- 英
- azide、azido
- 関
- アジ化物
WordNet
- a chemical compound containing the azido group combined with an element or radical
- relating to or containing the azido group N3
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/03 15:59:34」(JST)
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アジ化物(アジかぶつ、azide)とは −N3 原子団を持つ化合物の総称である。アジ化物イオン (N3−) の塩も、置換基であるアジ基 (−N3) が共有結合した化合物もアジド (azide) と呼ばれる。特にアシル基にアジ基が置換した化合物を酸アジドと呼ぶ。
アジ化物塩は爆発性を示すものが多く、重金属塩は爆発物の信管に利用される(記事 アジ化鉛に詳しい)。金属のアジ化物は消防法第2条第7項及び別表第一第5類10号、危険物の規制に関する政令第1条により危険物第5類に指定されている。アジ基を持つ有機化合物の大半は爆発性を示さないが、常圧蒸留等で過熱した際に爆発するものも一部存在する。
アジ化物イオンもアジ基も直線構造ではなく、僅かに曲がっている(約172度)。
目次
- 1 有機アジ化物の合成、反応
- 2 主なアジ化物
- 3 危険性について
- 4 関連項目
- 5 参考文献
有機アジ化物の合成、反応
合成
アジ化物イオンは求核性が高いために、ハロゲン化アルキルやスルホン酸エステルなどに対する SN2 反応で有機アジ化物が合成される。
- R-X + N3− → R-N3 + X−
光延反応によって調製することもできる。
反応
有機アジ化物に水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤あるいはリン化合物を作用させることでアミンとすることができ、これはガブリエル合成と並ぶ有力な一級アミンの合成法となっている。
- R-N3 + LiAlH4 → R-NH2
有機アジ化物は光または熱で分解すると、相当するニトレンが発生する。
- R-N3 + (heat or light) → R-N:
カルボン酸アジドはクルチウス転位を経由してイソシアナートに変わる。イソシアナートにアルコールが付加するとウレタン(カルバマート)に、加水分解によりアミンとなる。
またアミンと反応してアミド結合を作る。
- R-C(=O)N3 + R'NH2 → R-C(=O)NHR'
アジドは1,3-双極子であるので、各種不飽和結合と [3+2]型の付加環化反応を起こす。例えばニトリルに付加してテトラゾール環を与える。またアルキンとも反応し、1,2,3-トリアゾールを形成する。この反応は銅イオンの存在下で加速され、水や各種官能基の存在に影響を受けず極めて収率よく進行する。バリー・シャープレスらが推進するクリックケミストリーの中心的な反応として注目を浴びている。例を図示する。
この付加環化反応は、最初の報告者にちなみ Huisgen環化とも呼ばれる[1]。
主なアジ化物
- アジ化水素
- アジ化ナトリウム(毒劇法・毒物)
- アジ化鉛
- ジフェニルリン酸アジド (DPPA)
危険性について
一般にアジ化物には爆発性があり、取り扱いに注意を要する。これを安全に取り扱うため、経験的に以下のことが知られている(ただし例外もあり、絶対ではないので注意)。
- 重金属のアジドは一般に爆発性が強い。このため例えばアジ化ナトリウムをステンレスのスパーテルですくうだけで爆発を起こすことがある。アジ化ナトリウムの計量にはプラスチックか、シリコンコーティングされたスパーテルを用いるのが無難である。
- ハロゲン系溶媒、たとえばジクロロメタンは、アジ化ナトリウムと反応して爆発性の強いジアジ化メタンを生成するため、アジ化物イオンを含む水層からの抽出溶媒には不適である[2]。また、濃縮後に残存した微量のハロゲン系溶媒にも注意が必要である[3]。
- 有機アジ化物は、アジ基1つに対して6つ以上の重原子(水素を除く、炭素・酸素・窒素など)が分子内に含まれている場合、その爆発力が「希釈」されて安全に取り扱えることが多い。これはニトロ基やジアゾ化合物など、他の爆発性官能基の場合でも同様である。
- アジ基が、芳香環・オレフィン・カルボニルなどsp2炭素に結合している場合、ほぼ同じ条件のアルキルアジドに比べて爆発性が高い。
関連項目
参考文献
- ^ Huisgen, R. Proc. Chem. Soc. 1961, 357.
- ^ Norton P. Peet, "More On Sodium Azide", C&EN, June 14, 2010, page 4. オンライン版
- ^ Raymond E. Conrow* and W. Dennis Dean, "Diazidomethane Explosion", Org. Process Res. Dev., 2008, 12 , 1285–1286.
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Japanese Journal
- リファンピシンによる潜在性結核感染症治療における肝障害
- クリック反応によるアジド基導入フィブロインフィルムの修飾
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レトロビルカプセル100mg
組成
- 本剤は、1カプセル中にジドブジン100mgを含有する。
- 添加物としてトウモロコシデンプン、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、酸化チタンを含有する。
禁忌
- 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)(「重要な基本的注意 3.」の項参照)[好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- イブプロフェン投与中の患者[出血傾向が増強したとの報告がある(「相互作用」の項参照)。]
効能または効果
HIV感染症
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)〜3)を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500〜600mgを2〜6回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜減量する。
- 本剤投与中特に著しい好中球減少(750/mm3未満又は投与前値からの50%以上の減少)又は著しい貧血(ヘモグロビン値が7.5g/dL未満又は投与前値からの25%以上の減少)が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬する。これより軽度の貧血(ヘモグロビン値が7.5〜9.5g/dL)及び好中球減少(750〜1000/mm3)の場合は、減量する。著しい貧血がみられた場合、休薬及び減量を行っても輸血の必要な場合がある。休薬又は減量後、骨髄機能が回復した場合には、血液学的所見及び患者の耐容性に応じて徐々に通常の投与量に増量する。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- ジドブジンとして1日量が400mg(1回100mg、1日4回投与)による有効性及び安全性が認められたとの報告はあるが4)、1日量が400mg未満の用量による有効性は確認されていない。
慎重投与
- 好中球数1000/mm3未満又はヘモグロビン値が9.5g/dL未満の患者[好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- 腎又は肝機能障害のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- ビタミンB12欠乏患者[貧血が発現するおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
- 次のような症状があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害
- 再生不良性貧血(頻度不明注))、赤芽球癆(頻度不明注))、汎血球減少(頻度不明注))、貧血(24.84%)、白血球減少(17.83%)、好中球減少(8.28%)、血小板減少(5.10%)
うっ血性心不全(頻度不明注))
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(いずれも頻度不明注))
てんかん様発作(頻度不明注))
膵炎(頻度不明注))
薬効薬理
作用機序28)
- ジドブジン(AZT)はHIV感染細胞内でリン酸化され、活性型の三リン酸化体(AZTTP)となる。AZTTPはHIV逆転写酵素を競合的に阻害し、またデオキシチミジン三リン酸の代りにウイルスDNA中に取り込まれて、DNA鎖伸長を停止することによりウイルスの増殖を阻害する。AZTTPのHIV逆転写酵素に対する親和性は、正常細胞のDNAポリメラーゼに比べて約100倍強いので、選択性の高い抗ウイルス作用を示す(ヒトリンパ球系H9細胞増殖に対するin vitroでのID50値は267μg/mL(1000μM))。
抗ウイルス作用
- ジドブジンのHIVに対するin vitroにおけるID50値は、CD4リンパ球系細胞を用いた系では0.13μg/mL(0.49μM)以下であった29)。
- マウスにマウスレトロウイルス(Rauscherマウス白血病ウイルス)を接種し、接種4時間目より、ジドブジンを1.0mg/mLの割合で飲用水に混入して投与した実験では、平均脾臓重量、脾臓細胞感染率、及び血中ウイルス力価が対照群に比し著しく低下した。また感染後生存日数も延長した30)。
- ジドブジンを、ラミブジン、ジダノシン等の抗HIV薬あるいはインターフェロンαと併用することで、in vitroの抗ウイルス作用は、相加的あるいは相乗的に増大した31),32)。
薬剤耐性
- ジドブジンを含むチミジンアナログに対する耐性は、HIV逆転写酵素の41、67、70、210、215及び219番目のアミノ酸の変異によって生じ、これらのうち41番目と215番目の変異あるいは4個以上の変異によってウイルスは表現型として耐性を示す33),34)。
なお、これらチミジンアナログの変異を有するウイルスは高度の交差耐性を示さない35)。
また、62、75、77、116及び151番目のアミノ酸の変異、並びに69番目のアミノ酸のスレオニンからセリンへの変異とそれに加えて同じ個所への6塩基対の挿入により、ウイルスはジドブジンを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬に対し多剤耐性を示す36)〜38)。
なお、in vitroで、ジドブジン耐性ウイルスはジドブジン及びラミブジンの投与によりラミブジンに対して耐性を獲得すると、ジドブジンに対して感受性は回復する。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジンとラミブジンを併用することによりジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する39)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色〜微黄白色の粉末で、においはない。
エタノール(95)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
光によって分解する。
融点
★リンクテーブル★
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アジ化物、アジド
- 関
- azido
[★]
アジド
- 関
- azide
[★]
- 英
- azide
- 関
- アジド
[★]
- 英
- isoniazid sodium methanesulfonate
- 同
- [[]]
- 関
- イソニアジド、抗結核薬、結核、ビタミンB6、ビタミンB6欠乏症
概念
作用
- ヒト型結核菌H37Rv株に対する最小発育阻止濃度(MIC)は、0.1μg/ml(10%血清加Kirchner培地で測定)で、INHと同等の抗菌力を示す。
- マウス実験的結核症(H37Rv株)に対して、同量投与の場合、本剤はINHとほぼ同等の治療効果を示す
重大な副作用
- 2. 痙攣 頻度不明注1)
- 3. 視神経炎、視神経萎縮
- 頻度不明注1)
- 症状:視力低下、中心暗点等
- 処置方法:ビタミンB6投与等
- 4. 末梢神経炎
- 頻度不明注1)
- 症状:四肢の異常感覚、しびれ感、知覚障害、腱反射低下、筋力低下、筋萎縮等
- 処置方法:ビタミンB6投与等
禁忌
- 重篤な肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。]
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6222005A1035_1_01/6222005A1035_1_01?view=body
[★]
- 英
- azidothymidine, AZT
- 同
- ジドブジン zidovudine
- 商
- レトロビル
- 関
- 抗ウイルス薬
[★]
- 英
- benzthiazide
- 関
- ベンズサイアザイド、ベンツチアジド
[★]
- 英
- chlorothiazide sodium
- 関
- クロロチアジド