- 英
- hydrobromic acid、hydrobromide、hydrogen bromide
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臭化水素 |
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|
|
PubChem |
260 |
識別情報 |
CAS登録番号 |
10035-10-6 |
特性 |
化学式 |
HBr |
モル質量 |
80.912 g/mol |
外観 |
無色透明の気体 |
密度 |
3.307g/L,気体 |
融点 |
–86.80℃(186.35K)
|
沸点 |
–66.38℃(206.77K)
|
水への溶解度 |
193g/100 ml (20℃) |
酸解離定数 pKa |
≈ –9 |
構造 |
分子の形 |
直線形 |
双極子モーメント |
0.82D |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
−36.40 kJ mol−1 |
標準モルエントロピー So |
198.695 J mol−1K−1 |
標準定圧モル比熱, Cpo |
29.142 J mol−1K−1 |
危険性 |
MSDS |
hydrobromic acid
hydrogen bromide |
主な危険性 |
毒性、腐食性 |
NFPA 704 |
|
関連する物質 |
その他の陰イオン |
フッ化水素
塩化水素
ヨウ化水素 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
臭化水素(しゅうかすいそ、Hydrogen bromide)とはハロゲン化水素のひとつで、水素と臭素の化合物。化学式は HBr。標準状態では無色の刺激臭を持つ気体だが、液化させることもできる。水溶液は強酸の臭化水素酸である。臭化水素酸に脱水剤を加えると臭化水素を遊離させることができる。
目次
- 1 用途
- 2 合成法
- 3 臭化水素酸
- 4 参考文献
- 5 関連項目
用途
用途は多岐にわたる。例えばアルコールからブロモアルカンを作るのに利用される。
- ROH + HBr → R+OH2 + Br− → RBr + H2O
アルケンに付加してブロモアルカンを与える。
- RCH=CH2 + HBr → RCH(Br)CH3
アルキンに付加させるとブロモアルケンが生成する。この付加反応の立体化学は通常アンチ型である。
- RC≡CH + HBr → RC(Br)=CH2
ハロアルケンへの付加では gem-ジハロアルカンが得られる。反応はマルコフニコフ則に従う。
- RC(Br)=CH2 + HBr → RC(Br2)CH3
エポキシドやラクトンの開環やブロモアセタールの合成にも用いられる。また、多くの有機反応で触媒として用いられる[1][2][3][4]。
合成法
実験室規模
多くの合成法が知られている。簡便な方法として硫酸と臭化ナトリウムの反応が挙げられる[5]。
- NaBr + H2SO4 → NaHSO4 + HBr (g)
他にはテトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)の臭素化[5]、
- C10H12 + 4Br2 → C10H8Br4 + 4 HBr
白金触媒存在下での精製した水素ガスと臭素の反応[5]、
- Br2 + H2 → 2 HBr
亜リン酸による臭素の還元[2]
- Br2 + H3PO3 + H2O → H3PO4 + 2 HBr
がある。
無水の臭化水素は、小スケール(10ミリモルから1モル)ではトリフェニルホスホニウムブロミド (Ph3PH+Br−) をキシレン中で加熱還流して熱分解することによって得られる[1]。
上記の方法で合成された臭化水素は不純物として Br2 を含むことがあるが、これは削り状の銅またはフェノール上を通過させることによって取り除くことができる。[6]
工業規模
工業的に主要な化合物である塩化水素や塩酸と異なり、臭化水素や臭化水素酸の製造規模は小さい。初期の製造法は 200–400 ℃ 程度の高温で水素と臭素を反応させるものであった。この反応は通常白金やアスベストで触媒される[2][6]。
臭化水素酸
臭化水素は他のハロゲン化水素と同様に極めて水に溶解しやすく、水溶液は臭化水素酸と呼ばれ、47.63%のものは沸点124.3℃の共沸混合物である。市販品は共沸混合物に近い48%(d=1.48g cm−3, 8.8mol dm−3)程度のものが一般的であり医薬用外劇物の指定を受ける。
水に対する溶解熱は極めて大きくハロゲン化水素の中で最大である[7]。
- ,
塩酸に類似の性質をもつ強い1価の酸であるが、やや酸化され易く空気により酸化を受けたり、光により分解し臭素を遊離し黄色味を帯びることがある。
水溶液中における酸解離定数の直接的な測定は不可能であるが、熱力学的なサイクルによりpKa=−9と推定されている[8]。
参考文献
- ^ a b Hercouet, A.; LeCorre, M. (1988). "Triphenylphosphonium bromide: A convenient and quantitative source of gaseous hydrogen bromide". Synthesis, 157-158. doi:10.1055/s-1988-27502
- ^ a b c Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements; Butterworth-Heineman: Oxford, Great Britain; pp. 809–812.
- ^ Carlin, W. W. US Patent 4,147,601, April 3, 1979.
- ^ Vollhardt, K. P. C.; Schore, N. E. (2003). Organic Chemistry: Structure and Function; 4th Ed.; W. H. Freeman and Company: New York, NY.
- ^ a b c WebElements: Hydrogen Bromide, URL http://www.webelements.com/webelements/compounds/text/H/Br1H1-10035106.html
- ^ a b Ruhoff, J. R.; Burnett, R. E.; Reid, E. E. "Hydrogen Bromide (Anhydrous)". Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.338 (1943); Vol. 15, p.35 (1935). リンク
- ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
- ^ FA コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年,原書:F. ALBERT COTTON and GEOFFREY WILKINSON, Cotton and Wilkinson ADVANCED INORGANIC CHEMISTRY A COMPREHENSIVE TEXT Fourth Edition, INTERSCIENCE, 1980.
関連項目
水素の化合物 |
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二元化合物 |
AlH3 · AsH3 · BH3 · B2H6 · CaH2 · CH4 · GaH3 · GeH4 · HAt · HBr · HCl · HF · HI · HN3 · H2O · H2O2 · H2O3 · H2S · H2S2 · H2Se · KH · NaH · NH3 · PH3 · SiH4
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多元化合物 |
H3AsO4 · H5As3O10 · HAuCl4 · HBF4 · HBiO3 · HBO2 · H3BO3 · HBrO · HBrO2 · HBrO3 · HBrO4 · HClO · HClO2 · HClO3 · HClO4 · HClO5 · HCN · H2CrO4 · H2Cr2O7 · H2CO3 · H2CO4 · H2CS3 · H[CuCl2] · H2[CuCl4] · HFO · HIO · HIO3 · HIO4 · H5IO6 · HMnO4 · H2MoO4 · HNC · HNCO · HNO2 · HNO3 · HNO4 · H2N2O2 · HOCN · HCNO · HPH2O2 · H2PHO3 · H3PO3 · H3PO4 · H3PO5 · H4P2O7 · H4P2O8 · H5P3O10 · H2[PtCl4] · H2[PtCl6] · HReO4 · HRuO4 · H2RuO4 · H2SeO3 · H2SeO4 · H2SeO5 · H2SiF6 · H2SiO3 · H4SiO4 · H2Si2O5 · HSNC · HSCN · H2SO4 · H2SO5 · H2S2O3 · H2S2O4 · H2S2O6 · H2S2O7 · H2S2O8 · HTcO4 · H2TeO3 · H6TeO6 · HVO3 · H3VO4 · H4V2O7 · H2WO4 · H2XeO4
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Japanese Journal
- ドネペジル治療で効果不十分であったアルツハイマー型認知症に対するガランタミン臭化水素酸塩の有効性および安全性の検討 : 製造販売後臨床試験の成績
- 新規選択的DPP-4阻害薬テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア®錠)の薬理学的特長と臨床効果
- 合田 真貴,赤星 文彦,石井 伸一 [他],寺田 龍司,林 義治
- 日本薬理学雑誌 142(3), 134-143, 2013
- … テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア®錠)は,dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)を選択的に阻害し血糖値を低下させる本邦で新規に開発された2型糖尿病治療薬である.テネリグリプチンは連続した5つの環を構造上の特徴とする薬剤で,その各々の構造がDPP-4活性部位の複数のアミノ酸に結合・作用して,強い酵素阻害活性を発揮する.非臨床薬理試験において,テネリグリプチンはヒト組換えDPP-4活性を濃度依存的 …
- NAID 130003362604
- 臨床 新薬レビュー テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物 Teneligliptin Hydrobromide Hydrate テネリア錠 田辺三菱製薬株式会社・第一三共株式会社
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
- フェノテロール臭化水素酸塩DS小児用0.5%「オーハラ」
組成
成分・含量
添加物
- 白糖、乳糖水和物、ヒプロメロース、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル
禁忌
- カテコールアミン (アドレナリン、イソプレナリン等) を投与中の患者 (「相互作用」の項参照)
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 下記疾患の気道閉塞性障害に基づく呼吸困難など諸症状の緩解
気管支喘息、喘息性気管支炎、急性気管支炎
- 通常、幼小児に対し、1日0.075g/kg (フェノテロール臭化水素酸塩として0.375mg/kg) を3回に分け、用時溶解して経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、標準投与量は、通常、
●0.5〜1歳未満
- 0.3〜0.6g (フェノテロール臭化水素酸塩として1.5〜3.0mg)
●1〜3歳未満
- 0.6〜0.9g (フェノテロール臭化水素酸塩として3.0〜4.5mg)
●3〜5歳未満
- 0.9〜1.5g (フェノテロール臭化水素酸塩として4.5〜7.5mg)
- を1日量とし、1日3回に分け、用時溶解して経口投与する。
慎重投与
〔症状を悪化させるおそれがある。〕
〔血圧が上昇することがある。〕
〔動悸、不整脈等があらわれることがある。〕
〔症状を悪化させるおそれがある。〕
(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
(頻度不明)
- β2刺激剤により重篤な血清カリウム値の低下が報告されている。また、β2刺激剤による血清カリウム値の低下作用は、キサンチン誘導体、ステロイド剤及び利尿剤の併用により増強することがあるので、重症喘息患者では特に注意すること。さらに、低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがある。このような場合には、血清カリウム値をモニターすることが望ましい。
薬効薬理
- 気管支平滑筋のβ2受容体を介して、アデニレートシクラーゼを活性化し、細胞内cAMPの産生を亢進させることにより気管支拡張作用を示す。β2受容体に対する選択性が高いため、イソプレナリン、サルブタモールに比べ、心・血管系への作用は弱い。また、肥満細胞からのヒスタミン等の化学伝達物質の遊離を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- フェノテロール臭化水素酸塩 (Fenoterol Hydrobromide)
化学名:
- (R*,R*)-1-(3, 5-dihydroxyphenyl)-2-[1-(4-hydroxybenzyl) ethylamino]ethanol hydrobromide
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臭化水素酸
- 関
- hydrobromic acid、hydrogen bromide
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臭化水素酸
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