓超音波検査の併用が必要である。
マクロクレアチンキナーゼ血症
免疫グロブリンとクレアチンキナーゼが結合し、検査上高値となる症候があり、マクロクレアチンキナーゼ血症(マクロCK血症)と呼ばれる。ほとんどは疾患を意味するものではないが、時に悪性腫瘍や膠原病によるマクロCK血症もあり、注意を要する。
ホスホトランスフェラーゼ/キナーゼ (EC 2.7) |
---|
2.7.1 - OH アクセプター |
ヘキソ- - グルコ- - フルクト- - ガラクト- - ホスホフルクト- - チミジン - NAD+- - グリセロール- - パントテン酸- - メバロン酸- - ピルビン酸- - デオキシシチジン- - PFP - ジアシルグリセロール- - ブルトンチロシン - ホスホイノシチド-3 - スフィンゴシン | 2.7.2 - COOH アクセプター | | 2.7.3 - N アクセプター |
クレアチン | 2.7.4 - PO4 アクセプター |
ホスホメバロン酸 - アデニル酸 - ヌクレオシド二リン酸 | 2.7.6 - P2O7トランスフェラーゼ |
リボースリン酸ジホスホキナーゼ - チアミンピロホスホキナーゼ | 2.7.7 - ヌクレオチジル- |
インテグラーゼ - PNPアーゼ - ポリメラーゼ - RNアーゼ PH - UDP-グルコースピロホスホリラーゼ - ガラクトース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ -ターミナルトランスフェラーゼ - RNAレプリカーゼ - リバーストランスクリプターゼ (テロメラーゼ) - トランスポザーゼ | 2.7.8 - 他のリン酸基 |
N-アセチルグルコサミン-1-リン酸トランスフェラーゼ | 2.7.10-11 - プロテイン | |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 低マグネシウム下テオフィリンによる心筋弛緩障害と新規ベンゾチアゼピン誘導体K201の改善作用に関する実験的研究
- 景山 倫也
- Dokkyo journal of medical sciences 37(1), T27-T36, 2010-03-25
- 左室弛緩, 拡張障害の発生機序については不明な点が少なくない. 本研究では筋小胞体におけるCa2+放出を促すメチルキサンチン誘導体テオフィリンを低マグネシウム下で投与し左室拡張,弛緩機能に及ぼす影響を検討した.6週齢ラットに低マグネシウム食(低マグネシウム群)または標準食(対照群)を1 ヶ月間飼育,テオフィリン5 mg/kg/分を15分間投与し,心拍数,左室収縮期圧(左室圧),ダブルプロダクト,左 …
- NAID 110007616243
- 低マグネシウム下のカフェイン誘発性左室拡張障害の発生に関する実験的検討
- 那須野 尚久
- Dokkyo journal of medical sciences 36(1), T35-T43, 2009-03-25
- 低マグネシウム下でのカフェインの左室血行動態に対する影響をラットを用い検討した. また,Ca2+結合蛋白質アネキシンVの細胞内の変化を検討した.6週齢ラットに低マグネシウム食(低マグネシウム群;n=6)または標準食(対照群;n=6)を1 ヶ月間与え,その後,カフェイン5 mg/kg/分を10分間静脈内投与し,心拍数,左室収縮期圧,左室拡張期最小圧,左室拡張末期圧,+dP/dt,−dP/ …
- NAID 110007614379
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- creatine kinase CK
- 同
- クレアチンホスホキナーゼ creatine phosphokinase CPK, phosphokinase
- 関
- クレアチン
基準値
測定原理
- Oliver-Rosalki法
- クレアチンキナーゼの逆反応により生じたATPをNADPHの340nmにおける吸光度増加として測定する初速度測定法 (臨床検査法提要第32版 p.605)
- ATP + glucose ←(ヘキソキナーゼ)→glucose-6-phosphate + ADP
- glucose-6-phosphate + NADP+ ←(G-6-PD)→ 6-phosphogluconate + NADPH + H+
[★]
- 英
- serum creatine phosphokinase
[★]
- 英
- creatine (K)
- 同
- メチルグリコシアミン methylglycocyamine
- 関
- クレアチニン、尿クレアチン
意義
- 肝臓で産生され、脳や筋肉内でATPのリザーバーとして機能する。組織中で再利用されており、不要となったものはクレアチニンに変換され末梢血に出現する。従ってクレアチンの尿中への排出はほとんどないが、筋疾患など存在する場合には、崩壊した筋からの(大量の?)クレアチンが尿中に排出される。よって、尿クレアチンは筋崩壊の指標となる、と思う。
検査
検体
[★]
- 英
- kinase
- 同
- カイネース、リン酸化酵素 phosphoenzyme phosphotransferase
[★]
- 英
- phospho
- 関
- フォスフォ、ホスフォ、リン酸