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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/16 15:45:10」(JST)
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尿酸オキシダーゼ |
識別子 |
略号 |
UOX |
Entrez |
7377 |
HUGO |
12575 |
OMIM |
191540 |
他のデータ |
EC番号 |
1.7.3.3 |
遺伝子座 |
Chr. 1 p22 |
尿酸オキシダーゼ(urate oxidase)または尿酸酸化酵素(にょうさんさんかこうそ)は、次の化学反応を触媒する酸化還元酵素である。
- 尿酸 + O2 + H2O → 5-ヒドロキシイソ尿酸 + H2O2 (プリン代謝)
- 1,3,7-トリメチル尿酸 + O2 + 2 H2O → 3,6,8-トリメチルアラントイン + CO2 + H2O2 (カフェイン代謝)
目次
- 1 構造
- 2 ヒトでの重要性
- 3 脚注
- 4 関連項目
構造[編集]
尿酸オキシダーゼは等しい4個のサブユニットからなるホモ四量体酵素で、それぞれの接合部分に計4ヶ所の活性部位がある。Aspergillus flavusの尿酸オキシダーゼは301のアミノ酸残基からなり、その分子量は33,438Daである。酸化酵素としては珍しく、金属イオンや有機補因子を持たない。
ヒトでの重要性[編集]
尿酸オキシダーゼはバクテリアから哺乳類に至るまで広範囲で見られ、その代謝的役割はその有機体の種類に依存する。しかし、ヒトでは尿酸オキシダーゼのための遺伝子を持っているにも関わらず機能はしていない。これは霊長類のヒト上科への進化の過程における突然変異が原因とされている。ゆえに、尿酸はヒトのプリン異化の最終生成物となっている。一方で、尿酸は強力な抗酸化物質であり、尿酸オキシダーゼタンパク質発現の欠損はヒト科の動物にとって有利であったとの考え方もある[1]。
霊長類の進化は約6500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている[2]。霊長目でL-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成酵素)の活性が失われたのは約6300万年前であり、直鼻猿亜目(酵素活性なし)と曲鼻猿亜目(酵素活性あり)の分岐が起こったのとほぼ同時である。ビタミンC合成能力を失った直鼻猿亜目にはメガネザル下目や真猿下目(サル、類人猿、ヒト)を含んでいる。ビタミンC合成能力を有する曲鼻猿亜目には、キツネザルなどが含まれる[3]。
霊長類の狭鼻下目であるヒト上科がオナガザル上科から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている[4][5]。5種のヒト上科(テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ヒト)の肝臓から尿酸オキシダーゼ活性は検出されなかったが、ヒト上科以外の旧世界のサルと新世界のサルでは尿酸オキシダーゼ活性が検出された。ヒト上科の共通の祖先が旧世界のサルから分枝した際に、尿酸オキシダーゼ活性が消失したものと推定される[6]。尿酸オキシダーゼ活性の消失の意味付けは、尿酸が抗酸化物質として部分的にビタミンCの代用となるためである[7]。しかし、ヒトを含むヒト上科では、尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸をより無害なアラントインに分解できなくなっている。尿酸が体内に蓄積すると結晶化して関節に析出して痛風発作を誘発する。
脚注[編集]
- ^ Ames BN, Cathcart R, Schwiers E, Hochstein P (November 1981). “Uric acid provides an antioxidant defense in humans against oxidant- and radical-caused aging and cancer: a hypothesis”. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78 (11): 6858–62. PMC 349151. PMID 6947260. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=349151.
- ^ 高井正成 霊長類の進化とその系統樹 (霊長類の進化を探る)
- ^ Pollock JI, Mullin RJ (May 1987). “Vitamin C biosynthesis in prosimians: evidence for the anthropoid affinity of Tarsius”. Am. J. Phys. Anthropol. 73 (1): 65–70. doi:10.1002/ajpa.1330730106. PMID 3113259.
- ^ サルとヒトとの進化の分岐、定説より最近か ミシガン大 AFPBB News 2010年07月16日
- ^ Nature2010年7月15日号
- ^ Friedman TB, Polanco GE, Appold JC, Mayle JE (1985). “On the loss of uricolytic activity during primate evolution--I. Silencing of urate oxidase in a hominoid ancestor”. Comp. Biochem. Physiol., B 81 (3): 653?9. PMID 3928241.
- ^ Peter Proctor Similar Functions of Uric Acid and Ascorbate in ManSimilar Functions of Uric Acid and Ascorbate in Man Nature vol 228, 1970, p868.
関連項目[編集]
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Japanese Journal
- がん化学療法用尿酸分解酵素製剤 ラスリテック点滴静注用1.5mg,同7.5mg (新薬展望2011) -- (注目の新薬)
- がん化学療法用尿酸分解酵素製剤ラスブリカーゼ : ラスリテック^【○!R】点滴静注用
- がん化学療法用尿酸分解酵素製剤ラスブリカーゼ(ラスリテック点滴静注用)
- 大野 桂司,田原 一二
- 日本薬理学雑誌 135(6), 255-260, 2010
- ラスリテック®(一般名:ラスブリカーゼ(遺伝子組換え))は,<I>Aspergillus flavus</I>由来の尿酸オキシダーゼの遺伝子を<I>Saccharomyces cerevisiae</I>株に導入し,発現させた遺伝子組換え型尿酸オキシダーゼであり,尿酸を水溶性の高いアラントインに変換する新規作用機序を有している.本剤は欧米を含む世界5 …
- NAID 130000254278
Related Links
- 栄養・生化学辞典 尿酸オキシダーゼの用語解説 - [EC1.7.3.3].ウリカーゼ,尿酸酸化酵素ともいう.尿酸を酸化してアラントイン,過酸化水素,水を生成する酵素.ヒトにはない.1分子に1原子の銅を含み,細胞内ではペルオキシソームに ...
- 【課題】尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)タンパク質およびそれをコード化している核酸分子及び有用なその断片、該核酸分子を含んでいるベクター、該ベクターを含んでいる宿主細胞及びウリカーゼタンパク質及び核酸分子を使用し作製 ...
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★リンクテーブル★
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- 関
- 尿酸オキシダーゼ、ユリケース、尿酸分解酵素
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- 関
- uricase
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- 英
- uric acid, UA
- 同
- 2,6,8-トリヒドロキシプリン 2,6,8-trihydroxypurine
- 関
- 結石、アロプリノール、ウリカーゼ法、痛風、リンタングステン酸法
概念
物性
- 分子式:C5H4N4O3
- 溶解度:溶解度 70mg/L 水に不溶
- 構造式:
O
||
/C\ /N\
N C \
| || C=O
C C /
// \N/ \N/
O
解離定数
-NH-CO- (エノール型) ⇔ -NH-C(OH)- (ケト型) (FB.482)
ケト型の尿酸は電離しており、尿酸の電離型はpH↑で増加、pH↓で減少する。非電離型はpH↑で減少、pH↓で増加する。
物性のまとめ
- 温度が低いほど、pHが低いほど析出しやすい (GOO.706)
- → 腫瘍崩壊症候群における尿酸腎症を予防するために尿をアルカリ化して尿酸結晶の析出を防ぐし、末梢で尿酸結晶が形成されやすい。
生理作用
尿酸の合成系路
- 代謝の制御 (PPC.842)
de novo pathway
- the cellular level of PRPP is the most important determinant of de novo purine synthesis
- high de novo pathway activity increases purine turnover, resulting in higher plasma uric acid concentrations
salvage pathway
- increased salvage pathway activity leads to devrease de novo synthesis and reduced plasma uric acid level
- 1. increased scavenging activity depletes cells of PRPP, thus decreasing the rate of de novo purine synthesis
- 2. the salvage pathway leads to the generation of more ATP and GTP. Increased levels of these nucletide inhibit amidoPRT in a feedback manner, also resulting in decreasd de novo purine synthesis.
尿酸の排泄
参考1
- 4コンパートメントモデルによれば尿酸は(1)糸球体濾過の後、近位尿細管で(2)ほとんど全て再吸収され、(3)S2 segmentで50%が再分泌され、さらに(4)S3 segmentで再吸収されるという。
- 尿酸排泄に関わる運搬体:URAT1, Glut9. これらは有機酸トランスポーター(OAT)の一員である。
- 尿酸/有機酸陽イオン交換体(URAT1運搬体)は尿酸に特異的で有機酸トランスポーターとは別の運搬体である。11q13のSLC22A12遺伝子にコードされている。
- URAT1は近位尿細管管腔側の膜上に発現している。
- 乳酸、ニコチン酸、アセト酢酸、ヒドロキシ酪酸、などの有機酸が近位尿細管上皮細胞内に蓄積すると、尿細管腔から尿酸を取り入れて有機酸を排泄する。
- これが有機酸血症のときに高尿酸血症をきたす原因である。 → 飢餓(ケトン体増加)、von Gierke病(乳酸増加)のときに高尿酸血症をきたすのはこのため。
SP.807
- 近位尿細管上皮細胞の管腔側膜に尿酸を再吸収して有機酸を分泌するURAT1という交換輸送体が存在する。
- また管腔側膜にはナトリウムとアニオンを再吸収する共輸送体が存在する。
- 基底側膜には血管側から尿細管上皮細胞内にアニオンを取り込む有機アニオン輸送体 OATが存在する。
- 正常では尿酸の排泄率は10%、pyrazinoateを投与すると1%、プロベネシド(有機酸輸送の抑制薬)を投与すると50%となる。
- 上記のメカニズムが存在するため、近位尿細管でナトリウムの再吸収が亢進する状態、あるいは血液内に有機酸が豊富に存在する状況では尿細管上皮内におけるアニオンの濃度が上昇する。この結果、URAT1による有機酸の排泄、尿酸の再吸収が起こる事になる → 高尿酸血症
- 近位尿細管でのナトリウム再吸収が亢進する状態とは、利尿薬を使用した場合に起こるとされている。利尿薬の使用により組織灌流量が減少するので、RAA系の亢進あるいはNAの産生が増加し近位尿細管におけるナトリウムと水の再吸収が増加すると共に尿酸の再吸収も増加する(renal pathophysiology 3rd edition p.123)。
基準値
- 尿酸の血清尿酸値は男性より女性の方が低い。これはエストロゲンに関係する物質(estrogenic compounds)により尿酸輸送体が抑制されるためらしい。(参考1)
臨床関連
参考
- 1. [charged]Uric acid balance - uptodate [1]
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ブランステッド-ローリーの定義
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