出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/03/21 10:03:25」(JST)
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足白癬(あしはくせん)は、白癬菌(はくせんきん)が足の指や足の裏など皮膚の角質やその下の皮下組織を侵食する事によって炎症などが起きる感染症で、一般には水虫(みずむし)という通称で知られる。また、足白癬には足の裏の角質が肥厚して硬くなる角化型白癬(かくかがたはくせん)と、水疱や皮膚剥離(薄く皮が剥ける)が発生し、発赤や痛痒感などを伴う汗疱状白癬(かんぽうじょうはくせん)の2種類が存在する。
白癬菌は角質内部へ侵食し定住する。この領域では白血球による駆逐も不可能である。また皮膚の新陳代謝以上のスピードで侵食するため、自然治癒は期待できない。
足白癬は、長らく通気の悪い革靴を長時間履いたままになりやすいサラリーマン男性に多かったため、社会的には成人男性の病気という風に理解されている面があるが、性別などは全く関係なく、女性でもブーツなど通気性の悪い靴を履くと感染しやすくなる。 また白癬菌自体は自然界に多く存在する真菌(カビ)である。至近に対策を行っていない感染者がいれば感染しうる機会は多くなるが、感染しやすさはあくまで湿度や足などの環境に大きく影響される。
足白癬(水虫)のような症状を引き起こす感染症として、他にも田虫(たむし)、陰金(いんきん)、白雲(しらくも)があるが、これらは全て同じ白癬菌の感染によって炎症や水泡等の症状が引き起こされたものであり、感染部位によって異なる呼称が使い分けられているだけである。皮膚(掌、足、頭、太股の内側、陰部を除く)に感染すると「田虫」となり、太股の内側や陰部に感染すると「陰金」となり、頭に感染すると「白雲」となる(白雲は特に子供に起こりやすい)。上記以外の場所に感染した場合のものは、体部白癬(たいぶはくせん)と呼ばれる。
治療法は、主に抗真菌薬の内服・外用である。薬局やドラッグストアでも一般用医薬品の水虫薬が販売されているが、爪白癬のように皮膚科・内科等専門医の治療を必要とする場合もある。
以下では、足白癬を適応として謳っている医者の処方が必要な処方薬を基準名(日本薬局方)または一般的名称にていくつか列挙する。
以下では、薬局で購入可能で足白癬(水虫)を効能として謳っている医薬品をいくつか列挙する。
製品名 | 主な有効成分 |
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アスター軟膏 (丹平製薬) |
チアントール、イオウ、サリチル酸 |
オロナインH軟膏 (大塚製薬工場) |
クロルヘキシジン |
ブテナロック (久光製薬) |
ブテナフィン、グリチルレチン酸 |
マセトローション (湧永製薬) |
ウンデシレン酸 |
ラミシール (ノバルティスファーマ) |
テルビナフィン、クロタミトン、グリチルレチン酸 |
フットガンコーワ (興和) |
ラノコナゾール、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロタミトン |
予防は、水虫既感染者との特に足周りの直接・間接接触を避け、感染しうる機会を減らし、足を清潔に保ち長時間高湿度にならないようにすればよい。靴下をよく取り替え、通気性の良い靴にするなども足の湿度を下げることに効果がある。最近では五本指靴下があるので、それを履くことも予防に繋がる。足を清潔に保つことは、白癬菌が定住している垢が長時間付着することを防ぐことになる。既感染者が足拭きマットの共用を避ける、足を清潔に保ち垢の落下を防ぐなど、他者と接触させないようにするとともに、しっかりとした治療を行うことが、他者への感染を防止する。
民間療法に関しては統計的調査や検証が行われたものがほとんど見つからず、効果がどのくらいなのかや副作用にどのようなものがあるのかなど不明なものが多い。
民間療法として、食酢を使用するものが存在する。[1][2] 食酢を水で半分ほど希釈し、傷口に付けておく。これを毎日繰り返す。そうすると水虫の成長に必要な最適なpH状況が無くなり、数日間で治るとされる[3]。
硫黄は古くからさまざまな皮膚病に適用されてきた歴史を持つ。[4] 現在でもフケやニキビなどいくつかの皮膚病などに使用されることがあり、硫黄の入ったシャンプーや入浴剤、クリーム、石鹸などが国内外で販売されている。 民間療法としては、硫黄粉を擦り込む方法や硫黄含有液を塗布・湿布・漬け置きするなどの方法が取られている。 硫黄には角質の軟化・溶解作用があり、[5] 日本薬局方の「イオウ」の適応には頭部浅在性白癬が含まれ薬効薬理には抗菌作用および角質軟化作用とある。一部の温泉でも水虫を効能としてうたうところがある。 また入浴剤に配合することで水虫の効能を謳えるようになるようである。[6] 作用機序としては、硫黄と皮膚との反応により生成する硫化水素などにより抗菌作用や角質軟化作用が生じると考えられている。[7] 副作用としては、皮膚への刺激や発赤、皮膚炎などがある。[8][9] 濃度の高いものや長期間使用する場合には十分な注意が必要となる。 なお、硫黄は一部の金属に対して腐食作用があるので取り扱いには注意が必要である。
ニンニクを利用した民間療法も存在する。[10][11] 生のニンニクをすりおろしたものやガーリックオイルを患部へ適用する。経口投与を同時にする人もいる。ニンニク内のアリインからアリナーゼにより生成するアリシンがニンニク療法の有効成分と考えられている。なお、ニンニク適用ではまれに副作用がいくつか報告されている。ニンニク#悪影響も参照すると良い。
海外ではティーツリーオイルが使われることがある。症状改善には役立つが治癒率は3割と芳しくないとする報告[12] と、6割そこそこの治癒率があったとする報告[13] とがある。
重曹を利用する民間療法も存在する。[11]
白癬菌は熱に弱い(60度の温度で1秒間でほぼ死滅すると言われている)[要出典]ため、ストーブや火気に患部を近づける、お湯をかけるなどの民間療法が存在するが、熱傷の危険もある。また溶けた熱い蝋をローソクで患部に垂らしたり患部に塗布しても効果があるとする体験談もある。作家の安部譲二は刑務所に服役中重症の水虫に苦しめられたが、服役仲間に教えられて一日二回熱い蝋を患部に垂らし、10日ほどで完治した体験を記録している[14]。
漂白剤を薄めて足を浸すものである。漂白剤には次亜塩素酸ナトリウムが入っており、 食中毒などの感染菌あるいはウィルスの殺菌に使用する目的で医療機関や食品関係などで使用されている。 真菌に対する消毒作用があるが、皮膚の奥深くに潜む真菌まで除菌できるかは不明である。
なお水酸化ナトリウムによりアルカリ性に調整されている場合、肌を痛めることが考えられる。 その他、亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素などを含む薬剤を使うこともある。 Dakin's solutionも同様なものであるが、次亜塩素酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム(ベーキングパウダー)を用いる。これは第一次世界大戦第二次世界大戦にて傷の処置や水虫などに使われていた。
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リンク元 | 「自家感作性皮膚炎」「水虫」「足部白癬」「アスリートフット」 |
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