- 英
- zidovudine, ZDV
- 商
- レトロビル Retrovir。コンビビル(ジドブジン、ラミブジン)
- 関
- 抗HIV薬、アジドチミジン, azidothymidine, AZT
WordNet
- an antiviral drug (trade name Retrovir) used in the treatment of AIDS; adverse side effects include liver damage and suppression of the bone marrow (同)Retrovir, ZDV, AZT
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ジドブジン
|
IUPAC命名法による物質名 |
1-[(2R,4S,5S)- 4-azido-5-(hydroxymethyl) oxolan-2-yl]- 5-methyl-pyrimidine-2,4-dione |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
血漿タンパク結合 |
30 to 38% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
0.5 - 3 時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号 |
30516-87-1 |
ATCコード |
J05AF01 |
PubChem |
CID 35370 |
DrugBank |
APRD00449 |
KEGG |
D00413 |
化学的データ |
化学式 |
C10H13N5O4 |
分子量 |
267.242 g/mol |
ジドブジン (zidovudine, ZDV) は、核酸系逆転写酵素阻害薬の一種で、HIV の治療薬として用いられる。別名は アジドチミジン (azidothymidine, AZT) 。商品名はレトロビル (Retrovir) 。
バローズ・ウエルカム社(現グラクソ・スミスクライン)が1964年に抗がん剤として初合成し、1985年にNCIに所属していた満屋裕明が抗HIV作用を発見した。バローズ・ウエルカム社が製品化を進め、世界初の抗HIV薬として1987年3月に国際誕生となり、日本では1987年11月に発売開始した。
目次
- 1 作用機序
- 2 主な副作用
- 3 薬剤耐性
- 4 関連項目
作用機序
AZTはHIV感染細胞内でリン酸化され、AZT3リン酸(AZTTP)という活性型の3リン酸化体になる。
AZTTPはHIV逆転写酵素を競合的に阻害してデオキシチミジン3リン酸の代わりにHIVのDNA中に取り込まれてDNA鎖の伸張を停止することでウイルスの増殖を阻害する。AZTTPのHIV逆転写酵素に対する親和性は正常細胞のDNAポリメラーゼに比べて約100倍強いので選択性の高い抗ウイルス作用を示す。
主な副作用
投与により骨髄抑制が現れるので血液検査などを行い、患者の状態を十分に観察する必要がある。
薬剤耐性
AZTを含むチミジンアナログに対する耐性はHIV逆転写酵素の41,67,70,210,215,219番目のアミノ酸の変異により生じる。
41番目と215番目の変異あるいは4個以上のアミノ酸の変異によりウイルスは表現型として耐性を示す。これらのチミジンアナログの変異を有するウイルスは高度の交差耐性を示さない。
62、75、77、116、151番目のアミノ酸の変異、69番目のアミノ酸のスレオニンからセリンへの変異、同じ箇所への6塩基対の挿入により、ウイルスは核酸系逆転写酵素剤に対し多剤耐性を示す。
関連項目
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
- 本剤は、1錠中にジドブジン300mg、ラミブジン150mgを含有する。添加物として結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、ポリソルベート80を含有する。
禁忌
- 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)(「重要な基本的注意」の項参照)[好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- イブプロフェン投与中の患者[出血傾向が増強したとの報告がある(「相互作用」の項参照)。]
効能または効果
HIV感染症
- 本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、ジドブジン又はラミブジンの用量調節が必要な次の患者には個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いること。なお、ジドブジン製剤及びラミブジン製剤の使用にあたっては、それぞれの製品添付文書を熟読すること。
- 腎機能障害(クレアチニンクリアランスが50mL/分未満)を有する患者[ジドブジン及びラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。]
- 体重30kg未満の小児患者
- 肝硬変等の重篤な肝疾患を有する患者[肝臓におけるグルクロン酸抱合低下により、高い血中濃度が持続するおそれがある。]
- 本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてジドブジン製剤又はラミブジン製剤を併用投与しないこと。
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)?3)を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- 通常、成人には1回1錠(ジドブジンとして300mg及びラミブジンとして150mg)を1日2回経口投与する。
- 本剤投与中貧血(ヘモグロビン値が9.5g/dL未満)又は好中球減少(1000/mm3未満)が認められた場合は、本剤の投与を中止し、個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いて用量調節を行うこと。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
慎重投与
- 好中球数1000/mm3未満又はヘモグロビン値が9.5g/dL未満の患者[本剤の有効成分の一つであるジドブジンにより好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。]
- ビタミンB12欠乏患者[ジドブジンにより貧血が発現するおそれがある。]
- 膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)[本剤の投与により、膵炎を再発又は発症する可能性がある。]
- 肝機能障害のある患者[ジドブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
重大な副作用
重篤な血液障害
- 再生不良性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少
乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)
膵炎
横紋筋融解症
精神神経系
心不全
薬効薬理
ジドブジン
作用機序29)
- ジドブジン(AZT)はHIV感染細胞内でリン酸化され、活性型の三リン酸化体(AZTTP)となる。AZTTPはHIV逆転写酵素を競合的に阻害し、またデオキシチミジン三リン酸の代わりにウイルスDNA中に取り込まれて、DNA鎖伸長を停止することによりウイルスの増殖を阻害する。AZTTPのHIV逆転写酵素に対する親和性は、正常細胞のDNAポリメラーゼに比べて約100倍強いので、選択性の高い抗ウイルス作用を示す(ヒトリンパ球系H9細胞増殖に対するin vitroでのID50値は267μg/mL(1000μM))。
抗ウイルス作用
- ジドブジンのHIVに対するin vitroにおけるID50値は、CD4リンパ球系細胞を用いた系では0.13μg/mL(0.49μM)以下であった30)。
- マウスにマウスレトロウイルス(Rauscherマウス白血病ウイルス)を接種し、接種4時間目より、ジドブジンを1.0mg/mLの割合で飲用水に混入して投与した実験では、平均脾臓重量、脾臓細胞感染率、及び血中ウイルス力価が対照群に比し著しく低下した。また感染後生存日数も延長した31)。
- ジドブジンを、ラミブジン、ジダノシン等の抗HIV薬あるいはインターフェロンαと併用することで、in vitroの抗ウイルス作用は、相加的あるいは相乗的に増大した32),33)。
薬剤耐性
- ジドブジンを含むチミジンアナログに対する耐性は、HIV逆転写酵素の41、67、70、210、215及び219番目のアミノ酸の変異によって生じ、これらのうち41番目と215番目の変異あるいは4個以上の変異によってウイルスは表現型として耐性を示す34),35)。なお、これらチミジンアナログの変異を有するウイルスは高度の交差耐性を示さない36)。
また、62、75、77、116及び151番目のアミノ酸の変異、並びに69番目のアミノ酸のスレオニンからセリンへの変異とそれに加えて同じ個所への6塩基対の挿入により、ウイルスはジドブジンを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬に対し多剤耐性を示す37)?39)。
なお、in vitroで、ジドブジン耐性ウイルスはジドブジン及びラミブジンの投与によりラミブジンに対して耐性を獲得すると、ジドブジンに対して感受性は回復する。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジンとラミブジンを併用することによりジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する40)。
ラミブジン
作用機序
- ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の5'-三リン酸化体に変換される41)。ラミブジン5'-三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止することによりHIVの複製を阻害する42)。また、ラミブジン5'-三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する42)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球?マクロファージ系の株化細胞43)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。
抗ウイルス作用
- In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びIIIB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであり43)、ジドブジンと併用することにより相乗的な抗ウイルス作用が認められた44)。また、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66?80%低下させた。
薬剤耐性
- ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、ウイルス逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる45)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し45),46)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する47)。in vitroで、ジドブジン耐性ウイルスはジドブジン及びラミブジンの投与によりラミブジンに対して耐性を獲得すると、ジドブジンに対して感受性は回復する。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する40)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている48),49)。
交差耐性
- ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する36),40),46)。アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する50)。また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するという報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない51)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色?微黄白色の粉末で、においはない。エタノール(95)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
光によって分解する。
融点
一般名
化学名
- (-)-1-[(2R,5S)-2-ヒドロキシメチル-1,3-オキサチオラン-5-イル]シトシン
分子式
分子量
性状
- 白色?微黄白色の結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
★リンクテーブル★
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- 78歳の女性。左耳の痛みと左顔面の動かしにくさとを主訴に来院した。今朝から左難聴、耳鳴および回転性めまいを自覚している。顔面の写真(別冊No. 19A)と口腔内の写真(別冊No. 19B)とを別に示す。
- 副腎皮質ステロイドと併用する治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I071]←[国試_106]→[106I073]
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- 英
- azidothymidine, AZT
- 同
- ジドブジン zidovudine
- 商
- レトロビル
- 関
- 抗ウイルス薬
[★]
- 関
- AZT
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ジドブジン、ラミブジン
[★]
ジドブジン、ラミブジン
[★]
ジドブジン, ZDV
[★]
- 英
- zidovudine/lamivudine mixture
- 商
- コンビビル