- 英
- diabetes mellitus, type 1, type I diabetes mellitus
- 同
- typeI糖尿病
- 関
- 糖尿病、2型糖尿病。インスリン依存性糖尿病(今は使わない)
分類
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1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう、ICD-10:E10)は、膵臓にあるβ細胞が死滅する病気である。以前は「インスリン依存型糖尿病」や「小児糖尿病」とも呼ばれていた。
目次
- 1 概要
- 2 原因
- 3 疫学
- 4 症状
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 7.1 強化インスリン療法
- 7.2 その他の治療法
- 8 脚注
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
概要[編集]
膵臓にあるβ細胞は、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを分泌している。ところが、何らかの原因によりこのβ細胞が破壊されてしまうと、インスリンの分泌が極度に低下するか、ほとんど分泌されなくなる。その結果、血中の糖が異常に増加し、糖尿病性昏睡などの急性のものから、糖尿病性腎症などの慢性のものまで、さまざまな合併症を引き起こし、最悪の場合死に至る。20世紀前半にインスリンが治療応用されるまでは、極度の食事制限を要する致死的疾患の一つであった。血中に自らの膵細胞を攻撃する自己抗体が認められるものを1A型(自己免疫性)、ないものを1B型(特発性)とする。経口血糖降下薬などの飲み薬は無効で、患者はかならず注射薬であるインスリンを常に携帯し、毎日自分で注射しなくてはならない。今日ではペン型注射器などが開発され、発症者の大半である小児でも自分で打ちやすくなった。
1型糖尿病は糖尿病の一種である。しかし、生活習慣の影響による糖尿病は2型糖尿病といい、それに対し1型は自己免疫性疾患であるため、両者は全く異なる病気である。
原因[編集]
自己免疫の異常が重要な要因の一つと考えられている。しかし、自己免疫系はそれ自体が不明な部分を多く残すため、1型糖尿病の発症メカニズムも正確には明らかではない。
- 自己免疫疾患の遺伝的素因(HLA-DR、DQ、PTPN22、CTLA-4など)
- 自己抗体(ICA、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体など)
- 分子模倣(コクサッキーBウイルスと抗GAD抗体の抗原であるグルタミン酸デカルボキシラーゼの相似性を根拠とする、そのほかエンテロウイルスやEBウイルスがよく候補に挙げられる)
その一方で、1型糖尿病の一部には自己抗体が証明されず、膵臓にも炎症細胞の浸潤が証明されないものもある。これはあきらかに自己免疫性とは言えないものである。アジア、アフリカ人に多いとされるこの病型の原因についてはほとんど不明である。また自己免疫機序が明らかでなく、短期間で発症する、まれなものとして劇症1型糖尿病がある。[1]
疫学[編集]
- 発症率(0~14歳)は日本では10万人に約1.5人である(1993年日本糖尿病学会小児糖尿病委員会より)
- 最近、世界的に1型糖尿病の発症率の増加が報告され、環境要因との因果関係が疑われている(IDF報告およびLancet2004 Nov 6-12:1699-700.より)
症状[編集]
初期の自覚症状は喉の渇き、多飲・多尿、体重の減少などに過ぎない。これが進行すると、急性の合併症である糖尿病性昏睡を引き起こし、手当が遅れると死亡することもある。そのため、早期発見が非常に重要な病である。合併症には以下のようなものがある。
糖尿病性昏睡[編集]
詳細は「糖尿病性昏睡」を参照
糖尿病性昏睡は1型に限らず糖尿病の急性合併症であり、一時的に著しい高血糖になることによって昏睡状態となる。体調不良によって平常通りに服薬できなかった場合(いわゆるシックデイ)の時に特に起こりやすく糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)などが知られている。
慢性期合併症[編集]
詳細は「糖尿病慢性期合併症」を参照
有名なもので心筋梗塞などの大血管障害や、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症の三大合併症などがあげられる。また甲状腺疾患も合併しやすいため、女性は特に注意が必要である。
検査[編集]
詳細は「糖尿病の検査」を参照
血糖値などを測定するための血液検査や、HbA1c値を測定する検査など、幅広く検査が行われ、1型糖尿病かどうかを判断する。
診断[編集]
詳細は「糖尿病の診断」を参照
日本では、日本糖尿病学会1999年の診断基準を用いる。空腹時の血糖または75g経口ブドウ糖負荷試験で診断する。
|
空腹時血糖(mg/dl) |
2時間後血糖(mg/dl) |
正常型 |
110未満 |
140未満 |
境界型 |
126未満 |
200未満 |
糖尿病型 |
126以上 |
200以上 |
通常は判定を2回繰り返し、2回とも糖尿病型であれば糖尿病と診断。口渇や多飲、多尿などの典型的な症状や糖尿病性網膜症が存在する場合や、HbA1c値が6.5%以上である場合は1回だけの判定で糖尿病と診断する。空腹時血糖110-126mg/dlをImpaired Fasting Glucose, IFGと呼び、75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が140-200mg/dlであるものを耐糖能異常; Impaired Glucose Tolerance, IGTと呼ぶ。
糖尿病と診断できたら、次に1型糖尿病であるのか、2型糖尿病であるのか、二次性糖尿病であるのかなどといった成因から診断していく。手順としてはまずは1型糖尿病から疑う。基本的に1型糖尿病と2型糖尿病はまったく異なる臨床像を示すため区別は容易である。しかし、SPIDDM(slow progressive IDDM)という一見2型糖尿病を思わせる病型が存在するため、必ず一度は抗GAD抗体を測定する。また、糖尿病を誘発する疾患の有無を検索する。1型と2型では治療方法や方針が大きく変わるため、この過程は重要である。
これらの検査を行い、最終的に1型かどうかを診断する。
治療[編集]
詳細は「糖尿病の治療」を参照
2型の主な治療法である食事療法や運動療法を行っても、1型の場合は効果がほとんどない。そのため、インスリン療法を中心に行う。インスリン療法は、強化インスリン療法とその他の治療法に分けられる。
強化インスリン療法[編集]
強化インスリン療法とは、インスリンの頻回注射のこと、または持続皮下インスリン注入(CSII)に血糖自己測定(SMBG)を併用し、医師の指示に従い、患者自身がインスリン注射量を決められた範囲で調節しながら、良好な血糖コントロールを目指す方法である。基本的には食事をしている患者では、各食前、就寝前の一日4回血糖を測定し、各食前に超速効型インスリンを就寝前に持続型インスリンの一日4回を皮下注射にて始める。各食事前のインスリンは、個人差、条件等での差異はあるが1日の総摂取カロリー1800キロカロリーの場合、毎食6-18単位、持続型を含め一日の合計で30-50単位前後となる。
その他の治療法[編集]
発症初期の患者などでは、速効型(または超速効型)インスリンの毎食前3回注射など強化インスリン療法に準じた注射方法でよい場合もある。また頻回のインスリン注射が困難な患者や強化インスリン療法が適応とならない患者では混合型または中間型の一日1回~2回投与という方法もある。具体的には中間型インスリンを朝食前に1回打ちにしたり、混合型製剤を朝食前、夕食前の2回打ちにし、食後血糖を抑えるためαグルコシターゼ阻害薬を併用する等がオーソドックスといわれている。
治療する目的は1型糖尿病の各種合併症を防ぐことである。ただし、これらの治療法をとると低血糖症などの副作用が起こる場合がある。
脚注[編集]
- ^ 日内会誌 99: 2625-2627, 2010
関連項目[編集]
- 糖尿病
- インスリン
- 運転免許に関する欠格条項問題
- 岩田稔 - 阪神タイガースの投手で、風邪によるウイルスで発症。
- ビル・ガリクソン - 日米で活躍したプロ野球投手。日本糖尿病協会によって「ガリクソン賞」が制定されている。
- バディ・カーライル - MLBの他、阪神タイガースや北海道日本ハムファイターズで活動したプロ野球投手。
- 大村詠一 - 競技エアロビック日本代表選手。シングルや2人を妹と組んだトリオで日本一など。
- 木部夏生 - 囲碁女流棋士。16歳でプロ棋士になった。
- 杉山新 - FC岐阜のディフェンダー。2003年に発症後、練習生を経て再び活躍中。
外部リンク[編集]
- 厚生労働省 - 糖尿病ホームページ
- 日本糖尿病学会
- 世界糖尿病デー
- (社)日本糖尿病協会
- 糖尿病ネットワーク
- 1型ライフ
- 日本IDDMネットワーク
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 1型糖尿病発症後の病態に必須脂肪酸比率が与える影響について
- 非妊時の自己管理が良好ではなかった1型糖尿病をもつ女性の妊娠前から妊娠中期における経験と思い
- 福島 千恵子,杉浦 絹子,Fukushma Chieko,Sugiura Kinuko
- 三重看護学誌 14(1), 11-17, 2012-03-15
- … 良好ではなかった1型糖尿病をもつ女性の妊娠前から妊娠中期にかけての糖尿病自己管理に関する経験と思いを明らかにし,求められる援助について考察することを目的として,3名の女性を研究参加者として半構成的面接調査を行った.得られたデータを修正版グラウンデッドアプローチを用いて質的帰納的に分析した結果(カテゴリーは【 】,概念は〈 〉で示す),1型糖尿病をもつ女性たちに …
- NAID 120003974432
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- いろいろな理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し、 糖尿病になる。糖尿病は大きく1型と2型にわけられるが、これはこの調節機構の破綻の 様式の違いを表している。1型糖尿病では膵臓のβ細胞が何らかの理由 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 4歳の女児。「朝起きたときから、ぼーっとしている」と心配した母親に連れられて来院した。前日は遠足で疲れて夕食を食べずに寝てしまった。今朝母親が何度起こしても、うとうとして起きなかったため受診した。これまでも似たようなエピソードはあったが、食後に元気になったのでそのままにしていた。意識レベルはJCS I-3。身長 100cm、体重 14kg。体温 36.1℃。脈拍 124/分、整。血圧 90/56mmHg。呼吸数 36/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体3+、潜血(-)。血液所見:赤血球 420万、Hb 12.5g/dL、Ht 41%、白血球 11,000、血小板 35万。血液生化学所見:総蛋白 7.5g/dL、AST 26IU/L、ALT 14IU/L、尿素窒素 15mg/dL、クレアチニン 0.3mg/dL、血糖 30mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 96mEq/L。
- 考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D046]←[国試_109]→[109D048]
[★]
- 35歳の女性。傾眠状態で搬入された。24歳時から1型糖尿病でインスリン自己注射を行っている。5日前から感冒症状、食思不振および下痢のためインスリン注射を中止していた。意識レベルはJCS II-20。身長 158cm、体重 51kg。体温 36.9℃。脈拍 88/分、整。血圧 98/62mmHg。咽頭に発赤を認めるが、胸・腹部と神経学的所見とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖4+、ケトン体3+。血液所見: 赤血球 467万、Hb 14.5g/dl、Ht 44%、白血球 10,400。血液生化学所見: 血糖 562mg/dl、HbA1c 9.8 %。
- まず静注するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I060]←[国試_104]→[104I062]
[★]
- 28歳の女性。嘔吐と腹痛とを主訴に来院した。「数日前から風邪でおなかをこわしていて食べられない。喉も渇く」と言う。半年前に受けた職場の健康診断で異常はなかった。意識は清明。身長 154 cm、体重 47 kg(1か月前は 50 kg)。体温 37.2℃。脈拍 100/分、整。血圧 102/80 mmHg。舌は乾燥している。甲状腺は軽度に腫大しているが結節や圧痛はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。臍から下腹部に軽度の圧痛を認める。尿所見:蛋白 (-)、糖 3+、ケトン体 3+。
- まず考えるべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G048]←[国試_108]→[108G050]
[★]
- 4歳の女児。低身長と腹部膨満とを主訴に来院した。新生児期には、夜間に頻回の哺乳を必要とし、最近は空腹を訴えることが多い。精神運動発達は正常である。低身長(-4SD)と肝腫大とを認める。血清生化学所見:空腹時血糖35mg/dl、尿酸11mg/dl、トリグリセライド1,015mg/dl、乳酸85mg/dl(基準5~20)。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A055]←[国試_100]→[100A057]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097H059]←[国試_097]→[097H061]
[★]
- 17歳の男子。学校検尿で2回とも尿糖陽性であったために精査を勧められて来院した。これまで口渇、多飲および体重減少は認めなかった。身長174cm、体重96kg。血圧脚mHg。腋窩に黒色表皮腫を認める。血液生化学所見・随時血糖201mg/dl、HbA1c6.6%(基準4.3~5.8)。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G047]←[国試_102]→[102G049]
[★]
- 血糖値と血清インスリン値とが正常に比し同方向に変化(両方とも上昇、または、両方とも低下)するのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B035]←[国試_110]→[110B037]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099D070]←[国試_099]→[099D072]
[★]
- 血清LDLコレステロール値が上昇する原因として正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C027]←[国試_114]→[114C029]
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- 小学校における保健指導により一次予防が期待される疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114C018]←[国試_114]→[114C020]
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[正答]
※国試ナビ4※ [100G062]←[国試_100]→[100G064]
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※国試ナビ4※ [098G059]←[国試_098]→[098G061]
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[正答]
※国試ナビ4※ [097G065]←[国試_097]→[097G067]
[★]
[★]
- 英
- osteoporosis
- 同
- 骨多孔症、オステオポローシス
- 関
- 骨軟化症、くる病、老人性骨粗鬆症、若年性特発性骨粗鬆症、糖質コルチコイド誘発骨粗鬆症。骨粗鬆症治療薬
- 骨の絶対量の減少を生じているが骨の質的な変化を伴わない状態をいう。
- 骨はたえず吸収、形成されているものであり、したがって吸収率と形成率に差を生じ骨形成が負の平衡となれば骨粗鬆が起こる。
概念
- 骨量の減少(≒骨密度の減少)と骨組織の微細構造の破錠(骨質の劣化)により骨強度が低下して、骨折をきたしやすくなった疾患
定義
- WHO(1994)、骨量測定法,女性の骨粗鬆症:若年健常女性の平均骨量値から2.5SD以上減少したもの ⇔ 骨量減少:2.5<T-score<-1
- 日本:骨量が30%以上減少したもの
リスクファクター
- YN.D-156
- ガイドライン2
- 高齢、既存骨折(リスク1.9-4倍)、喫煙(リスク1.3-1.8倍)、飲酒(1日2単位以上でリスク1.2-1.7倍)、ステロイド使用(1日5mg以上の経口摂取でリスク2-4倍)、骨折家族歴(親の骨折でリスク1.2-2.3倍)、運動不足(大腿頚部骨折リスク1.3-1.7倍)、易転倒性
- 以下のリスクファクターを有する65歳未満か、65歳以上の女性は骨量測定によるスクリーニングの対象となる。
- 高齢、低体重、骨折既往、骨粗鬆症による骨折の家族歴、白人・アジア人、アルコール(1日2杯以上)、カフェイン、喫煙、運動不足、カルシウム不足、ビタミンD不足、骨粗鬆症を起こす薬剤
原因による分類
内分泌性
栄養性
- 壊血病
- その他(蛋白質欠乏、ビタミンA過剰、ビタミンD過剰)
- 別ソース
遺伝性
薬物性
- 別ソース
不動性
- 全身性:長期臥床、宇宙飛行、対麻痺
- 局所性:骨折後
先天性
その他
- 別ソース
小児の骨粗鬆症
- Dent CE:Osteoporosis in childhood.Postgrad Med J 53:450-456,1977
男性の骨粗鬆症
原因
- 多:クッシング症候群、アルコール多飲、ステロイド使用(5mg, 3ヶ月以上)、性腺機能低下、カルシウム摂取量減少、ビタミンD欠乏、喫煙、家族の中で骨折しやすい人がいる、男性ホルモン異常
- 希:BMI<20, 運動不足、抗てんかん薬、甲状腺中毒症、副甲状腺機能亢進、慢性肝障害、慢性腎障害、吸収不良症候群、高カルシウム血症、リウマチ、脊椎関節炎、糖尿病、多発性骨髄腫、HIV、臓器移植、免疫抑制剤
病理
検査
-
- 躯幹骨DXA、末梢骨DXA、RA/MD、QUSなどで測定可能
- 椎体DXAと大腿近位部DXAの両方を評価することが望ましい。できなければ橈骨DXAで代替する。
- 椎体の骨折/変形、退行性変化、骨粗鬆症に類維持した疾患(腰背部痛、円背や低骨量を呈する疾患)の鑑別に必要
治療
薬物治療
薬物治療開始基準
- ガイドライン2
- 1. 脆弱性既存骨折有り
- 2. 脆弱性既存骨折無し
- 1) 骨密度が若年成人平均値の70%未満
- 2) 骨密度が若年成人平均値の70-80%で、かつ閉経後女性/50歳以上男性であって、次のいずれかを有する。
- a) 過度のアルコール摂取:1日2単位以上
- b) 現在の喫煙
- c) 大腿骨頚部骨折の家族歴
治療開始のトリガー
- 別ソース
- 骨粗鬆症による大腿骨骨折、椎骨骨折の既往
- Tスコアが-2.5以下
- Tスコアが-1~-2.5 FRAX
- FRAXにて10年後の大腿骨折リスクが3%、主要な骨粗鬆症性骨折リスクが15-20%を超えるなら治療。
腎機能障害がある場合の治療の選択肢
- https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/150359-1-15.pdf
慎重投与となっており、禁忌ではないから
肝臓や腎臓で代謝されないから
検診
スクリーニング
- USPSTF
- 65歳以上の女性、64歳以下で骨折リスクが高い女性(脆弱骨折の既往、ステロイド内服など)
- 男性ではエビデンスがない
スクリーニング間隔
- DEXA:1.0~-1.5→15年
- DEXA:-1.5~-2.0→5年
- DEXA:-2.0~-2.5→1年
ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_GL.html
- 2. <amazon mode="text" text="骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2006年版) ダイジェスト版">4897752329</amazon>
<amazon mode="script" ></amazon>
参考
- http://www.richbone.com/kotsusoshosho/basic_shindan/tonyo.htm
[★]
- 英
- autoimmune hepatitis AIHA, AIH
- 関
- 類狼瘡肝炎(ルポイド肝炎)、難病
まとめ
- 中年の女性に好発する慢性経過の肝炎であり、自己免疫機序が関与していると考えられる。HLA-DR4陽性例に多いといわれている。診断は除外診断であり、ウイルス性肝炎や原発性胆汁性肝硬変などをを除外する。
概念
疫学
- 男女比=1:7で女性に多く、発症は10-30歳での発症もみられるが、多くは40歳以降。
病型
病型と病態
- LAB.894
- II型は抗LKM-1抗体の存在で特徴づけられる
- IIa型は女性に多く、高力価を示し、肝硬変への進展が早い
- IIb型は中年男性に多く、力価はそれほど高くない
病態生理
- 自己免疫機序により肝細胞が障害されるらしいが、詳細は不明である。
病理
症状
- 自覚症状に乏しく、血液検査で偶然発見される
- 肝障害:黄疸、全身倦怠感、食欲不振。重症例では腹水、肝性脳症、肝不全。
検査
- AST, ALT:高値
- γ-グロブリン:高値(2g/dl以上)
- 免疫グロブリンG:高値(2g/dl以上)
- ウイルスマーカー:陰性 (除外診断)
- 抗核抗体:I型で陽性
- 抗平滑筋抗体:I,IV型で陽性
- 抗LKM-1抗体:II型で陽性
- 抗SLA抗体:III型で陽性
- 肝生検:piecemeal necrosisの所見をもつ慢性肝炎の像
診断基準
- 参考3
診断
- 病歴により、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、超音波検査にて脂肪肝を除外。
- 免疫血清学検査を行いウイルス性肝炎を除外。自己抗体や免疫グロブリンの変動、サブタイプの変動をみて絞り込み、病理組織学検査で確定診断する。
鑑別疾患
治療
- 副腎皮質ステロイドが著効する
- ステロイド:十分量の後、維持量を継続する
- ウルソデオキシコール酸:ステロイドの減量に有効。また、軽症例での経過観察に用いられる(IMD)。
- 免疫抑制薬:(ステロイド抵抗性例に対して)アザチオプリン
- インターフェロンは自己免疫を賦活化させる方向に作用するので不適
合併症
肝癌:ウイルス性肝炎よりも発癌リスクが少なく、肝細胞癌のリスクへの影響はあるとはいえない。
- 自己免疫疾患:ウイルス肝炎でもありうるが、自己免疫性肝炎の方がより高頻度で起こる(ウイルス性肝炎(22%)vs自己免疫性肝炎(38%)(参考1))
参考
- 1. [charged] Extrahepatic manifestations of autoimmune hepatitis - uptodate [1]
- 2. 自己免疫性肝炎 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/268
- http://jpma-nanbyou.com/Category.aspx?view=c&oid=10&sid=3&kid=1
- http://www8.ocn.ne.jp/~halfboil/criteria/tab-b5.html
[★]
- 英
- diabetic ketoacidosis, DKA
- 同
- 糖尿病ケトアシドーシス ← 使われない
- 関
- 糖尿病
[show details]
概念
- 極度のインスリン欠乏とコルチゾールやアドレナリンなどインスリン拮抗ホルモンの増加により、(1)高血糖(≧250mg/dl)、(2)高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH7.3未満)をきたした状態。(糖尿病治療ガイド 2008-2009 p.66)
- インスリン不足により組織がグルコースを活用できず、代償的に多量の脂肪酸を動員してケトン体を産生することが本態で、副次的に
病態生理
- QB.D-307
症状
- 口渇、多尿
- 体重減少、胃腸障害(悪心、嘔吐、腹痛)、クスマウル大呼吸、アセトン臭
検査
血糖値
ケトン体
動脈血ガス
- pH<7.3 → ケトアシドーシス
- CO2<10mEq/L → アシドーシスに対する呼吸性代償
浸透圧
- 軽度上昇。正常~330mOsm/L → Naが低値125-130mEqと軽度になるのに対し、血糖値は250-1000mg/dLとなる。従って、血糖値は13-55mOsm/Lの浸透圧を生み出し、Naによる浸透圧の低下分を補い、軽度上昇にとどまる。
血中Na
- 軽度低下。<140mEq/L。125-135mEq/L(HIM.2282) → 浸透圧利尿によりNa排泄が亢進するため。これに対してHHSでは高度の脱水により、Na濃度は正常あるいは上昇している。
BUN
遊離脂肪酸
血算
治療
- 治療方針:輸液 + インスリン投与 → 脱水、高浸透圧、アシドーシスの補正。
- 輸液、インスリン:
- カリウム、リンの補給:カリウム、リンはブドウ糖流入に伴って細胞内に移行するため、治療により血清レベルが低下する。また、リンの欠乏は赤血球中の2,3-DPGの回復を遅延させ、組織代謝の改善を障害する可能性があるため補正が必要。(DMR.189)
- 重炭酸イオン:
症例
- 12歳の女児。昨日から倦怠感を訴え、今朝になって意識がもうろうとしていたため母親が救急車を呼び受診した。1年前に1型糖尿病を発症しており1日4回のインスリン注射をするように処方されている。母親に尋ねると3日前から風邪を引いて食欲がなく、昨日は殆ど食事を取らなかったためインスリンを注射していなかったという。皮膚は乾燥し、対麻痺は見られない。脈拍は120/分。体重38℃。呼吸数28/分。血圧96/60mmHg。簡易血糖測定器で末梢血を測定したところHi(上限600mg/dL)が表示された。動脈血ガス分析結果はpH 7.2, PaO2 120Torr, PaCO2 15Torr, HCO3- 8mEq/L, BE -22
比較
- 糖尿病専門医研修ガイドブック改訂第4版 p.190
|
DKA
|
HONK
|
糖尿病病型
|
1型糖尿病
|
2型糖尿病
|
発症年齢
|
若年
|
高齢
|
前駆症状
|
多飲、多尿、消化器症状
|
特異的なものはない
|
身体異常
|
脱水、アセトン臭、クスマウル大呼吸
|
脱水、アセトン臭-、中枢神経症状(痙攣、振戦)
|
検査所見
|
尿ケトン体
|
(+)~(++)
|
(-)~(±)
|
血糖値(mg/dL)
|
300~1000
|
600~1500
|
浸透圧(mOsm/L)
|
>300
|
>350
|
Na (mEq/L)
|
正常~軽度低下
|
>150mEq/L
|
pH
|
<7.3
|
7.3~7.4
|
BUN
|
上昇
|
著明上昇
|
K
|
↑
|
↑
|
参考
- 1. [charged]Clinical features and diagnosis of diabetic ketoacidosis and hyperosmolar hyperglycemic state in adults - uptodate
- http://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-diabetic-ketoacidosis-and-hyperosmolar-hyperglycemic-state-in-adults?source=search_result&selectedTitle=2%7E150#H10
- 2. [charged]Epidemiology and pathogenesis of diabetic ketoacidosis and hyperosmolar hyperglycemic state
- http://www.uptodate.com/contents/epidemiology-and-pathogenesis-of-diabetic-ketoacidosis-and-hyperosmolar-hyperglycemic-state?source=search_result&selectedTitle=5%7E150
[★]
- 英
- hyperosmolar hyperglycemic nonketotic syndrome
- 同
- 高血糖高浸透圧症候群 hyperglycemic hyperosmolar syndrome HHS、非ケトン性高浸透圧性症候群 ← 以前の呼称らしい
- 関
- 高浸透圧性非ケトン性昏睡? hyperosmolar nonketotic coma?。糖尿病
[show details]
- 研修医当直御法度 症例帳 p.18
誘発因子
- 糖尿病専門医研修ガイドブック改訂第4版 p.190
- 感染症:肺炎、尿路感染症、ウイルス感染
- 脱水:嘔吐、下痢
- 手術:胸部手術、腹部手術、脳外科手術
- 脳血管障害:脳梗塞、脳出血
- 薬剤:ステロイド、利尿薬、高カロリー輸液
- 内分泌疾患:Cushing syndrome、バセドウ病
- 心疾患:心筋梗塞、心不全
比較
- 糖尿病専門医研修ガイドブック改訂第4版 p.190
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DKA
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HONK
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糖尿病病型
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1型糖尿病
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2型糖尿病
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発症年齢
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若年
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高齢
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前駆症状
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多飲、多尿、消化器症状
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特異的なものはない
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身体異常
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脱水、アセトン臭、クスマウル大呼吸
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脱水、アセトン臭-、中枢神経症状(痙攣、振戦)
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検査所見
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尿ケトン体
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(+)~(++)
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(-)~(±)
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血糖値(mg/dL)
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300~1000
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600~1500
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浸透圧(mOsm/L)
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>300
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>350
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Na (mEq/L)
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正常~軽度低下
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>150mEq/L
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pH
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<7.3
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7.3~7.4
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BUN
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上昇
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著明上昇
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K
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↑
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↑
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- 高浸透圧性非ケトン性昏睡?において昏睡やケトーシスを伴うことが多くなったため、本名称で呼ばれることが多くなった。(糖尿病治療ガイド2008-2009)
- 著しい高血糖と高度な脱水に基づく高浸透圧血症により循環不全をきたした状態。著しいアシドーシスは認めない。(糖尿病治療ガイド2008-2009)
[★]
- 関
- 1型糖尿病、Cペプチド、インスリン、インスリン非依存状態
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インスリン依存状態
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インスリン非依存状態
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特徴
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インスリンが絶対的に欠乏し、生命維持のためにインスリン治療が不可欠
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インスリンの絶対的欠乏はないが、相対的に不足している状態。生命維持のためにインスリン治療は必要ではないが、血糖コントロールを目的としてインスリン治療が選択される場合がある。
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検査
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血糖値
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高い、不安定
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安定
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ケトン体
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著増する
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わずかに増加
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治療
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1. 強化インスリン療法 2. 食事療法 3. 運動療法
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1. 食事療法 2. 運動療法 3. 経口薬,インスリン療法
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インスリン分泌能
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空腹時血清CPR 0.5ng/ml以下
|
空腹時血清CPR 1.0ng/ml以下
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[★]
- 英
- fulminant type 1 diabetes mellitus
- 同
- 劇症型1型糖尿病
- 関
- 1型糖尿病、糖尿病
概念
- 特発性1型糖尿病の亜型とされ、何らかの原因により膵臓のβ細胞が急激に破壊され、インスリン欠乏に基づく高血糖・ケトアシドーシスをきたす疾患
疫学
- 参考1
病因
- 詳細は不明
- 感受性を有する人にウイルス感染を契機として抗ウイルス免疫が惹起されて膵β細胞が破壊されることが原因と考えられている。(参考1)
診断基準
- 参考2
- 劇症1型糖尿病診断基準(2004)
- 下記1~3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。
- 1. 糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。 ← インスリン欠乏によるケトン体産生亢進
- 2. 初診時の(随時)血糖値が288mg/dl(16.0mmol/l)以上であり、かつHbA1c値<8.5%である。 ← 急性経過の高血糖 ・・・NGSPでは8.9%
- 3. 発症時の尿中Cペプチド<10μg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3ng/mlかつグルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5ng/mlである。 ← インスリン分泌能の廃絶
- 参考所見
- A) 原則としてGAD抗体などの膵島関連自己抗体は陰性である。
- B) ケトーシスと診断されるまで原則として1週間以内であるが、1~2週間の症例も存在する。
- C) 約98%の症例で発症時に何らかの血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)が上昇している。
- D) 約70%の症例で前駆症状として上気道炎症状(発熱、咽頭痛など)、消化器症状(上腹部痛、悪心・嘔吐など)を認める。
- E) 妊娠に関連して発症することがある。
症状
- 高血糖による症状(口渇、多飲、多尿)
- 上気道症状(発熱、咽頭痛、咳嗽)
- ケトアシドーシスによる症状:全身倦怠感、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛)
その他
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/720
- 2. 糖尿病48(suppl1) :A1-A13, 2005
- 3.
- http://www.jds.or.jp/modules/study/index.php?content_id=4
- http://ci.nii.ac.jp/naid/110008506978
[★]
- 英
- slowly progressive insulin dependent diabetes mellitus, slowly progressive IDDM, SPIDDM
- 関
- 1型糖尿病、糖尿病
臨床的特徴
- DMR.30 参考1
臨床像
- 急性発症1型糖尿病のGAD抗体とSPIDDMのそれとは異なり、N末端側にユニークなエピトープを有する。
- 発症年齢は30-50歳と中年から高齢である。 ⇔ 急性発症1型糖尿病は若年期
- β細胞障害の速度は女性に比べ男性のほうが早い。
- HLA type
- Class II MHC であるHLA-DR4-DQA1*0301-B1*0401との関連がある。
- 急性発症1型糖尿病と関連するHLA-A24 との関連は薄い。
膵組織
- 膵β細胞がわずかに残存
- 膵外分泌腺組織は著明に萎縮
- 膵島周囲にCD8陽性Tリンパ球浸潤(periinsulitis)が認められる。 ← 膵島炎は稀(DMR.30)
- 膵外分泌腺へのCD8陽性Tリンパ球もしくはCD4 陽性Tリンパ球の浸潤が認められることがある。
- 膵管造影で膵管、とくに二次膵管の慢性膵炎様の不整所見を認める頻度が高い。主膵管の拡張、不整。
参考
- 1. 緩徐進行1 型糖尿病(SPIDDM), 月刊糖尿病 2009/11 Vol.1 No.6, p.50
[★]
- 英
- diabetes mellitus (SP), DM
- 関
- 糖尿病治療薬
- first aid step1 2006 p.first aid step1 2006 p.256,423
定義
- インスリンの不足
病型
- インスリン分泌の低下
- 血中インスリン濃度:低
- 遺伝や生活習慣病に関係なく発症。治療はインスリンの注射
- インスリン受容体や細胞内情報伝達系の質的・量的変化
- 一般に血中インスリン濃度:高
- 肥満、喫煙、運増などが関連
- 中高年に多い
- 運動療法と食事療法
参考1
- NIDDM:インスリン不要
- NIDDM:高血糖是正にインスリン必要
- IDDM:ケトーシス防止や生存にインスリン必要
症状
-
- 血糖値が170-180mg/dl以上で尿糖陽性となる。
- 血糖150mg/dlでも尿糖陽性であれば腎性尿糖が疑われる
- 口渇、多飲、多尿
- ケトーシス、アシドーシス体重減少
合併症
- 多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)
- 単神経障害
- 栄養血管の閉塞による脳神経障害
- 外眼筋(動眼神経、滑車神経、外転神経)麻痺、顔面神経麻痺
医療系の雑誌より(日経カデット11月?)
表5 糖尿病患者にみられる筋骨格系症状を呈する疾患と臨床的特徴
糖尿病との関係
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疾患
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臨床的特徴
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糖尿病が直接病因に関与する疾患
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糖尿病性手関節症(diabetic cheiroarthropathy)
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コントロール不良の糖尿病に多い。原因不明の皮膚硬化が徐々に進行し、手指の屈曲拘縮を来し手全体に及び、強皮症と誤診される。手指を合わせることができない(Prayer徴候)。
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シャルコー関節
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頻度は低い(1%)が、長期糖尿病コントロール不良患者に多い。通常、足根中足関節などの中足部が多く、足底表面、前足部、中足部に潰瘍形成の合併を認めることがあり、骨髄炎との鑑別が困難な例あり。
|
糖尿病性骨溶解(diabetic osteolysis)
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原因不明の足趾の末節骨や基節骨の骨吸収が起こリ、足痛の原因となる。X線ではickedcandy変形を呈し、骨髄炎との鑑別が困難。
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糖尿病性筋梗塞
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外傷、感染、腫瘍がなく大腿部などに急激に増大する疼痛を伴う腫瘤を認める。生検は出血の危険があるため行わない。通常1~2カ月で自然寛解する
|
糖尿病性筋萎縮症(diabetic amyotrophy)
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糖尿病性末梢神経障害の一型。大腿前部の痛みで、時に脱力や萎縮が非対称性に起きる。CPKの上昇はなく、脳脊髄液で軽度蛋白上昇以外の有意な所見はない。神経伝導速度.筋電図では神経原性変化を認め、筋生検では炎症細胞浸潤を伴わない筋線経の萎縮あり。
|
直接の関係は不明だが糖尿病患者に頻度が高い疾患
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癒着性関節包炎(凍結肩または五十肩)
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糖尿病患者の10-33%にみられる。長期2型糖尿病を有する女性に多く、肩の痛みと可動域障害を呈する。約半数が両側性だが非利き手側で症状が強い。炎症反応やX線異常を認めず、数週~数カ月で自然寛解する。
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複合性局所疼痛症候群1型(complex regional pain syndrome CRPS)
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四肢の疼痛、皮膚色変化、皮膚温の変化、浮腫、可動域制限などの症候を呈するまれな症候群。
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手掌屈筋鍵炎
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糖尿病患者の5-33%に認められる。長期に罹患した女性に多く、利き手側の母指に頻度(75%)が高いが、どの指にもみられる。
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Dupuytren拘縮
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手掌筋膜の短縮と肥厚(有痛性結節)を生じ、第4、5指の屈曲拘縮を呈する。1型糖尿病で長期に罹患した患者に多いが、血糖コントロールとの関係はない。
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手根管症候群
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手根管症候群の全患者の最大15%に糖尿病を認める。
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広汎性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis DISH)
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2型糖尿病患者の約20%にみられ、50才以上の肥満患者に多い。頭部、腰部のこわばリ、関節の可動域制限を呈する。全身の腱付着部痛を呈することもある。
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その他
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感染性関節炎や骨髄炎
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血糖上昇による免疫力低下が感染症リスクを上昇させることによる
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診断
血糖値検査による分類
正常 糖尿病型
空腹時血糖値 <110mg/dL ≧126mg/dL
and or
75g OGTT2時間値 <140mg/dL ≧200mg/dL
- 正常型であっても、食後1時間値が180mg/dL(10.0mmol/l)以上の場合には、180mg/dl未満のものに比べて糖尿病に進展する可能性が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察)を行う(参考1)。
診断基準
- 参考2-4
- 1) 初回検査で、①空腹時血糖値≧126mg/dl、②75gOGTT2時間値≧200mg/dl、③随時血糖値≧200mg/dl、④HbA1c(国際標準値)≧ 6.5%のうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断してよい。
- 2)血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
- 確実な糖尿病網膜症の存在
- 3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の検査値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。
- 4)上記1)~ 3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いをもって患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
- 5)初回検査と再検査における判定方法の選択には、以下に留意する。
- 初回検査の判定にHbA1cを用いた場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めることが診断に必須である。検査においては、原則として血糖値とHbA1cの双方を測定するものとする。
- 初回検査の判定が随時血糖値≧200mg/dlで行われた場合、再検査は他の検査方法によることが望ましい。
- HbA1cが見かけ上低値になり得る疾患・状況の場合には、必ず血糖値による診断を行う。
[show details]
- 以前の記事
- 1. 以下のいずれかの検査を行い、基準値を超えていれば糖尿病型と判定
- (1)空腹時血糖値 :≧126mg/dl
- (2)75g OGTT2時間値:≧200mg/dl
- (3)随時血糖値 :≧200mg/dl
- 2. 1.で2回続けて(別の日に行う。異なる検査項目が好ましい)糖尿病型と判定されるか、1.で1回糖尿病型と判定されかつ、以下の条件を満たすとき、「糖尿病」と診断する
- a. 糖尿病の典型的症状が存在すること
- b. HbA1c≧6.5%
- c. 糖尿病性網膜症が存在すること
- d. 過去に糖尿病型を示した資料(検査データ)がある場合
予後
- 糖尿病の死因の一位は心筋梗塞(Q book p.259)。
USMLE
高血圧と糖尿病を合併する病態
参考
- http://www.uemura-clinic.com/dmlecture/newcriteria.htm
- http://d.hatena.ne.jp/bonbokorin/20100608/p1
- 3. 糖尿病の新しい診断基準を7月に施行 日本糖尿病学会-糖尿病NET-資料室
- http://www.dm-net.co.jp/calendar/2010/010167.php
- 4. 委員会報告 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告 2010
- http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/635.pdf
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患
[★]
- 英
- glycosuria、glucosuria