-来談者中心療法
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/11 08:42:46」(JST)
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来談者中心療法(らいだんしゃちゅうしんりょうほう、クライエント中心療法、Client-Centered Therapy)は、カール・ロジャーズとその共同研究者たちにより提唱され、展開している心理療法の一派。 その名称は、ロジャーズによって、非指示的療法(Non-Directive Counseling)から来談者中心療法、そして人間中心療法(Person Centered Approach)へと、時代を追って改名されている。
ロジャーズは、個人のパーソナリティを、自己概念と経験の一致、不一致から説明。自己概念と経験の不一致が不適応や病理を生み出すと説明した。
これはオットー・ランク(Otto Rank)の意志療法の影響から生まれたもので、ロジャーズは晩年、あるインタビューに答えて「わたしの師はオットー・ランクと、自分のクライエントたちです」と述べている。なお、ロジャーズははじめて心理療法を受診する者を「患者」ではなくクライエントと称した。
目次
- 1 概論
- 1.1 非指示的療法(Non-Directive Therapy)
- 1.2 来談者中心療法/クライエント中心療法(Client-Centered Therapy)
- 1.3 人間中心アプローチ/パーソンセンタードアプローチ(Person-Centered Approach:PCA)
- 1.4 非指示的療法のエビデンス
- 2 関連項目
- 3 外部リンク
概論
非指示的療法(Non-Directive Therapy)
非指示的療法の時代においては、ロジャーズは、繰り返し、感情の反射、明確化などの、カウンセラーの技術を提唱したが、「非指示的療法は単なるオウム返しのみで成立する」という誤解が広まったため、名称を来談者中心療法と改め、カウンセラーの態度条件を重視するようになる。
来談者中心療法/クライエント中心療法(Client-Centered Therapy)
来談者中心療法では、カウンセラー側の知識の量や権威は不必要とされ、それよりも、カウンセラーの態度、すなわち、無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致をどう実現するかが重視される。カウンセラーの態度条件を満たすためには、カウンセラー自身の自己実現が求められる事となる。さらに、後期のロジャーズや現在のロジャーズ派においては、プレゼンス(人がそこにいる事)という概念が重視されるようになった。
人間中心アプローチ/パーソンセンタードアプローチ(Person-Centered Approach:PCA)
後年のロジャーズは、個人カウンセリングよりも、エンカウンターグループ、エンカウンターを通した世界平和の実現へと関心を移し、それに伴い、来談者中心療法からパーソンセンタードアプローチへと名称を変更する。
ロジャーズの共同研究者や弟子たちは、ロジャーズの考えを引き継ぎ、発展させた。バージニア・アクスラインは子どもへのプレイセラピーに応用、ユージン・ジェンドリンはフォーカシングとフォーカシング指向心理療法を提唱、ロジャーズの娘ナタリー・ロジャーズは表現アートセラピーを実践、プルーティは精神障害や知的障害を対象に、プリセラピーを提唱した。
非指示的療法のエビデンス
コクランライブラリーによるとNon-Directive Counselingは軽~中程度のうつ病、パニック障害にエビデンスを持つ。
関連項目
- 臨床心理学
- 人間性心理学
- カウンセリング
- 教育相談
- 動機づけ面接
外部リンク
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