アルコール脱水素酵素
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/10/31 06:55:56」(JST)
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アルコールデヒドロゲナーゼ (EC.1.1.1.1, EC.1.1.1.2, EC.1.1.1.71) はアルコールを酸化してアルデヒドにする反応を触媒する酵素。アルコール脱水素酵素とも呼ばれる。
人間の場合、少なくとも6種のアイソフォームが存在する。肝臓に多く存在し、エタノールを摂取した時に働く。
酵母のように、アルコール発酵する生物の場合、アセトアルデヒドをエタノールに還元する上記の逆反応が起きる。これによってが再生され、嫌気状態でも解糖系が続行できるようになる。酵母が作ったエタノールを、人間が全く逆の反応で戻していることになる。
ヒトではアルコール脱水素酵素は大部分が肝臓に存在し、少量が胃、腸、腎、網膜、脳に分布する[1]。
EC番号による分類
- EC 1.1.1.1
- (第一級アルコール)
- (第二級アルコール)
- 亜鉛を含む酵素。一級または二級のアルコールまたはヘミアセタールと反応する。
- EC 1.1.1.2
- 亜鉛を含む酵素。これに属する酵素の一部は一級アルコールとのみ反応し、他のものは二級アルコールと反応する。
- EC 1.1.1.71
- むしろ逆反応のほうがよく知られる。ビタミンAであるレチナールをレチノールに還元する反応。炭素鎖長2から12(特に4, 6, 8)の脂肪族アルデヒドを還元する。
疾患との関連
アルコールデヒドロゲナーゼには上記の通り複数の種類があるが、中でもADH1B(旧称:ADH2)が疾患との関連が報告されている。ADH1Bには遺伝子多型があるが、日本人に多い低活性型アレルを持つものは、アルコール依存症・咽頭癌・食道癌に罹患しやすい[2][3]。
引用・参照
- ^ 滝野辰郎, 結城武彦, 川村治雄 ほか、「肝疾患における血清アルコール脱水素酵素の臨床的意義」『肝臓』 1974年 15巻 10号 p.571-579, doi:10.2957/kanzo.15.571
- ^ 横山顕. “情報ボックス アルコール 2. 飲酒と健康問題”. 久里浜医療センター. 2015年2月16日閲覧。
- ^ 平木章夫. “第5回Annual AACR International Conference: Frontiers in Cancer Prevention Researchに参加して”. がん研究に係わる特定領域研究. 2015年2月16日閲覧。
関連項目
- 酸化還元酵素
- エタノール-アセトアルデヒドシャトル
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 1P-147 出芽酵母のNADH依存型アルコールデヒドロゲナーゼ欠損株を用いた有用物質生産(一般講演(代謝工学),第65回日本生物工学会大会)
- ヤーコン塊根の脱渋におけるプロアントシアニジンの減少
- 西野 智彦,清原 大和
- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 60(8), 434-438, 2013-08-15
- ヤーコン塊根は高い抗酸化活性とフラクトオリゴ糖を有している機能性食材であるが,その渋みが問題となっている.本研究はEtOH蒸気に晒すことで,その渋みが除去される機構を解明するための一つの方法として実験を行った結果,以下の知見を得た.<BR>(1) 脱渋処理前後の二次元ペーパーパークロマトグラフィーの結果とブタノール-塩酸法による分析結果から,脱渋により重合度の大きいPAが減少している可 …
- NAID 10031190017
- 2P-2051 キシロース資化性Saccharomyces cerevisiaeにおけるアルコールデヒドロゲナーゼ過剰発現およびフラン化合物存在下でのキシロース発酵特性(5c バイオマス,資源,エネルギー工学,一般演題,環境バイオテクノロジー,伝統の技と先端科学技術の融合)
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★リンクテーブル★
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- 英
- alcohol dehydrogenase, ADH
- 同
- アルコールデヒドロゲナーゼ
- 関
- アルコール
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- 英
- sugar alcohol dehydrogenase
- 関
- 糖アルコール脱水素酵素
[★]
- 英
- [[]]
- 同
- YADH
- 関
- [[]]
- 同
- YADH
[★]
- 英
- alcohol
- 関
- エタノール
アルコールによる酩酊の分類
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- 0.5 mg/ml 以上で酒気帯び → 道路交通法(0.5 mg/ml以上で運転能力の低下、1.5 mg/ml以下では著しい低下。1.5-2.0 mg/mlがもっとも危険。これ以上では運転できない)
- 血中アルコール濃度と酩酊の状態
- 0.0-0.5 mg/ml::殆ど無症状か、わずかな熱覚、味覚や嗅覚の低下
- 0.5-1.0 mg/ml:弱度酩酊:顔面紅潮、抑制からの解放、陽気、多幸感、不安や緊張の緩和、反応時間の延長など
- 1.0-1.5 mg/ml:軽度酩酊:多弁、大胆、感覚の軽度麻痺、気分爽快、多弁など
- 1.5-2.5 mg/ml:中程度酩酊:眠気に襲われる、言語不明瞭、平衡感覚が鈍麻し、千鳥足になる、理解・判断力鈍麻など
- 2.5-3.5 mg/ml:強度酩酊:歩行困難、顔面蒼白、悪心、嘔吐、感覚麻痺、精神運動性興奮、言語不明瞭、諸反射の消失など
- 3.5-4.5 mg/ml:重度酩酊、泥酔:意識消失、筋力消失、呼吸困難、体温低下、昏睡状態
- 4.5- mg/ml:呼吸麻痺、心機能不全などで死亡する。
アルコールの慢性症状
- アルコール中毒の患者において、脳神経でchromatosisが見られるが、ニューロンの脱落は末期まで見られない。小脳では虫部のニューロンが優先的に脱落する。大脳辺縁系の乳頭体に強い病変が見られる → ウェルニッケ・コルサコフ症候群と関連
- 振戦譫妄
- アルコール幻覚症
- コルサコフ症候群
- アルコール痴呆
- アルコールてんかん
アルコールによる非精神症状
アルコールによる疾患
- 身体疾患:アルコール性肝疾患(脂肪肝)、膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)、大腿骨頭壊死症、末梢神経障害
- 精神疾患:急性アルコール中毒、慢性アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール精神病
- (国試)100B077、095B075
アルコールの摂取と疾患
- ホジキンリンパ腫:掻痒症を呈する患者もいるが、そのばあい飲酒をすると当該部位に痛みが出現する(APT.83)
- 急性膵炎:増悪
アルコールの胎児への影響
- SUB.260
アルコールの摂取量
- 21世紀における国民健康づくり運動の目標値では節度ある適度な飲酒とは1日平均純アルコールで20g程度としている。 → ビール(5%) 400ml、日本酒(15%) 133.3ml
- 脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血の発症予防には過度の飲酒(1週間に150g以上)を避けることが推奨されている。
アルコールの単位
- アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20g。
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- 英
- hydro
- 関
- ハイドロ