- 英
- triose phosphate isomerase TPI
- 同
- 三炭糖リン酸イソメラーゼ
- 関
- (この酵素の構造)TIMバレル
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/08 16:04:35」(JST)
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トリオースリン酸イソメラーゼ |
横から見たTIPの単量体、活性中心は中央上にある。
|
識別子 |
EC番号 |
5.3.1.1 |
CAS登録番号 |
9023-78-3 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
トリオースリン酸イソメラーゼ(Triosephosphate isomerase、EC 5.3.1.1)またはTPIは、トリオースリン酸の異性体であるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)とD-グリセルアルデヒド-3-リン酸(GAP)の間の可逆的な相互変換を触媒する酵素である。
TPIは、解糖系において重要な役割を果たし、エネルギーの生産に不可欠である。TPIは、ほ乳類や昆虫のような動物から、菌類、植物、細菌に至るまで、ほぼ全ての生物で見られる。しかし、ウレアプラスマ属等の解糖系を持たないいくつかの細菌はTPIを持たない。
ヒトでは、TPIの欠損は、トリオースリン酸イソメラーゼ欠損症と呼ばれる進行性の重篤な神経障害と関連がある。トリオースリン酸イソメラーゼ欠損症は、慢性の溶血性貧血が特徴である。この病気を引き起こす様々な突然変異があるが、そのほとんどで104番残基のグルタミン酸がアスパラギン酸に変異している[1]。
TPIは非常に効率のよい酵素であり、水溶液中で自然に起こるのと比べ、数十億倍も反応を速める。反応が非常に効率的であるため、「完全触媒」と呼ばれる。基質が拡散により酵素の活性中心に入り、出ていく速度にのみ速度が制限される[2][3]。
目次
- 1 メカニズム
- 2 構造
- 3 出典
- 4 外部リンク
メカニズム
中間体として「エンジオール」を形成する。遷移状態を含めたそれぞれの段階の自由エネルギーの変化は、下の図のようになっている[2]。
TPIの構造は、DHAPとGAPの変換を促進する。165番残基の求核的なグルタミン酸が基質を脱プロトン化し[4]、求電子的な95番残基のヒスチジンが陽子を供給してエンジオール中間体を形成させる[5][6]。脱プロトン化されるとエンジオールは分解し、プロトン化された165番のグルタミン酸から陽子を取り込んで、GAPを形成する。逆反応の触媒も相同のメカニズムであり、同じエンジオールを形成する[7]。
TPIは、拡散律速である。熱力学には、DHAPの形成はGAPの形成よりも20倍も起こりやすい[8]。しかし解糖系では、代謝の次の段階でのGAPの消費はその生成の方向へ反応を進ませる。TPIは、活性中心と結合してしまう硫酸、リン酸、ヒ酸のイオンによって阻害される[9]。その他の阻害剤には、遷移状態アナログである2-ホスホグリセリン酸や基質アナログであるD-グリセロール-1-リン酸がある[10]。
構造
トリオースリン酸イソメラーゼ |
識別子 |
略号 |
TIM |
Pfam |
PF00121 |
Pfam clan |
CL0036 |
InterPro |
IPR000652 |
PROSITE |
PDOC00155 |
SCOP |
1tph |
SUPERFAMILY |
1tph |
利用可能な蛋白質構造: |
Pfam |
structures |
PDB |
RCSB PDB; PDBe; PDBj |
PDBsum |
structure summary |
|
TPIは相同サブユニットの二量体で、それぞれは約250アミノ酸残基からできている。サブユニットの三次元構造は、外側に8つのαヘリックス、内側に8つの平行βシートである。右図では、それぞれのサブユニットの背骨を表す帯は、N末端からC末端の方に青色から赤色で着色されている。この構造のモチーフはαβバレルまたはTIMバレルと呼ばれ、タンパク質のフォールディングでは、非常によく見られるものである。活性中心は、バレルの中心にある。グルタミン酸とヒスチジンの残基は、触媒に関わっている。活性部位付近の配列は、既知の全てのTPIで保存されている。
TPIは、その構造が機能を助けている。エンジオールを形成するのに正確な場所にグルタミン酸とヒスチジンの残基が配置されているのに加え、10または11のアミノ酸鎖が中間体を安定させるためのループとして働く。166番から176番の残基で構成されるこのループは、基質のリン酸基に水素結合を形成する。この反応はエンジオール中間体や反応過程のその他の遷移状態を安定化させる[7]。
反応を速度論的に可能にすることに加え、TPIのループは反応しやすいエンジオール中間体がメチルグリオキサルと無機リン酸に分解されるのを防ぐために隔離する。酵素と基質のリン酸基の間の水素結合は、そのような分解を立体電子的に不利にする[7]。メチルグリオキサルは毒性があるため、もし形成された場合には、グリオキサラーゼシステムによって取り除かれる[11]。
活性部位に近い12番残基のリシンも、酵素の機能に不可欠であることが示唆されている。生理的pHでプロトン化されるリシンは、リン酸基の負電荷を中和するのを助ける。このリシンが中性アミノ酸に変異すると、TPIは全ての機能を失うが、他の正電荷を持つアミノ酸に変異した場合は、一部の機能が保たれる[12]。
出典
- ^ Orosz, F.; Olah, J. (2008). “Triosephosphate isomerase deficiency: facts and doubts”. IUBMB Life 58 (12): 703-715. doi:10.1080/15216540601115960. PMID 17424909.
- ^ a b Albery, W. J.; Knowles, J. R. (1976). “Free-Energy Profile for the Reaction Catalyzed by Triosephosphate Isomerase”. Biochemistry 15 (25): 5627-5631. doi:10.1021/bi00670a031. PMID 999838.
- ^ Rose, I.A.; Fung, W.J. (1990). “Proton diffusion in the active site of triosephosphate isomerase”. Biochemistry 29 (18): 4312-4317. doi:10.1021/bi00470a008. PMID 2161683.
- ^ Alber, T.; Banner, D.W.; Wilson, I.A. (1981). “On the three-dimensional structure and catalytic mechanism of triose phosphate isomerase.”. Phil. Trans. R. Soc. 293 (1063): 159-171. doi:10.1098/rstb.1981.0069. PMID 6115415.
- ^ Nickbarg, E.B.; Davenport, R.C.; Knowles, J.R. (1988). “Triose Phosphate Isomerase: Removal of a Putatively Electrophilic Histidine Residue Results in a Subtle Change in Catalytic Mechanism.”. Biochemistry 27 (16): 5948-5960. doi:10.1021/bi00416a019. PMID 2847777.
- ^ Komives, E.A.; Chang, L.C. (1991). “Electrophilic Catalysis in Triosephosphate Isomerase: the Role of Histidine-95.”. Biochemistry 30 (12): 3011-3019. doi:10.1021/bi00226a005. PMID 2007138.
- ^ a b c Knowles, J.R. (1991). “Enzyme catalysis: not different, just better”. Nature 350 (6314): 121-124. doi:10.1038/350121a0. PMID 2005961.
- ^ Harris, T.K.; Cole, R.N.; Mildvan, A.S. (1998). “Proton Transfer in the Mechanism of Triosephosphate Isomerase.”. Biochemistry 37 (47): 16828-16838. doi:10.1021/bi982089f. PMID 9843453.
- ^ Lambeir, A.-M.; Opperdoes, F.R.; Wierenga, R.K. (1987). “Kinetic properties of triose-phosphate isomerase from Trypanosama brucei brucei”. European Journal of Biochemistry 168 (1): 69-74. doi:10.1111/j.1432-1033.1987.tb13388.x. PMID 3311744.
- ^ Lolis, E.; Petsko, G.A. (1990). “Crystallographic Analysis of the Complex between Triosephosphate Isomerase and 2-Phosphoglycolate at 2.5-A Resolution: Implications for Catalysis”. Biochemistry 29 (28): 6619-6625. doi:10.1021/bi00480a010. PMID 2204418.
- ^ Creighton, D.J.; Hamilton, D.S. (2001). “Brief History of Glyoxalase I and What We Have Learned about Metal Ion-Dependent, Enzyme-Catalyzed Isomerizations.”. Archives of Biochemistry and Biophysics 387 (1): 1-10. doi:10.1006/abbi.2000.2253. PMID 11368170.
- ^ Lodi, P.J.; Chang, L.C.; Komives, E.A. (1990). “Triosephosphate Isomerase Requires a Positively Charged Active Site: The Role of Lysine-12.”. Biochemistry 33 (10): 2809-2814. doi:10.1021/bi00176a009. PMID 8130193.
- http://pdbdev.sdsc.edu:48346/pdb/molecules/pdb50_6.html
外部リンク
- Triosephosphate isomerase in interactive 3D at Proteopedia
- Triosephosphate isomerase (TIM) family in PROSITE
カルビン回路 |
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物質 |
リブロース-1,5-ビスリン酸 - 3-ホスホグリセリン酸 - 1,3-ビスホスホグリセリン酸 - グリセルアルデヒド-3-リン酸
ジヒドロキシアセトンリン酸 - フルクトース-1,6-ビスリン酸 - フルクトース-6-リン酸
エリトロース-4-リン酸 - セドヘプツロース-1,7-ビスリン酸 - セドヘプツロース-7-リン酸
キシルロース-5-リン酸 - リボース-5-リン酸
|
|
酵素 |
リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ - ホスホグリセリン酸キナーゼ - グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ - トリオースリン酸イソメラーゼ - アルドラーゼ - フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ - トランスケトラーゼ - リボース-5-リン酸イソメラーゼ - リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ - ホスホリブロキナーゼ
|
|
炭水化物代謝: 解糖系/糖新生の酵素 |
|
解糖系 |
グルコキナーゼ/ヘキソキナーゼ/グルコース-6-ホスファターゼ - グルコース-6-リン酸イソメラーゼ - 6-ホスホフルクトキナーゼ/フルクトースビスホスファターゼ - フルクトースビスリン酸アルドラーゼ - トリオースリン酸イソメラーゼ - グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ - ホスホグリセリン酸キナーゼ - ホスホグリセリン酸ムターゼ - ホスホピルビン酸ヒドラターゼ - ピルビン酸キナーゼ
|
|
糖新生のみの酵素 |
ピルビン酸カルボキシラーゼ - ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ - 乳酸 (コリ回路):L-乳酸デヒドロゲナーゼ - アラニン (グルコース-アラニン回路):アラニントランスアミナーゼ
|
|
調節 |
6-ホスホフルクト-2-キナーゼ/フルクトース-2,6-ビスホスファターゼ - ビスホスホグリセリン酸ムターゼ
|
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P-014 Cryptococcus neoformansの莢膜多糖類と黄色ブドウ球菌表層トリオースリン酸イソメラーゼとの相互作用解析(分子・細胞生物学,ポスター討論,一般演題,医真菌学のコペルニクス的転回を目指して)
- アラビドプシスの糖代謝酵素、アルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼへのグルタチオンの結合
Related Links
- トリオースリン酸イソメラーゼ(Triosephosphate isomerase、EC 5.3.1.1)またはTPIは、トリオースリン酸の異性体であるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)とD-グリセルアルデヒド-3-リン酸(GAP)の間の可逆的な相互変換を触媒する酵素である。
- トリオースリン酸イソメラーゼ(Triosephosphate isomerase、EC 5.3.1.1)またはTPIは、トリオースリン酸の異性体であるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)とD-グリセルアルデヒド-3-リン酸(GAP)の間の可逆的な相互変換を触媒する酵素である。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 同
- トリオースリン酸イソメラーゼ
- 同
- トリオースリン酸イソメラーゼ
[★]
トリオースリン酸異性化酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ
[★]
- 英
- triose-phosphate isomerase
- 関
- トリオースリン酸イソメラーゼ
[★]
トリオースリン酸イソメラーゼ triosephosphate isomerase
[★]
トリオースリン酸イソメラーゼ TIM
[★]
- 英
- triose phosphate isomerase deficiency syndrome
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- triosephosphate
運命
[★]
- 英
- isomerase
- 同
- 異性化酵素
- 関
- 異性化酵素、エピメラーゼ、酵素
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類